【35】





「どうなの?」

モニカが家に来ていた。
「・・・・う・・・ん・・・食事もあまりしてくれなくて、部屋に閉じこもってる・・・」
アントニオが傷心しきった顔をしていた。
モニカがルーシーの部屋に行こうとして、アントニオが止めた。
「今は、そっとしておいて上げて・・・」

 

「ルーシー、入るよ」
アントニオがルーシーの部屋に来た。ドアを開けると

彼女は大きなボストンバックに衣類等を入れていた。
「どこ行くの?」
ルーシーは応えずに、鞄に数枚の下着を入れていく。
「ルーシー・・・?」
アントニオが近づく。
「・・・・暫く留守にするわ・・・」
アントニオに振り向きもせず、詰めていく。
「レイモンドを探すの?」
無言でバックに荷物を詰めていく。
「ルーシー・・・」
「ごめんなさい。でも、じっとしてられないのよ・・・」
入れ終わり、鞄のファスナーを閉めた。ゆっくりとアントニオに振り返った。

「何処を探すの?」
「解らないわ・・・兎に角、探したいの・・・」
「だったら、僕も一緒に行くよ」
ルーシーは首を振る。
「貴方は仕事があるでしょう?」
「ルーシーだって・・・」
「私、当分書かない・・・書けないわ・・・」
新人だったルーシーを心身共に支えてきたのが、レイモンドであった。二人三脚といっていいほどであった。彼が居たからこそ、ここまで来たのだと、彼女は思っていた。自分の半身だとも思っていた。その彼が居なくなったのである。今まで構想していたモノが一気に消滅してしまった。
しかも、
もしかしたら「自分を裏切った」のかもしれないのである。例え裏切られていたとしても、それでもいい、会いたい。会って話がしたかった。
ルーシーは憔悴しきった顔で哀しく笑った。荷物を持って部屋を出て行こうとする。
「・・・・待って・・・」
「電話するから・・・」
ルーシーは振り向かない。ドアノブに手を掛ける。
「行かないで!!」
ルーシーを背後から抱きしめた。
「駄目!行かないで!行かないで!!」
「トニオ、お願い離して・・・」
ぎゅう・・・とルーシーを抱きしめる。
「駄目・・・・行かせない・・・」
「トニオ・・・いい子だから・・・」
「・・・・探したって・・・無駄だよ・・・」
「・・・え・・・?」
ルーシーは顔をアントニオに向けた。
ルーシーは怪訝な顔を向ける。
「トニオ?」
「無駄だよ・・・」
ルーシーは微かに小首を掲げる。
「トニオ・・・?」
行き成りアントニオがルーシーに口付けをした。ルーシーはあまりにもの事に身体が硬直した。バックを落とした。
「・・・・ふう!!」
我に返ったルーシーはアントニオを払いのけようとする。が、出来ない。
渇いた音が響いた。ルーシーがアントニオの頬を叩いたからである。一瞬アントニオの腕が緩む。ルーシーは咄嗟にアントニオを突き飛ばした。
「な・・・・何をするの!!」
アントニオは俯いていた。が、その顔をゆっくりとルーシーに向けた。
「ルーシーに叩かれちゃった・・・」
子供のような笑顔。ルーシーは以前、医師やカウンセラーに散々言われた言葉を思い出した。
――――――――叩いてはいけません
「ご・・・ごめんなさい・・・・でも・・・・」
ルーシーは両手を握って胸元に寄せる。罪悪感で一杯であった。
「いいよ。全然痛くないし・・・」
左の頬が赤くなっている。
にっこりと笑って、ルーシーに近づく。
「・・・・トニオ・・・そこ退いてくれる?」
ルーシーは後退く。ベッドへと追いやられる。
「トニオ・・・・」
「もう、無理。もう、抑えれない。もう、限界」
アントニオは笑って言う。
「何が・・・限界なの・・・?」
微笑んでいるアントニオ。いつもと変わり映えしない優しい笑顔。それなのに、何故か得体の知れない恐怖を感じる。足が身体中が震えてくる。
「愛してるよ、ルーシー・・・誰よりも・・・」
「・・・トニオ・・・・?」
ベッドへと追いやられ、ベッドに足がぶつかり、拍子で座ってしまった。
「愛している。もう、誰にも触らせない」
アントニオが迫ってきた。ルーシーは何が何だか解らない。
「・・・・じょ・・・冗談でしょう・・・?だって、私と貴方は・・・」
「知ってるよ」
アントニオがルーシーに覆い被さってきた。ルーシーは慄然とした。
「・・・い・・・止めなさい!!トニオ!!冗談は止めて!!」
「愛してる、愛してるよ!!」
ルーシーにキスをする。ルーシーは仰天し、硬直した。が、直その行為から逃げようとする。両手で必死にアントニオを払おうとするが、その両手を掴まれた。
「いやーーーーー!!!誰かーーーーーー!!レイモンドーーーーーーー!!!」
「あいつはいないよ」
冷めた声に、ルーシーはアントニオを見た。
「・・・・・・トニオ・・・?」
さっきの言葉――――――――――
「・・・・貴方・・・・何か(・・)知ってるの・・・?」
「ルーシーは知らなくていいんだよ・・・」
天使のように優しく笑う。その笑みに、ルーシーはアントニオに対して初めて恐怖を感じた。
――――――何・・・?何なの・・・?
今まで見えていなかった【モノ】が、見えたような気がした。狼狽する目がアントニオを見ていた。
目の前にいるのは、自分の知っている【アントニオ】ではなかった。得体の知れない、【何か】。
そのルーシーに又キスをする。ルーシーは顔を振って必死に抵抗する。掴まれた腕はびくともしない。足をじたばたさせる。アントニオのもう一つの手が、ルーシーのタイトスカートの裾を弄る。捲し上げ、ストッキングに手を伸ばす。
「いやーーーーーー!!!いやーーーーーー!!!誰かーーーーーーー!!!誰かーーーーーー!!!」
だが、広い広い家。それて二人以外誰もいない。家の外に響いたとしても、隣の家までは決して聞こえない距離である。
「ルーシー、愛してるんだ。抵抗しないで、乱暴にしたくないんだ」
ルーシーの首筋に唇を這わす。ルーシーは涙を流して顔を激しく左右に振る。身体を捻るように動く。あまりにも激しい抵抗に、「ごめん」と呟くと、アントニオはルーシーのストライプのブラウスを破いた。ルーシーが悲鳴を上げる。その破いた服で両手を縛り、ベッドの枠に括り付けた。ルーシーの腕の自由が利かなくなった。
「止めて!!解っているの!?私と貴方とは、伯母と甥なのよ!!」
「知ってるよ。だからずうっと悩んでた、苦しんできた・・・でもね、もう吹っ切れたんだよ・・・」
ルーシーの身体の上に膝立ちしているアントニオが見下ろす。
「・・・・・・え・・・?」
「レイモンドと結婚するって言われた時にね」
ルーシーは目を剥いた。上半身の服を破かれ、ブラジャーが見えている姿で、アントニオを怯えながら凝視した。
「『もう、誰にも渡さない』ってね」
アントニオは嬉しそうに微笑む。その笑顔に、一気にルーシーの背筋に強烈な悪寒が劇走した。
「いけないわ・・・こんな事、神様が許さないわ・・・」
ルーシーが首を振りながら言う。
「どうして?アダムの骨からイブは生まれたんだよ?言わば、クローン同士の結婚だね?その子供達も兄妹同士で結婚している。神が怒る訳がない。それに、昔は兄妹同士、父娘同士でも公然と結婚してたし。・・・まあ、血が濃いと障害を持って生まれてくる子供の割合は高いけど。でも、全く血が繋がらない者同士でも、生まれる時には生まれるんだ。・・・大丈夫。僕、ちゃんと育てるよ。ママみたいに虐待なんか決してしないよ。だって、僕とルーシーの子供なんだもん。それに僕絶対に売れっ子になってみせるから、ルーシーは何も心配しなくてもいいんだよ?」
ルーシーの頬に優しく手を添える。優しいはずの手が、まるで氷のように硬く冷たく感じた。今まで全く感じなかった凄まじい嫌悪感が身体中を駆け巡った。
「・・・・・レイモンドに・・・・()・・・・したの・・・・?」
「ルーシーは知らなくていいの」
「答えなさい!!」
「殺した」
アントニオはあっさり答えた。視界が急激に狭まる。アントニオが急激に小さくなった。
「・・・う・・・嘘・・・よね・・・?」
ルーシーの顔は引きつる。アントニオは微笑んでいる。その平然とした表情が、全てを物語っていた。
ルーシーは目の前が真っ暗になった。急斜面を流れる水のように血が一気に引いていく。身体の力が抜けた。ベッドに身体が沈んだ。
「もう、だから知らなくいいって言ったのに。・・・でもね、あいつちょっと脅したら、『ルーシーと別れる』ってあっさり言ったんだよ。僕だったら、例え殺されても、そんな事言わないのにね?」
ちゅ、ちゅ、ルーシーの顔中にキスをする。
「愛してるよ。もう、僕以外の人を見ちゃ駄目だよ?」
ルーシーの首筋に唇を這わせる。ブラジャーの上から愛撫を始める。そのブラジャーも邪魔だとばかりに直に捲って乳首へと愛撫を始める。
「ああ、嬉しい・・・とても、すごく、嬉しいよ・・・ルーシーに触れられる事が・・・」
どれほど、どれほど、触れたくて、触れ得なかった存在。毎日、毎夜、悶え苦しんだ事か。
どれほど今までこの気持ちを圧させてきた事か。
喉から手が出るほど、愛おしかった存在。
やっと、やっと、手にいれられる。歓喜で狂いそうであった。
「・・・・・い・・・や・・・・止めて・・・・」
嫌悪感が触れた部分から、全身に、まるで白い布に落ちた黒いインクのように、広がっていく。
「うん、僕、上手いと思うよ。気持ち良くさせてあげるからね」
丁寧に丁寧に愛撫をする。愛おしそうに。
「やめてーーーーーーーーーー!!!!!!」
急にルーシーが暴れ出す。足をバタバタさせて必死に抵抗する。必死に縛られた手を解こうともがく。手首の赤い痣が濃くなっていく。アントニオは自分の服を脱ぎ始めた。若々しい肉体が現れる。ジーンズも下着も全て脱ぎ捨てる。アントニオのペニスはそそり立っていた。ルーシーのストッキングとショーツとを脱がしにかかる。ルーシーは必死に抵抗するように両足をばたつかせる。その足首を掴んで、激しい抵抗に戸惑いながらもスカートとストッキングとショーツを脱がせる。
「ああ、ルーシー・・・・綺麗だよ・・・・」
黒の上着の中のボロボロのブラウス。下半身は何も身に着けていない。その身体を恍惚の眼差しで見つめる。アントニオはルーシーの閉じている足に割って入ろうとする。ルーシーは必死に足を閉じる。が、足を割られる。
「いやーーーーーーーーー!!!!止めてーーーーーーー!!」
「愛してるよ、ルーシー。貴方は僕のモノになるんだ」
アントニオはルーシーの膣内に強引に捩じ込んだ。
「・・・・いやーーーーーーーーーーーーー!!!!」
ルーシーが仰け反った。
「おっ・・・おおおぉぉぉーーーーーー!!!!」
アントニオが歓喜の声を上げた。入った瞬間に、あまりにもの快楽に、射精した。
ルーシーの上に倒れこむ。
「・・・・おお・・・・・すご・・・い・・・なんて・・・なんて気持ちいいんだ・・・ルーシーの中って・・・・」
娼婦として男を悦ばせる術を身につけていたジェニー。だが、その彼女とは比べモノにならないくらいの快楽をアントニオは体感した。その至極の愉悦の塊に押しつぶされそうである。ルーシーは顔を背けて、悲痛と絶望の涙を流していた。
アントニオはその顔に優しいキスを数回する。
「ごめんね、僕だけ気持ち良くなっちゃって・・・。でも、今度は気持ち良くして上がるからね」
ルーシーの中に入っているアントニオのペニスが徐々に復活していく。ルーシーは顔を背けている。アントニオのペニスが完全に復活し、腰を振り出した。二人の結合部分から、水音が溢れ出てくる。
「ああ、ルーシー・・・僕又いっちゃいそうだよ・・・・」
激しく激しく腰を振り捲くる。ルーシーは涙を流しながら、顎を反る。噛み締めた唇から血が流れ出ていた。
「ルーシー!!愛してる!!愛してるよーーーーーーー!!!」
叫びなら、アントニオは又ルーシーの中に射精した。





【35     終】




2010.11.30




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