みつまめをギリシャの神は知らざりき 橋本夢道
2011年8月3日付の毎日新聞26面の俳句コラム「季語刻々」で俳人の坪内稔典氏が
この句「みつまめ……」を取り上げて、「そりゃそうだろう、と思うが、思いながらも、ギリ
シヤの神々と取り合わせた蜜豆がとても新鮮。実にうまそうに見える。殿岡駿星の「橋
本夢道物語」によると、この句は夢道が1938年に考案した広告文だという。俳人でも
あった夢道の勤めていた東京・銀座のしるこ屋はこの句によって人気を博したらしい。」
と書いてくれた。店は「銀座・月ヶ瀬」で、蜜豆は夢道が考案したといわれている。
夢道は妻静子と自由恋愛結婚をしたために、深川の肥料問屋を首になる。番頭の結婚
相手を店が決めるという古いしきたり。月島小町といわれた静子が畳に両手をついて
「一生面倒を見ていただけませんか」と交際を迫った。その時の句。
せつなくて畳におちる女のなみだを叱るまい
昭和16年には反戦俳句を作った獄中に、12月8日、日米開戦の日、独房で作った
句。 大戦起るこの日のために獄をたまわる
生涯5500句のうち獄中の85句を含む605句を掲載し、夢道俳句の神髄に迫る物
語。ほかに夢道の色紙、絵、写真も多数掲載している。(一般書店では月島・相田書
店、築地・弘尚堂書店に常時置いてあります。)
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