| 文章声明 | 2001-07-14 |
| 許されざる台湾人の国籍改変 |
| 国の道義を踏み躙る入国管理局に抗議せよ |
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台湾研究フォーラム事務局長 永山英樹 |
| 1.台湾人を中国人と見做す外人登録証
日本人にはあまり知られていないが、在日台湾人に携帯が義務付けられる外国人登録証に記される国籍は何と「中国」である。無論「中国」とは国交のない中華民国ではなく、中華人民共和国を指している。 この登録証は日本国民の住民票に相当する。よって台湾人は日本で居住する以上、その法的身分は「中国国民」に変えられてしまう事になる。 これはあくまでも認められない話である。なぜなら言うまでもなく、 (1)台湾は一度たりとも中華人民共和国(以下、中国)の統治を受けたことはなく、台湾人の国籍も中国ではない。 (2)日本政府にしても、「台湾が中国の領土の不可分の領土」とする中国の立場を「十分に理解し、尊重」(日中共同声明)するとの見解であり、台湾が中国の一部であるとは承認していない。しかも台湾の帰属先についても、「棄てたもの(※サンフランシスコ条約によって主権を放棄した台湾)はだれだれのものとはいえない」(大平外相、「共同声明」署名直後の演説)との公的立場を堅持している。 |
| 2.「国交がないから、無国籍より中国籍で」
それではなぜ、登録証はこの偽りの国籍を記載するのか。これについて筆者は先日、市町村に登録証交付事務を委嘱する、法務省入国管理局(登録課)に問い合わせを行った。 これに対して同局は、上記(1)、(2)の事実は承知しているとしながら、台湾とは国交がないことから、「台湾人を無国籍とする方法もあるが、それよりは国籍を中国とした方がよう」との判断で、台湾国籍の者は中国国籍と「推定」していると説明した。 そしてこの「推定」措置については、特に法的根拠もなく、局内における「事務上の取り決め」である事も明らかにした。 更に同局が、この「取り決め」を「合理的」と判断する理由として次の二つを挙げた。 (1)「台湾は中国の領土」とする中国の立場を「十分に理解し、尊重」するとの政府見解に沿ったものである。 (2)戦後長年にわたり、台湾人の国籍を「中国」としてきており(日中共同声明以前、「中国」は中華民国を指していた)、これを改めては混乱を招く。 おおよそ以上が、筆者の数回にわたる問い合わせへの、「入国管理局として責任ある立場」からの説明概要である。 |
| 3.人権をも顧みない入国管理局の勝手な都合
それではここで、入国管理局の国籍改変措置が、実際「合理的」であるかを考えたい。 理由(1)によると、これが一応「日中共同声明」の政府見解に依拠している事が判る。 しかし(2)でも判るように、同声明の「理解し、尊重」するとの表現は、中国が強く求めるところの「台湾が中国の領土」である事への承認を回避する目的から、敢えて用いられたと言うのが実際だ。それにもかかわらず、なおも台湾人を中国国籍と「推定」するのは明らかに「不合理」であり、むしろ「不当」な詭弁、牽強附解と言うべきだ。もし真に「合理性」を追求するなら、事実に即した他の措置(表記)を採るのが当然である。 次に理由(2)などを通して、入国管理局の姿勢を検討しよう。 繰り返すが同局の措置は、法的根拠を持たない「事務上の取り決め」である。実はこの「取決め」は「政府の見解が厳密にはどうあれ、外国人登録法(登録証の交付事務)の世界は別にある」(登録課)との考えに基づいている。よって(2)にある「混乱」を避けたいとの理由も、あくまで事務的な問題と捉えられるが、筆者はこれを同局の「勝手な都合」と断じたい。なぜならこの国籍問題は、その程度の「混乱」問題より、遥かに重いと考えるからだ。 更に言えば同局は地方で、上述の如く筆者が主張する「(中国の領土ではないとの)事実に即した他の措置とるべき」と言う、同局とは真っ向から対立する見方に対し、「それは一つの考え方。それを間違いと否定する事はできない」とし、また双方の見方の比較においても、「こちらの方より合理的であると言う事はできない」とする、甚だ曖昧な「立場」を明かしているのだ。 これでは政府機関として、無責任との誹りは免れ得ないだろう。つまり有り体に言うなら、入国管理局はもともと自分のやり方に、実は確たる自信を持ってはいないと言う事だ。台湾人の国籍が如何に安易、軽率な姿勢で取り扱われてきたかが窺い知れよう。 国籍の変更とは人権に深く関わる、おいそれとは扱えない重大問題のはずだが、同局はその点をはっきり認識していない感じがある。 少なくとも筆者は、今回やり取りを行った同局職員から、そのような印象を強く受けている。彼らはこれほどの件を、ほとんど問題視していなかった。 |
| 4.台湾人の屈辱と募る日本への不信感
愕然とすべきは、一般国民のほとんど預かり知らぬところで、政府(入国管理局)が長年、これほど理不尽にして悪質な処遇を、平然と台湾人に施してきたという事実である。 この措置で、中国国民と極め付けられる在日台湾人だが、その多くが日常において例えようのない屈辱を味わい、日本人への不信感を募らせている事は言うまでもない。これは日本人にも、彼らの身になれば十分理解できる事だ。正に人権や人間の尊厳を蹂躙するに等しい、非人道的な行いに他ならない。 この台湾人に向けた政府の振る舞いを考えるに、次の要因が挙げられる。即ち中国に対する日本人の、事大主義的隷属心理である。それがあるからこそ大国(中国)への追従に安住し、その意に適うなら良心さえ捨て去り、平然と小国(台湾)を侮辱して恥じる事がない。または大国追従の反動で、小国苛めに駆り立てられるとも言ってよい。 勿論、これは国籍の勝手な書き替えのみに止まらない。先日の李登輝氏の来日をめぐる問題でも、政府部内でのそうした心理は如実に現れた(事後の田中外相の動きも然り)。このような事例は、他にも枚挙に暇がない。 最早言うまでもなく、これは正に日本の道義と威信に関わる問題である。良識ある日本人なら、こうした政府に対し、非を鳴らさずにはいられないはずだ。 |
| 5.国籍正名運動で政府に「反台」姿勢を糾せ
先頃、台湾人の国籍改変問題で、在日台湾同郷会(林建良会長)が改善運動(国籍正名運動)を開始した。筆者は日本人として、この問題で台湾人に遅れをとった事を恥じる。なぜなら元来これは、日本人自身が解決しなければならない問題だからだ。 そこで筆者ら日本人有志は同会に呼応し、同憂諸氏に広く呼びかけを行い、登録証記載の「中国」という国名を改め、国交がないならないで地域名としての「台湾」とすべく、入国管理局に訴えに行くつもりである。 なお日本人にとってこの運動は、台湾人の人権擁護だけに止まらず、今や「台湾は中国領に非ず」とする立場すら糊塗し、中国による台湾併呑に手を貸しかねない政府の「親中、反台」姿勢糾弾に向けた、一つの突破口作りになり得るものと考えている。 |
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