<特集No.26 Tweed Deluxe特集>

今月の特集は、千葉ーズの皆さんとDR.GENさんにご協力頂きまして、Tweed Deluxeおよびそのレプリカの比較検証を行いました。


ずらりと整列しているのが千葉ーズのDeluxe群です。左から元王さん所有で現ミックさん所有の52年製TV-FRONT、タカコーさんの54年製WIDE-PANEL、SHINさんの56年製NARROW-PANEL、ミックさんの58年製NARROW-PANEL


タカコーさんの54年製WIDE-PANEL(左)はハンドルが補修部品に交換されていますが、本当に素晴らしいコンディションです。
右はミックさんの58年製NARROWのTUBE-CHARTですが、Modelが5F6となっています。(5F6はBASSMAN)57年の後期から58年初期にはこのような印刷ミスが数種類存在したようです。(笑)


SHINさんの56年3月製NARROW-PANEL(左)も素晴らしいコンディションです。このDXはアメリカのとある田舎町のアンティークのおもちゃ屋にカバー付きでひっそりと置いてあったのを発見されたものだそうです。オリジナルセールス レシートも付いていたそうですが、仲介したディーラーさんが紛失してしまったそうです。殆どフルオリジナル状態ですが電源コードだけは交換されているそうです。
右側の画像はこれまた綺麗なDR.GENさんの59年製NARROWに付属しているタグです。



早速、内部の検証です。上がミックさんの52年製TV-FRONT(5B3)、下がタカコーさんの54年12月製WIDE-PANEL(5D3)です。ミックさんのTV-FRONTはもともとフルオリジナルだったそうですが、王さんから譲り受けた後、修理のためにコンデンサーを全て交換したそうです。一方、タカコーさんのWIDE-PANELは見事なまでのオリジナル状態です。茶色のASTRON製MINIMITE電解コンデンサーと赤いASTRON製コンデンサーが付いています。POTはどちらもSTACKPOLE製です。

52年製TV-FRONT(5B3)の電解コンデンサーはおなじみのASTRON MINIMITEですが、カップリングはINDUSTRIALというメーカーのコンデンサーが付いていたそうです。右の画像は別の個体でフルオリジナルの53年製TV-FRONT(5B3)ですが、これにはSOLARというメーカーの青いコンデンサー(○の中)が付いています。



上がSHINさんのウルトラミントの56年製NARROW-PANEL(5E3)これも奇跡的なコンディションです。下がミックさんの58年1月製NARROW-PANEL(5E3)。SHINさんの56年3月製では赤いASTRONと黄色いASTRONが混在していますが、ミックさんの58年1月製になると黄色いASTRONのみになります。ミックさんの5E3は電解コンデンサー(○で囲んだ部分)は全て交換されています。POTは56年3月製にはSTACKPOLE、58年1月製にはCTSが使われています。


上がDR.GENさんの59年9月製NARROW-PANEL(5E3),下がRS修平の59年10月製NARROW-PANEL(5E3)。どちらも平滑用電解コンデンサー(○で囲んだ部分)のみ交換されています。GENさんのはSPRAGUEのATOMですが、私のはミックさんのと同様に90年代のFENDERアンプに純正使用されているICというメーカーのコンデンサーに交換されています。カップリングコンデンサーはどちらもオリジナルの黄色いASTRONが付いています。

それぞれオーバーラップする時期はありますが、キャパシターの変遷の概要はこんな感じです。
40年代後期〜50年代初期 INDUSTRIALまたはSOLAR(青)
50年代中期 ASTRON(赤)
50年代後期 ASTRON(黄)


VOLUMEとTONEの間に500pfのハイパスコンデンサーがありますが、これにはTV-FRONTの頃から一貫してコーネルダブラー製マイカコンデンサーが使われています。色が2種類あり、左のGENさんの5E3には赤い物が、右の私の5E3にはベージュの物が装着されています。(タカコーさんのWIDEは赤、SHINさんのNARROWとミックさんの2台にはベージュが付いています。)
POTに関してはTV-FRONTの頃からずっとスタックポール製が使用されていましたが、57〜58年頃からCTS製が使われ始めるようです。画像の59年製には2台ともCTSが付いています。 (ストラトにCTSのPOTが使われるようになるのは63〜64年頃からですが、アンプには57〜58年頃には既に使われていたという点が興味深いですね。)




続きましてDR.GENさんのDeluxeレプリカ群です。左から2000年製Kendrick2112、2002年製Victoria20112、59年製オリジナル、1997年製HumanGear TweedTone
バッフルボード上のスピーカーの位置は、Victoriaはオリジナルと全く同じ位置に付いていますが、TweedToneは何故かオリジナルよりも端に寄っています。Kendrickはロットによってオリジナルに近い位置の個体と端に寄っている個体とがあるようです。装着スピーカーは年式によっても違うようですが、KendrickはリイシューJensen P12N、VictoriaはリイシューJensen P12R。TweedToneは現在は比較用にリイシューJensen P12Nが付けられていますが、オリジナルはMojoToneだったそうです。


2000年製Kendrick2112の内部です。サーキットボード上のレイアウトがオリジナルとは異なりますし、インプットジャックからプリ管への配線もサーキットボードを介さずにダイレクトに配線してあります(矢印の配線)。Kendrickに関してはオリジナルに忠実なレプリカを作るというコンセプトではなく、あくまでも5E3をベースにジェラルド・ウエーバー氏のアイデアを盛り込んだアンプであるということが推測されます。(正規輸入のKendrickは100V仕様のトランスになっています。)


2002年製Victoria20112と1997年製TweedToneの内部比較です。両社ともにオリジナルに忠実なレプリカを作ろうとしているのが良く判ります。上のVictoriaはキャパシターの数値等にこだわり、現在販売されていない数値のキャパシターは特注しているそうです。下のTweedToneはコンセプトは同じですが、抵抗はオリジナルと同じアランブラッドレー抵抗は使用せず、金属皮膜抵抗を使用していますし、キャパシターの数値も一部オリジナルとは異なるものが使用されていますが、配線の取り回しに関しては全くオリジナルと同じにしてあるようです。(どちらも117V仕様ですが、Victoriaの取扱説明書には100Vで使用するように書いてありました。)


2002年製Victoria20112と1997年製TweedToneのキャパシターの違いです。 左のVictoriaは全て特注のVictoriaロゴ入り418Pが使用されています。右のTweedToneは初段のカップリングコンデンサーは市販の415Pが使用されていますが、2段目以降はやはり特注のHumanGearロゴ入り418Pが使用されています。


VOLUMEとTONEの間の500pfのハイパスコンデンサーですが、3社ともオリジナルに忠実にコーネルダブラー製のシルバーマイカが使用されています。(画像はRS修平のVictoriaです。)こんなところにも各社の拘りを感じます。


左がDR.GENさんの2000年製Kendrick2112のTUBE-CHART、右が私の2002年製Victoria20112のTUBE-CHARTです。注目すべきは整流管の指定で、オリジナルでは5Y3GTが指定されているのですが、Kendrickは5V4G、Victoriaは5Y3GT or 5V4GTとなっています。Tweed Deluxeの整流管を5V4に交換するのはもはや定番ですが、もともとKendrickのジェラルド・ウェーバー氏が著書にて「個人的には5E3Deluxeには整流管を5V4にするのがお気に入り」と書いたことから流行していったのではないでしょうか?
オリジナルでは12AY7が指定されているプリ管ですが、Kendrickは7025(12AX7)でややゲインが高めの設定、Victoriaは5751or12AY7ということでオリジナルに忠実ながらも柔軟性が持たせてあるようです。
また、Victoriaの「音楽」という漢字は製作者であるマーク氏がサインと共にサービスで書いてくれているそうです。


Tweed Deluxeの4モデルと、5E3Deluxeレプリカ3種類をご紹介しましたがいかがでしたか?
ご覧の通りのシンプルな構造であるが故、自作される方も多く、製品としても数多くのレプリカが存在するTweed Deluxeですが、それぞれのメーカーが製品として完成させるまでにはかなりの試行錯誤があったことでしょう。ギターは当時のパーツを復刻したり当時と同じ材を使用して出来る限りオリジナルに近づけることが可能ですが、アンプの場合、構成している殆どのパーツが自製出来ず、外注に頼らざるを得ない物ばかりですからね。

最後に各レプリカのインプレッションですが、
血液型で表現するならば、Kendrickは「形式や習慣にこだわらず、自由を好む。柔軟な思考を持ち、対応も素早く、アイデアはユニークで豊富」といわれるB型的、Victoriaは「行動が慎重で、責任感強く、仕事も几帳面で、常に完璧を期す」といわれるA型的、TweedToneは「目的を定めると、それに向かって直線的に行動し、個性的な信念に基づく強固な意志を持ち、頑張りやで、目的を達成する強い力を持っている」といわれるO型的という感じでしょうか?




Special thanks to:タカコーさん、SHINさん、ミックさん、王さん、DR.GENさん