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FMEA (客観説TQM研究所


FTA  なぜなぜ分析
Contents

1.FMEAとは

  FMEAは、Failure Mode and Effect Analysis のアクロニムで、「故障モードと影響の解析」という意味です。設計通りに作ったシステム(製品や工程)の信頼性の合否を故障モードごとに判定す手法・活動をいう。

 換言すれば、壊れても被害が少なくなるように、壊れる頻度が小さくなるように、および、大事に至る前に危険を検知して対処できるように、十分な対策が講じられているかどうかを判定する手法・活動をいう。

 製品設計又は工程設計において、起こり得る故障モードを列挙し、ボトム・アップに故障や災害を推測し、現行対策で合格かどうか評価します。

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2.設計FMEA

ガスコンロの事例

 手順を下のガスコンロのホースの事例で説明しよう。

ガスコンロのFMEAシート
FMEAシート
  1. 品名:アイテムとも呼ぶ。
    故障モード(=構造破壊)が発生し得る場所を示す。部品(液体や周囲の環境の場合もある)や部品の一部でもよいが、その部品がどの組立品に属するか示さなければならない。組立品の名称だけを記載しても不可である。

  2. 故障モード:構造破壊をいう。
    製品の「構造」とは、材質、形状、寸法、組合せをいう。これらが変化することが故障モードである。ガスホースでいえば材質劣化とクラック、熱溶融その他いろいろあり得るが、起こり得るものを挙げればよい。本件の場合、材質劣化 (→クラック) を挙げている。

    組立品の場合、その組立の接合部(ねじ、ハンダ接合、カシメ結合、圧入、溶接、差し込みなど)の接続の破壊が故障モードになる。

    〔注意1〕「回転しない」、「振動や騒音が出る」などは故障であって故障モードではない。
    〔注意2〕不良品は設計した通りの製品ではないので、故障モードではない。

  3. 要因:その故障モードが発生するメカニズムを指す。本件では経年変化である。

  4. 影響:故障モードが引き起こす結果
    本件ではガスもれが起きる。さらにガス爆発や火災も連想されるが、そのことを当然として、ここでは「ガスもれ」で代表している。

  5. 対策:故障モードについての対策

    「対策」の記載欄がないFMEAシートは、評価の対象がないから誤り。皆さんの家庭で使っているガスコンロにも対策はとられている。それは、ガス事業法によってガス会社が行う4年に1回の定期点検である。

    「対策」は広くとらえる。信頼性試験や強度計算など設計者が行った対策だけでなく、自然に備わっている強度や類似製品での結果などもこれに含まれる。

    対策の記載欄は1個である。影響対策、頻度対策、検知対策と分けてはならない。1個の対策が、これらの2個、あるいは全てに効果を及ぼすからである。

  6. 影響(a):「ガスもれ」という影響を軽減する対策として合格かどうか、4段階評価をする。

  7. 頻度(b): 「クラック」という故障モードの発生を防ぐ対策として合格かどうか、4段階評価をする。

  8. 検知(c):大事に至る前に対処するために危険を検知す対策として合格かどうか、4段階評価をする。

  9. 積: a×b×c を計算する。

  10. RI:危険指数(Risk Index:RI) を計算する。
〔注1〕a、b、c、および RIのスコアリングは次のように行う。a、b、c、の判定は、どれに一番近いかで決める。

スコアリング
評価 無策 不十分 合格 完全
採点 4 3 2 1

〔注2〕 a、b、c のスコアリングは独立ではない。影響の被害が大きければ、それだけ頻度対策や検知対策は厳しく要求される。

 このように、故障モードごとに対策の合否を判定するやり方を絶対評価4点法と呼びます。現在、理論的にも実用的にも、これが最も優れた方法です。

 さて、本件のガスホースの場合、対策は4年に1回の法定点検だけです。実務もそうなっていますが、これで a、b、c、RIの値は表のようになり、合格となります。

ガスコンロのFMEAシート(再掲)
FMEAシート
 なぜこうなるか? FMEAを本格的に勉強して「考える力」を身につければ容易に解答を出すことができます。
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故障モード

 「抜け漏れのない故障予測」を容易にするために採用されるのが、「故障モード」の概念です。

 なぜ、「故障モード」によって故障の予測が容易になるか。ここが重要なところです。これを理解するためには、「設計とは何か」を知らねばなりません。

 われわれは製品の構造を設計し、その構造が機能を果たすのです。換言すれば、所定の機能を果たすように構造を設計するのです。ここに、構造と機能の関係が明らかになります。すなわち、構造破壊(故障モード)によって機能障害(=故障)が起きるのです。

 設計通りにできた製品であっても、寿命に達する前に構造が破壊して故障することがあります。その多くは、設計の時点で予測しなかった故障です。

 製品によって機能は様々であり、故障も製品によって多種多様です。しかし、製品に使われる部品や材料は共通のものが多く、例えば「ねじ」は非常に多くの製品に使われます。従って、「ねじ」の緩み、錆び、曲がり、折損などは共通の故障モードであって、容易に列挙することができる。そして、ここから故障を辿れば、様々な故障が漏れなく探索できることになります。

 従ってFMEAでは、いきなり「故障を予測する」のではなく、まず構造破壊(=故障モード)を列挙し、「もし、ここがこのように壊れたら、何が起きるか」と故障や災害を推測するのです。

 そして、対策は十分かどうか、これを「起こり得る故障モード」ごとに評価して合否を判定します。

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JISの定義

 JIS z 8115 に次のような定義があります。
  • 「故障」とは規定の機能を失うこと。
  • 「故障モード」とは故障状態の形式による分類。例えば、断線、短絡、折損、磨耗、特性の劣化など。

 この定義の意味をごく普通に解釈すると、

  1. 「故障」とは規定の機能を失うこと、つまり設計上予定した機能を果たさない状態です。ここには、格別の問題は見当たらない。

  2. 「故障モード」とは「故障状態の形式による分類」という表現は、理解が困難である。しかし、その後に、「例えば、断線、短絡、折損、磨耗、特性の劣化など」とあるので、構造破壊を意味することが明確になる。
 ところが、この故障と故障モードを区別できない指導者やウェブサイトが圧倒的に多いのが実情です。
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組立品の故障モード

 部品の故障モードが割れ、切れ、材質劣化などの構造破壊であるとしても、動く、作動する、静かに回転するなどの機能を持つ完成品やユニットなどの故障モードは、何か?

 この問題について、間違った指導をする講師やサイトが跡を絶たないのが現状です。

ユニットの故障モードを間違った事例
機能故障モード
電装ユニット内の熱を放出するエア吸い込み量が低下
騒音がなく、静かファン筐体の異音

 組立品は部品の結合によって成り立っており、その結合の破壊が故障モードです。上の表に記載された「故障モード」は、機能の異常=故障に他なりません。

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潜在的故障モード

 では、全ての部品や組立品について、全ての故障モードを列挙すべきだろうか?

 それは実に大変な仕事で、しかも無駄なことです。「起きない」と確信が持てる故障モードは対策が不要だから列挙する必要はありません。従って「起こり得る故障モードだけを列挙せよ」ということになります。この「起こり得る」ことを英語で "Potential" と表現します。

 ところが例によって、学者による誤訳がこの本来の意味を曲げてしまったのです。「潜在的故障モード」と呼ぶ人がいますが、それは英語の "Potential" を誤訳したものです。 "Potential" は「潜っていて見えない」という意味と「将来起こり得る」という意味を持ちますが、誤って前者を採用したのが「潜在的故障モード」の用語です。正しくは、「将来、起こり得る故障モード」という意味でなければなりません。

 誤訳の結果、「故障モードは潜在的で容易に列挙できないもの」という先入観にとらわれ、それを解決するための手段として「先に機能を列挙して、ついでその機能の異常を故障モードとする」というやり方に陥ったのです。これだと、故障(=機能異常)と故障モードの区別がつかないことになります。

アイテム(品名)→ 機能 → 故障モード

となっているFMEAシートのフォーマットは、この誤解に基づいています。

 FMEAによって、何を評価するのですか? 「この設計で信頼性は大丈夫か、対策は十分か」を評価するのです。だから、対策が示されていなければ評価の対象がないことになります。従って、

故障モード → 評価 → 対策

となっていて、対策が先に示されていないFMEAシートのフォーマットは、この点の誤解にも基づいています。


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工程MEA

工程FMEAとは

  • Process Failure Mode and Effect Analysis のアノニマスである。
  • 工程設計に基づいて設置した工程において起こり得る違反を故障モードとし、故障モードごとに対策が十分かどうか、合否を判定する手法・活動をいう。
 下のFMEAフォーマットに従って、手順の概略を説明しよう。
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ピン入れ忘れの事例

工程FMEAシート:ピンの入れ忘れ
工程FMEAシート
  1. 工程の記載欄:
    工程を特定する記載。

  2. 故障モードの記載欄:
    起こり得る「工程設計に対する違反」を記載する。例えば、段取りの間違い、作業ミス、機械の故障などである。
    〔注〕不良品の発生や災害は故障モードの影響であって、故障モードではない。

  3. 要因の記載欄:
    故障モードの発生メカニズムを記載する。うっかりミスの発生メカニズムは、ポカである。

  4. 影響の記載欄:
    不良項目、クレーム、ケガ、コスト高、納期遅れ、環境汚染、その他。
  5. 対策の記載欄:
    故障モードの影響を軽減する対策、発生を防ぐ対策、大事に至る前に危険を検知して対処する対策など。

    〔注〕:
    (1) 対策によって信頼性が生まれるから、「対策」の記載欄がないFMEAフォーマットは誤りである。「対策」は「現行管理」などの用語で表される場合もある。

    (2) 「対策」の意味は広くとらえる。設計者が特に対策をしなくても、信頼性試験の結果、自然に備わっている性質、類似の工程での実績なども、この対策に含まれる。

    (3) 対策の記載欄は、1か所である。1個の対策が、影響の軽減、頻度の軽減、検知性の改良に影響するからです。

  6. 影響(a)の記載欄:
    影響を軽減する対策が十分か不足か、4段階で評価する。影響が深刻であればそれだけ厳格な対策を求められる。

  7. 頻度(b)の記載欄:
    頻度対策が十分か不足か、4段階で評価する。頻度対策とは、発生しないようにする対策をいう。影響が深刻であればそれだけ厳格な対策を求められる。

  8. 検知(c)の記載欄:
    検知対策が十分か不十分か、4段階で評価する。検知対策とは、大事に至る前に影響が検知され、対処することを可能にする対策をいう。影響が深刻であればそれだけ厳格な対策を求められる。

  9. 積の記載欄:
    a×b×c を計算する。

  10. RIの記載欄:
    危険指数(Risk Index:RI)を計算する。
 a、b、c、および RIの判定は次のように行う。a、b、c、の判定は、どれに一番近いかで決める。

評価 無策 不十分 合格 完全
採点 4 3 2 1

 対策として、ピンをセンサーで検知した場合だけ圧入機が作動するようにすれば、次のように評価されて合格となる。

工程FMEAシート:ピンの入れ忘れ
工程FMEAシート

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工程設計

 工程設計は、次のような事項に関する細目を決定することを指します。
  • 人(Man):作業や管理の担当者、関係者
  • 機械(Machine):機械・装置・設備・工具など
  • 材料(Material):工程で処理を受けるもの
  • 方法(Method):作業や管理の方法
  • 測定(Measurement):情報の収集と処理
 以上の5つの要素を 5M と呼ぶ慣行があります。時折、4M と称して測定(Measurement)を除外する指導例を見受けますが、実は測定が一番重要な要素なので、これを除外するようでは明らかに偽物の指導者です。

 なぜ測定が一番重要かというと、「この工程で何が求められているか」という情報が明確でないと仕事は始まりません。仕事の途中で問題がないか調査しないとトラブルを予防できません。「首尾よく成果が出たのか」という情報が明確でないと仕事は終わりません。過去のトラブルを調査しないと改善ができません。これらは、全て測定です。

 ところで、なぜ、5M を決めるのかというと、トラブルを予防するためです。「機械はこういうものを使え、段取りはこうして、どんな人に担当させて、材料はこういうものでなければならないし、作業手順はこうでなければいけないし、ここでこれを測定せよ」などと細々と指定する、そうしなければトラブルになるからです。

 5M を適切に指定することにより、次の5つの機能が発揮されます。これらの全てを満たさないと、トラブルになります。

  • 品質 (Quality)
  • コスト (Cost)
  • 納期 (Delivery)
  • 安全 (Safety)
  • 環境保護 (Environment Protection)
   以上の関係を図示すると、こうなります。


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工程の構造と機能

 上の図を見ると、5M が工程の構造であり、その構造が5つの機能を果たすことが分かります。

 製品の場合を思い出して下さい。製品設計は、製品の構造を設計することです。そして、その構造が製品の機能を生むのです。工程も同様です。工程の構造を設計し、その構造が機能を生むのです。

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工程の故障モード

 すると、工程の構造破壊によって機能障害が起きてトラブルになることが分かります。ここに、工程の故障モードが5M に関する違反を指すことが明確になります。

 工程設計には 5M に関する様々な指示が規定されていますが、それらは必ず順守されるように出来ているのか? これが信頼性です。対策が十分かどうかを工程設計の指示ごとに評価するのが工程FMEAです。

 その他は、設計FMEAと同じです。

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不良モード説

 工程の故障モードを「不良モード」を意味すると唱える説があります。

 「故障モード」とは、
  • 製品設計では、折損、磨耗、短絡などの不具合、工程設計では、寸法不良、加工キズなど。

  • 医療活動であれば、薬剤の選択誤り、カルテ記入忘れなどのエラーが相当するので、ここではエラーモードと呼ぶことにする(トラブルモードと呼んでもよい)。

 上の考え方を吟味しよう。

  1.  製品の故障モードは、「折損、磨耗、短絡など」としており、これは構造破壊だから正しい理解です。
     しかし工程の話になると一変して、「寸法不良、加工キズなど」と機能障害が故障モードであるとしており、論理が一貫していません。機能障害は故障であって、故障モードではありません。

  2.  「薬剤の選択誤り、カルテ記入忘れなどのエラー」としていますが、「工程指示の違反」を指すのか「薬剤の誤り、カルテ記入忘れ」という結果を指すのか不明確です。
     不良モード説は「工程設計では、寸法不良、加工キズなど」と例示しているので、結果の不具合(=機能障害、故障)を指すと解する他ありません。

  3.  品質、コスト、納期等を先に決めて、それに対する対策を決めたものが工程設計です。工程設計をした後に品質不良を列挙するのでは、そもそも工程設計で不良の予防をしなかったことになります。これは素人設計です。

  4.  工程のトラブルは、品質に限りません。品質Q・納期(時間塗料)D・コストC・安全S・環境保護E〜などがあり、工程管理はこれら全てを一体に管理しなければなりません(QDC一体管理の原則)。

     工程FMEAで不良だけを考慮し、他を考慮から外すことは実務ではあり得ません。

  5.  問題点は、「工程設計とは何か、信頼性とは何か」という認識です。信頼性は「工程設計どおりの現場」を実現し維持することであるとの理解に立つべきです。
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FMEA/FTA 定例セミナー

4.セミナー風景

 上にみたように、書物、セミナー、ウェブ上の講座には疑わしいものが相当数あります。たまたま教わったFMEAを形だけ模倣すると、結局は「最初からやり直し」のハメになります。

 FMEA/FTAには、いくつかの落とし穴があります。まず、「故障モードとは何か?」という最初の第1歩から人によって考え方が違います。

 また、故障モードの見つけ方、評価の仕方、評価の基準、対策の仕方も人によって教え方が違います。だから、幸運にも正しい指導を受けた人は有効なFMEAを行ないますが、多くは誤った指導を受けて、体裁上のFMEAで終わってしまいます。

講習会風景

 なぜ、そうなるか? 数あるFMEAセミナーには「故障、故障モード、不良の区別が分からない」という、全くデタラメなの講師も多数いるのです。 また、実務経験もなしに書物や論文から得た知識だけの大学の先生もいます。というワケで、いろいろな指導の仕方が生まれます。

 本セミナーを受講すると、偽の講師の判別がつくようになります。客観説TQMの考え方を身につけた上でFMEA/FTAに進めば、正しい理解が素早く得られます。

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