5月の2週目

   
Victorの日記
 
今年はとにかくメチャクチャ忙しかったし、既に色んな事が起こってる。
ちょっと前に戻って、今のところ何が起きてるのか話してあげるね。
去年の9月にGディーバは、プエルト・リコで開かれた
「世界ダンスフェスティバル」週間に招かれて踊ったんだよ。
沢山のダンスカンパニーが出演しての4日間のイベントだったんだけど、
ボクたちはその2日間に招待されての出演だったんだ。
7名のダンサーが現地へ行き、
初日にはオズワルドとボクとで「カルメン」を、
ディオンとオスカーが「海賊」を演った。
「海賊」はその日のトリで、スタンディングオベーションが起きたんだよ。
2人のその夜の出来は特筆すべきものだったし、
Gディーバがこんなに上手く演れたのをボクは本当に誇りに思う。
両日共にGディーバは1幕と2幕のトリをとるという栄光を与えられたんだ。 2日目はカークが「瀕死の白鳥」を演り、
アルフレッド、オズワルド、トム、フランシスの4人の「パ・ド・カトル」で
幕を閉じた。
お客さんたちは本当に拍手と笑いで反応してくれたし、とても良かった。
海岸の先端にある素晴らしいホテルに泊まったんだけど、
「ギャラリー・イン」っていう素晴らしいとこで、
ホテル中に大量のオウムがいたし、芸術品があったよ。
ボクたちは皆から素晴らしいもてなしを受けたし、
主催者のウォルド・ゴンザレスとザビエルがボクたちが滞在中、
何の不自由もないように取り計らってくれたんだ。
オズワルドは「サザンホールド・ダンス・シアター」のための
「くるみ割り人形」の仕事があるから、
9月11日にインディアナへ発とうと思って、9日に家へ戻った。
他は1日延泊したけれども、10日に其々家へ戻った。
もちろん、11日のマンハッタンは恐ろしい1日だった。
現実には思えなったし、誰かがこれは映画用の撮影で、
ほんの3,4時間で元通りになるんだよ、って
言ってくれるのを待っていたんだけど、
1機目が第1タワーに突っ込んだっていうディオンからの電話で、
目を覚まされた。
小型機かと思ってたんだけど、TVを付けて見た時、
これは事故ではないなって事が咄嗟にわかった。
家族から電話があって、しゃべりながらTVを見てたら、
2機目が突っ込んだ。
ボクは不思議にもアパートで冷静だったんだ。
その日は多勢からの電話があって、
第1ビルが崩れた時も電話中だった。
姉が電話で第1ビルが崩壊したって言った時も、ボクは信じなかった。
画面の角度から見て、
ボクはビルの最上階だけが崩れたのかと思ってたから。
もちろん、第1ビルが消滅したんだと確信すると、
第2ビルが失くなるのも時間の問題だとわかったよ。
ボクはTVに釘付けになって、第2ビルが消えるまでの間
アパートを出られなかったんだ。
外へ出て行って、人々がダウンタウンから出て行くのを見てた。
ボクの前を通り過ぎて行く人たちは茫然としてるように見えた。
 アパートからほんのちょっとしか離れてないし、
ビル全景が見えるからオフィスへ行ってみたんだ。
見えるものが煙と遮る物のないスカイラインだけというのは
おかしなもんだった。
電話も作動しなくなり、地下鉄や市内のあらゆる物が同じく影響された。 オズワルドはその朝経つために既に出かけてしまってたけど、
空港で足止めされちゃったんだ。
市内への乗り物は何も許可されなかったから、
基本的に翌日まで彼はそこに足止めされていた。
事実、彼はホテルにチェックインしなきゃならなかったけど、
空港にいた誰もが同じように宿泊先を見つけなきゃならなかったから、
それはとても困難だった。
彼に連絡がつかないし、
2日間どこにいるかも見つけ出せなかったから、
ボクは本当に心配したよ。
その日の出来事は続くであろうし、
ボクたちみんなに深い影響を与えるだろうし、
ボクひとりにとっては、この先何が10月に起こるかなんて確信はないし。 そんな事にボクが気付かないまま、消えてしまったようだった。
 その日を包み込んだ様々な感情は、
とても言葉でなんて表現できっこないし、
 沢山の頁を使っちゃうだろうし、
説明するには未だに充分じゃないんだ。

   それでも生活は続くんだし、
それにボクはGディーバの2002年シーズンの企画を
やらなきゃならない。
ピーター・アナストスとボクが「エコール・ド・バレエ」を
やりたいということを協議したんだ。
ブライアン・ジョーへのひとつの創作として。
また、2003年用の新作として
「ジュエルズ」のパロディーを始めたかったし。
ボクたちが「ジルコニア」(キュービック・ジルコニアのこと)と
呼んでいる、元のアイデアとなった「ダイアモンド」に
大雑把に基づく部分を彼は演れるだろう。
ピーターはこれに賛成し、
それからボクは自身で2つの新作を作ることを決めた。
「シンデレラ〜舞踏会」はシンデレラが王子と会う第2幕でのもので、
 もうひとつの方の「ラブ ロングス」は
フォーサイスの「ラブ ソングス」に大まかに基づいたものなんだ。
また、ボクたちは「黒鳥」「青い鳥」「ハーレキナード」
 「エスメラルダ」「火の鳥」を含む、
いくつかの古典のパ・ド・ドゥを新作として加えることにした。
こんなに沢山の新しいものを企画したことは、
今までになかったけれど、なんとか進展した。
この期間中に、今季戻ってこられないダンサーに
取って代わる新ダンサーを探して、
其々違った4人を見つけたんだ。
カミーロはボクが数年前にスカウトしようとした、
とても強いテクニックのある小柄なダンサーだ。
今年遂に彼が加入となり、
ボクは彼は重要な人材になるだろうと思ってるんだ。
マーロンとは以前に会ったことがあり、いいダンサーだと思っていた。
 彼と仕事することで、彼が素晴らしく多芸であり、
ダンサーとしての外見もあり、
ダンスに対してとても情熱的なのがわかった。気に入ってるんだ。
アレクシスとはプエルト・リコで会ったんだけど、
若く、そして色んな舞台度胸を持っている。
 彼にはすごいポテンシャルがあるし、
ボクは今シーズン何故か彼を使ってきた。
 ノルウェーから来たスティアンは、歴代1背の高いダンサーなんだよ。
見た目よりもずっと若く、
彼自身は男役に興味があるんだけど、
でもトゥ・シューズでの踊りに何故かボクは納得してる。
彼はまだGディーバにいることが正解なのか確信が持てないでいるけど、将来の彼のダンスにGディーバは
すごいインパクトを与えるだろうとボクは思ってる。


今シーズンは日本へのプロモーション・ツアーでスタートした。
今年アレン、オスカー、カーク、ボクの4人は1週間程日本へ行った。
アレンとカークが北を周り、ボクたちが南を周ったんだ。
いくつ都市を周ったのかなんて信じられないし、
何日か2都市にいたり、1日にホント14時間も活動してた日もあったよ。
 ま、とても楽しかったんだけどね。
オスカーとボクは屋外でのTV生番組に出たんだけど、
ちょっと寒かったけど良かったよ。
些細な事件があってさ、というのは、
ボクは衣装を全部ひとつのスーツケースに詰めて、
もう片方は東京のホテルに置いていったんだよね。
で、ロビーへ下りたらそこには何人かの人たちが、
 ボクたちにサヨナラするために居て、
ベルボーイがそのスーツケースを運んでくれたんだ。
衣装の詰まった方を置いて、
カラの方をプロモに持って行っちゃったんだよ。
福岡の空港に着くまでボクはスーツケースに触らなかったから、
違う方を持って来ちゃったなんて気が付かなかったのさ。
とにかくZakのスタッフが別の方を持って飛んで来てくれたから、
TVショウに出るのに着る物は間に合ったんだけどね。
すべてをこなして、それから帰国準備のために東京へ戻ったんだ。
アレンはまだ仕事があったから延泊したんだけど、
あとの3人はリハーサルが始まるんでNYへ戻った。
今季ボクたちは「New 42nd Street Studio」で
専用でリハーサルをやったんだけど、そこはまさに楽しみだった。
だってさ、多勢のミュージカルスターや映画スターが
ビルを出入りしてるし、
ボクもそんな彼等に混じってエレベーターに駈け込んだんだ。
「吉野家」がほんのすぐ近くにオープンしたから、
 時々はそこでランチができた。
まず最初の障害は写真撮影だった。
スティーブ・カラスはいつもすばらいし、
今年は屋外に見せようと背景を使うことにした。
いつも使っている場所が閉まっていたんで、
ボクたちは新たなスタジオを探さなきゃならなかった。
TAZスタジオがほんとに良くリニューアルされてたんで、
これなら良い写真が撮れるだろうと思ったよ。
次の大きなイベントはNYでのショウだった。
 「トライベッカ・パフォーミング・アーツ・センター」へ戻り、
今季ボクは「アイススケートをする人々」をやろうと思っていた。
床チェンジについてはすごく気にかかってたし、
限られたスタッフで短時間内でのそれが可能なのかも気になっていた。
でも、ショウは土曜日のひとつだけのちょっとした不運な事故以外は
すべてとっても上手くいったんだ。
何故だか音響係りに間違ったキューが出されて、
彼は間違ったボタンを押しちゃって「アイス・・・」の
パ・ド・トロワ部分の曲のキューが出なかったんだよ。
 位置についているオスカー、バート
(注:ディオンが病欠のため、バートが代役でした)
 オズワルドの3人にとっては約3分間位の中断になっちゃったんだ。
結局曲は出たんだけど、その場面以前のものだったし、
ダンサー全員がそれより前の踊りをもう1度演るのに
右往左往しちゃった。
それはまるで其々が
勝手な場所で走り回ってる昔の「3バカ大将」の映画みたいだったよ。
驚くべきことに、お客さんたちの多くは
それもショウの1部だと思ったようなんだ。
そうじゃないんだけど、でもお客さんたちが喜んでくれたのなら、
ボクも嬉しい。
個人的にはそのようなエキサイトがなくても出来るんだけど、
ショウの最大の際立った事の1つは、
夜に劇場を出た時に9月11日を思い出させる
サーチライトの2本の映像が、ダイレクトに目に入って来たことなんだ。
劇場がグランド・ゼロからほんの3,4ブロックしか離れてないから。
Gディーバが、このNYのその地区に正常さを再び取り戻すのに、
ささやかながらも役に立っていることがわかって良かったよ。
(続く・・・)



さて、いよいよ2002年公演もスタートになりました!
この日記もあの事故の頃に遡って始められましたが、
やはりNY公演でもハプニングは起きているんですねぇ。
この日本公演も、去年のようにケガ人の出ないように、
無事に成功してほしいです。
(プレビューから今日までのところは大丈夫のようですよね!)
今回はちょっと遅くなってしまってゴメンナサイ!
皆さんのご期待に添えるよう、頑張りますのでよろしくお願いしますね!
                                  (Jainnie K)
 


初回から長い長い文章を公演の鑑賞の合間を縫って
和訳してくださってJainnieさんどうもありがとう。
そして、今年も、こうやって、
みなさんが、おまちかねのヴィクターの日記を
アップすることができてうれしいです。
日本ツアーも始まったばかりですが、
これから、しばらくの間、この日記を通して
みなさんと、楽しみを共有できることを
感謝いたします。

PS 新人ダンサーさんの出待ちでの写真を
お持ちの方がいらっしゃいましたら、
是非、かもね宛に送っていただけたら・・・と
思います。
日記の名前のところからリンクをし

そのダンサーさんをご紹介させていただきたいのです。


かもね、こと


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