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植物生理機能学

   植物の機能と構造の特徴   植物細胞の特性   光合成
   水の輸送   物質輸送   植物ホルモン


<植物の機能と構造の特徴>

1.機能

  基本元素…C、N、S、O、H     多量必須元素…H、C、O、N、K、Cu、P、Mg、S
  溶液…K、Ca、Mg、Cl、Na     微量必須元素…Cl、Fe、Mn、Mo、Zn、B、Cu
  補酵素…Fe、Mn、Mo、Cu、Zn

  37億年前  生命誕生
   ↓ 化学合成独立栄養細菌
  35億年前  光合成細菌…H₂S利用
  27億年前  H₂O分解型光合成…原料の制約なし→O₂↑
     嫌気的→好気的  O₂=毒性物質→酸素呼吸(従属栄養細菌)
     Fe→酸化鉄 ⇒沈殿し、鉄鉱石


2.構造
  
  根、茎、葉…3つの器官
   根――従属栄養  メリステム(分裂組織)――茎頂(茎端)、根端
   表皮、基部組織(基本組織)、維管束
  原形質連絡…分子量<800〜900(糖、アミノ酸、ヌクレオチド)←代謝中間体
   シンプラスト輸送――師管、C4光合成(CO₂ポンプ)
   アポプラスト輸送――導管    アポプラスト=細胞間、細胞壁内





<植物細胞の特性>

1.細胞壁

・成分 
  炭水化物90%…セルロース、ヘミセルロース(側鎖)、ペクチン
  タンパク質10%

  フェニルプロパン→リグニン…二次壁に沈着(木化)

・機能
  細胞膨圧、植物体の構造維持


2.液胞
  
・膨圧の維持
  ミネラル蓄積→浸透圧→吸水→膨圧(形態維持、伸張成長)
  液胞膜――水チャネル

・空間充填
  少ない細胞質で大きな(省資源)
  細胞質…タンパク質が多い→Nが多量に必要

・貯蔵
  無機イオン…Na、K、Ca、Mg、Cl、NO3、SO4、PO4
  有機物質…アミノ酸、糖(果実)、有機酸(レモン)、タンパク質

・pH、イオン濃度の制御
  H-ATPase、Hイオン輸送性ピロホスファターゼ

・隔離、解毒
  NaCl、重金属、有害化学物質

・分解
  加水分解酵素…プロテアーゼ、グリコシダーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ
  老廃物→分解→リサイクル、他の組織で再利用

・着色
  アントシアン(青〜赤紫)
  
・防御
  フェノール化合物、アルカロイド、プロテアーゼ阻害剤→昆虫、動物
  キチナーゼ、グルカナーゼ→細菌、カビ

・自己崩壊
  細胞死→空間形成(導管、仮導管)


3.色素体(プラスチド)
  ラン藻 細胞膜→内胞膜
      外膜→外胞膜
  半自律的分裂、半自律的増殖、母性遺伝、逆位反復配列

・葉緑体
  CO₂同化、デンプン合成、NO₃同化(NO₂以降)、SO₂同化
  アミノ酸合成、脂肪酸合成、プリン・ピリミジン合成

・白色体
  アミロプラスト…デンプン合成・貯蔵、平衡石、重力屈性(根=正、茎=負)
  ロイコプラスト…かんきつ皮、香り(モノテルペン)  

・有色体
  カロチノイド(β-カロチン+キサントフィル)


4.ミクロボディー
  
  パーオキシソーム(葉緑体)
  グリオキシソーム(種子)…脂肪酸分解





<光合成>

1.光の利用…伝達、電子の流れへの変換

  クロロフィルa:b=3:1     反応中心クロロフィル=a
   LHC-侠a、b  CP47、43→a
   光化学系喫9臑裏a   光化学系曲9臑裏a

  光合成で作られる糖
   トリオース(三単糖)リン酸、ヘキソース(グルコース)
   ショ糖(グルコース+フルクトース)→輸送  デンプン→貯蔵  セルロース


2.同化

・炭酸同化
  リブロース1,5-二リン酸+CO₂→C6中間体
  C6中間体+H₂O→2×3-ホスホグリセリン酸(PGA)
  PGA→グリセルアルデヒド3-リン酸(GAP)→ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)
  GAP+DHAP→フルクトース1,6-二リン酸→フルクトース6-リン酸
     →グルコース6-リン酸→グルコース
               →グルコース1-リン酸→ADP-グルコース→デンプン

  C5+CO₂→C3×2…CO₂を固定するためにC5が大量に必要
  C3×5→C5×3…還元的ペントースリン酸回路、カルビンベンソン回路、C3回路

  二糖(ショ糖)――輸送形態、溶解度高い→他の器官への輸送
  デンプン――貯蔵形態、溶解度低い

・硝酸(窒素)の同化
  NO₃+NADH+H→NO₂+NAD+H₂O
  NO₂+6Fd.red(還元型フェレトキシン)+8H→NH₄
  NH₄+ATP→グルタミン酸

・硫黄の同化
  SO₄→SO₃→S(H₂S)  o-アセチルセリン→システイン





<水の輸送>
  
  水…導管→葉肉細胞→細胞間の空間→外気
   水ポテンシャル――常圧、純粋=0メガパスカル
    浸透ポテンシャル(−)   マトリックスポテンシャル(−)
    圧ポテンシャル(+、−)  重力ポテンシャル

  気孔
   細胞膜H-ATPase…Hイオン排出
    Kイオンチャネル…Kイオン流入(Cl流入、リンゴ酸合成)  水→孔辺細胞へ
   CO₂↓→開  CO₂↑→閉
   乾燥→ABA→開  青色光→開
   
   要水量(蒸散係数)…1g乾物の生産に必要な水の量
    450〜950g(C3型植物)
   水…蒸散(99%)、膨圧維持・細胞伸張(1%)、光合成(0.1%)





<物質輸送>

1.師管
  
  ショ糖――0.6〜1.5M、1m/h
   ソース(光合成器官)→シンク(果実、根、発達中の葉)
   ショ糖トランスポーターの発現抑制(アンチセンスRNA法)→植物体の小型化
  
  スクロース…アポプラスト経由の積み込み
  ラフィノース、スタキノロース…シンプラスト経由の積み込み(ウリ科)


2.膜を介した物質の輸送

・生体膜の通過性
  脂質二重層のみの透過性[μm/s]
   CO₂=3500  H₂O=2.36  Glc=0.00001

・輸送体(トランスポーター、トランスロケーター)の種類
  基質の種類と輸送の方向
   1種類の基質…単一輸送
   複数種類の基質 同一方向…共輸送
           反対方向…対向輸送
  エネルギー的観点
   拡散などを利用…受動輸送
   エネルギーによる輸送…能動輸送
    1次能動輸送
     Hイオンの能動輸送…電子伝達に共役したHイオン輸送(ミトコンドリア、葉緑体)
      H-ATPase――P-type(植物、酵母の細胞膜)、V-type(液胞膜)、F-type(ミトコンドリア、葉緑体)
      H-PPase(ピロホスファターゼ)――液胞
     H以外の能動輸送…P-type ATPase(Ca、Na/K)、ABC輸送体
    2次能動輸送…1次能動輸送によるHイオンの濃度勾配を利用





<植物ホルモン>

1.オーキシン

・生理作用
  細胞分裂の促進、細胞伸張の促進、不定根形成の促進、頂芽優性
 
・構造
  天然…インドール酢酸、インドールアセトニトリル
  人工…1-ナフタレン酢酸(NAA)、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)
 

2.サイトカイニン
  
・生理作用
  細胞分裂の促進、葉緑体分化促進、葉の老化阻害、腋芽成長促進

・構造
  天然…ゼアチン、イソペンテニルアデニン、ゼアチンリボシド
  人工…カイネチン、ベンジルアミノプリン


3.ジベレリン

・生理作用
  細胞伸張(節間伸張)→草丈の調節
  発芽促進、単為結実、花芽形成促進

・構造
  植物…ジベレリンA1(GA1)、ジベレリンA8(GA8)


4.エチレン

・生理作用
  果実の形成促進、器官脱離促進(落葉など)、茎の伸張阻害、肥大化促進
  Triple response…子葉の強い湾曲、短く太い胚軸、短い根


5.アブシジン酸(ABA)
  
  水ストレス応答、種子休眠