1 Wordで外国語を打つ

論文やレポートを書くにせよ、翻訳をするにせよ、現在ではMS Wordを使う機会が多いと思います。かつては散々な出来で使用者を悩ませたこのソフトも、最近のバージョンでは、細かいところを措けばまずまずの完成度になっていますし、外国語への対応もおおむね満足すべきものです。このページでは、MS Word2000もしくは2003で外国語を書くための初歩的な知識をまとめてみます。



1.1 特殊な文字の入力方法あれこれ

日本語で使われる文字、およびいわゆるASCII文字だけを扱う場合と違って、問題になるのは、日本語キーボードおよび(いわゆる)英語キーボードには刻印されていない文字の入力でしょう。これには複数の解決策があります。

  1. キーボードレイアウトを変更して打つ
  2. 文字コード表を呼び出してそこから選ぶ
  3. Altキーとの併用で打つ
  4. Wordの「記号と特殊文字」ウィンドウを呼び出してそこから選ぶ
  5. Word標準で設定されているショートカットキーを使う

1.から3.は汎用性が高く、一度覚えれば別のアプリケーションにも応用できる方法です。4.と5.は、基本的にはWordでしか使えない方法です。



1.1.1 キーボードレイアウトを変更して打つ

私はこの方法を覚えることをお勧めします。解説はキーボードレイアウトについての章で。しかし、このページでは、他の方法についてお話します。



1.1.2 文字コード表を使う

文字コード表という言葉は他の文脈では別様に用いられますが、ここではOS標準でついているツールを指します。

まずはWordを立ち上げて、なんでもいいのですが例としてたとえばcinémaと打つことにします。"cin"まで打ったら、次のアクサン・テギュ付きの"e"を入力するために、「文字コード表」を立ち上げます。このツールの起動方法がわからないという方は、スタートボタン>ファイル名を指定して実行(R)から、"charmap"と打ち込んでOKボタンを押してください。


図1-1 「ファイル名を指定して実行」から「文字コード表」を起動する

文字コード表を起動する

文字コード表を立ち上げましたら、文字の一覧から"é"を探して、マウスでクリックするとクリップボードに該当の文字がコピーされますから、後はコピーされた文字を"cin"の次にペーストすればおしまいです。



図1-2 文字コード表を呼び出してWordにペーストする

文字コード表


1.1.3 Altキーと併用して打つ

かなりの数のアプリケーションで、しかも(私の遠い記憶では)Windows95でも使える方法です。

十進数の文字コードというものがあります。十六進数のコードを知っていればcalc.exeその他で十進数に変換することもできますが、たとえばこちらで見た方が手っ取り早いでしょう。Wordでもメモ帳でも、Altキーを押しながら十進数のコード値を入れると、対応する文字を入力することができます(ただし、この方法で入力できる文字の種類には限りがあります)。たとえば、アクサン・グラーヴのついたe、すなわち"è"ですと、上掲サイトで十進数のコード値が232となっておりますから、Altキーを左手で押しながら右手でテンキーから232と叩き、左手のAltキーを離した段階で文字èが入力されます。

 

1.1.4 Wordの「記号と特殊文字」ウィンドウを使う

Wordには標準で「記号と特殊文字」ウィンドウがついています。メニューから挿入(I)>記号と特殊文字(S)とたどるとこのウィンドウを表示させることができます。使い方は先ほどの「文字コード表」に似ていますが、マウスでクリックするだけでWordの文書にそのクリックした文字が入力されますので、いちいちペーストを行う必要はありません。


図1-3「記号と特殊文字」ウィンドウ

記号と特殊文字ウィンドウ



1.1.5 Word標準のショートカットキーを使う

Wordには最初からショートカットキーが設定されていて、正しい組み合わせでキーを押すと、アクサンやウムラウトのついた文字くらいなら比較的簡単に、一般的な日本人にとっておそらくはよりなじみが薄いだろう文字でもコード値を知っていれば、キーボードから入力することができます。また、このショートカットキーはカスタマイズが可能です。


標準で設定されているショートカットキーの一部を表にすると、こんな感じです。


入力される文字 日本語キーボードでのショートカット USキーボードでのショートカット
鋭アクセント付き文字 á é í ó ú Ctrl+Shift+7と文字 Ctrl+’と文字
重アクセント付き文字 à è ì ò ù Ctrl+Shift+@と文字 不明
曲アクセント付き文字 â ê î ô û Ctrl+^と文字 Ctrl+Shift+6と文字
ティルデ付き文字 ã ñ õ Ctrl+Shift+^と文字 Ctrl+Shift+`と文字
ウムラウトないしトレマ付き文字 ä ë ï ö ü Ctrl+:と文字 Ctrl+Shift+;と文字
輪付き文字 å Å Ctrl+@と文字 Ctrl+Shift+2と文字
合字(エスツェット含む) æ œ ß Ctrl+Shift+6と文字 Ctrl+Shift+7と文字
セディーユ付き文字 ç Ç Ctrl+,と文字 同左
斜線付き文字(セント含む) ø Ø ¢ Ctrl+/と文字 同左
逆立ち疑問符 ¿ Ctrl+Shift+Alt+/ 同左
逆立ち感嘆符 ¡ Ctrl+Shift+Alt+1 同左
丸囲み文字と商標とユーロ © ® ™ € Ctrl+Alt+C(or R, T, E) 同左

この表は、特に日本語キーボードの部分に関してはほぼ全て、EmEditorのヘルプファイルからのパチりです(笑)。また、いわゆる英語キーボードで重アクセントを打つ方法がわかりませんでした。


日本語キーボードについては「106/109日本語キーボード」ドライバを入れたゲートウェイ社の古い日本語キーボードG9900で、USキーボードについては「101/102英語キーボードまたはMicrosoft Natural PS/2キーボード」ドライバを入れたマイクロソフト社のNatural Keyboard Eliteで確認。いずれもPS/2接続で、キーボードデバイスおよびドライバの混在はしていません。


IMEを切った状態でお試しください。

接続詞の「と」で囲まれた前後では、いったん指を離してください。「と」が含まれず単に「+」でつながれた部分では、指を離さずにキーを同時押しします。たとえば、"Ctrl+Shift+7と文字"とあれば、これが意味する手順は次のようなものです。

手順一、CtrlとShiftと7、三つのキーを同時押しする

手順二、その後、それらの指を離して、AなりEなりといった文字を押す



問題点

ややマイナーな言語で使われる文字については、1.1.3で触れた十進数のコードではなく、Unicode十六進数でのコード値を知っていなければキーボードからの入力ができません。具体的に書きますと、たとえば"ǧ"(Latin Small Letter G with Breve)を打つには、まずこの文字の十六進数コード値がU+01E7であることを調べます。次いで、IMEをオフにしてWord上で"01E7"と打ち、続けてキーボードからAlt+Xを押すと完了です。

しかし、コード値を暗記しているような人がそれほどたくさんいるとも思えませんので、それらの文字を打つにはリファレンスか何かで値を一々調べねばならぬのは、なんとも面倒なことです。自分でショートカットキーを設定しなおすしかないでしょうかね。



1.2 まとめ

文字を入力するときはたいていの人はキーボードを使うわけですから、入力の頻度が高いほど、マウスを併用せねばならない方法では効率が悪いでしょう。ここで紹介したなかで一番使い勝手が良さそうなのは、最後のショートカットキーを使うものだと思いますが、この方法を覚えたとしても応用の利くアプリケーションはEmEditorなどほんの一部のみで、IEやメモ帳のような他のMS製アプリケーションですら使えません。しかし、外国語の編集はWordでしかしないという方なら、Word標準の機能を使うことにもそれなりのメリットがあるかも知れません。


気が向いたら、Wordのショートカットキーをカスタマイズする手順をこのページで紹介するかも知れませんが、こうしたショートカットキーを使う方法で実際に外国語を編集されている方って、どのくらいいらっしゃるんでしょうか。



今回は2.から4.までの方法についてお話いたしましたが、次回からは1.の方法、つまりキーボードレイアウトを変更して外国語を打つための方法を考えてみようと思います。


04年11月
キーボードレイアウトを変える方法
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