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HIV・エイズ
最近、若い人や風俗営業従事の人から、「エイズはもう薬で治るからいいんですよね」という発言があり、驚きました。もう一度復習してみましょう。

HIVとエイズ

HIV Human Immunodeficiency Virusはヒト免疫不全ウィルスのことです。HIVが人の免疫系の働きを破壊して、エイズが発症します。エイズ AIDS Acquired Immunodeficiency Syndrome は後天性免疫不全症候群のことです。免疫系が健康なら感染しない弱い細菌やウイルス、カビなどによる感染症が起こります。

どのようにして感染するか。

HIVは、空気中、食べものの中、水の中では生存できません。感染者とおなじプールで泳いでも、同じ皿のなかの食べ物を分けあっても、同じコップで飲んでも感染することはありません。また、HIV感染者が使用した便座や食器を共用しても、握手をしても感染しません。HIV自体は生存力の弱いウィルスです。
 感染源は血液、精液、膣分泌液、母乳の四つだけです。
 唾液は安全です。だからキスは安全です。

 感染経路は次のようになります。

感染した後

感染しても8〜12年は無症状の時期が続きます。この時期の人をキャリアと呼びます。症状はないのですが、HIVをうつす危険はあります。
 自分がHIVキャリアだと分かっている人には、HIVの感染源になることがあることを自覚して注意していただきます。血液、分泌物を自分で処置すること。歯ブラシ、剃刀は自分専用にすること。献血はしないこと。セックスするときはコンドームを使うこと。これだけでいいので、それほど負担ではないと思います。

HIV感染症予防のポイント

性行為感染……HIVに感染しているかもしれない人とセックスするときは、コンドームを性行為の始めから終わりまで正しく使うことで予防することができます。HIVは膣分泌液やカウパー氏腺液にも存在しています。また、膣内の粘膜は非常に傷つきやすいものです。このため、勃起したらすぐにコンドームを装着したほうが良いでしょう。男性性器や女性性器を口や舌で刺激するオーラルセックスも、精液や膣分泌液が直接口に入ることから、男性用コンドームや女性用コンドームを使用した方が安全です。
つまり、相手の精液、膣分泌液、血液、母乳を自分が直接触れないようにすればいいのです。キスは安全です。
母子感染……妊婦の方はHIV抗体検査を受け、もしも陽性なら医師の指示に従うことが大切です。母子感染を防ぐために、妊婦が抗ウイルス剤を内服したり、帝王切開で出産することで、子供への感染のリスクを減らすことができます。母乳は感染源になるので、子供に飲ませてはいけません。

治療

HIV感染症の治療は現在「hit HIV early and hard」を鉄則としています。まずHIVの増殖を抗ウイルス剤で抑え、日和見感染症を予防し早期治療を行います。この治療効果を最大に上げるためには、症状のないキャリアの時期に発見し、医療機関に定期的に通院することが必要です。HIV感染が心配な人は、進んでHIV抗体検査を受けてください。それが感染者自身の生活の質(QOL)を高め、周りの人にHIVを感染させないことにつながります。HIV感染症は現在では、不治の病と考えるより、一つの慢性ウイルス感染症と考えたほうが良いと思われます。

 現在HIV治療に使われている薬はエイズの特効薬ではないため、HIVを体内から完全に排除することは難しいですが、何種類か組み合わせて使用することで、HIVの増殖をほとんど抑えてしまい、エイズの発症を遅らせることができます。適切な治療を受け、健康な生活スタイルを維持していけば、長期間にわたり健常人と変わらない日常生活を送ることができます。感染初期から治療を始める場合には、薬剤の間欠投与による比較的短期間の薬剤投与で免疫力を高めてウイルスをコントロールしていく新しい治療法も開発されつつあります。

HIV検査

感染者・キャリアーの可能性のある人とのコンドームのないセックスあるいはコンドームのないオーラルセックスをした場合は感染の可能性があります。感染直後に検査を受けても正しい結果は得られません。接触後概ね6週間〜8週間程度の期間をあけて検査を行うことが必要です。2ヶ月以上経ってからの検査で陰性であれば、感染の可能性はほとんどないと言えます。感染の機会から3ヶ月以上経っての検査で陰性の場合には感染していないと確定できます。

検査できる場所

なお、検査結果は1週間から2週間後、検査機関で本人に通知します。

相談窓口

エイズに関する相談は、全国の保健所で可能です。不安や疑問を感じたら相談しましょう。
エイズ予防財団にフリーダイヤルがあります。祝祭日を除く月〜金、10時〜13時・14時〜17時0120−177−812 (携帯電話からは03−3592−1183)
JFAPエイズサポートライン(8ヶ国語24時間電話自動応答システム: 日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語、中国語、韓国・朝鮮語、タガログ語)
JFAP AIDS Support Line(Telephone support by prerecorded messages is available 24 hours a day by the automated answering system in 8 languages (Japanese, English, Spanish, Portuguese, Thai, Chinese, Korean, Tagalog).
東京 03−5521−1177
神戸 078−265−6262
福岡 092−418−1818

エイズに関するホームページ

エイズ予防情報ネット http://api-net.jfap.or.jp
携帯電話からは http://api-net.jfap.or.jp/i
(財)エイズ予防財団  http://www.jfap.or.jp
財団法人性の健康医学財団 http://www.jfshm.org/

心理的支え

以上が身体病としてのHIVの概略です。さて、わたしたちは、エイズではないかと心配している人や、本当にHIV感染者となり、この先の人生を困難に思っている人の心理的手助けをしています。まず、心配している人たちですが、現代の疾病恐怖の代表といえるでしょう。強迫性障害の部分症状として心配している人もいます。この場合には、実際にHIVの感染について検査して否定した後、原疾患の治療にあたります。実際にHIV感染者と判定された場合、自分の絶望と、それを理解してもらえない絶望と、二重の苦しみがあります。慢性・持続性のストレスですから、ストレス性疾患はどれも可能性があります。家族や周囲の人に参加してもらいながら、支えます。薬剤も少量用いることがあります。キャリアーの状態での、ウィルスそのものによる精神的変調は特に強調されてはいないようです。エイズとなり複雑な感染症になると脳の機能に障害が出ることもあります。わたしたちはその経験はありませんが、ターミナルケアの典型的な例となります。

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