予想天気図の見かた・着目点



領域モデル


はじめに

天気がどのように変わっていくかを見るには地上の天気図だけでは
  わかりません。
  地上より上の天気図を高層天気図といいます。
  高層天気図を見て、地上天気図との関係を考察すると
  天気がどのように変わって行くか分かります。
天気図を立体的に見れば天気がどんな状態で、どんな変化を
  して行くか予想ができる。
各種の天気図を重ね合わせて見ると相互の関係もはっきりしてくるでしょう。
上層と下層の天気の状態は、独立に推移していくのではなく、
  互いに関連しながら変化しているからです。
  とくに総観スケールの天気現象では、地上の天気状態は、上層の天気状態の推移
  に支配され、変化していく。
  いろいろな天気図を立体的に見ていくと、低気圧や前線等、下層の擾乱の発達・衰退が
理解しやすくなるというものです。
簡単にいうと雨は上から降ってくるのだから、この雨は今後
  どうなるかは上空の天気状態次第だというわけです。
中緯度の温帯低気圧の発達や移動性高気圧の推移は、500 hPa のトラフ、リッジ
  の動向に深く関係している。
  典型的な温帯低気圧を例にとると、
  「トラフの前面は700 hPa 上昇流で、かつ
  850 hPa 暖気移流場、反対に後面は下降流で
  寒気移流場の状態のとき、地上の低気圧も
  トラフの前面のあり、擾乱は発達過程にある。」
  という具合です。
実際の低気圧は、典型的な温帯低気圧と異
  なっている場合が多く、教科書通りにはいきま
  せん。
  ケースバイケースで考えて行くことが大切です。

300 hPa

FXFE304 300 hPa 高度、温度、湿数、風

1.偏西風の流れ、蛇行の具合をみる。
  大きく蛇行しているとき、寒気の南下、
  暖気の北上の可能性がある。
下層で擾乱が発達する場合がある。
2.強風軸(ジェット気流)の位置をつかむ。
  等高度線の込んでいるところは風速が大きい。
3.特定の高度線に着目する。
  冬季では9000 mの高度線付近まで
上空に寒気が南下する目安になる。
4.トラフ(谷)、リッジ(峰)の位置をみて、
  大気のおおきな流れを掴む。
5.トラフ線の方向をみる。北東から南西に
  向いているか北西から南東に向いているか
  チェックする。
6.湿数の分布から上層雲の広がりを確認しておく。
図で偏西風は大きく蛇行し、沿海州に切離低気圧が
形成されている。大局的に南北間の気温差が大きく
、強風軸が北陸地方から東北地方の太平洋側を走行
している。関東地方から東海地方南部には上層雲が
がかかる。


500 hPa

FXFE504 500 hPa 高度、温度、湿数、風、         相対渦度

1.偏西風の流れ、蛇行をみる。
  西谷型、東谷型、ゾーナル型の確認。
2.特定の高度線に着目する。
冬季では5400 mの高度線付近まで
中・上層に寒気が南下する目安になる。
夏季では5880 mが太平洋高気圧の勢力範囲になる。
3.トラフ(谷)、リッジ(峰)の位置を確認する。
トラフと下層の低気圧や前線との対応を考察する。
  トラフがさらに深まる(南下)か、北上するか
  考察する。
4.トラフ線の方向をみる。北東から南西に
  向いているか北西から南東に向いているか
  チェックする。 500 hPa 5.正渦度の極大域を見つける。
渦度移流の大きい領域に着目して、低気圧など
擾乱の発達・衰弱の関係を考察する。
6.ゼロ渦度線に注目して、強風帯のおおよその位置
  を探す。
7.高度分布から地上の前線、低気圧の動きを検討
  する。
8.温度分布と高度線との位置関係から、寒気移流
  か暖気移流かみる。
9.湿数分布から中層雲の広がりを見ておく。
図で偏西風は大きく蛇行し、北海道の北西には切離
低気圧(寒冷低気圧)になっている。日本海に北東
から南西にトラフが延びており、西谷型の気圧配置
で、東日本以北に南西風が吹き込んでいる。北陸地
方から東北地方に強風帯が、北海道の西に正渦度の
極大域があって、下層の擾乱(低気圧)との対応が
注目される。


500 hPa

FXFE574 500 hPa 温度、700 hPa 湿数、 風

1.500 hPa 特定の温度線に着目する。
冬季では-30℃線が寒気の南下の目安になる。
とくに冬季日本海側で、-30℃線は大雪になる
可能性をもつ。
夏季では-6℃線が夏型気候の目安を与える。
2.サーマルトラフ、リッジの確認を行い、
  地上の高、低気圧との関係をみる。
3.上層に寒気が流れ込み、下層が南よりの風の場合
  大気の状態は不安定となり、雷雨や突風が発生
する。
  とくに寒冷前線の通過時に起こりやすい。
4.700 hPa 湿数分布から中下層雲の広がりを確認。
冬季日本海側の降水の場合を除けば、湿数3以下
の領域は、降水域に対応する場合が多い。
  湿数3以下の条件だけで降水は判定できない。
下層の相当温位、温度、風などに関係する
  ようだ。
5.700 hPa 風から地上の前線、低気圧の動きを
  予想する。また、中下層雲の動向もさぐる。
東北地方から北海道地方には上空の寒気が入り込み
、700 hPa は南西の強風で、大気は不安定になって
いる。沖縄地方と東北地方は降水が予想され、とく
に東北地方北部、北海道地方は突風、雷が予想され
る。また、これらの地域の山間部は降雪も予想され
る。


700 hPa

FXFE784 700 hPa 鉛直流、850 hPa 温度、 風

1.700 hPa 上昇流、下降流の領域とそれぞれの
極大域を確認する。
2.850 hPa 温度線の集中帯をチェックして、
  前線の存在を調べる。
集中帯の南側に前線がある場合が多い
3.サーマルトラフ、リッジの確認を行い、
  地上の高、低気圧との関係をみる。
4.特定の温度線に着目する。
  冬季-6℃線は降水が雪になる目安になり、
  夏季21℃線は真夏日の目安になる。
5.風と温度の分布より暖気移流、寒気移流
の顕著なところをみる。
6.風向分布から低気圧性循環の領域や収束線の
顕著なところを探す。
7.700 hPa 上昇流極大域と850 hPa 暖気移流域、
500 hPa 正渦度移流域の対応を確認する。
  さらに湿数3以下の領域との関係もみておく。
北海道の北西に低気圧があり、寒冷前線が本州の
日本海側に延びている。前線を挟んで、太平洋側
にサーマルリッジと上昇流が、日本海側にトラフ
と下降流があって、温度コントラストが明瞭にな
っている。この擾乱はさらに発達すると予想され
る。
また、大陸東岸から沖縄地方にかけて前線(停滞
前線)が延びて、低気圧が発生して、発達しなが
ら東北東進するものと思われる。この前線に沿っ
て沖縄地方は降雨が予想される。
東海から関東南岸に収束見られ、この地域にも降
水が予想される。


850 hPa

FXFE84 850 hPa 湿数、風

1.湿数分布より下層雲のひろがりを把握する。
2.前線、低気圧などと湿数分布の対応をみる。
  とくに湿数3以下の領域との関係に注目する。
3.風と湿数の分布より下層雲の動きをみる。
4.700 hPa と 850 hPa における湿数3以下の領域
  が一致しているところをさがす。
共通している領域では降水になる可能性
  が高い。
九州の一部を除き、東海地方以西は下層雲に覆わ
れる。しかし、九州の西から乾燥した空気が侵入
してきているので、これらの地域ではところによ
って寒冷前線の通過に伴う降水があるものの、た
いしたことはないと予想される。


850 hPa

FXJP854 850 hPa 相当温位、風

1.相当温位の集中帯をみる。
集中帯の南側に前線が対応している場合が
  多い。
2.集中帯におけるリッジの度合いをみること、
および低気圧性循環の風向から低気圧をさ
  がす。
3.相当温位集中帯と風より顕著な暖湿気移流、
乾燥寒気移流の領域をチェックする。
4.特定の相当温位線に着目する。
冬季相当温位線282〜279 K 以下なら乾燥寒気が、
夏季340 K 以上なら顕著な暖湿気が流入して
  いる。
5.風向分布より収束線をさがす。
  収束線付近に局地前線が現れメソ擾乱が発達す
  る場合がある。
6.相当温位の極大域に着目する。
高相当温位の突っ込みにも注意を払う。
  とくに40Ktの南よりの風の領域(湿舌)では大雨
  に注意。
寒冷前線に伴う相当温位集中帯が北海道東部から九州
北部にあり、北海道東部から南東方向に温暖前線に
対応する集中帯がみられる。また、低気圧は北海道
の北にあると思われる。
寒冷前線の後面にあたる北陸地方、東北地方日本海側
は大陸の乾燥寒気が、東北地方太平洋側および北海
道東部は暖湿気が流入している。
また、大陸東岸から東シナ海、沖縄地方に前線が延びて
沖縄付近に低気圧が発生するものと予想される。


925 hPa

FXJP924 925 hPa 相当温位、風

1.FXJP854 のとだいたい対応するが、
背の低い擾乱やメソ擾乱のとき、850 hPa では
不明瞭でも925 hPa でみると前線、低気圧の
特徴がみえる場合がある。
2.風向分布より収束線をさがす。
  収束線付近に局地前線が現れメソ擾乱が発達す
  る場合がある。
3.相当温位の極大域に着目する。
  湿舌の領域では大雨に注意。
4、850 hPa と 925 hPa の相当温位の分布を比較
  する。
5.相当温位が高度とともに減少しているとき、
  そこでは大気は鉛直に不安定なので
  対流活動が活発になる。
6.高度が低いので陸地の近くや陸地では
  相当温位の分布は地形の影響を大きく受けて
  いることに注意する。
この天気図ではFXJP854とほぼ同じ結論となるが、
東シナ海に延びる前線波動は850 hPa に比べ
緩やかに表現されている。


925 hPa

FXFE924 925 hPa 高度、相対渦度、風

1.高度分布に着目し、トラフ、リッジをさがす。
2.正渦度極大域に着目する。
3.上層のトラフや正渦度極大域が不明瞭であった
  り、なかったりしても925 hPa 正渦度極大域、
  温度集中帯、収束線によって背の低い擾乱や
メソ擾乱が表現される場合がある。

4.高度が低いので地形の影響を受けやすい
  ことを考えておく。
低気圧に対応した+渦度の極大域が北海道の北に
あり、寒冷前線に沿って渦度の大きい領域が延びて
いる。また、沖縄の北西に低気圧循環に伴う+渦度
の極大域がみられる。
一部の地域を除いて日本全体が+渦度域で、悪天の
ところが多いと予想される。


925 hPa

FXFE94 925 hPa 高度、温度、鉛直流

1.温度集中帯のところに注目する。
  風の分布も考慮して、前線や低気圧の対応
  をみる。
2.特定の温度線に着目する。
冬季-3〜0℃線と北よりで10m/s 以上の
  風の場合は降水が雪になる場合が多い。
3.暖気移流、上昇流、収束線の顕著なところに
  留意する。
メソ擾乱や背の低い擾乱が現れているか検討
  するときには重要になる。
等温線の集中帯に南側に地上の寒冷前線と温暖前線
が対応している。
トラフの前面で上昇流と暖気移流域、後面で下降流
と寒気移流域になっている。
また、沖縄の西には前線活動に伴う-10 hPa/hr の
上昇流場が出現し、暖気移流の気配である。


       surface        

FES4 地表 気圧、気温、風

1.低気圧、高気圧、前線の位置を確認する。
2.気圧傾度の強いところ、弱いところをさがす。
3.地上の低気圧と500 hPa トラフや正渦度極大域
  の対応をみる。
この対応が上空に向かって西傾しているときは
地上の低気圧は発達する可能性をもつ。
4.背の低い擾乱では925 hPa の正渦度極大域と
対応しているが、低気圧はあまり発達しない
ことが多い。
5.温度分布は参考程度にしておく。
北海道の北西に1000 hPa の低気圧を予想し、寒冷
前線が本州の太平洋側から四国付近まで延びると
予想されている。この低気圧は日本海の北部から
南西に延びる500 hPa トラフに結合していて、
さらに発達する可能性がある。また、この低気圧
の動きは非常にゆっくりサハリンに向かうものと
考えられる。
一方、大陸東岸、東シナ海をへて沖縄に延びている
前線上に低気圧が沖縄の西に発生しはじめている。
この低気圧に対応する500 hPa トラフは不明で、
沖縄の西方にある925 hPa +60 渦度に対応して
いると考えられ、本州に接近することはなく東北東
進すると予想される。
今後、大きく発達する可能性は少ない。


surface

FXFES4 地表 気圧、発散、風

1.風が低気圧性循環、高気圧性循環しているとこ
ろを探して、それぞれ低気圧、高気圧の
  中心位置を決定する。
2.高気圧の中心付近では風は強くなく、時計回り
に発散している。
3.低気圧の近くでは風は強く、反時計回りに
収束している。
4.風向が急変化しているところ、気圧の谷に着目
して、前線の位置を推定する。
5.収束線や等圧線のくびれたところを確認して
おく。
  擾乱が発達する場合、新たに発生する場合が
  ある。
風ベクトル分布より低気圧の中心位置は45N,140E
付近と推定され、寒冷前線は低気圧から分離され
ており、北海道の南東海上あたりから関東平野を
通って四国に延びていると予想される。また、
温暖前線の位置は難しいが、850,925 hPa の予想図
から北海道の南東海上あたりから40N,140E を通る
と考えられる。
大陸にある高気圧の位置は42N,116E で中心示度は
1026 hPa と読み取れる。
沖縄の西には低気圧性循環はかなり明瞭になってき
ている。


surface

FXFE504 前12 時間降水量、気圧、風

1.降水量が計算されていなくても、降水量のある
近辺では降水の可能性はあるものと考える。
2.総観スケールで計算された降水量は、100キロ
  四方の平均化された値であることを考慮して
おくこと。
3.メソ擾乱が卓越すれば、降水量は計算値よりも
数倍に達することもある。
4.地形の影響で予想値よりかなり多い降水量に
になる場合がある。
前12 時間降水は、北海道、東北地方日本海側、北陸
地方および関東、東海地方の太平洋側、九州南部と
先島諸島に予想されている。
北海道西部、北部と東北地方の北部は雪になる見込
で、北陸、東北、北海道の山地も降雪と予想される。
とくに先島諸島に予想されている降雨はところに
よってかなり強く、また北海道北部は吹雪く恐れが
ある。







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