善光寺本堂での追悼法要にあたって

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【2008年4月26日 善光寺での追悼法要で】

解説

この感動的なお言葉は、創建から約千四百年を超える伝統のある日本の仏教寺、善光寺にて、聖火リレー当日に行われた追悼法要の際に、参加したチベット人参拝者に語りかけられたメッセージです。
善光寺は、長野のシンボルとして人々に親しまれ今回のオリンピック聖火リレーの出発地点として使用される予定でしたが、僧侶や国内外の市民からの中国のチベット弾圧に対する抗議を受けて、寺の使用を辞退し、当日は追悼法要を行ってくださいました。

-善光寺の僧侶から、チベットの人への言葉-

ご苦労をね、皆さんされている中で、よくその清らかな心を保って、
今日までおこしになられたと思います。とても難しいことだと思います。
いろんな目にあいますとね、悔しい気持ちとか憎む気持ちとかでね、
心が変わってしまって、濁ってしまって、顔が変わってしまって、
願いも変わってしまいますね。でも皆様方そうじゃないですね。
まだまだ清らかな心で、優しい心をお持ちになってて、それで努力
されていらっしゃいますから。さらに尊いことでさらにご苦労だと
思います。皆様方のお姿を通して、私たち日本人も今回いろんな事
を学んだと思うんです。
これからのご縁だと思います。よろしくお願いします。

-A message for the Tibetan people from the abbot of Zenkouji temple in Nagano-
This simple yet moving message was given to the Tibetans who attended the memorial ceremony held in the early hours of the morning of the Japan leg of the Olympic torch relay. The message was given by the abbot of the 1400 year old Buddhist temple, Zenkouji. The temple itself is a symbol of Nagano city and the plan was to use it for the starting point of the Japan leg. However, the temple declined due to public outcry and monks who objected to China's oppression in Tibet.

The Message:

"I believe you have been living with a great hardship. I am overwhelmed
by all gathered here today who have guarded the purity of your hearts.
This is a very difficult thing to do. When people experience hardships,
feelings like hate and frustration change them and their hearts become
hardened. It can be seen in their faces and even in what they hope for.
I can see, though, that this has not happened to you. You have guarded
the purity of your hearts and through kindness continue to press on.
Further hardships will only serve to make you more respected. I think
that we, the Japanese, have learned many things from your presence. I
look forward to our friendship together. Thank you very much." 

【2008年4月25日 SFT日本が、長野県庁で記者会見し、在日チベット人である代表が声明を発表】 
● 善光寺での追悼法要にむけて

 このたびは、命を落としたチベット人と中国の方々のために、善光寺さまで追悼法要を営んでいただけることになりました。チベットと中国の犠牲者の追悼が一緒に営まれることを素晴らしく思い、関係のみなさまに感謝いたします。かねがねダライラマ法王もおっしゃっている通り、私たちは民族や人種が違ったとしても、かけがえのない一つの命を持つ、ということではまったく同じです。どの命もみな、幸せを望み、不幸になりたいとは決して思っていません。人種や性別、民族や文化、国籍が違おうとも、1人の人間として、苦しみを避け、幸せを求める姿に違いはないのです。  

 今回の衝突は、中国政府の政策で受けてきた長年の苦しみが積み重なり、耐えきれずに噴きだしたものです。私たちチベット人は、個々の中国人が憎くて声を上げたのではありません。ダライラマ法王は、常々次のように強調されています。私たちが自由を求める声は、中国政府という国家に向けられるべきであって、日常を営むひとりひとりの中国人に対して向けられたものではないのです。  

 現在もチベットでの衝突は続き、犠牲者の数は増え続けています。この1ヶ月の短い間に、150人以上の尊い命が失われました。抵抗を銃器や武力で抑えつけることで、新たな怒りの種となり、さらなる抵抗を生み、より激しい武力での抑圧が起きる、という悪循環、憎しみや怒りの連鎖は、何も生み出しません。仏教では、殺すこと、命を奪うことを最大の戒めとして禁じています。巻き込まれて亡くなった中国の市民も、隣人に暴力をふるい、銃口を向け、殺害することを命じられ、衝突の中で亡くなった警官や軍人も、中国政府の政策の犠牲者だと思います。平和と、話し合いと、相互理解による解決を願ってやみません。  

 私たちが、基本的人権である言論の自由を求める権利を、誰も奪うことはできません。自分の思うこと、感じること、そして伝えたいことを自由に発することが許されない世界は間違っています。けれど、チベットでは、ダライラマ法王を慕う気持ちを表すことが一切許されていません。そのなかで自由を求める声を上げ、命を失ったチベット人たちに敬意を表します。同時に、命を落とした中国の方々にも追悼の意を表します。

 1日も早く、チベットに平和が訪れ、全ての人たちがひとしく安堵の息をつける日がくることを心から祈っています。ありがとうございました。  

2008年4月21日  SFT(スチューデント・フォー・フリー・チベット)日本代表 ツェリン・ドルジェ

● 北京五輪聖火リレーを長野に迎えるにあたって

本日4月25日は、パンチェン・ラマ11世、ゲンドゥン・チューキ・ニマ少年の満19歳の誕生日です。ニマ少年は1995年5月17日、ダライ・ラマ法王から公式にパンチェン・ラマ11世と認められた3日後、両親とともに姿を消し、13年が経つ今もどこにいるかわかりません。

中国政府は2001年、オリンピックを誘致した時に、「完全な報道の自由を含む国内の人権問題の改善と促進」を公約しました。以来、私たちは、その公約が守られるかどうか、注目してきました。

しかし、現在まで、ニマ少年がどこにいるかわかっていません。そればかりか、たくさんの遊牧チベット人をむりやり移住させて文化を奪う、お寺でダライ・ラマ法王を否定させる思想教育をする、山を越えて亡命しようと歩いていた子供を撃って殺す――など、生きる権利や思想の自由などが踏みにじられている状況が続いています。

そして今年3月、僧侶らの非暴力デモで始まった抗議活動は、徹底的に武力制圧され、死者がでました。それでも、言論の自由を求める訴えはやむことなく、3月27日にはラサで、4月9日にはアムドのラブランで、取材中の外国人記者団に僧侶が近づき、直接「チベットには自由がない」と訴えています。公約に反し、チベットの人権状況は悪くなるばかりです。

私たちは、北京オリンピック開催に反対しているのではありません。聖火リレーを妨害もしません。ただ、中国政府に、オリンピック憲章の「世界平和」や「人間の尊厳」の理念に立ち返り、チベットで続けられている人権侵害を直ちにやめてほしいと声を上げたいのです。

同時に、このような状況のなかで、中国政府が、聖火のルートについて、中国チベット自治区の経由とチョモランマ(エベレスト)登頂に固執することは、チベット人として心配でたまりません。自由を求めるチベット人の訴えを武力で抑えつけた状態でチベットに聖火を持ち込むことは、チベット人を挑発し、さらなる反発を招き、いっそう過酷な弾圧につながるのではないでしょうか。

自分の思うこと、感じること、そして伝えたいことを自由に発言することが許されない世界は間違っています。SFT日本は中国政府に対し、次のことを求めます。

  1. 独立した調査団を速やかに受け入れ、何が起こったか事実関係を調べてほしい。

   2. 報道陣に対し、直ちにチベット全域での自由で公正な取材を保証してほしい。

   3. 直ちにチベット人への弾圧を中止してほしい。

   4. 思想的理由による逮捕者や拘束者を速やかに釈放してほしい。

   5. 負傷しているチベット人がすぐに適切な手当を受けられるようにしてほしい。

   6. 封鎖状態にあるチベット仏教寺院の軟禁を解き、チベット人僧侶の行動の自由を保証し、生活必需品の入手させてほしい。

ありがとうございました。

2008年4月25日 SFT(スチューデント・フォー・フリー・チベット)日本代表 ツェリン・ドルジェ

【2008年4月21日「平和を願う僧侶の会」が、長野県庁で会見】 平和を願う僧侶の会発表

4月26日善光寺での追悼法要について

  善光寺での追悼法要の趣旨に賛同いたしまして、法要の実現にむけて協力させていただいている「平和を願う僧侶の会」から一言申し上げます。

  世界中には、様々な人種、民族、国家、宗教が存在します。それらがお互いの差異を超えて慈しみ合い理解し合う平和な世界、多様なものが調和する世界こそが、私たち仏教徒の願う理想の世界です。そしてそれはオリンピック憲章の掲げた平等の理念と一致するものであると信じます。

  しかし聖火リレーに先立って起こりましたチベットでの悲しい出来事は、私たちに、現実の厳しさを改めて思い知らせるものでした。ご承知のように、この動乱では、多くのチベット族の方々、そして漢族の方々が、尊い命を落とされたと伝えられております。

  今、心を澄ませて、犠牲になったお一人お一人に思いを馳せれば、その誰もが、暖かな体温と、豊かな心を持った、幸せを願う一人の人間であったことに気がつきます。そして、立場の違いこそあれ、抗うことができない運命のめぐり合わせに人生を翻弄された犠牲者であるという事実があきらかになってまいります。

  長野オリンピック開会式の平和の鐘から連なる様々なご縁を受けて、北京オリンピック聖火リレー開催日の朝に、善光寺本堂において、この事件で犠牲になられましたすべてのチベット族、漢族の皆さんの菩提を、可能な限りお名前をお読み上げして、お弔いしていただきます。私たちは、これにより、国や民族、宗教などの差異を超えた平和な世界の実現を訴えていきたいと願うものであります。       

  もとより、私たちは、北京オリンピックの平和的実現、これを強く支持いたします。オリンピック憲章に示される平等の理想が世界に広がることは、私たちの切に望むところです。

  そして、世界平和を願う皆様方が、北京オリンピックの成功を通して、お互いを慈しみ合う世界の実現に寄与されることを願っています。 

  願わくは、日本の、中国の、世界の心ある皆さんが、共に善光寺での法要にこころを寄せて、共に犠牲者の冥福を祈り、そして共に世界平和への思いを新たにしていただければ幸いでございます。           

合 掌 

(本記者会見に着いての報道記事はこちら: 毎日新聞朝日新聞時事通信東京新聞

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聖火リレー当日に行われた善光寺での追悼法要出席後に
善光寺山門前にて
「善光寺に感謝のお参りをする僧侶の集い」のお坊様方
=善光寺にて2008年4月26日午前

【2008年4月21日 「善光寺に感謝のお参りをする僧侶の集い」からの呼び掛け文】 

善光寺に感謝のお参りをする僧侶の集い

長野の善光寺が、大英断を下し北京オリンピック聖火リレーの出発地を辞退しました。地元には賛否両論があると報じられています。和やかな平和の祭典を心待ちにしていた方々にとっては、残念な結果であろうと思います。

しかし今年3月7日以降、チベットで起こった人権抑圧に抗議する僧侶や民衆の平和的なデモが、武力弾圧され多くの犠牲者を出しています。現在も外国メディアはチベットの領域から締め出されており、まったくチベット地域の状況は分かりません。チベットの領域で、人権侵害に抗議の声を上げることは命がけで、ラサのチョカン寺でもまたアムドのラブラン寺でも、外国のメディアの到着を待って、涙ながらに訴える僧侶らの姿が報道されました。

チベット人の人権侵害がいかに酷いものかを、シンボリックに三つの視点から説明します。
第一、チベット自治区やその周辺に位置する他のチベット自治州や自治県においても、チベット語が公用語でないこと。チベット語が公用語でなくて、チベット人の自治が成立するのでしょうか。自治は、空手形で実質的な自治が存在していないことの証明です。
第二、チベット人女性と漢人男性との結婚は奨励されているが、チベット人男性と漢人女性の結婚は禁止されている。もし日本国政府が、日本人男性と中国人女性の結婚は認めるが、中国人男性が日本人女性を娶ることを認めないとしたら、中国政府も中国国民も黙ってはいないでしょう。
第三、チベットの首都であるラサ市内に現在13,000軒の商店やホテルが存在しているが、チベット人が経営しているのは、わずか300軒に過ぎない。これは何よりも、漢人とチベット人の経済格差、経済差別を物語っています。
以上のことから、チベット人が置かれている状況がいかに厳しいものであるのかがお分かりになるだろうと思います。

仏教国チベットが世界に貢献できるのは、その優れた仏教実践の姿においてであることは、ダライ・ラマ法王の世界行脚の姿を拝見すれば一目瞭然です。この世界人類の財産とも言うべき仏教国チベットが、今その優れた仏教実践と共に姿を消そうとしています。世界中の仏教徒が抗議の声を上げ、チベットを守ろうではありませんか。

また日本仏教界から、チベット仏教弾圧に声を上げた長野善光寺に感謝のお参りをし、同時にチベットへの声援を送りたいと思います。

集合日時:平成20年4月26日、午前6時半。

集合場所:長野市善光寺本堂前。

7時より今回の抗議運動で亡くなった犠牲者の追善法要が、善光寺本堂で行われます。それに参加を致します。

呼び掛け人:雪蔵山十善院住職 チベット問題を考える会代表  小林秀英
天台宗別格本山書写山円教寺執事長        大樹玄承
曹洞宗円通院住職 名古屋デモ実行委員      高辻哲洋
報恩寺住職    四方僧伽代表         井本勝幸
賛同者:(株)独立総合研究所代表取締役兼主席研究員      青山繁晴
チベット文化研究所所長 横浜桐蔭大学教授    ペマ・ギャルポ

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