<特集No.38 18Watt Marshall&レプリカ特集>

今月の特集は以前特集19号と22号でご紹介したPA20をそのレプリカアンプ達と比較してみました。

1966年に発売された18Wシリーズは2x10の「1958」、2x12の「1973」、1x12の「1974」という三種類のコンボタイプでした。当時の売り文句は「コンパクト、軽量で且つパワフルなアンプをお探しでは?」。というまさにレオスキ好みのキャッチコピーです!(画像下)


近年ブルースブレイカー・コンボとして再生産されている「1962」のローパワー版として当時のカタログ(画像下左)に載っているように、外見はまさに縮小版という感じです。2チャンネル、トレモロ付きで真空管はECC83(12AX7)×3、EL84×2、整流管はEZ81(6CA4)という構成でした。
その後1967年にはECC83(12AX7)×2、EL84×2、整流部をソリッドステートにした20Wシリーズに発展し、ヘッドとキャビのセットも発売されました。ヘッドとキャビの組み合わせにはPA用の「1917」、ギター用「T2022」(オプションのトレモロ付き)、ギター用「2022」(トレモロ無し)とベース用の「2019」等数種類が有りました(画像下右)。



今回本家と比較するのはこのPA20に目を向けるキッカケとなったコーネルのプレキシ20、本家の18Wのレプリカをさらにアレンジした本家には存在しない18WオフセットタイプのGDS、同じくGDSの更にシンプルなミニコンボ、JTM45リイシュー改(通称JTM22.5)の4機種です。私、寿庵皆男はアンプの中身をニヤニヤしながら眺め回す趣味はないのでここからはRS修平氏に筆を渡します。


それでは早速外見から見ていきましょう。左下MARSHALL PA20、左上CORNELL PLEXI20、中央GDS 18watt miniCOMBO、右下GDS 18watt Offset、右上MARSHALL JTM45改JTM22.5


背面の画像です。GDS 18watt miniCOMBOのコントロールは背面にあります。ポプラ材のキャビに10インチスピーカーが入っている大変コンパクトなアンプです。


これが過去の特集でもご紹介したことがあるMARSHALL PA20のシャーシ部です。真空管はECC83(12AX7)×2本とEL84×2本が使用されており、整流部はソリッドステートです。コントロールはチャンネル1のVolume,Tone、チャンネル2のVolume,Toneだけというシンプルな構成です。シャーシ重量5.9kg(電源コード含む)


上のPA20のレプリカであるCORNELL PLEXI20です。真空管の構成およびコントロールの構成はPA20と同様です。電源トランスと出力トランスの距離が近いため、ハムを防ぐためにトランスの向きを90度変えているようです。シャーシ重量6.2kg

リイシューJTM45の出力管(5881)をイエロージャケットにてEL84仕様に変更して、N澤名人作の短小キャビに収めたJTM22.5です。純正状態での真空管の構成はECC83(12AX7)×3本、5881(6L6)×2本、整流部は5AR4(GZ34)です。(現在は5881仕様に戻しています。)
出力が大きいアンプであるためトランスが大きく、シャーシだけで9.2kgとかなりの重量があります。


これも以前ご紹介した事があるGDSの18watt offset Mashallレプリカです。真空管はECC83(12AX7)×3本、EL84×2本、整流部はEZ81(6CA4)です。シャーシはアルミ製です。GDSのコンボタイプは本家Marshallの18wattコンボのレプリカなのでトレモロ付きが基本ですが、このoffsetヘッドではトレモロは省略され、ToneコントロールがTREBLE,MIDDLE,BASSになっています。シャーシ重量4.7kg


GDS 18watt miniCOMBOです。出力及び電源トランスは上のoffsetGDSと同じものを使用、シャーシもアルミ製です。真空管の構成はECC83(12AX7)×2本、EL84×2本、整流部はEZ81(6CA4)であり、丁度offsetGDSの1チャンネル仕様の廉価版という位置付けです。右の画像で判るようにシリアル0002番です。昨年の6月に100V仕様で作ってもらいました。シャーシ重量4.5kg(電源コード含む)


PA20のシャーシ内部です。実用で酷使されていたためか、電源トランスの交換等かなり補修された形跡があります。エポキシ製のサーキットボードをスペーサーでシャーシから浮かせてしっかりと固定するのがMarshall流ですね。


上のPA20のレプリカであるCORNELL PLEXI20です。PA20と同様、エポキシ製のサーキットボード上にパーツが整然と配置されています。各部の配線をタイラップで縛ってあるところに英国人であるコーネル氏の几帳面さを感じます。

JTM22.5ですが、元々リイシューのJTM45なのでプリント基板が使用されており、パーツ点数が多いのにもかかわらずすっきりとまとまっています。


GDSの18watt offset Mashallレプリカです。
使用されている抵抗はアランブラッドレーとDaleの抵抗および現行の金属皮膜抵抗が混在しています。キャパシターはおなじみのスプラグ715PとATOMですが、トレブルのトーンコントロール用だけはコーネルダブラーのシルバーマイカが使用されています。特筆すべき点はチューブソケットに金メッキ接点のハイグレード品が使用されていることです。
英国製のCORNELLがいかにもMarshall的な造りなのに対してアメリカ製のGDSはなんとなくFender的な造りに見えるから不思議です。


18watt miniCOMBOには現行の金属皮膜抵抗とDaleの抵抗、スプラグ715Pが使用されています。さすがに廉価版なのでチューブソケットは標準品が使用されています。
余談になりますが、最近GDSのグレイドン氏はダンブルのレプリカを製作・販売するようになり、18wattアンプはkit販売するようになったようです。


Marshall 18wattとそのレプリカ達を比較してみましたが、いかがでしたでしょうか?今回の全てのアンプの共通点は出力管にEL84が使用されているところです。

真空管に関する文献を紐解くと、出力管としてもっともポピュラーなビーム出力管であるといえる6L6は1936年に、そのジュニア版である6V6は翌1937年にRCAから発売されたそうです。歴史の古い6L6/6V6に対してEL34やEL84は戦後(1950年代)にオランダのPhilipsグループから発売された比較的新しい欧州型5極出力管なのだそうです。
(ビーム出力管と5極出力管は内部構造が異なりますが、その内容に関する説明は省略します。)
EL84はオーディオ専用管として開発されただけに歪みが少なく低雑音という特徴があるそうです。米国でヨーロッパ系の真空管が普及する例は少ないのだそうですが、米国規格の6BQ5として登録されてからは小型で大きな出力が取れるEL84は広く普及していったようです。
(9ピンソケットが使用でき、小型でスペースもとらず、高能率とくれば普及するはずですね。)
近年発売される20wattクラスの小型アンプにはヨーロッパ系、米国系を問わずEL84仕様が多いという理由も、EL84(6BQ5)自体がヴィンテージ管・現行管ともに入手し易くコストパフォーマンスに優れるというメリットがあるからではないでしょうか?

最後に各レプリカのインプレッションですが、 同じMarshallのミニシリーズを源流としながらも18wattコンボを元にしたGDSと20wattヘッドを元にしたコーネルでは整流部の違い(最近出たプレキシ18/20はソリッドステートと整流管の切り替えが出来るようですが)やトレモロの有無(ここで取り上げたオフセットはトレモロレスですが本来のGDSコンボはトレモロ付きです)等の違いがあり、いわば本家の18wattと20wattが兄弟だとすると従兄弟のような関係になるのかもしれません。
例によって血液型で表現するならば、コーネルは「行動が慎重で、責任感強く、仕事も几帳面で、常に完璧を期す」といわれるA型的、GDSは「目的を定めると、それに向かって直線的に行動し、個性的な信念に基づく強固な意志を持ち、頑張りやで、目的を達成する強い力を持っている」といわれるO型的、JTM22.5をはじめ変態的なキャビを快く製作してくださるN澤名人は「形式や習慣にこだわらず、自由を好む。柔軟な思考を持ち、対応も素早く、アイデアはユニークで豊富」といわれるB型的、という感じでしょうか?