☆ 輸液 ☆l8

目的
@体液を正常な状態に保つ⇒水・電解質平衡、酸塩基平衡
A栄養補給⇒エネルギー源・体液の構成成分
B血管の確保⇒薬剤投与ルートの確保

体液の区分と機能と組成
人間の体の約60%は水分。残りは脂肪や筋肉や骨などの固形成分から組成されている。
この生体中の水分を「体液」と呼ぶ。
体液量は年齢・性別などにより変化する。
小児では体重あたりの水分が70〜80%と多く、高齢者や皮下脂肪の多い女性ではその割合が約50%と少なくなっている

体液は細胞内液に40%、組織間液に15%、血漿に5%分布している。
⇒細胞内液が外液の2倍あるのは重要な意味をもっていて、細胞外液(循環血液)が減少した時にも、細胞内液が細胞外に移動して補うリザーバーとしての役割を果たしている。
細胞内液エネルギー産生や蛋白合成など代謝反応に関係している。
細胞外液循環血液量を維持し、栄養素や酸素を細胞へ運搬したり、老廃物や炭酸ガスを細胞外に運び出す役割をしている。

体液の電解質組成が細胞の内と外で著しく異なるのは、細胞を包んでいる細胞膜が細胞内外の電解質の移動を制御しているため。
細胞内液にはKイオンやHPO4イオンが多い。
細胞外液ではNaイオンやClイオンが主な電解質。




浸透圧
細胞膜で隔てられた濃度の異なる2液間で濃度が低い方から高い方へ移動する力を「浸透圧」と呼ぶ。
体液(血漿)の浸透圧は「285±5mOsm/l」に保持されている。
等張液⇒血漿の浸透圧に等しい。水の移動がない。
低張液⇒血漿の浸透圧よりも低い。細胞内に水分が入る。
高張液⇒血漿の浸透圧より高い。細胞内から水分が出る。


等張電解質輸液
電解質の浸透圧が体液とほぼ同じであるので、投与した輸液は細胞内へは移動せずに、細胞外に分布して細胞外液量を増やす血管内や組織間に水分・電解質を補給できる
生理食塩液・リンゲル液・乳酸リンゲル液などがある。
@生理食塩水(Na+154、Cl-154)
0.9%の食塩液で、血漿中の電解質のうち、陽イオンをすべてNa+に陰イオンをすべてCl-に置き換えた組成
A乳酸リンゲル液(Na+130、K+4、Ca2+3、Cl-109、Lactate28)
血漿によく似た電解質組成を有する輸液で、Na+・K+・Ca2+・Cl-と体内でHCO3-になる乳酸イオンを含有している
ラクテック・ラクテックD(Dextroseブドウ糖)・ラクテックG(Glucitolソルビトール)
適応1)外科的ストレスによる細胞外液減少、2)急性的な異常喪失による細胞外液の減少、3)無尿・乏尿の改善、4)末梢循環不全・中毒症によるアシドーシスの改善、5)血液性状の改善

低張電解質輸液
体液より電解質濃度が低い輸液。実際にはブドウ糖を配合して浸透圧を等張しているが、ブドウ糖は代謝されると水になるので、結果的に体液により浸透圧の低い液になる。そのため、低張電解質液は細胞内液を含むからだ全体に水分を補給することができる。1〜4号液まである。番号が大きくなるにしたがい、電解質濃度が低くなっていく。
@1号液(開始液) ソリタT1など
K+を含んでいないのが特徴緊急時など病態不明時の水分・電解質補給の第一選択として用いられる。
A2号液(脱水補給液) ソリタT2など
細胞内に多い電解質(K+・Mg2+・P)を含むのが特徴。利尿がついた後の低カリウム血症や細胞内電解質が不足する脱水に用いられる。
B3号液(維持液) ソリタT3など
水分・電解質の1日必要量が組成の基準になっている。経口摂取不能または不十分な患者の水分・電解質の補給と維持に用いられる。
C4号液(術後回復液) ソリタT4など
電解質濃度が最も低く、水分の補給を目的とした輸液。腎機能の未熟な新生児や腎機能が低下している高齢者や術後早期の患者に用いる。



輸液の投与量
輸液量=維持輸液+補充輸液+欠乏量輸液
維持輸液⇒「尿量+不感蒸泄量−代謝水」 生理的必要量の補充。平常時は尿量+700ml
補充輸液⇒輸液中の異常喪失に対する補充
欠乏量輸液⇒輸液開始までの欠乏量に対する補充。
*カリウムは心機能への影響が大きく、高カリウム血症では心停止を起こすおそれがあるので、慎重に投与する必要がある。