千葉市美浜区と稲毛区を結ぶ高規格道路「新港横戸町線」建設の記録。

新港横戸町線の概要

■建設の経緯と現状

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千葉市臨海部には国内外を相互に結ぶ重要な物流拠点である千葉港が存在し、その貨物取扱量は1億6,514万トン(2008年のデータ)と名古屋港に続いて全国第2位を誇っている。千葉港で陸揚げされた物資は直接消費地へ向かう、もしくは千葉港を取り巻く工場群で製品に加工され、消費地へ向かうこととなる。この千葉港と東京都心を行き来するには「1、海沿いを通る国道14・357号線を経由し、東関東自動車道(湾岸千葉IC・湾岸習志野IC)〜首都高速湾岸線を利用する」「2、一旦千葉市中心部へ出て、国道16号線および126号線を経由し、内陸部を通る京葉道路(穴川IC)を利用する」という2つのルートがある。後者に関しては、JR稲毛駅付近やJR西千葉駅付近を経由して直接穴川ICへ至る方法もあるが、道路幅員が狭く、トレーラーなど大型車の通過はほぼ不可能である。したがって、現状では千葉市中心部へ不要な交通が流入し続けている状況であり、騒音、排気ガスといった公害や慢性的な渋滞が問題となっている。
その問題を解決すべく計画されたのが、本ページでとりあげる都市計画道路3・4・33「新港横戸町線(しんみなとよこどちょうせん)」である。新港横戸町線は工業地帯がある千葉市美浜区新港と内陸部の千葉市花見川区横戸町を結ぶ全長13.37km、基本幅員20mの一般道路として1969(昭和44)年5月に都市計画決定され、これまでにその87%にあたる11.62kmが完成しており、穴川十字路以東と国道14号線以西が4車線、それ以外が暫定2車線で供用されている。残る区間については千葉県が計画する地域高規格道路「千葉中環状道路」の一部を成すことや、生活道路との構造的な分離を図る観点から側道を含む幅員を40〜50mに拡幅する都市計画変更が1996(平成8)年3月に行われた。その後は用地買収などが行われ、2000年代に入ってからは建設工事が本格化している。このうち、本線部分は2010(平成22)年に開催されるゆめ半島千葉国体に間に合わせるべく重点的に工事が行われ、同年8月に開通した。側道などの周辺整備は現在も続けられており、最終的な完成は2014(平成26)年を予定している。

■ルートと特徴

(C)国土交通省 国土計画局「オルソ化空中写真ダウンロードシステム」の空中写真(昭和49年撮影)を加工

新港横戸町線の工事中区間は西側から1工区、2工区の順に全部で6工区に分かれている。1工区以外は台地の中を進んでおり、トンネルや切り取りを多用するなど起伏に富んだ地形となっているほか、2〜4工区については下総台地特有の自然の谷地形(谷津)の中を通るため、カーブがやや多くなっている。また、この地下には古い河川を転用したと思われる下水道が通っており、これが新設構造物に支障するため各所で移設工事が行われている。以下、各工区の特徴を述べていく。

1工区
1工区はJR京葉線の東側、市道高洲問屋町線(通称:京葉線通り)との交差点から始まる。この交差点は新港横戸町線が全線開通すると新港横戸町線の本線と側道が分合流する重要な拠点となる。この付近はやや大きく用地買収が行われ、緩衝帯として公園が整備される。穴川方面(東)に進むとやや南にカーブしながら国道14号線と陸橋(黒砂陸橋)で交差する。陸橋の下は国道と新港横戸町線の側道との交差点となる。

2工区
2工区はほぼ全てがトンネルとなり、上部は周辺住民のための緑地帯(公園)として利用される。また、この2工区付近の本線は周囲より低い位置にあり降雨など流入水の自然排出が困難であるため、これらの水を集めて下水道に流すためのポンプ場が設けられる。

3工区
3工区は京成千葉線(盛土)、都市計画道路千葉港黒砂台線、JR総武線(高架)、東京電力送電線の鉄塔と重要構造物が多数交差している。京成千葉線をくぐる部分はJR東日本が開発した「HEP&JES工法」を、下水道の移設工事では「推進工法」を用い、ともに非開削でトンネルを建設している。(京成千葉線、JR総武線の交差部はそれぞれの鉄道会社に施工を委託)また、本線は千葉港黒砂台線との交差部は本線がトンネルとなり、その上部に新港横戸町線の側道との交差点ができる。

4工区
4工区はほぼ中央が谷と台地面の境となっており、新港横戸町線はトンネルや掘割で台地面に食い込むように進んでいく。この工区は既存の住宅地の中を縦断することや比較的交通量の多い生活道路が交差しているため用地取得に難航した模様で、全工区の中で一番最後の着工となった。

5工区
5工区は北側に放射線医学総合研究所(放医研)、南側に千葉大学と敬愛学園と教育・研究施設が密集している。また、JR稲毛駅とJR千葉駅を結ぶ交通量の多い道路(都市計画道路幕張町弁天町線)が交差しているため全てトンネルとなっている。

6工区
6工区は地下を通ってきた本線が地上に出て側道と合流し、既存の穴川十字路へ至る拠点となる。本線と側道の合流方法に関して検討に時間がかかったため、着工が遅れた。また、周辺には稲毛区役所があり、利用者の便を確保しながらの施工となるため、駐車場などの一部施設を移設しながら工事が進められた。

■「道づくり」の試み

新港横戸町線の建設中の区間全体に共通する特徴として、沿道に住宅が密集している点がある。よって、当然のことながら具体的な建設ルートが明らかになるや否や、生活環境の悪化を懸念した沿道の住民から反対の声が上がった。そのため、工事開始前から住民と千葉市・工事の施工企業などの間で協議の場が多数設けられ、工事の進め方や開通後の公害防止対策について住民の意見が反映されている。さらに、この新港横戸町線建設では、本線トンネル上部の緑地化や生活道路と側道・本線のスムーズな合流方法など道路全体を住民の生活の一部と捉え、総合的に計画を策定する「道づくり」という試みも行われている。一部緑地帯の整備に関しては大学と共同で研究・整備を行うなど、将来の街づくりのモデルケースになるような実験的手法が導入されたことも特筆すべき点であろう。
なお、工事の進捗状況は「工事ニュース」「道づくりニュース」などの情報誌により逐一住民に報告されており、その結果を次の工事に生かすというサイクルが続けられている。

以下、新港横戸町線の建設工事について記録を開始した2004年からの状況をお伝えいたします。なお、工事区間の事業延長が2.6kmもあるため、市立千葉高校と違い、毎月全ての工区をトレースすることはほぼ不可能です。そのため、月ごとのページでは「撮影・記録できた工区の写真のみ」を掲載し、その他工区の情報については「工事ニュース」等の資料を基に記述している箇所があります。また、2006年ごろまでは携帯電話のカメラを使用していたため画質が悪くなっております。ご了承ください。

新港横戸町線 2004年からの工事の記録

2004年の状況

2005年の状況

2006年の状況

2007年の状況

2008年の状況

2009年の状況

2010年の状況

2011年の状況

2012年の状況

【コラム】新港横戸町線を造った新技術


<参考:新港横戸町線建設工事概要(2010年千葉市発表資料による)>
●工期
1996年〜2014年
●総工費
約740億円(当初は約626億円)
本体工事費:約650億円
千葉港黒砂台線整備:約7億円
生活道路整備:約47億円
沿道緑化整備:約36億円
●工事延長
2,200m(千葉市美浜区幸町2丁目〜千葉市稲毛区穴川3丁目)