
小学校での英語教育が始まっていますが、うまくいっているのでしょうか。初期英語教育に多分向いている方法を幾つか記したいと思います。
1.アルファベットと英単語の関係を教える。これって、意外とほとんどの教科書や参考書で取り上げられていません。
英語で言うとphonicsというはずですが、英語国の小学生が習うものです。
a,i,u,e,oの5文字は「母音字」と言い、基本的に「あ、い、う、え、お」のローマ字読み、と「えぃ、あぃ、ゆぅ、えー、おぅ」のアルファベット読みの2種類の読みがあります。ローマ字読みは短母音、つまり短い音、アルファベット読みは長母音、つまり長い音になります。まず、この点が、ローマ字と英語の違いです。
これがはっきりしないために、かなり多くの生徒がローマ字と英語のつながりが混乱してしまっています。
子音字は基本的に母音字以外のアルファベット全部。アルファベット読みから、母音を取り去ったものがその子音字の本来の読み方になる。b,c,d,g,p,t,v,zは「いー」という母音が共通。f,l,m,n,s,は「え」が共通。
日本語で「か」とか「ま」と書くのは、ほんとは一つの音でない。ローマ字で ka とか ma と書くのはその為。その証拠に、それぞれ長く読むと、両方とも「あ」になってしまう。
dog, cat, pit, pet, pot, cut など、子音字+母音字+子音字の形の語は、ほとんど、母音字を短く読む。
make, take, like, tube, pete, coke などの子音字+母音字+子音字+e の形の語は、多少例外があるが、母音字を長く読む。つまり、発音されていない e は、母音字を長く読ませる役割がある。例外は日常的に使う語に多い。love, come, live, have など。
read, boat, soup, count, see など、母音字が二つ続く場合は、長母音になる。たいがいは、母音字のどちらかを長く読む。
village, stamp, desk, kick など、子音字が二つ続いた場合は、その前の母音字を短く読む。これは、子音字が二つ続いて、壁になり、前にある母音字を押しつぶしていると言うイメージになる。日本語でHokkaidoと言う時と、hokaidoと言う時ではhoの部分を強く言えるかどうかの違いがある。日本語は高低アクセントだが、英語は強弱アクセントになるので、Hokkaidoのように、子音字二つでためを作り、その前の母音を強く読ませる形が多い。これについては、スポーツ観戦で「日本」を応援する時の言葉でも説明できます。nihonとはほとんど言わずに、 nipponといいますよね。これは、nipponのほうが強く言えるからです。「イ」の音を強く発音するには、nipponと言うしかないわけです。
名前動後。つまり、名詞のアクセントは前、動詞のアクセントは後ろ。これは、動詞の過去形などが語尾変化により作られるので、語尾の方を強くはっきり言う必要が生まれ、それと区別するために名詞は前を強く言うようになったため。一番簡単な例が、同じ語が名詞と動詞でアクセントの位置が変わるrecordの例です。ただし、似た単語でreportは名詞動詞ともに後ろにアクセントです。
長い単語は、短い単位に分けて、考える。enforcementは、en-force-mentとなる。
だいたい、以上の9個の読み方の規則で約8割以上の単語は読み方の説明が出来ます。
一時間に一つの規則を10個から20個くらいの単語を使って、練習する。次の時間はその復習、こうすると、だいたい、10時間から15時間ぐらいかかります。これを二回繰り返せば、週一時間でほぼ年間の時間数になります。
多少くどくなりますが、phonicsの必要性について、少し述べます。中学以上の学校では、評価のほとんどは、筆記試験で行われます。ですから、書くことが非常に重要です。「グランド」をgraundと書いたり、「書く」をwraitと書いたりする例が、かなり多くあるのです。これは、ある程度出来る生徒を含みます。phonicsの基礎を知っていれば、このような間違えはそもそもなくなりますし、スペルを覚える過程そのものがかなり楽になります。次に、今の日本では、自分で勉強しようとすると、どうしても、教科書や問題集、テキストなどの文字化された教材を使って自習することになります。塾や家庭教師、英会話教室などを自由に利用できる場合はあまり無いでしょうし、それであっても、自分が自力で勉強すると言う形が無ければ、いくら塾に行っていてもあまり力はつかないでしょう。ですから、英単語がきちんと読め、それを楽に書けるかどうかが、一番の基本になるわけです。オーラルアプローチが良いなどと言われていますが、せいぜい週に数時間しか英語の音に接しないのでは、ほとんど身に付かずに終わってしまうように思います。
2. 語源、または、語根、説頭辞、接尾辞を教える。
meet, meat, は、see, eatが隠れている。つまり、「会う」は「見る」から。「肉」は「食べる」から。glass,grassの区別はgreenで覚える。green
grass つまり、greenとgrass は親戚。「草は緑」
多少、初歩とは異なりますが、日本語が大和言葉と漢字から出来ているのと同じで、英語ももともとの英語とラテン語系の英語がある。そのいい例がcowと
beef, pigと porkの区別。これは、征服民族と被征服民族の区別から生じた。つまり、牛や豚の面倒を見る被征服民族の言葉とその肉を食べる征服民族の言葉。その発展形として、refuse,confuse,infuseなどがある。reは「元へ」、
conは「一緒に」、 inは「中へ」の意味。fuseは「注ぐ」の意味。だからrefuseは「元へ注ぎ返す」、つまり宴会で注いでもらったビールをいらないよと言って注ぎ返すこと、つまり「拒否する」になる。confuseは「一緒に注ぐ」だから、ビールと焼酎、ソースとジュースを一緒に注ぐと言うことで「混乱する」の意味。infuseは「中へ注ぎ込む」の意味。だから、「思想などを教え込む」の意味になる。
3.発音を練習する。
これは、1とセットでやると効果的です。しかし、非常に簡単です。覚えるのは次の4点です。
1.a と u の発音は、日本語だと両方とも「あ」だが、英語ははっきり違う。a のほうは、唇を横に引きながら思いっきりあごを下げ、口の前の方で発音する。口の前の方で発音するから、口の前の方で発音する子音との相性が良く、Japan のpa の音が発音がしやすい。発音記号は「あ」と「え」の合成の形。実際の発音も、「あ」と「え」の合成に近い。それだけ口の前の方を大きく開ける。また、見た目も a の方が、u よりも大きな感じがする。uは、日本語と同じで、舌の中ほど、口の真ん中ほどで、唇をほとんど開けずに発音。sun, Sunday など。
2.r と l の区別をする。これって、意外と難しくはありません。r の音は、犬が威嚇する音に似ています。どちらかと言うと、r の音は不快な音で、l の音は気持ちのいい音である感じがします。これが、love, like などの語になっている理由かもしれません。r は巻き舌と言いますが、下を下あごにつけて、上に上げず、のどの奥へ引く感じでも発音できます。この方が自然かも知れません。ともかく、自分でこれを何回も練習して r の響きを覚えると、聞き取りもかなり出来るようになります。
3.s と th の違い。th は、アルファベットにない音。だから、アルファベットを組み合わせてこの音を表現している。
4. v, f, の音。日本人にキスの習慣はなかったが、西洋人はある。これと同じで、唇を使った音が英語には多い。
4.基本的なパターンプラクティス。
これは中学校でぜひやっていただきたい練習。たとえば、He
plays tennis.をI play tennis. They play tennis.
Do they play tennis? Does he play tennis?
He does not play tennis. He did not play
tennis. Did you play tennis? のように、主語、時制、疑問文、否定文、能動態、受動態を変えて文の変換練習をすることです。
黒板に、主語の行で I., you, he, she, they,
weなどと書く。次に時制の行で、過去、現在、未来と書く。次に文の種類の行で、肯定文、疑問文、否定文と書く。その次には、能動態、受動態の行を作る。それぞれの行にマグネットを一つづつ貼り付けて、それに従って、文を作る練習をする。
こうするとテンポ良く、口頭練習が出来ます。毎時間、別の文章をこの表を使って変換練習するわけです。口頭で使える英語の文章の型を身につけるにはこの方法が一番良いのではないでしょうか。
会話重視と言うなら、今のオーラルコミュニケーションの教科書の全てが場面別英会話集の暗記になっているのを止めて、このようなパターンプラクティスを大幅に取り入れてもらいたいものです。
時制などについては自分などもよく間違えますし、外国語を身につける場合は、どのレベルの人も必要な訓練であると思うのですが、どうでしょうか。
5. 高校での英語1では、中学の内容を横断的に教える。
これは、数学などで言われていることです。具体的には、He
is busy. He is swimming. He is liked by Alice.などの文章は、分詞は形容詞だ、と考えることでまとめることが出来ます。つまり、主語+be動詞+形容詞 の形です。
文から句を作る方法なども面白いものです。The
book is on the desk. から the book on the
desk はbe動詞が省略されただけです。この応用形として、The
boy is good at playing tennis.から the boy
good at playing tennis が作れます。この形は非常に多くあり、なぜ、日本の教科書でこのことが一つの独立した文法事項として取り上げられていないのか、不思議です。
語と語の並びは、意味関係を表す。ちょっとある風景を紙に書いてください。大きな湖があります。(実際は多少大きめの丸を書くだけです。)その横に、背の高い木が生えています。(実際は、クリスマスツリーのようなぎざぎざのある木を書きます。)木の下に椅子があります。その椅子に人が腰掛けています。さて、この情景をどう説明するでしょうか。要素は「湖」、「木」、「椅子」、「人」の四つです。普通は、「湖の横の木の下の椅子に腰掛けている人」の順番です。英語でも、a
man sitting on the chair under the tree by
the lake となり、隣り合う語の順番は同じです。これは、現実の認識が「湖の横の木」のように、実際にある様子の捉え方として、誰でも同じになるようになっていると言うことです。決して、「木、人、湖、椅子」の順番にはなりません。日本語は助詞があるため、かなり語順は自由度が高いのですが、英語はまさに、語順により意味関係が示されます。このことも、文法事項としては独立していません。中学2年ぐらいで取り上げるのがちょうど良いのではと思うのですが、どうなのでしょう。
6.文型の問題:
英語の5文型はいろいろな場面で応用が効くものです。次に例を示します。
まずは、5文型の復習。
第一文型:SV(主語+動詞)
第二文型:SVC(主語+動詞+補語)
第三文型:SVO(主語+動詞+目的語)
第四文型:SVOO(主語+動詞+目的語+目的語)
第五文型:SVOC(主語+動詞+目的語+補語)
まず、一番重要なことだ。すべての文型に共通する形として、主語+動詞の組み合わせがある。これがすごく重要だ。多分これがはっきり意識されれば、英語を話したり書いたり、または読んだりすることがかなり楽になるはずだ。多分、英語だけに限らない。ほかのほとんどの言葉や、物理や数学でも、この考え方は重要だと思う。つまり、ある動作をするには、動作の前に、何か物、物体が必要だということ。言い換えれば、何か主語があって初めて、その動作が出来るという事だ。たとえば、誰もいない空間に向かって、「立て」とか「座れ」と言っても何も意味がない。だから、必ず、まず最初に主語が来て、その次に動詞が来る。反対に考えれば、何か動詞が出てきたら、その主語は何かということをいつも意識しなければいけない。そうすることによって、「読む」ことがかなり正確にできるはずだ。
このことの具体的な応用はいくらでもある。例をあげよう。
例1:It is important for me to pass the exam.(試験に受かることは僕にとって重要だ。):この文章で「受かる」のは「僕」だ。日本語では「受かる」という動詞が「僕」よりも前に来ている。もう少し、しつこく言うと、日本語で「僕が試験に受かることは僕にとって重要だ。」とはあまり言わないという意味。このように、日本文では動詞が主語よりも前に来る文がかなり多くある。ところが、英語では、かなりきちんとこの原則(主語が先で動詞が後)が守られる。
例2:I want you to go shopping.(僕は君に買い物へ行ってもらいたい。):「君」という主語がまず示され、その次に「買い物へ行く」という動詞が来る。一般的な第五文型の文はみんなこの例と同じだ。
例3:She is angry at my breaking the window.(彼女は僕が窓を壊したことに怒っている。):my breaking の部分は「僕」を示すmyが「壊す」の前に来ている。つまり、「僕が壊す」の主語+動詞の語順が保たれている。
二番目に重要なことは、5文型の中で、基礎は第一文型と第二文型、第三文型の三つのみ。第四文型と第五文型はこの基礎の三つの文型の組み合わせとして理解できるということ。
つまり、第四文型は、たとえば He gave me the book.(彼は僕にその本をくれた。)のような文。これは、He gave ( I have the book).のように考えられる。重要な点は語順の問題だ。「私」が先に来て、その次に「本」が来ている。一般に、第四文型の”OO”の部分は、「人」+「物」の順になると言われているが、その理由はここにあるのではないだろうか。つまり、「人」と「物」の二つの要素があったとき、それを組み合わせて文を作ると普通は「人」が主語になる。「ケン」と「りんご」を組み合わせれば、普通は「ケンがりんごをたべる。」のような文になる。英語は語順の言語だといわれるように、この語順の意識が残ってSVOOの文型は主語+動詞+目的語(主語)+目的語(目的語)となっているように思える。
第五文型は、たとえば、He asked me to go shopping.(彼は僕に買い物へ行くように頼んだ。)のような文。もう気がつかれると思うが、me go shopping の部分は、meつまり「僕が」という主語がまず来て、その次にto go shoppingつまり「買い物へ行く」という動詞部分が来ている。 だから、簡単に考えれば、第五文型はSVOCのOCの部分がまた主語と動詞になっていて、主語+動詞+(主語)+(動詞)のような形だと思えばいい。
このことは次ことを導き出す。
つまり、主語+動詞+補語の形や主語+動詞+目的語の形などがこの第五文型に組み込まれることがあるということ。
まず、第三文型が組み込まれた形を見よう。たとえば、I asked him to play tennis.(僕は彼にテニスをやってくれと頼んだ。)がそうだ。I asked ( he plays tennis).のようになっていると思えば良い。重要な点は、主語+動詞+(主語+動詞+目的語)という語順だ。
次に第四文型が組み込まれている例だ。He had Tom give Alice the book.(彼はトムがアリスへその本をあげるようにした。)だ。He had (Tom gives Alice the book).という形がもとにある。
次は第五文型が組み込まれている形。I hope you to ask Tom to come to my party.(僕は貴方がトムに僕のパーティに来るよう頼んでくれたらと思う。)これも I hope ( You ask Tom to come to my party).となる。
最後に第二文型が組み込まれる形を見よう。これはちょっと複雑だ。She made me happy.(彼女は僕を幸せにした。)これは有名な歌の一節だ。この元の形は She made ( I am happy ).ということになる。ここでは、be動詞が省略されている。be動詞は基本的にほとんど意味を持たないから、時制を表すとかの積極的な意味を持たなければ、省略されてしまうのだ。