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ミニ愛知川遡行 -完全版-

upload 98. 8. 3
ver. up 98. 8.31

朝明渓谷-羽鳥峰峠-白滝谷-ヒロ沢出合-大瀞-中峠-朝明渓谷

map

 暑い夏がやってきました。山には行きたいが、暑いだけの低山歩きは敬遠したい。どこか涼しい所へ行きたい! というわけで、羽鳥峰から白滝谷を下り、愛知川を大瀞まで登る”納涼”コースの”ミニ愛知川遡行”に再び行ってきました。そもそも愛知川に行きたくなったのは、ガイドブックの”天狗滝付近の廊下”の写真を見たからなのですが、前回は肝心の”天狗滝”を飛ばしてしまったので、再度挑戦してきました。今回は、白滝谷出合から天狗滝まで完全遡行でき、渓谷美を堪能してきました。滝自体は、それほどではありませんが、滝手前の”廊下”は期待通り、大変素晴らしいものでした。大杉谷と比べるとひとまわりスケールが小さくなりますが、ちょっとした秘境探検気分が味わえました。今回は、ちゃんと写真も撮ってきましたので、”完全版”として本ページをversion upしました。大杉谷にも負けない、鈴鹿の渓谷美をお楽しみ下さい。
 なお、このコースは、転倒、転落などの危険が高いので、残念ながら初心者にはお薦めできません。経験者と一緒に行って下さい。また、愛知川は白滝谷出合から大瀞までの間に、水量にもよりますが、4個所ほど通過困難な個所があります。(白滝谷出合上流、ヒロ沢出合直前、天狗滝、大瀞直前)このうち2個所(白滝谷出合上流と、ヒロ沢出合直前)については泳ぐ覚悟があれば通過できそうですが、水量によっては流されてしまう危険があります。天狗滝は、10m近い岩登りになります。素人には手に(足に?)負えませんので巻き道を通りましょう。大瀞直前は、状況がよく見える所まで近づけませんでした。泳ぐ覚悟があれば通過できるかもしれません。


  98. 8.16(日) 曇りのち晴れ

7:20 四日市発
 国道306から”朝明渓谷”の案内に従って山へ向かう。平野部には一部青空も見られるが、雲が多く、山の上には雲がびっしり乗っている。山頂からの展望はなさそうだが、今日は川へ行くのだから、雨さえ降らなければ大丈夫。
8:00 朝明渓谷着
 細い道を山へ向かうと、朝明ヒュッテのバス停前の大きな駐車場(有料一日500円)にたどり着く。もっと上の方にスペースを見つけて車を置こうと、さらに未舗装路を奥へ進むが、適当な場所が見当たらず、結局、羽鳥峰への道と中峠への道の合流点の河原のような広場まで車で登ってしまった。車も車検を3回も受けるようになると恐いものなしである。
8:05 登山靴に履き替えて出発
 最近雨が降っていないはずにも関わらず、前々日に大雨が降った前回よりも道が濡れており、所々、道を小川が横切っている。沢の水量が気になる。羽鳥峰峠へは、車で登ってきた道をさらに登っていく。ヒュッテ前の駐車場に車を置いた人は、ずっと道なりに登って行けばよい。”砂防学習公園”とかなんとかいう公園を過ぎて道はくねくね曲がるが、とにかく道なりに登る。
 車が通れない道幅になると、分岐が現れ、指道標が立っている。どちらも羽鳥峰へ登るのだが、”旧道コース”と書かれた、左手の沢沿いに進むのが峠への直登コース。右手へ進む”林道コース”は、やや遠回りして峠から少し釈迦よりへ登り着く。私は左手の、沢沿いのコースを行く。最初は傾斜も緩く快調に飛ばすが、岩を積み上げたダムが現れる頃から急登となり、急激にペースが落ちる。砂防ダムから、登ってゆく猫谷を見上げると崖が迫り出しているのが印象的だ。大きな砂防ダムを2つ越え、再び岩を積み上げたダムが現れると、道は沢と別れて山に入る。濡れた山道を登っていると、やたら蜘蛛の巣が体にまとわりつく。どうやら私が今日1番乗りのようだ。
8:35 羽鳥峰峠(朝食)
 誰もいない羽鳥峰峠に到着。谷に響く瀬音と、ウグイス、ヒグラシの声を聞きながら朝食。アブラゼミも、ヒグラシを見習ってもう少し涼しげに鳴いてくれれば夏も過ごしやすくなるのだが...。
 西の空はやや黒い雲も出ており、いつ降り出しても不思議ではない雰囲気だ。
8:50 朝食を終え出発
 釈迦方向へ少し歩くとすぐに”林道コース”が合流。5分ほど歩くと白滝谷への降り口が見つかる。大きな案内板があるので見落とすことはない。沢に沿って、笹が覆いかぶさる道を下っていく。前回より少し上流で沢に入る。しかし、すぐに”スベリ台”のような細長い滝が現れ、これは降りられそうもないので巻いた。再び沢の中をしばらく行くと1つめの”滑床”に到着。
9:45 1つめの”滑床”
 ”滑床”と呼ばれる、沢の底が広い平らな1枚岩?になっている所に出る。いくら大きな岩と言えども、水の流れによって底がV字型に削られそうなものだが、不思議と平らになっている。
 前回は丁度1ヶ月前だったが、足がしびれるほど水が冷たかったのだが、今回はそれほど冷たく感じない。7月と8月でこんなに水の温度が違うとは思わなかった。
 ”滑滝”や、ちょっとした落差にできた小さな滝を楽しみながらしばらく下ると、再び”滑床”が現れる
10:10 2つめ”滑床”
 こちらの”滑床”は、岩の色が白っぽく、やけによく滑る。(だから”滑床”だっちゅーの!)また、表面がさざ波のように波立っているのが面白い。
 ”滑床”は、文字通りよく滑るだけで、難なく通過できるが、沢の中を歩いていて心配なのは、降りられないほどの落差が現れやしないかということだ。落差が現れた場合、下るより登る方が安全であるので、”沢下り”より”沢登り”の方が安全と思われる。ただ、下る場合は、道を間違える心配はほとんどないが、登る場合、間違って支流に入ってしまうと、とんでもない所にでてしまうので、複雑な谷を登る場合は、よほど詳細な地図を持っていかないと、迷子になる危険がある。
 さて、小さな落差や、を楽しみながら下っていくと、白滝谷出合まであと20分位のところで、恐れていた大きな落差が現れる。
10:55 (昼食)
 流れが左右に別れ、どちらも滝になって落ちている。落差は6mくらいであろうか?、白滝谷で最大と思われる。(と言うことは、これは”白滝”と呼ぶのであろうか?)滝に沿ってまっすぐ降りようとするとかなり危険度が高そうであったが、左右に別れた流れのまん中を縫うように降りるとなんとか濡れずに降りることができた。
 少し早いが、滝を見ながら昼食。
11:15 昼食を終え出発
 このあとは、無難に白滝谷出合まで出ることができた。前回来た時は、途中、金色に光る粒を含んだ砂溜まりがあったのだが、今回は発見できなかった。あれは、ひょっとして...。
11:35 白滝谷出合
 ようやく、広い愛知川(神崎川)に合流。いよいよ”愛知川遡行”となる。しかし、上流方向へしばらく行くと、すぐに両側絶壁の淵に行き当たる。前回は水量が多く、泳がなければ通れそうもなかったが、今回は明らかに水量が少ない。荷物が濡れないように、肩へ引き上げながら、水の中を歩いていくと、無事、腰くらいまでの水位で通過できた。
 この区間の巻き道はかなり手前にあり、この淵と白滝谷出合の中間地点くらいまで戻らなければならない。また巻き道への登り口には特に目印がないので、左手(右岸)側に注意して歩いて欲しい。前回巻き道を通った時はどんどん登ってしまって、私が次に見つけた、小さな沢に沿って愛知川へ降りる道は、天狗滝の上まで行ってしまった。天狗滝の下へ行くにはこの小さな沢に沿って愛知川へ降りる途中に”羽鳥峰峠-杠葉尾”の指道標があるので、これを”杠葉尾”方向に少し戻り、ロープを頼りに垂直に降りることになる。(このロープ場は、登るのはともかく、降りるのはかなり危なそうです。御注意下さい。)
 さて、この関所のような淵を通過すると、前回は巻いてしまって見る事ができなかった、未知の世界へ入っていくことになる。実は、ここから天狗滝までが、このコースのハイライトになるので、前回はメインディッシュを食べずに帰ってしまったようなものだった。大杉谷のような、巨石の転がる切り立った崖に挟まれた谷の中を歩いていくと、いよいよ、天狗滝手前の廊下にさしかかる。右手(左岸)の崖を登っていくと、奥にこのコースの核心部が現れる。流水と岩石のせめぎあいが造り上げた素晴らしい渓谷美だ。人の侵入を拒むような厳しさが感じられる。足元の淵を覗くと、澄んだ深緑の水に吸い込まれそうになる。時々振り返って、この渓谷美を噛み締めながら進む。右手の崖から降りて、左手へ渡り、”廊下”を進むと、天狗滝に出る。
 白滝谷出合から巻き道を通って滝に降りた人は、滝を見るよりも、是非、滝とは反対方向(下流)へ少し足を運んで、この素晴らしい渓谷美を味わって頂きたい。
12:15 天狗滝
 落差は10mもなさそうだが、素人にはよじ登れそうもない。また、滝壷がかなり深そうで、取付きまで泳ぐことになりそうだ。もちろん私は巻き道を行く。
 巻き道は、左手の崖を、垂れ落ちているロープを頼りに登ることになる。滝を登るよりましだが、ちと怖い。
 滝の上から”廊下”に別れを告げて、再び川に沿って歩く。岸の状況によって右岸へ行ったり左岸へ行ったりしながら、遡っていく。天狗滝からヒロ沢出合の区間では、1個所だけ通過が困難な所がある。両岸が切り立っていて、水も深いので、歩いては通過できそうもない。前回来た時には、ヘルメットやザイルで武装した2人組がここを泳いでいたが、流れが速く苦戦していた。今回も歩いては通れそうもないので、左手(右岸)の崖によじ登ることになった。
 ここを通過すると、川は左手へ曲がりこんで、七丈淵が見えてくる。水が増水していた前回でも難なく通り抜けられた七丈淵だが、今回はなぜか深くなっており、再びパンツを濡らすはめになった。七丈淵を通り抜けると、ヒロ沢出合にでる。
13:10 ヒロ沢出合
 ”もう水遊びは堪能した”という人は、ここで羽鳥峰峠へ戻ってもよい。まだ元気な人は、大瀞まで行ってみよう。
 白滝谷出合からヒロ沢出合までは、巻き道は左手の山を通っていたが、ヒロ沢出合から大瀞まで(その後もタケ谷出合まで)は、巻き道が右手の岸(左岸側)にあることを頭に入れておくとよい。
 前回は、流れが速くてあまり魚などはあまり見られなかったが、今回は流れも遅く、魚の群れも時折見られた。また、よどみには、よくイモリが”土左衛門”のようにうつ伏せになって浮かんでいた。死んでいるのかと思ってつついてみると、邪魔くさそうに泳ぎ出すのだった。
 このヒロ沢出合-大瀞間、前回は1個所だけ通過が困難な所があったが、今回は水量が少なく、難なく大瀞手前まで行く事ができた。
14:05 大瀞手前(大休止)
 この調子で大瀞まで行けるかと思ったが、大瀞直前の淵はかなり深そうで、やはり通過できそうもない。前回はこの淵の奥で横から凄い勢いで水が吹き出していたのだが、今回はおとなしく、普通の滝のように水が落ちている。これを越えれば大瀞なのだが、あきらめて引き返し、岩の上で大休止。

14:35

休憩を終え出発
 巻き道は、少し戻った左岸の岩の上から登り口が見つかる。左岸側に注意していると、山への入り口がポッカリ開いていて、木の枝に赤いテープが巻いてあるのがみつかるはずだ。大瀞へは、山に入ってすぐに左手への分岐があるので、これを左へ折れると急降下して大瀞へ出る。分岐近くの木に小さな案内板が付いているが、ヒロ沢方向から歩いてくると見落としてしまう(私も前回見落とした。タケ谷方向からは見易いのだが...。)。
 中峠を経て、朝明渓谷に帰るには、さらに先のT字の分岐から左へ下る。奥に、つり橋が見えるはずだ。このつり橋を渡って、山を登っていくと、30分位で中峠に出る。川を歩いている間は、解放感もあって涼しかったが、山に入るとジャングル状態で非常に蒸し暑い。
15:00 中峠
 峠と言っても笹薮に囲まれ展望もない。時間と体力に余裕があったら、中峠を右(国見、御在所方向)に入って、展望の良い水晶岳まで足を延ばしてみることをお薦めする。(→釈迦ヶ岳のページ参照
 と言いながら、私は朝明に直行した。しばらく下ると、左手が大きく開けて、釈迦ヶ岳が目前に広がる。しかし、展望が良いのはここだけ。あとはひたすら下ることになる。
 左手奥に細い滝が見える小さな沢を渡ると、左手からガレた涸れ沢が合流する。道はこのガレを少し登った所で山に入っている。指道標があるが、これを見落として沢を下ってしまうと、砂防ダムの上に出て立ち往生することになるので注意が必要だ。
 このあとは、林の中を下って行き、広い河原のような所にでると、これを横切れば朝明ヒュッテからの鋪装路にでる。
15:25 車に帰着
 帰路、ヒュッテ下流の朝明川の河原は大勢の行楽客で埋まっていた。道を走っていてもバーべQの匂いが漂ってくる。川沿いの道は、ただでさえ狭いのに車がびっしり駐車されて対向車とすれ違えず、所々渋滞になっていた。
16:30 四日市帰着

Caution!

 7/26(日)、”愛知川遡行”で滝壷への転落死亡事故が発生しました。新聞記事によると、滝の上流を徒渉中、足を滑らせて転倒、流されて滝壷に落ちて溺れたようです。木曜の夜にかなり雨が降ったので川も増水していたのでしょう。滝壷といってもたいした深さではないと思いますが、流れる水の力は想像以上で、膝くらいの水位でも足がすくわれそうになることもあり、足が立つ位の深さでも溺れる恐れがあると感じました。また濡れた岩は本当によく滑ります。周りは岩だらけなので、滑ると必ず痛い目に合います。沢登り用の靴を履くことをお薦めします。
 この他に鈴鹿では国見岳で転落事故が発生したり、穂高や涸沢で転落事故が相次ぎ、御嶽でも行方不明者がでたりと山の事故が頻発しています。登山には危険が伴うものであることを認識して、十分注意して楽しい山登りにしましょう。




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