家庭用100V溶接機で自作工具を作る 2005/9/18製作
<参考文献> 
◆『日曜大工で楽しむ 金属DIY入門』西野弘章 山海堂 2003
<関連リンク AC100V溶接機で作る自作工具>
その1 1/4dr ユニバーサルジョイントTレンチ
その2 ラチェットTレンチ製作 
その3 六角ビットTレンチ
その4 3方取り付けTレンチ製作
その5 工具立て製作
ホームセンターの新聞折込広告には6,000〜10,000円程度の家庭用AC100Vアーク溶接機が掲載されることがあります。しかしながら、「AC100V溶接機は使いにくい」という意見も聞きます。

果たしてどの程度使えるものなのだろうかと思い、当研究所にあるAC100V溶接機で自作工具を作ってみることにしました。作るのは「1/4drユニバーサルジョイント付きT型レンチ」です。

そこで材料は百円ショップで入手した「T型レンチ9mm」と「1/4drユニバーサルジョイント」の2点で、計210円です。
Tハンドル側を1/4インチ(6.35mm)の凸に仕上げ、ユニバーサル側の1/4drの凹に差し込んでから溶接することにしました。
ディスクグラインダで9mmのソケット部を切断します。
切断に使用するのは「切断砥石」です。円形のディスクのうち、使用するのは円周部分です。ディスク側面の使用は禁じられています。それは側面を使用することで薄くなったディスクが破断して飛び散るケースがある為のようです。
「研削砥石」は削るためのディスクです。切断ディスクとは異なり、側面を使用して削っていきます。

これにも様々なタイプがあります。まず、目の粗さが数種類あります。これは番号で表されており、番号が小さいほど粗く、番号が大きいほど目が細かくなります。例えば"36"や"120"といった具合です。"120"くらいになると削った跡の目が細かくなってきますが、溶接のビードを削っていくような作業だともう少し粗い砥石の切削力が欲しくなる感じです。

もうひとつの分類に「通常タイプ」と「フレキシブル砥石」があります。「通常タイプ」は硬く厚みがあります。研削力はあるのですが、振動と音が大きめです。

ところが「フレキシブル砥石」は薄く(3mm前後)、微妙なしなやかさがあります。メーカーによると、ディスクが「しなる」ことによってディスクが研削対象に「面」で当たるようになるといいます。

実際に使用してみると平面の研磨には効率的ですし、なにより音と振動が(ある程度)緩和されるという点がありがたいです。ただし、薄くしなやかな分、ディスクの磨耗は若干早めかもしれません。
6.35mm角を目指して削ってみました。
使用するのはイクラの「アークボーイ」という家庭用AC100vアーク溶接機です。
スペックはこのようになっています。
今回使用した溶接棒は「低電圧用 1.6mm」です。
延長コードは使用しないに越したことはないのですが、やむを得ず太さ2スケアの太目のコードで5m延長しました。
最初はクランプなどでガッチリ固定し、点付け溶接して角度・位置などをチェックし、必要ならばペンチで曲げるなり、ハンマーで叩くなりして修正します。

ある程度位置が定まってしまえば、左の画像のように万力にはさんで作業ができます。
私のような初心者にとって100V溶接機は初めのアークを飛ばすのが難しく感じます。アークが飛ばす、溶棒がくっついてしまうのを繰り返してしまいましたが、次第にアークが飛ぶようになってきました。

コツは西野弘章著『日曜大工で楽しむ 金属DIY入門』山海堂 2003 1,700円に分かりやすく解説されています。
次第に形にはなってきました。フレキシブル砥石では左の画像のような荒削りの状態になります。

このあと、多羽ディスク(紙やすりの小片を円周上に敷き詰めたディスク)で曲面の滑らかさを出していきます。
ユニバーサルソケット付き1/4drT型レンチが完成しました。

溶接部位の拡大画像です。
別の角度からの画像です。
今回使用した切断砥石・研削砥石です。他に多羽ディスクを仕上げに使用しています。

何も知らない頃は切断砥石と研削砥石の違いも分かっておらず、切断ディスクの側面を使ってガリガリ削ってしまったり、逆に研削砥石で鉄材を切断しようとしていました。

日立工機株式会社などの総合カタログには、各種ディスクの種類と用途、使用するアクセサリーなどが解説されていますので、店頭で見つけたら一部頂いておくと参考になるでしょう。

日立工機株式会社サイトこちらのページでも見ることができます。

多羽ディスク(ペーパーディスク)です。これは紙やすりの小片を円周状に敷き詰めたもので、研削砥石と比較すると若干曲線的で滑らかな仕上がりになります。

多種多様なディスクが販売されていますが、私個人としてはフレキシブル砥石で荒削りし、多羽ディスクで仕上げるという方法を採っています。
ディスクグラインダは日立工機株式会社製の"G10SP3"です。握る部分が細く作られている「細径タイプ」とされています。

純正部品のサイドハンドルは200円前後と安価な設定ですので、ひとつ用意しておいても重宝するでしょう。画像のハンドルはやや大きいタイプですが、やや小さいタイプもあります。

片方のディスクグラインダにはフレキシブル砥石を装着し、もう片方には多羽ディスクを装着しています。
例えば溶接のビードを削って整えるとき、一箇所でも荒削りを忘れてしまうと多羽ディスク←→研削ディスクの交換を何度も繰り返さなければならなくなってしまいます。対象をジグに固定している場合、固定した状態まま荒削り+仕上げが連続して出来るのでとても効率的になります。
使用する手順としては、切断砥石で切断し、研削砥石で荒削り、そして多羽ディスクで仕上げという流れになります。

切断←→研削、荒削り←→仕上げの工程は何度も行きつ戻りつする場合があるので、ディスクグラインダ本体を2台用意すると効率的です。

溶接が出来るとこんな自作工具も製作できるようになります。必要に迫られて手元にあったバイスグリップとFクランプを接合したものです。市販品とはバイスグリップの取り付け角度が90度異なっています。
2005/9/20補足 家庭用AC100V溶接機の性能を引き出すヒント
1.6mm溶棒ではスタートのアークさえ発生すれば「ビビー」と連続します。ところが、数回から十数回タッピングしてようやくアークが発生したとしても、すぐに溶棒がくっついてしまい、ホルダをひねって外す、もしくは溶接機のブレーカーが落ちるということ繰り返していました。

あまりにも作業効率が悪いので、「金属DIY入門』で紹介されていた1.4mm溶棒を試してみたところ、良い結果が出ました。1.6mm溶棒に比べると、確実に一発目のアークが発生しやすく、アークが連続して発生しやすいので溶棒がくっつきにくくなりました。

AC100V溶接機+1.6mm溶棒で上手くいかず諦めてしまったという方は、1.4mm溶棒をお試しになってみては如何でしょうか。
イクラロード低電圧用1.4mm溶棒は500g入り1,300円前後です。

一発目のアークを発生させるとき、「タッピング」と「ブラッシング」という2種類のやり方があるそうです。

AC100V溶接機ではパワーが乏しいので溶接対象に溶棒がピタッとくっついてしまいがちです。ひとそれぞれやり方があると思いますが、AC100V溶接機の場合ブラッシングのほうがアークを発生させやすく、くっついてしまった時の対処もスムーズにいくような気がします。

タッピングの場合は溶棒を下に動かすので、アークが発生した瞬間そのまま母材にくっついてしまいやすいようです。くっついてしまった時のリカバリーも、下に向かっていた力を突然反転させるのですから、どうしても一瞬遅れてしまいがちになります。

ところが、ブラッシングは溶棒を引っ張っている(引きずっている)形になるので、万が一くっついても動かしている方向にそのまま引っ張れば自然に外れます。
1.4mm溶棒を導入したことで溶接作業がとても楽になりました。

<関連リンク AC100V溶接機で作る自作工具>
その1 1/4dr ユニバーサルジョイントTレンチ
その2 ラチェットTレンチ製作 
その3 六角ビットTレンチ
その4 3方取り付けTレンチ製作
その5 工具立て製作

TAKAよろず研究所
http://www.geocities.jp/taka_laboratory/
2005/9/18製作 2009/9/27修正
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