出穂
私が作っているコシヒカリ,ミルキークイーンは7月の後半に穂が出始めます。一つの株の40〜50%の茎が出穂した時を,その株の出穂期,本田全体では,40〜50%の株が出穂した日をその本田の出穂期,約90%が出穂した時を穂ぞろい期といいます。穂ぞろい期は,出穂期の2〜3日あとになります。私の田んぼの本田の出穂期は8月初め頃です。出穂がはじまると,穂が完全に出きらないうちから,上部の枝こうの先端についたえい花から開花しはじめます。稲のえい花は1本のめしべと6本のおしべをそなえています。稲の受粉(自家受粉)の時間は1.0〜2.5時間です。受粉後,花粉はただちに発芽して,柱頭内深く花粉管を伸ばし,30分後には胚のうに達する。そこで受精(重複受精)がおこなわれ,開花後約4時間で完了します。
開花期に17℃以下の低温にあうと、花粉管の伸長はほとんどおこなわれないため,花粉は受精能力を失い,不稔もみが多くなります(開花の適温は30℃)。これは障害型冷害の一種です。
出穂すると,福地ではイノシシの被害防止の為に,田んぼの周りにイノシシ除けのネットや電気牧柵をします。
出穂後の水管理
開花時期は水を絶やさず,田んぼの中には入らないようにします。これ以降は新根の発生はほとんどないので,根を切ってはいけません。また,稲の一生のうち最も水を必要とする時期なので,水管理には十分注意します。開花後から登熟期は出穂前のような深水管理をする必要はなく,出来るだけ浅水で間断かん水を行ないます。
落水期
田んぼの水を落とす時期は,出穂後,早生種の場合は25〜35日,中生種は30〜40日,晩生種は35〜45日が目安といわれていますが,福地の場合,田面が乾きにくい田んぼが多いので早めに落水します。昨年の場合,8月10日に落水しました。かなり早いですが田面が乾き過ぎるようなことはありませんでした。私が住んでいる大口町のように暖かく,田面が非常に乾きやすい田んぼだと落水は少し遅くてもいいと思います。落水は田んぼの環境,田んぼの性質を考えて決めればいいと思います。落水しても水はけの悪い所は,溝を掘って水が流れるようにしてやります。暗渠がある所は排水出来るように開けてやります。
抜き穂
翌年にまく種籾を確保したい場合は「抜き穂」をします。抜き穂は稲が完全に黄金色になる前,まだ青味のある籾が残っている時に行ないます。まずイモチ病など病気にやられていないシイナ(空籾)が少ない健康な株を選び,なるべくいっぱい実のついている大きな穂を選びます。稲の株を片手でつかみ,まっすぐに上にすべらせ,一番背の高い主茎(親茎)を除き,2〜4番目に背の高い穂を抜きます。親は子を養うためにエネルギーを使い果しているから,若くて勢いのいい茎から採種したほうがいいそうです。1反で四キロの種籾が必要な場合は800〜1000本くらい刈り取ります。刈り取った穂は物干し竿などに陰干しし,その後の脱穀は手でしごいて籾をはずすか,低回転で脱穀機にかけるか,足踏み脱穀などで行ないます。脱穀した籾はアミ袋に入れて涼しい場所に保管します。
稲刈り
収穫適期は出穂後の日数で早生種が40〜45日,中生種が45〜50日,晩生種は50〜55日,穂先が黄熟し,穂首に近い部分にやや緑色が残っている状態というのが一般的です。私の作っているコシヒカリ,ミルキークイーンは9月中旬頃に稲刈りをします。刈り取り方法は手刈り,バインダー,コンバインといろいろですが,私の場合は委託してコンバインでやってもらいます。稲刈りの前日に雨に降られたり,当日に天気が悪かったりして土がぬかるんでいる時はコンバインが入ると沈んで動けなくなるので,稲刈りは天候によって少しずれたりする事もあります。稲刈りをしたい日に天気がよければ,コンバインが入る前にイノシシ除けの柵を取り外し,田んぼの入口,角地をコンバインが旋廻できるように鎌で刈り取っておきます。コンバインで刈り取ったとき,籾だけコンバインの中にたまり,ワラは外に出され,田んぼに残ります。刈り取った籾は軽トラックに取りつけてあるコンテナに入れてライスセンターに運び,乾燥機に入れます。
乾燥
手刈りやバインダーで刈った後にはざ掛けをして乾燥させる期間は,天候にもよりますが約1〜2週間ぐらいです。水分が15%になるまで天日干しをします。水分保有率は水分計で計ります。
バインダーで刈った後にハーベスタ−で脱穀した籾や,コンバインで刈った後の籾を乾燥機に入れて乾燥する場合,乾燥させる前の籾の水分,約21〜27%含まれているものを半日〜1日ぐらいかけて14〜15%にします。天日干しにしてゆっくり乾燥させたほうがお米の質がいいのですが,作業の手間を考えて私の場合,乾燥機での乾燥をしています。
お米を保存するには水分は14〜15%がいいそうです。水分が少し多いと次の収穫までにお米がカビてしまいます。
籾すり
籾がらをはぎ取って玄米にする作業を籾すりといい,玄米を完全米と不完全米(くず米)とに選別する作業を含めて,調整といいます。
お米の貯蔵は,籾がらがお米の命を守ってくれるので,本当は籾の状態でいきたいのですが,籾から精米できる精米機がないので,籾すりをして玄米にします。
籾すりは乾燥機での乾燥終了後,全自動籾すり機に入り,籾殻をはぎ取り,出てきた完全米は30kg入る紙袋に入れます。くず米は機械の別の出口から出てきます。
籾すり終了後,愛情込めて育てたお米を引き取り,家に持ち帰り,米保管庫に保存します。
収穫後の田んぼの作業
籾がらと米ぬかは収穫に見合う分だけ田んぼに返すようにしています。たとえば1反の田んぼで480kgの玄米が収穫された場合,精米すると約1割の48kgのぬかが出ます。ぬかはその分量を目安に散布します。米ぬかはお米屋さんで買います。
籾がらはライスセンターで分けてもらいます。籾がら用のポリ袋に入れて田んぼに運び,散布しています。籾がらはくん炭にして撒く方が腐熟するのがはやくていいのですが,週末農なので火の管理が出来ないので生の籾がらで散布しています。
田植え後から稲刈り前までに刈った,畦の隅に集めておいた草も田んぼに入れます。
これで3月から10月初めまでの田んぼでの稲つくりの作業が終了となります。

