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小笠原旅行記 6・7日目2007.12.31-2008.1.6

境浦海岸

ついに小笠原滞在の最後の朝が訪れた。3泊お世話になった「サンライズ奥村」をチェックアウト。
荷物は東京に向かう「おがさわら丸」の出港前に、宿のオーナーがフェリーターミナルまで持ってきてくれる。
フェリーの出航は昼過ぎ。それまで、宿の自転車を借りて、父島のサイクリングを少しだけ楽しむことにした。
目指すは美しい「境浦海岸」だ。
小笠原の青い海
小笠原に到着して5日目。最終日にして、やっと天気に恵まれた。
昨日までの強い風は嘘のように止まり、海は静まり、美しいそのエメラルドグリーンの色を青空の下に思いっきり広げてくれた。
海の底まではっきりとわかる、吸い込まれそうなくらいの透明感。太平洋のど真ん中。
絶海の孤島の父島の海は常に大海に洗われ続けている。
宝石のように深く輝く青さ。これが「ボニン・ブルー」の海の本当の青さだ。
「ボニン」ととは小笠原諸島の英語名みに由来する。
「小笠原の青」、びっくりするくらいの青さ、それがボニンブルーだ。
境浦
坂を登り、そして坂を下り、トンネルを抜けて・・・
深い緑と、その中に埋もれている戦跡と思われる遺構に目を奪われながら、自転車を走らせていく。
さほど時間はかからず、目の前に真っ青な海岸が現れた。ここが目指していた「境浦」だ。
島を覆い尽くす緑と、一面に広がるエメラルドグリーンの海が眩しい、大自然の織りなす風景。
そして、穏やかな太陽に照らされた光景。もうそれは、絶景と言うしかない。
谷を渡る橋を過ぎると、「境浦海岸」のバス停がある。バス停の脇に自転車を止めさせてもらい、眼下に広がる境浦を見下ろす。
火山活動でできた父島は、海の近くまで山や崖が押し出す荒々しい原始の姿の島。
この境浦は父島でも数少ないビーチのひとつ。深い森と青い海との間、ごくわずかな場所に一本の線のように弧を描く白いビーチがとても眩しい。
境浦の沈没船
沖合に岩の塊のようなものが見える。
しかし、何か変だ。目を凝らしてみると、岩というよりも無機質な機械の部品に見える。
実は海に沈んでいるのは座礁した貨物船だ。
この船は「濱江丸」といい、太平洋戦争中の昭和19年、アメリカ軍の魚雷攻撃を受け、この父島に漂着・座礁したそうだ。
現地には漂着間もない時の写真パネルがあったが、この湾の入口半分を埋めるほど大きな船だった。船の形をそのまま残し、船体の上には巨大なマストも立っていた。
しかし、65年もの月日はその巨体を朽ちさせ、荒波を立てる海の中にどんどんと飲み込んでいった。
やがてこの船のわずかに残るかけらも、間もなく青い海の中に完全に消え去ってしまうだろう。
濱江丸
ビーチから眺める座礁船。もう船というよりも、意図的に作られたオブジェのように見える。
悲しい戦争の記憶が、平和な平成の世の美しい自然の中にひっそりと眠る。
これも小笠原の不思議な風景だ。
境浦海岸と濱江丸
海の上に残っているのは、形からしてエンジンなどの機関部のようだ。
やはり高熱に耐え激しく動き続ける部品なので、他のパーツと比べて耐久性が高いので、今でもその姿を残せているのだろうか。
小笠原のエメラルドグリーンの海
そして他にも目を奪われるのが美しいビーチを洗うさざ波。
それは宝石と呼ぶにふさわしい、美しく透明なエメラルド色の海の輝き。小笠原の海は、どこまでも美しい。

おがさわら丸の見送り

自転車を宿に返したら、旅を終えるため、東京に出る「おがさわら丸」が待つ二見港に向かう
天気はとても良い。小笠原滞在の最後の日が、一番天気が良く、小笠原らしい風景が見れた。

ついに父島から東京へ戻る船である「おがさわら丸」の乗船が開始された。
復路も往路と同じく、早めに旅客ターミナルに行き、整理券を交換しただけあって、窓がある二等客室に入ることができた。
しかし、日程の都合などもあり、復路は往路に比べてとても混んでいる。自分の寝床を確保したら、急いでデッキへと上がる。
これから「島」ならではの旅人の見送りが始まる。
そのセレモニーを見るために、続々と旅人がデッキに集まってくる。
おがさわら丸出航
荷物も積み込み、乗客の乗船も完了した。出港の時間は、もうすぐだ。
港では、太鼓の演奏が始まる。
法被を着た地元の青年が力強く太鼓を打ち鳴らし、旅立つ人を見送ってくれる。
そして旅立つ人に手を振る残る人々。

船は低く唸るようなエンジンの音を響かせる。少し油臭い煙が船のファンネルから吐き出される。
眠りから覚めたかの様に、おがさわら丸はゆっくりと岩壁から離れていく。
地元の観光業に携わる人が世話をした旅人をいっぱいに手をふって見送る。
まだ小笠原に残る旅人が、知り合った旅人を精一杯のパフォーマンスで見送る。
人情味あふれ、とても温かな風景。
おがさわら丸の見送り
そしておがさわら丸を追うように、何隻も船が後に続く。どの船の上にも、人が多く乗っている。
そう、ここ小笠原の「見送り」は陸上だけでは終わらない。
船で伴走しながら、海の上からの見送りが続く。
おがさわら丸の見送り
おがさわら丸の船の左右をいっぱいの船が取り囲みながら青い海に進んでいく。
その数は10隻近い。
船はこの父島でダイビングやドルフィンスイムのツアーを営むツアー会社の船。
そして、その船に乗っているのは、ツアー会社に参加している人たち。
父島でツアーに参加しようとすると、「おがさわら丸出港」の時間帯のツアーは休止になっている事がほとんどだ。
休止の理由はおそらくこれ。島を去る旅人を見送るために、多くのツアー会社が船を出すからだ。
まさに、島をあげて旅人を見送ってくれている。
おがさわら丸の見送り
港湾の外に出たおがさわら丸はゆっくりとスピードを上げていく。
伴走するポートやクルーザーもスピードを上げ、ぴったりとおがさわら丸の脇を固める。
船の上では海に慣れたスタッフや旅人が見事なパフォーマンス。
飛び跳ねる船の上で、しっかり両足だけで踏ん張って、ずっと両手を振り続ける見事なバランス感覚を披露してくれる人もいる。

いきなりおがさわら丸の近くで水しぶきが上がる。
何かと思うと、伴走する一隻の船から乗っていた人が一斉に海に飛び込んだ。
飛び込んだ乗っていた船は停船。海の中からみんな手を振って、離れていくおがさわら丸を見送ってくれている。
伴走を終了した船は、最後にこのような最高のパフォーマンスを披露してくれる。
おがさわら丸見送りの最後
最後までおがさわら丸に伴走してくれたのは昨日のツアーでお世話になった「PAPAYA」だった。
ゆっくりとスピードを落とし、エンジンを停止した。そして、見えなくなるまで手を振ってくれた。自分がお世話になったツアー会社がここまで見送ってくれたのはとてもうれしい。
「PAPAYA」はリピーターがとても多いツアー会社と聞くが、その理由の一つがこれかもしれない。
どんどんPAPAYAの船が小さくなっていく。
小笠原の最北の島
「父島」を盛大な見送りを受けて約1時間。
その余韻が冷めないうちに、ついに小笠原諸島最北の島、すなわち最後の島の横をおがさわら丸はさしかかった。
これで小笠原ともお別れ。今度行けるのはいつになるのだろうか。本当に日本の中にあるのに、簡単に行くことができない遠い場所だ。

さようなら、小笠原

絶海の太平洋
夕暮れ時のデッキに立つ
。随分と海を渡る風が冷たくなってきた。
夜が近づいたせいもあるが、南国からどんどん北上している。
向かう東京は、雪が舞う冬の国だ。
海でシュノーケルを楽しんだ小笠原から、スキーシーズンを迎える本土へ。
長い船旅は、季節をめぐる旅でもある。
太平洋上の夕日
小笠原滞在時、グリーンフラッシュを見ることができなかった。
今日も昨日と同じように船上から水平線に沈む太陽を眺められる。
天気も良く、空気もとても澄んでいる。条件的には申し分ない。しかし、無情にも、水平線に雲が広がり、この日の太陽は、水平線でなく、雲の向こうに沈んでしまった。
これではグリーンフラッシュだけでなく、だるま夕日すら見ることもできない。
これでまた、小笠原に来ないといけない理由がひとつ残った。

夜が明け、小笠原を出港した次の日になる。それでも東京にはまだつかない。遠い。
デッキに出ると、風はずいぶんと冷たくなってきた。季節だけは初夏から冬に戻っていた。
太平洋から望む富士山
風を防げる最後尾に陣取られたゴザに旅人が集っていた。全員知らない者同士。
宴を始めると少しずつ輪に加わって行ったらしい。
こうやってすぐに知らない者同士でも仲良くなる。これが島旅の魅力の一つでもある。
実はこの船の中に、10年近く前、北海道で出会った旅人が乗り合わせており、僕もこの宴に一緒に参加した。旅の出会いとは、本当に楽しいものだと、改めて思う。
宴を楽しんでいると遠くに富士山が見え始める。ついに本州が近づいてきた。
暖かかった風は、すでに肌を刺すような冷たさを纏っている。
竹芝桟橋に到着したおがさわら丸
ついにおがさわら丸は、竹芝桟橋に到着。
25時間を超える長い航海を終え、旅人達は下船を開始した。
船を降りると目に飛び込んでくるのはレインボーブリッジ。
大都会のシンボルが、旅の終わりを物語る。
旅人達が名残惜しそうに船を後にし、それぞれの日常に帰って行く。
大きな荷物を抱え、重い足取りでコンクリートジャングルに消えていくその姿には、小笠原の旅の終わりを実感させられた。

【小笠原旅行記・完】

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管理人 KUMA.
普段は平凡な会社員
アウトドアと旅行が趣味
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