このサトウ・ハチローさんの詩は、旧カブスカウト制度の
「月の輪組初級スカウトハンドブック」に掲載されていたものです。

からだでおぼえたものは はなれない  

サトウ・ハチロー

 手でおぼえる
 
足でさとる
 
目にやきつける
 
胸にしみこます

 
ボーイスカウトの仕事は
 
すべてこれだ これなんだ

 
水くみひとつにも
 
上手下手がある
 
米をとぐのも
 
めしをたくのも
 
玉ネギをきざむのも
 
ジャガ芋の皮をむくのも
 
遊び半分では
 
できない できない

 
なれない仕事で
 
涙ぐむと
 
母の顔が浮かび
 
力のいる仕事で
 
へたばると
 
父の笑顔が見える
 われとわが身を
 
はげましても
 
情けなさがあふれてきて
 
あたりの風景に
 
もやをかける
 
のりこえろ のりこえろ
 
からだでおぼえたものは
 
からだからはなれない
 
はなれない

 
手でおぼえる
 
足でさとる
 
目にやきつける
 
胸にしみこます

 
満足に
 
つとめを果たした夜の
 
キャンプファイヤーの火はすばらしい
 
静かにじっと眺めていると
 
さわやかな
 
ほんとうに さわやかな虫の声が
 
首にしみこむ 背なかにしみ通る

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