|
『大腸癌が増えている』
27才の男の方の大腸癌が、私共の医院で発見されました。最近のことです。親一人子一人の方で、「大腸癌だから直ぐ手術をしなければなりません。」と、そっと母親に告げた時のお母さんの驚き振りは、筆舌に尽くせませんでした。「まだ独身なのです。親の私よりどうして先に・・・・。」 この4月には39才の主婦が大腸癌でした。手術をすることになりましたが、子供がまだ幼稚園児だと言うことです。何とお気の毒なことでしょう。4月には私共の医院だけでも3名の大腸癌が見つかっております。昔は癌といえば胃癌が大部分で、大腸癌は少なかったものですが、この頃は欧米並みに、大腸癌が多くなってきているのです。どうして大腸癌が増えてきているのでしょうか。そういえば最近は風邪をひいても直ぐに下痢をする人が多くなりました。昔は風邪と言えば咳が出たり、咽喉痛があったり、熱が出て体中が痛んだりするのが普通だったのに、最近は下痢をする人が多くなっているのです。どころか、普段の時に一日に2回も3回も柔らかい排便をしている人が多く、驚いたことに、それが当たり前だと思っている若い人が多いのです。アトピ−性皮膚炎の子供も多くなったし、花粉症などと言うものは昔は聞いたこともありませんでした。(精進料理を食べているお坊さんには、杉林の中に居ても花粉症は無いそうです。)どうしてでしょうか。私共の近くに石屋さんがおりまして花粉症に悩んで居たのですが、比叡山に研修に行き、精進料理を食べ続けて居たところ、あれ程悩んでいた花粉症が全く治ってしまったそうです。ところが、また家に帰ってきて普通の食事になったところ、たちまち花粉症が再発したそうです。私共年配の者も、今の若い方も同じ日本人です。人種が変わったわけでも無いのに、昔と今とでは どうしてこうも病気がかわってきているのでしょうか。 結論からいえば、昔と今とでは食物が全く変わって来ているからなのです。昔は、おかずはほとんど野菜や豆類などでした。卵は時々食べられましたが、お肉や魚類は、お祭りの時とか、お客に行った時とか、旅行の時くらいしか食べられなかったものです。今の食生活は私共から見れば毎日が御馳走で、毎日お客さんのようです。もっともお坊さんは昔ながらの日本食ですが。そう言えば職業別の長寿番付のトップはお坊さんでして、90才以上の方が沢山おられます。昔からお坊さんは長寿でした。野菜、豆類、穀物だけでも栄養失調にならない証拠です。 1977年、アメリカ上院栄養問題特別委員会(マクガバン委員会)が5000頁を越えるレポートを発表しました。これはアメリカでも近年医療費が膨大なものになって来たのでなんとか病気を減らせないかと巨額な費用を投じて研究し、その結果を報告したものです。それによりますと、現代病と言われる脳卒中・心臓病・癌などは、今の高蛋白・高脂肪・高砂糖食など、間違った食生活が原因になっていると結論されました。 何年か前に、NHKスペシャル、「ジャパニーズ・フード・アズ・ナンバーワン」(世界一の日本食)外国人が見た日本食・日本人は日本食を食べているか、と言うテレビ放送がありました。日本の山村で昔ながらの日本食を食べている老人が、80才を超えても元気で畑仕事をしているのに、現代風の食物を食べていたその老人の子供が先に死亡している、と言うのもありました。昔の日本料理の方が、健康にはずっと良いのだと言うことでしたが、残念なことに、今の日本人はその日本食の習慣を捨ててしまっていると言っていました。これはマクガバン委員会の結論とおなじことなのです。お肉や魚類は、山海の珍味として食べているくらいなら良いのですが、動物性食品が主食で、野菜や豆類、穀物などが副食のようになっている、今の日本の若い人達の食生活では健康が保てない道理なのです。事実、親一人子一人の方は、肉ばかり食べていて、野菜や豆類は殆ど食べなかったそうです。一人っ子の可愛さで、好きな物ばかり食べさせていたと、お母さんが話していました。 もともと人間は草食動物なのです。猿と同じなのです。歯を見ればわかるように、肉食動物の歯は、犬や猫やライオンのように尖っていますが、草食動物の歯は、馬や羊や猿のように、平らな歯と穀物をかみ砕く臼歯です。人間の歯は、草食用が28本、肉食用が4本です。消化液も草食動物と肉食動物とでは違うのです。腸の長さだって草食動物の方がずっと長いのです。歯の数が教えてくれるような割合で、植物性食品と動物性食品を食べるのが自然ではないでしょうか。 肉食動物ではない人間が、肉食動物に近いような食生活をする限り、現代病が増え続け、腸の病も増え、大腸癌も増えるのです。若い人に大腸癌を発見したとき、実に胸が痛みます。草食だけでも、お猿さんに栄養失調はないのです。ゴリラやチンパンジーが栄養失調になったのを聞いたことがありません。また、毎日牛乳を出している牛が、骨粗鬆症になって骨が折れてしまったと言うのを聞いたこともありません。それは、草の中にもカルシウムだって充分あるのですから。最近の研究では、植物性食品には、癌やアレルギーや動脈硬化症、その他沢山の病気の原因と言われる活性酸素(フリーラジカル)を無毒化する成分が色々含まれていることが分かって来ました。野菜、豆類、穀物、種類などには病気を予防する成分か一杯あるのです。日本の食事には、もともと病気を抑える働きがあったのです。 外国人に言われるまでもなく、世界一と言われる日本古来の食生活をもう一度見直し、取り戻したいものだと思います。
『国際癌予防15ヵ条』 (1)食事 主に植物性の食物を選ぶ (2)休重維持 BMI(標準体重)を18.5から25に維持し、成人になって5キロ以上体重を増やさない (3)運動の維持 一日1時間の活発な歩行、特に週最低一時間の激しい運動 (4)野菜・果物 豊富な種類の野菜・果物を1日400から800g食べる (5)他の植物性食品 豊富な種類の穀物・豆類・根菜類を一日600から800g食べる (6)アルコール飲料 勧められない。飲むならば、男性は一日2杯以下、女性は一日1杯以下にひかえる。 1杯はビール250ml、ワイン100ml、ウイスキーなどは25ml相当 (7)肉(牛、豚、羊) 一日80g以下 (8)全脂肪 動物性脂肪食品の摂取をひかえ、植物性脂肪を適度に摂取する (9)食塩 成人は一日6g以下。調味料にはハープやスパイスを使う (10)貯蔵 カビ毒汚染の可能性のある長期貯蔵の食品は食べない (11)保存 腐敗しやすい食品は冷蔵保存する (12)添加物・残留物 適切な規制下では問題ない (13)調理 焦げた食品は食べない (14)栄養補助食品 勧告の他項目に従えば摂取不要 (15)タバコ 吸わない 「世界癌研究基金とアメリカ癌研究財団による」 |