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四葉のクローバーの幸せ

 四葉のクローバーはその姿から、十字架を意味し、幸運をもたらすと言われています。

 一枚一枚が名声、富、満ち足りた愛、素晴らしい健康をそれぞれ意味していて、四枚そろって真実の愛だと言われています。

 花言葉は、「わたしのものになって」だそうです。

 

 

 彼と付き合うと幸せになれる。

 クローバーマンと呼ばれる大学生が居た。

 彼は何処にでも居る普通の大学生の様に思われたが、彼と付き合った女性は皆、その後に素敵な男性とめぐり合えた。

 その実績が彼をもてさせた。

 彼の傍には常に彼女にして欲しいと女性が集まり、彼と付き合って別れた女性はお礼をくれる為、女にも金にも困って居ない幸せな人間と誰もが思っていました。

 そんな彼が死んだ時、誰もが驚きました。

 一番に疑われたのが、彼と付き合いを断られた女性達でした。

 そして次に彼女を取られた男性。

 彼の幸せを妬む人は、たくさん居ました。

 しかし、彼の部屋から遺書が見つかり、自殺と解ると誰もが首を傾げました。

 幸せな筈の彼がどうして自殺しなければいけないのか?

 誰もが不思議がりました。

 身寄りも無い彼の遺骨は、一番最初に彼と付き合って、今は子持ちの人妻の女性の所にやってきました。

 正直、彼女はどうしてと思いながらも、彼の力で幸せになったので渋々、遺骨と彼の遺書を受け取りました。

 そして遺書を読み彼女は言葉を無くしました。

 彼女の夫は、クローバーマンと呼ばれた彼と親友だった男性は、その手紙を読んで真剣な顔をして答えました。

「あいつは君の事を本当に愛していたんだよ。結婚式当日、俺の襟を掴んで言ったよ、『幸せにしなかったら絶対ゆるさないぞ』って。あいつは、好きな女性の為に常に一生懸命だったんだ」

 女性は何もいえない顔で夫の顔を見る中、彼女の夫は続ける。

「あいつと付き合った女性は素敵な男性と巡り会う訳じゃ、無いんだ。あいつが自分の愛した女性を幸せにする男以外には、絶対引かなかった。そして運が悪い事に、相手の女性が好きになる男達は女性を幸せにする男が多かった。それだけだったんだよ」

 クローバーマンの遺骨を受け取った女性は、夫にすがりつき涙を流した。

 

 

『僕は、四葉のクローバーになりたかった訳じゃなかった。多くの女性と付き合いたい訳でも無い。お金が欲しかった訳でも無い。ただ愛した女性と一緒に居たかっただけなんだ。僕は人を幸せにする四葉のクローバーでは、無く、自分の幸せを掴む普通のクローバーに生まれたかった。四葉のクローバーの花言葉、「わたしのものになって」は、皮肉にも僕の本心だ。そしてそれは、ただの願望でしかなく、叶わぬ願いだった。もし生まれ変われるのだったら、今度は普通のクローバーに生まれて来たい』

あとがき

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