CONCERTS FOR THE PEOPLE OF KAMPUCHEA
[カンボジア難民救済コンサート]

      
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収録曲
1.Now I'm Here (Queen)
2.Crazy Little Thing Called Love (Queen)
3.Armagidon Time (The Clash)
4.Brass In Pocket (The Pretenders)
5.Every Night (Paul McCartney & Wings)
6.Coming Up (Paul McCartney & Wings)
7.Monkey Man (The Specials)
8.The Imposter (Elvis Costello & The Attlactions)
9.Three Time Loser (Rockpile)
10.Little Sister (Rockpile with Robert Plant)
11.Sweet Gene Vincent (Ian Dury & The Blockheads)
12.Hit Me With Your Rythm Stick (Ian Dury with Blockheads)
13.Sister Disco (The Who)
14.Behind Blue Eyes (The Who)
15.See Me Feel Me (The Who)
16.Lucille (Rockestra)
17.Let It Be (Rockestra)
18.Rockestra Theme (Rockestra)
 

 

 

      
公開1979年
キャストポール・マッカートニー&ウイングス [ポール・マッカートニー(vo,b,p)、リンダ・マッカートニー(key)、デニー・レイン(g,key)、ローレンス・ジュバー(leadg)、スティーヴ・ホリー(d)]
ザ・フー [ピート・タウンゼンド(g)、ロジャー・ダルトリー(vo)、ジョン・エントウィッスル(b)、ケニー・ジョーンズ(d)]
クイーン [フレディ・マーキュリー(vo,g)、ブライアン・メイ(leadg)、ロジャー・テイラー(d)、ジョン・ディーコン(b)]
クラッシュ [ジョー・ストラマー(vo,g)、ミック・ジョーンズ(g)、ポール・シムノン(b)、トッパー・ヒードン(d)]
エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ [エルヴィス・コステロ(vo,g)、ブルース・トーマス(b)、スティーヴ・ナイーブ(key)、ピート・トーマス(d)]
イアン・デューリー&ブロックヘッズ [イアン・デューリー(vo)、ミッキー・ギャラガー(key)、チャーリー・チャールズ(d)、ノーマン・ワット=ロイ(b)、ジョニー・タンブル(g)]
ロックパイル [デイヴ・エドモンズ(vo,g)、ニック・ロウ(b)、ビリー・ブレムナー(leadg)、テリー・ウィリアムス(d)]
ロバート・プラント
プリテンダーズ [クリッシー・ハインド(vo)、ジェイムス・ハニーマン・スコット(g)、ピート・ファーンドン(b)、マーティン・チェンバース(d)]
スペシャルズ[テリー・ホール(vo)、ジェリー・ダマーズ(key)、ネヴィル・ステイプルズ(vo)、リナヴァル・ゴールディング(g,vo)、ローディ・レディエイション(g)、サー・ホーレス・ジェントルマン(b)、ジョン・ブラッドベリー(d)]
ロニー・レイン
ジョン・ポール・ジョーンズ
ジョン・ボーナム
ゲイリー・ブルッカー
トニー・アシュトン
手持ちのVTブート盤(公式盤未発売)
購入時期1997年暮


解説
 1979年12月26日〜29日にロンドンのハマースミス・オデオン劇場で行われたチャリティ・コンサート。当時世界的な問題となっていたカンボジア難民を救済することを目的に、ポール・マッカートニーと国連の協賛という形で行われ、ポールのウイングス他、ザ・フーやクイーンといったベテランのみならず、当時はそうした「オールド・ウェイヴ勢」とは相容れない存在と思われていたクラッシュやコステロといったニュー・ウェイヴ勢も参加、世代を超えて幅広いアーティストが参加する大イベントとなった。チャリティ・コンサートとしては同じ元ビートル、ジョージ・ハリスンによる バングラデッシュ・コンサートに遅れをとる形にはなったが、きらびやかな空気や参加メンバーの豪華さなどの点から見ると、80年代以降に盛んに行われるようになる多くのチャリティ・コンサートの原形は、むしろこちらにあるといえるかもしれない。

  とはいえ、開催後にライブ・アルバムこそ発売されたものの、映像の方は各国のテレビで何度か放映されたのみで、映画化も、映像作品化もされず、ビデオやDVDとしても現在のところ未発売のまま。ライブ・アルバムの方もCD化されたことはなく、今ではレア・アイテムと化しているし、ジョージの「バングラデッシュ」と比較すると、話題にのぼる機会も少ない。日本では1981年になって、NHKの「ヤング・ミュージック・ショー」の枠で 放送されており、私の手元にあるのは、その模様をそのまま録画したと思われるブート・ビデオ。一刻も早い映像ソフト化が待たれるところである。


派手好き男の意地、だけど目立つのは・・・
 ジョージに「バングラデッシュ」で大規模なチャリティ・コンサート開催という点において先を越されたポールは悔しかったに違いない。といっても、「ジョージがチャリティ・コンサートをやる」と聞いたポールの最初の反応は、むしろ否定的だっただろう。もともと「音楽で社会に何かを訴える」ことには消極的な人だったから(70年代当時は)。だけど、実際に行われた「バングラデッシュ」の映像を見て、 その趣旨やなんかよりもむしろ、あの派手で豪華な内容に嫉妬したのではないだろうか。ああ、俺もあんな場所の真ん中にいられたら、いや、むしろ俺の方があの位置にふさわしいはずだ・・・(笑)。こんなことをいうと、「そんなにポールを嫌味な奴に仕立てたいのか?」っていう突っ込みもきそうだけど、でも、ポールをチャリティや社会的活動に掻き立てるものがあるとすればやっぱり、「派手で目立てる」ということが第一にくるんじゃないかなあ。 良くも悪くも、ポールという人の根本にあるのは、「カッコよくありたい」「目立ちたい」って気持ちのはずだから。時代は1970年代後半、バングラデッシュの頃よりもロックがエンターテイメント化、商業化している時代ではあるけど、それを抜きにしても豪華さ、ハデハデしさでは数段上回っているあたりは、むしろポールとジョージの性格や資質の違いかもしれない。

  だからこの企画を国連から持ちかけられた時のポールの嬉しさはハンパではなかっただろう。そして張り切って、当時はまだ垣根があったはずの、ニュー・ウェイヴの連中まで引っ張り出してきた。最後にはアルバムBACK TO THE EGGで実現したスーパー・セッション、「ロッケストラ」まで再現してみせる。本当に派手好き、乗りやすい性格のポールらしい。とはいえ、多くの「ビートルズ信者」系の本では「この大イベントの中心にいたのはやはり、ロック界の中心たるポールであった」という締め方をされることの多いイベントではあるけど、 実は「ポールが目立ちまくる」という印象は私には全くない。むしろコステロやイアン・デューリーなどの、当時が全盛期ともいえるニューウェイヴ、パブ勢の元気さが目立つこと、エンターテイメントなライブ・バンドとしてはウイングス以上に脂の乗っていたクイーン、そしてキース・ムーンの死を乗り越えて再始動したてのザ・フーのハイテンションなパフォーマンスが他を圧倒していること、それらによってむしろ本来の主役であるはず、ビッグ・ネームであるはず、他を圧倒する存在感を放っていても不思議のないはずのポールが、むしろ霞んで見えるというのが正直な感想。 ロッケストラですら、ただひとり揃いのスーツを着ずに、輪の中心で腕を回し、ジャンプしまくってギターを弾いているピート・タウンゼンドの方が目立って見える。というわけで、確かに輪の中心にいるはずのポールだけど、決して「圧倒的な存在感」「最も目立つ絶対的存在」とはなっていないのが面白い。

  とはいえ、「ビートルズ一穴主義者」にとっては残念かもしれないが、私のようなロック・ファン、しかもオールド、ニュー、両方の「ウェイヴ」を受け入れることのできるファンにとっては、だからこそ「見て楽しい映像」になっている。当時スティッフのパッケージ・ツアーでイギリス全土を熱狂させて乗りに乗っていたパブ勢、コステロ、イアン・デューリー、ロックパイルの全盛期のパフォーマンス、クイーンとザ・フーの素晴らしいパフォーマンスが見れる、そしてロッケストラ、こんな贅沢な映像作品はなかなかない。 そして「両方のウェイヴ」の顔触れが揃っているというのは、まさに1979年という時代においては奇跡的だし、ロックパイルやイアン・デューリーの動いている映像自体が貴重だし。それを思えば、見て楽しいだけではなく、貴重な映像でもあるというわけ。だから「ビートルズ、ポール絡みのアイテム」として語られがちなアイテムではあるけれど、実はパブ・ロックやザ・フーのファン、いや、すべてのロック・ファンが楽しめる映像とはいえないだろうか。もちろん、ポールやビートルズのファンにとっては、珍しい最終期メンバーによるウイングスのライブ、しかもウイングス最後のライブ(年明け早々の来日時のゴタゴタでウイングスは自然消滅)の見れる映像、という楽しみもあることはあるけど。

  しかし、だからこそビデオ、DVDとして一度も商品化されていないのが悔しい。ここで紹介するのは先も述べた通り、NHKの「ヤング・ミュージック・ショー」で放送された映像をそのまま録画したものと思われるブート・ビデオ。よって「ユニセフの連絡先、募金の振込先」とか、時報とか、センスの悪い当時の訳詞などの放送された時の字幕がそのまま出ていたり、アーティストの映像の順番が実際のステージへの登場順とは全く違っていたり、まだ「音声多重放送」がはじまって間もないため、音はステレオではないとか、時代を感じさせるストップ・モーションなどを多用した映像効果がウザかったり、、 各アーティストの曲数が少なすぎたり、など不満を挙げればきりがなく、「商品化されれば、もっとちゃんとした形で見れるだろうに」と悔しく思う。商品化されないのは、複数のアーティストが登場する分、権利関係が複雑なのか、それともポールがピートに食われている分、悔しいからポールが商品化を許さないのか、真相は不明だけど、ぜひ商品化して欲しいアイテムである。


神々しいばかりのエンターテイメント・ショー
 映像はいきなりクイーンのNow I'm Hereの演奏シーンからスタート。赤いレザー・パンツに上半身裸、お馴染みの短いスタンド・マイクを振り回し、ステージ上を激しく動き回って熱唱するフレディ・マーキュリーの姿が神々しいばかり。ジョン・ディーコンの坊主のような短い髪型には個人的には違和感があるが。後半、ブライアン・メイのギター・ソロが炸裂すると、 時代を感じさせる、ストップ・モーションやコマ送りを多用した妙な映像になる。私たち世代から見れば「ベストテンみたい」って感じがするけど、今見ると古めかしく見えるのが悲しい。歌い終わるとフレディはアコースティック・ギターを抱える。当時の最新ヒットCrazy Little Thing Called Love。公式テイクのようにクールに抑えて歌うのではなく、シャウト交じりに歌われている分、この曲のロカビリーっぽさがより引き立っている。間奏のギター・ソロの後のパートを 観客に歌わせたり、エンディングにブライアンのギター・ソロを加えたり(Killer Queen風のフレーズも)と盛り上げているあたりもよい。79年のクイーンといえば、80年代以降はそれまで排してきたシンセを導入したり、ダンス・ミュージックに傾倒したりと、サウンドを変化させるわけだけど、ライブ・バンドとしてはよりエンターテイメント性を追求して、ゴージャスなステージを演出するようになりはじめた時期。というわけで、ある意味、ライブ・バンドとしては全盛期、円熟期にあったといってもよい。 適度にアグレッシブで、それでいて「自分たちの見せ方」も心得た、最高のパフォーマンスである。番組のオープニングとしてはふさわしい、反面、飾り気のないライブが売りのパブ・ロック勢やニュー・ウェイヴ勢の中にあっては異色で浮いて見えなくもないのも正直なところ。とはいえパンク登場以降、「飾り気のない、シンプルなライブ演奏こそ美徳」とされていた当時のロック・シーンにおいて、ここまでハデハデに、とことんエンターテイメントを貫かれると、 逆に「参りました」といいたくなるというものだし、潔く思われる。なによりフレディの唯一無二の存在感は、誰にも文句の付けようのないものである。晩年と比べるとまだスリムだし(笑)

  映像が切り替わると、クラッシュが登場、シングルLondon CallingのB面収録のArmagidon Timeの演奏シーンとなる。「終末」を連想させる歌詞を、淡々としたメロディとレゲエのリズムに乗せて、クールに歌うジョー・ストラマー。ステージ上を照らすライトも、終始ジョーひとりを照らし続けているし、カメラもひたすら淡々とジョーのアップを映し続ける。ミックとポールに至っては一度もアップがない。はじめて見た頃は、「せっかくのクラッシュのライブ映像なのに、なんでジョーひとりのアップばかりなんだ?」って、 物足りなく思ったし、派手なナンバーも多いクラッシュなのに、何でこんな地味な曲なんだ? という不満もあったのは事実。実際、クラッシュといえば、個人的にはヴィジュアル的には最も憧れるバンド、全メンバーの姿をもっとじっくり見たいと思ったし、もっとパンキッシュな曲の演奏シーンの方が、彼ら本来のエキサイティングなパフォーマンスが見れるのに、という想いもあったから。でも、選曲はチャリティのテーマを思えば、これ以上ないほどピッタリ。そしてこの曲の場合、 その淡々とした曲調を思えば、ジョーひとりを執拗に追った映像はむしろピッタリといえよう。事実、絶望的な歌詞をクールに歌うジョーの存在感は確かに感じることができる。


これこそが完成バージョン、Every NightとComing Up
 続いてプリテンダーズ。オリジナル・メンバーでファースト収録のBrass In Pocketを演奏。後年は「クリッシー・ハインドとそのバック・バンド」的なバンドと化していくけど、こちらで述べた通り、オリジナル・メンバー期のプリテンダーズはまだバンドとしてまとまっているのが分かる。 もちろん、クリッシーの歌いっぷりはクールで貫禄たっぷりだけど、他の3人が堅実な演奏でバック・アップ、特にギターのジェームス・ハニーマン・スコットとドラムのマーティン・チェンバースが光っている。しかし、この時代に流行った、ブレたような映像効果はむしろ邪魔、見づらいのが残念。

  続いて、早くもウイングスの登場となる。本来「主役」であり、本当は最終日のトリだったはずのウイングスの映像がこんなに早く登場してしまうこと、それもまた「ポールの影が薄い」印象を受けてしまう要因かもしれない。選曲が渋いこと、そしてジミー・マッカローとジョー・イングリッシュのいた全盛期のライブではないことも大きいかもしれない。とはいえ、この最終期メンバーによるライブ映像は貴重だし、 日本のファンにとっては翌1980年の1月、まさにこの日のライブの直後に幻に終わってしまったウイングスの来日公演のことを思えば、複雑な想いの残る映像だったかもしれない。ここでのポールは1976年のROCK SHOWの頃よりも若々しく見える。髪が短くなったせいか? 最初に演奏されるのがビートルズ解散後の初ソロMcCARTNEY収録のEvery Night。アコースティックでさりげない、ポールらしい佳曲だけど、ここではバンド編成の演奏、ポール、リンダ、デニーに、ドラムのスティーヴ・ホリーまで加わってのコーラス・ワーク、 ポールの重く、メロディアスなベース(ギターはデニーとローレンス)、そして公式テイクのようにあっさりフェイド・アウトして終わったりせずにローレンスのギター・ソロが入って、その後に延々アドリブのコーラスが続くアレンジなど、「実はMcCARTNEY収録バージョンはデモで、こっちが完成バージョン」といわれても疑いが持ちようがないほど出来がよい。なにより、I wanna be withという公式テイクにない一節とか、エンディングのevery nightのひとこととか、本当に何気ないアドリブまでもが心地よく感じられる。 正直、McCARTNEY収録のこの曲しか聞いたことがないすべてのポール・ファンに聴いて欲しいと声を大にして言いたい、それほど素晴らしいバージョンである。


  ここでポールのMC、座りっぱなしの観客に対して「お尻が痛いだろう、さすってあげよう、さあ、立ち上がって」と呼びかける。この辺の盛り上げ方はさすがだ。そしてはじまるのがComing Up。この曲はご存知の通り、翌1980年発表のMcCARTNEY IIからシングル・カットされてヒットするナンバーだけど、実はこの曲はウイングスの新曲として作られ、1979年のツアーでは既にウイングスで演奏されていた。McCARTNEY II収録テイクは、テクノ・ポップ、当時のダンス・ミュージック風のナンバーに仕上がっていたけど、 ここで聴けるバージョンは軽快なポップ・ロックといった感じで、テンポも早く、ポールのボーカルも終始シャウト・スタイル。「ポップなポール信者」の人たちには評判がよくないらしいけど、私はこっちの方が数段よいと思う。デニーはキーボードに回っているので、ギターはローレンスひとり、例のリフを弾いている。そしてポールのベースは唸りまくり、ところどころでアドリブも交えて弾きまくってる。本当にこの人のベースは凄い。しかもボーカルは公式テイクと違う、シャウト・スタイルなんだから驚き。いつも言われていることだけど、 こんなにシャウトしながら、あれだけ派手なベースを弾けるなんて・・・。この曲もMcCARTNEY II収録の公式テイク、1989年〜1990年のツアーで演奏されたダンサブルなアレンジのテイクなど、様々なテイクがあるけど、このウイングスによる「ロック・バージョン」がベスト・テイクだと断言したい。

  というわけで「主役なのに地味」とは述べたけど、演奏は決して悪くないし、最終期のメンバーによる、最後のウイングスの姿、選曲も貴重と見どころ、聴きどころは確かにある。とはいえ、やはりROCK SHOWなどの「エンターテイメントの極み」ともいえる、全盛期メンバーのウイングスのライブと比較すると、やっぱり地味な感は否めないし、ましてクイーンを見せつけられた後では分が悪いのは事実。ファンには嬉しい、悪くもないんだけど、そのあたりが残念に思われる。

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