YPCニュース

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2005.2.20 横浜物理サークル発行


目次

巻頭言                      135-136
1月例会の報告            まとめby山本明利 編集by鈴木・市江  136-141
(1) 授業研究:一般生徒対象のSSH 
(2) 電気の史料館・3周年記念イベント 
(3) マックホルツ彗星 
(4) ザ・デイ・アフター・トゥモロー 
(5) コンタクト 
(6) 白板ソフト 
(7) アルカリを使わない金色メッキ
(8) 立方体の浮かび方
(9) 500円相撲ロボット
(10) 簡易真空実験
(11) ダイエットしたコーラ
今年も古典の授業で『一罎百験』           尾坂紀生(鳥取・鳥取東高校)
※山本さんの紹介です。『一罎百験』を現代語訳した方です 142-145
相撲ロボット資料                          146-148
第11回「神奈川の理科教育を考える集い」案内 149

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巻頭言

また学校に関わって不幸な事件が起きてしまいました。被害に遭われた小学校の先生のご冥福をお祈りしますが、校種は違っても同じ教師という立場の者として、やりきれない思いがします。学校の安全をどう確保すればよいのでしょうか。卒業生が刃物を持って入ってくるかもしれない、などと想定していたら、何もできません。卒業生も含めて、生徒を信頼しなかったら、教育は成り立ちません。ただ、今の事態で私が思うのは、学校の安全対策に対して、あまりに無防備でしかも現場任せだと言うことです。マニュアルを配ったり通達を出したりすることで対策を取ったことにしている。でも現場の教員・職員は日常業務で手一杯です。
話は変わりますが、メーリングリストで、今の子どもたちがいかに体験不足かと言うことが話題になっています。主に大谷さんの発言ですが、以下、いくつか一部を引用します。
・虫めがねで、黒紙をこがした経験ある生徒が少ない。
・虫めがねで、友達の頭に焦点をむすんだ生徒が、数人いた。
・豆電球と乾電池を使って、遊んだ経験がある生徒が少ないかも。
・太陽が東から登るのを知らない。(中学2年)
・太陽が、南側を通るのも、知らない。
・植物で、植えてあるものと、野草の区別がつかない。
・ガラス製のものを、ドンと強く置く。(割れやすいのに、気をつかわない)
・試験管やビーカーを洗ったあと、上向きに置く。(水がいつまでも切れない)
・ガスバーナーのガス&空気調節ネジを、しばらく開けたままでも、気にしないで、マッチを着火する。
・ガスバーナーを、マッチで点火した後、ガスバーナーの方向を向いて、マッチを吹き消す。(ガスバーナーの炎を吹くことになる)
・地学の地形で出てくる等高線が、理解できない。
 (例)海面の20m上昇・下降を、地図の該当等高線を色塗り作業できない)
・3次元のものを、描くのが苦手になってる。(顔など。美術の先生から)

これは、大谷さんが中学で教えていて感じた実感ですが、高校でも同じようなことを感じます。これらの経験がどの程度なされているのか、系統的に調べる必要があるのかもしれません。
冒頭に書いた寝屋川の事件の少年は、ゲームにのめり込んでいたと報道されています。この少年の事件の背景は、一概に決めつけられるような状況にはありませんが、上記のような体験を十分せずに、ゲームに明け暮れる子どもたちの存在は、確かに見過ごせない事態だと感じます。その中で我々にできることは何か、考えていかなければいけない問題だと思います。

すた


   


1月例会報告(まとめby山本明利、編集by鈴木健夫、市江寛)

日時:2005年1月15日(土)15時〜

会場:新城高校物理室

参加:計23名

内容:

(1)授業研究:一般生徒対象のSSH 山本の発表

 柏陽高校のSSH事業は、全国でもちょっと異色です。多くのSSH校では、理数科コースなどの特別枠を設けて少数精鋭で取り組んでいます。柏陽高校は入学した生徒全員に学校設定科目としてSSH講座を履修させます。1学年では「科学と文化」と題して体験学習と調べ学習を行います。普通の学校での「総合的な学習の時間」に似ていますが、バスツアーやインターンシップなど、より積極的に現地へ赴く点が特徴です。2学年では「人間と科学」と題して、講座選択制で探求活動や課題研究を行います。山本はデータロガーなどの計測機器をフル活用した探求活動の講座を担当しています。生徒が自分で身近なところからテーマを選んで、実験計画を立案し、実験方法を工夫しながら、測定を行い、考察を加えて最終的に各自のWebページで発表します。内容自体は必ずしも新規なものではないですが、特徴的なところはその対象が「一般の生徒」だという点です。

 

(2)電気の史料館・3周年記念イベント 三上さんの紹介

 川崎市の電気の史料館が開館3周年を迎え、2月に記念イベントが開催されます。2/12は大人向け、2/13はお子さま向けで、当日は入館無料です。

 2月12日(土)14:00〜15:30 科学実験セミナ-『環境の科学』マイクル・ノートン博士(東京工業大学大学院客員教授)、市村禎ニ郎教授(東京工業大学大学院教授)を招いて地球温暖化をテーマにセミナーを開催(同時通訳)します。2月13日(日)は紙芝居&実験 『キュリー夫人の理科教室』、映画名探偵コナン『銀翼の奇術師(2004.4公開)』などです。紙芝居&実験は、前回例会でも紹介された、「キュリー夫人の理科教室」(丸善)の監修者、吉祥瑞枝さんが実演されます。

詳しくは電気の史料館Webページ http://www.tepco.co.jp/shiryokan/home-j.html を参考にして下さい。

 

(3)マックホルツ彗星 高杉さんの発表

 肉眼でもそれとわかるほどに明るくなったマックホルツ彗星ですが、1月9日に富士山の登り口(静岡県富士宮市 西臼塚駐車場)まで遠征し撮影した写真をたかすぎさんが頒布してくださいました。

 すばるやヒヤデス星団も同じ画面に入っていて、彗星の位置やダストの尾・イオンの尾の伸びている方向もよくわかります。

 国立天文台のHPをもとにA3判でプリントアウトした「台紙」付で、そのまま教室や廊下の壁に掲出できるようになっているというサービスに感動です!

 

(4)ザ・デイ・アフター・トゥモロー 越さんの発表

  「デイ アフタートゥモロー・2枚組み特別版」DVDの中の「サイエンストゥモロー」は、科学者、自然保護団体、映画関係者など、各界の著名人のコメントでつづられたドキュメンタリーです。

 本編を見て、映画は映画と思っていて終わらせてはいけません。映画ほど極端ではないにしろ、遠くない将来に、映画と同じようなことが起こる可能性があるのです。いや、もう起こりつつある、今すぐに行動を起こさねば!と、科学者たちは警告しています。

 温暖化ガスの排出を減らしていくとともに、気候変動にどう対応していくか、が問題です。現在起きている気候変動は、’50〜60年代のCO2が原因なのである...などと、地球規模の環境問題について様々な観点から意見が述べられていて、大変参考になります。

 

(5)コンタクト 越さんの発表

 カールセーガン氏原作の「コンタクト」、廉価版DVD(1575円)が発売されています。97年の劇場公開当時、オープニングの映像が話題になりました。地球のクローズアップからどんどんカメラが引いていき、月、火星、小惑星帯、木星、土星、オールトの雲、ヴェガ、鷲星雲、銀河系、大マゼラン星雲、棒状渦巻き銀河、銀河群...と一連の映像が映し出されていきます。

 土星くらいまでは、科学的に正確に描かれていますが、それ以遠の天体については、想像の部分も多いといいます。ある一定の方角に遠ざかっているという訳ではなく、距離の順に映像が映し出されています。鷲星雲については、地球から見た映像とは裏返しになるのでは、などの疑問も湧きますが、この3分30秒ほどのズームアウトは一見の価値があります。

 

 

(6)白板ソフト 坂本さんの発表

 会社でソフトウエアを開発している坂本さんが、自ら開発したフリーソフト「白板ソフト」を紹介してくれました。このソフトはその名の通りホワイトボード代わりに使用するプレゼン・オーサリング用ソフトで、機能を絞り込んでシンプルで使いやすいものになっています。

 文字や絵をカラーペンで描いたり、テキストとしてキーボードから入力して作ったページを蓄えていくことができ、それをめくっていけばプレゼンができます。Webカメラなどから画像を取り込み、その上に文字を書き加えたりすることもできます。作成したページはHTMLとして出力してWebページとしての閲覧も可能です。

 動作環境はWindowsXP以上、メモリ256MB以上。このソフトはフリーソフトとして公開されており、次のURLからダウンロードできます。

http://www.vlab.jp/wbdoc/

 なお製品版の、インタラクティブなシミュレーションコンテンツや、計算するホームページなどを作成可能なシミュレーションツールVisual LABは http://www.vlab.jp/ で紹介されています。

 

(7)アルカリを使わない金色メッキ 平松さんの発表

 先月、銅板上に亜鉛めっきして加熱すると「金色(=真鍮)」にめっきされる実験の紹介がありましたが、強アルカリを使う上での安全性確保や、後処理を間違えて火災事故(→2002年3月例会@電気大での平松さんが新聞記事紹介)などの問題があります。平松さんは先日の化学実験実習委員会の「公開実験」で紹介された「アルカリを使わない方法」を実演してくれました。これは吉田工さんが「化学と教育」誌に報告されている方法に手を加えたものです。 

 塩化亜鉛、亜鉛末、亜鉛粒および濃塩酸数滴の入ったビーカーに蒸留水を加えて塩化亜鉛を溶かします。このビーカーを保温トレイの上に置き、メッキしたい銅板を入れる。全体に色が変わったらピンセットで取り出してよくすすぎます。これをガスバーナーの炎で加熱すると黄銅ができて表面が金色になります。

 平松さんは「さらなる改良版」を準備中で、神奈川県理科部会報とYPCニュース(5月?)に発表予定だそうです。期待して待ちましょう。

 

 

(8)立方体の浮かび方 山本と加藤俊さんの発表

 水より密度の小さい物質でできた一様な立方体は、どのような姿勢で水の上に浮くのでしょうか。いろいろな密度の木材で試してみると、写真のように頂点を上に向けるもの、面を上に向けるものと様々です。発泡スチロールのような密度が0に近いものや、氷やカリン材のように密度が1g/cm3に近いものは、面を見せて水平に近い形で浮き、密度が0.5g/cm3前後のものは頂点を上にします。ついでに言うと、木場の 角乗りのような角材は稜を上にして浮くのです。密度と浮かぶ姿勢には深い関係がありそうです。

 下左の写真は氷のブロックを水に浮かべたもの、右はアクリルブロックをグリセリンに浮かべたものです(加藤さん提供)。面を上にして同じような浮き方をします。密度と浮かぶ姿勢の間の連続的な関係を計算で求める試みには、古川さんらが取り組んでいます。けっこう奥が深くて面白そうな課題です。

  

(9)500円相撲ロボット 車田さんの発表

 車田さんが、日本科学未来館で小学生対象のイベントでロボット工作の要望が多かったので参加費500円という制限の中で、手軽に入手できる素材で作製した相撲ロボットです。本来なら科学館のコンセプトに合わせ、携帯の偏心モーターを使いたかったが、相撲ということで押しを基本に作動するようにしたとのことです。

 手もとのスイッチで前進・左旋回・右旋回にコントロールできます。本体はポリエチレンの密封容器を利用し、蓋はコントロール装置の台としました。スイッチのアルミ板はアルミ缶を切ったものです。アルミ缶の丸みの反りがスイッチの押す部分にうまく利用されています。ケーブルはパソコン用のフラットケーブルを3本づつ裂いたもので、コストを抑えています。

 モーターの軸にゴムチューブを付け中に太い針金を入れて偏心モーターとしたそうです。がっぷり四つになった時にこの振動が決め手となります。ダイソーのハンディーマッサージャーが手に入るとモーターと偏心の軸受けが手に入り価格がさらに安くなります。

 車田さんは、コントロールボタンとモーターとの配線が見やすいと思い、右ボタンを押すと右のモーターが、左ボタンを押すと左のモーターが動くように配線を考えたそうですが、子供たちは右に曲がるためには左のモーターを動かさなくてはいけないという構造の理解に苦しんだそうです。「これもゲーム世代なのでしょうか?右のボタンを押したら右に動かなくてはならないみたいです。」とは車田さんは言っています。後ろに資料を載せました。

 

 

 

(10)           簡易真空実験 車田さんの発表

 YPCで普及をはかっている、渡辺泰樹さんが改良した簡易真空ポンプを使って、こんな実験ができます。PETボトルのキャップにチューブをとりつけ(もちろん「引きばめ法」で)、ポンプで吸引するとみごとにぺっちゃんこになります。右の吸盤は空き缶つぶし用のアダプタです。

 

 

(11)           ダイエットしたコーラ 加藤竜一さんの発表

 加藤さんの生徒がインターネットで見付けてきたネタ。多分

http://www.hirax.net/dekirukana8/coke/index.htmlが元だろうとのこと。

 普通のコーラは水に沈み、ダイエットコーラは浮く。体積は同じだが−、溶けている糖の質量で比重が変わってくるからだ。質量を量ると、普通のコーラはおおよそ393g、ダイエットコーラはおおよそ375gで持った感じはほとんど同じなのに、ちょうど水に浮くか沈むかの境になっているところが、視覚的に面白いです。350mL缶の体積は375cm3と393cm3の間ということです。ダイエットコーラは、ダイエットして軽くなったコーラだったということで・・・。

 ちなみに、国産の某『コカコーラ』はダイエットも普通の方も両方とも浮かんでしまいます。実験をするときは、輸入物かダイエーの安物でやるといいです。(ペプシでは実験していないので分からないとのことです。)