あけみとわたし



 私が「あけみ」と呼ばれるようになったのは

そう17年くらい前の事になるだろうか。

大学の教養部キャンパスの掲示板の隅に書かれていた文字がことの始まりだった。

電話ください。あけみ。。

名前の横には電話番号がしっかりと書かれていた。

私と友人のSは、どうしようか迷った。

これは電話ボックスに張られているいかがわしい、たぐいのものではない。

ちゃんとした掲示板の中(ガラス張り)に

寂しそうに書き込まれているのだ。

意を決して我々はダイヤルを回した(古い表現だねえ)

「もしもし、あけみさんはいらっしゃいますか」

出たのは、50才くらいの女性だろうか。

「いいえうちには、そのような名前の女性はいませんが。」

「でも、若い方がいらっしゃると思うんですが。」

すると先方は困ったような声で答えてきた。

「えーえ。いるにはいるんですが、3才なんですけど。」

もちろんその子の名前はあけみではなかったが。

その時の衝撃が、私に あけみ としての人生を歩ませたのだった。

2000.08.12

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