『生命の謎』を読む・・29


物質と記憶の関係4
記憶は脳にあるか

2006/02/09

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 『生命の謎』によると、「心性」又は「霊智体」こそ本当の人間であって、「脳髄はそれが現象界に働きかけ、或いは現象界からあるものをつたえられるための機関にすぎない」のであり、脳髄はどこまでも「門」であり、「機関」であり、「電話交換局」みたいな働きをするという。

 具体的には、
人間の脳中枢は「物質の世界」と「非物質の世界」との交通の要衝であり、通路であって、この交換局を刺激することによって非物質のものが物質世界に伝えられ、物質の世界のものが非物質の世界に伝えられるのである。

 このことは「記憶」という不思議なる意識の働きを研究することによって尚一層明らかになってくる。

《記憶は脳髄に存続しているのであると考える人もあるのであるが、脳髄は一種のラジオ・セット的な機関であって、背後にある「霊智者」の放送を時間空間に拡げてみせてくれる所のある働きをする機関にすぎないのである。ラジオ・セットがこわれれば、アナウンサーの声は消える。


然しアナウンサーは消えたのではないのではないのである。その如く脳髄が欠損すれば、吾々の記憶は一時喪失する。然し記憶を保っている所の背後の「霊智者」は喪失したのではないのである。

だから脳髄の一部欠損で記憶が喪失していたものもそれが回復して脳髄の組織が再生するならば記憶は再び再生されて来るのである。脳髄そのものの物質に記憶があるならば、新しき脳髄組織が新しく再生しても新細胞には何ら記憶がないから記憶は再生しないはずである。》
(後篇第6章「物質と記憶との関係」6節「記憶は何処に印せられるか」)


 この記憶と脳(物質)の関係は、哲学史上の大問題であるが、ベルクソン失語症の綿密な研究(『物質と記憶』)を通して明らかにしたように、脳は私たちの記憶と現実世界を結ぶ大切な門ではあるが、決してその記録者でも創造者でもない。

 むしろ脳の障害をもち、記憶を精神を抑制しているところの門が開くことによって、驚くべき色彩豊富な絵を描くようになった画家もいるし、あくまでも私たちの人生の主人公は「霊智体」たる神の子なのである。

 そして脳は神の子の無限の力を現すための「機関」、つまり道具にすぎないのである。この道具はあくまでも「交換局」にすぎないのであり、電話口の話し手も相手も創造する力はないことを私たちは知る必要がある。

 

 

 

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