飢饉の中で生きると言うこと

 礼服を着なければならない事態が発生した。

鹿児島に帰ってきてからというもの毎晩アルコール三昧で、

すでに体重は新生児分増えていたのである。

しかも、その大半は腹部についている。

私の服が私を受け入れてくれるかが心配で、

おそるおそる右足をズボンにいれてみる。

「セーフ。足は入る。心配性だねえ、俺って。」

次に左足。「ようしようし。」

なあんだと、一気に腰まで引き上げると、「うううう。」

チャックが閉まるのなんのといった問題以前に尻が入らん。

とにかく礼服で正装なのであるから、

腹と尻を思いっきりすぼめてとりあえず着。

空気を半分以下しか吸い込めない不自由さを味わいながらも

拷問仕様の礼服を装着した。

しかし満足状態へ我が心をいざなうためにも、

「少し太ったかな。」とあくまでも・少し・を強調した自己暗示をかけていたのだが、

刹那巨大な塊に驚愕することになった。

なんとズボンを履くために押し上げられた肉と以前からそこに存在していた肉とで

腹が巨大にふくれあがっていたのである。

突出という表現だけでは納得できずに

腫瘍性の急性膨満といった言葉が当てはまらないかと言葉を模索しながら、

そのグロテスクさには涙を流した。

とりあえず、右手でポンポンと波動をあたえてみたが、

何の解決にもなっていないことは合点承知だ。

「ようし、断食だ。」

「アフガニスタンには今、栄養失調で苦しんでいるかわいそうな子供達がたくさんいるのだ。」

「飽食に疑問をもたない今の私の生活は間違っている。」

そんなこんなで強い決意のもと必死で耐えた6時間。

よおし。本日の断食は終了。明日の昼食後にもう1クール。

2002.06.08

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