運動エネルギーの測定

                              報告 茨城県立水戸第一高等学校
                                        木戸 明良
                                     tel 029-224-2254

  下の写真のように,市販の電子式タイマーと二つのセンサーを使って,運動エネルギーについて
 確認する実験を行った。台車の左側に押しバネばかりを固定し,これで台車を発射する。中央にタ
 イマーをスタートさせるセンサーと,タイマーをストップさせるセンサーを固定する。
  2つのセンサーの間の距離は,バネばかりを200g重で押し込んで台車を発射したとき,約0.5秒
 の時間をタイマーが示すように調整すると,あとの証明に便利である。
  右側には,台車が押し込んで仕事をするように小さな箱を置き,台車がもつ運動エネルギーを箱
 の動いた距離で表す。
  この実験では理論値と比べて正確な値はでないが,ほぼ近い値になり,運動エネルギーと仕事の
 関係が明確になると思われる。
 
  

  実験は次のように行う。
  (1)台車の質量は変わらず,台車の速さが2倍になれば,運動エネルギーは4倍
     バネばかりを100g重(実際は台車とテーブルの間の摩擦の影響を受けるので約120g重
    位)まで押し込んで台車を発射し,2つのセンサーを通過する時間が約1秒であることを
    確認しながら,台車が小さな箱を動かした距離を調べる。
     次に,バネばかりを200g重まで押し込んで台車を発射する。ただし,バネばかりについ
    ては生徒に説明せず,結果としてセンサーの間を通過する時間が約0.5秒になるので,速さ
    が2倍になったことを示す。このとき台車が箱を動かす距離は,前の約4倍になる。(実
    際には4倍より大きくなる)速さが2倍になると,運動エネルギーは4倍になる。
  (2)台車の速さは変わらず,台車の質量が2倍になれば,運動エネルギーは2倍
     バネばかりを100g重まで押し込んだときと比べる。台車の質量を2倍にしても,速さを
    変えないために,バネばかりは140g重(実際は少し大きめにする)まで押し込む。ただし,
    バネばかりを押し込む力については触れずに,タイマーの時間が変わらないことを示し,速
    さが一定であることを確認すればよい。箱を動かす距離は,ほぼ2倍になる。質量が2倍に
    なると運動エネルギーが2倍になる。
  (3)バネを押し縮める長さが一定であれば,台車の質量が変わっても,運動エネルギーは同じ
     この実験は生徒には意外な結果となったらしく,好評であった。バネに蓄えた弾性力によ
    る位置エネルギーが台車の運動エネルギーになるわけで,台車の質量によらず,箱は同じ距
    離動く。
     バネばかりを200g重まで押し込んだときで調べる。台車の質量を2倍ににするとタイマ
    ーの時間は約 0.7秒(約ルート2倍)になる。
  (4)最初に台車にに加える力が同じでも,1本のバネが加えるのを,2本のバネが加えるよう
    にすると運動エネルギーは2分の1 
     発展としてやってみるとおもしろい。最初同じ力なので運動エネルギーは同じ,すなわち
    箱は同じ距離動くと思う生徒が大部分である。
     1本のバネで200g重まで押し込んだとき,タイマーの時間は約 0.5秒,2本のバネで100
    g重合計200g重まで押し込んだときタイマーの時間は約 0.7秒(約ルート2倍)となり,
    運動エネルギーは2分の1になる。
     力と力積の違い,力積と運動量の関係,運動エネルギーと弾性力による位置エネルギーの
    関係を説明するのに役立つと思われる。

 




押しバネばかりを使って台車を発射する様子。




  


 左の写真がタイマーと2つのセン
サーである。箱が動いた距離を単3
の乾電池を置いて示した。なお,こ
の写真は実験の概要を説明するため
に装置を並べただけであり,配線は
省略してある。