The Durutti Column

ザ・ドゥルッティ・コラム




 2008年8月更新
Circuses & BreadまでとKeep Breathing、 そしてコンピレーションは以前の記述は黒字、2008年時追記をこの茶色で書いています。
で、また2008年以降は黒字で書いてます。



 パンク・ニューウェーヴ期に突然変異として、しかし静かにシーンに登場してきたバンド。シンプルなリズムの上をエコーのかかったギターが静かにメロディを 奏でていきます。皆がとにかくうるさく重くいこうとしている時だっただけにとてつもない衝撃力がありました。
 ただその衝撃はパンクの時期に静謐なロックが出てきたというだけでもなかったのです。多くの評者が彼らの音をとても暴力的と捉えていたのです。 その意見にそのまま賛同することはできないのですが、確かに気持ちの良い音、あるいは感傷的な音しか流れていないのに、何かそれ以外の強い感情が存在し、 決して(そのミニマルなスタイルから連想される)イージーリスニングにはなり得ない音なのです。
 そのあたり関係あるかどうか分かりませんが、ドゥルッティ・コラムのギタリスト(というかドゥルッティ・コラムそのものの)、ヴィニ・ライリーは 「ラジカルでアナーキーでいたい」と語っており、戦闘的な意識を持っていました。大体ドゥルッティ・コラムという名前そのものが戦闘的です。 それはスペイン市民戦争の際、共和国軍に参加して闘ったアナキスト、および彼の率いた小隊の名前だそうです。
 またファースト・アルバムは最初サンドペーパーをジャケットに使用しており、存在そのものが他を傷つけるような仕組みになっていたそうでとても意識的で戦闘的です。 そうしたことを考えずに聴いてもなにか強い意志の力を感じます。音が優しくなればなるほど、戦闘的な意志が垣間見えてしまうのです。

 だから何に似ているというのがとても難しいです。その叙情性からエレクトリックなゴンチチ、と言うと本質を思いっきり踏み外してしまいますし、 マイク・オールドフィールドから積み重ねの作業を取っ払った感じ、と言うとなんか両者に失礼な感じですし。パット・メセニーとほんの少し共通項があるかもしれません (と言うとやっぱ全然違うなぁ)。
 しかし何に似ているというのがほとんど徒労に帰してしまうオリジナルな音楽です。その後もこんなのないです。贅肉を削ぎ落とした骨格だけでできた音なのに、 その骨格がとてつもなく美しかったというイメージです。(彼らの音を「天上の音楽」やら「無垢の魂」などと安易に評する人達がいますが、そういう人達が「天国」や 「魂の存在」について真剣に考えているとは思えません。)

 1977年、マンチェスターでNosebleedsというパンクバンドでギターを弾いていたヴィニ・ライリーは、その自暴自棄な演奏に何も可能性を見出せず 落ち込んでいたそうです。そんな時友達に連れられていったスタジオでギターを手渡された彼に、静かなリズムボックスとシンセの音が流れてきました。 彼は何の気なしに夏のようだなと思いつつそれに合わせギターを爪弾きました。その音を録音していたのがファクトリーのマーティン・ハネットでした。 ここにとてもシンプルなロックが誕生しました。
 その後、基本的にギターのヴィニがピアノやベースも操り、パーカッションのブルース・ミッチェルとの共同作業でミニマルで美しい旋律を持つロックを作り上げました。 日本での人気が高く、来日も2度しましたが、病弱だそうで脇を女の人に抱えられてステージを降りたというなんともイメージ通りの人だったそうです。 しかし前にも書いたとおり意志の人で、ずっと音楽をビジネスサイドから音楽家に取り戻そうという気概を持っている人です。(2001/9)

ファクトリー・レコード−ドゥルッティ・コラム
The Return of the Durutti Column 1979



  1. Sketch for Summer
  2. Requiem for a Father
  3. Katharine
  4. Conduct
  5. Beginning
  6. Jazz
  7. Sketch for Winter
  8. Collette
  9. In "D"

  10. Lips That Would Kiss
  11. Madeleine
  12. First Aspect of the Same Thing
  13. Second Aspect of the Same Thing
  14. Sleep Will Come
  15. Experiment in Fifth
 衝撃的というにはあまりに静謐な傑作。
 既に書いたようにリズムボックスとエコー、ディレイのかけられたエレキギターをメインに作られています。 形式的には余計なものが何一つないという意味でミニマルの極地です。しかし音楽的にはとても叙情的なものです。 人それぞれの受け止め方があると思いますが、個人的には少年期の切なさを思い起こさせるものがあります。
 ジャケットは最初のサンドペーパー使用の物(右)は一般にはあまり普及しておらず、デュフィの水彩画3作がジャケットの上部に掲げられたものが一般的です。 この作家を使ったのは、デュフィが右手でのデッサンが技巧に走るのを嫌がって、左手で描くようになったというあたりに共感してのことだそうです。 ヴィニの表現に対する姿勢が端的に表されています。

 A1. Sketch for Summer。先にも書きましたが、鳥の声を模すシンセに導かれるように、ヴィニのギターが弾き出されます。クラシックギターが基礎にあるので、 ベース音の使い方がクラシックギターの親指の使い方から導き出されているようです。それがまたとても良いです。しかしなんてシンプルで雄弁なんでしょう。 3. Katharineでは途中ジャジーな演奏を聴くことができます。4. Conductは東洋のイメージで作ったということですが、そうですか。リズムボックスは使わず、 生ドラがアクセントのように使われています。
 B面は2.Jazzで生ドラ、ベースとのバンド演奏が聴ける以外、エレキギター1本による演奏でシンプルを極めています。簡素なあまりに簡素な、しかし雄弁な傑作です。

 やっぱり、これが最高です。
 Jazz等でドラムを叩いているのはヴィニの属していたパンクバンド、Nosebleedsのドラマーだった人なんですね。
 これを作る前に、会議でトニー・ウィルソンと、病欠のヴィニを除くメンバーがプロデューサーに誰を起用するかで意見が分かれ、 メンバー達はヴィニを残してそのまま抜けていってしまったそうです。(ドゥルッティ・コラムは元々何人メンバーだったのでしょうか。それともこのバラバラになった バンドがNosebleedsだったのかな?) そのメンバーたちは後にMothmenとなり、またその後にはギタリストのDave Rowbothamがある事件で殺され、 それをマンデイズが曲にしているそうで、なかなかの話です。
 トニー・ウィルソンの回想によると、マーティン・ハネットはシンセの音作りに必死で、ヴィニとはほとんど関わっていないようです。 (その時に製作していたバックグランド用の音源が、リリース時に付録で付けられた12,13なんですね。) ヴィニは2日間でこのファーストの音源を演奏し、後はハネットに委ねたようです。
 さてドゥルッティ・コラムの由来がスペイン内戦時の指導者の名前だということは当時から分かっていましたが、 現在ではその名前も労働組合の指導者Buenaventura Duruttiと判明しているんですね。 またこのアルバムそのものの由来も、あるインタビュアーが語っていますが、 68年パリの学生運動時のスローガンReturn of the Durutti Columnに倣ったものだそうです。ドゥルッティでさえ68年パリなんですね。 (2008/8)

 Produced by Martin Hannett
 Peter Crooks:Bass, Toby:Drums

 Factory Catalog Number: FAC14





Lips That Would Kiss(single) 1980

 初期の傑作シングル。MadeleineとLips That Would Kissの2曲。リズムはまだリズムボックスですが、 ファーストとちょっと違ってきています。簡素なんやけどそこに込められた音一音一音がとても豊饒です。

 Lips That Would Kissはイアン・カーティスに捧げられた作品、第1弾。
 現在は2曲とも現行CD、Lips that would Kiss, The Return of the Durutti Column のいずれにも収録されています。 (2008/8)

 Factory Catalog Number: FAC BN2-005





Enigma/Danny(single) 1981

 この2曲でブルース・ミッチェルのパーカッションが初めて聴かれます。そのタムやボンゴのリズムはとても ヴィニのギターにマッチしています。特に後者はこれぞドゥルッティという曲です。

 現在は2曲ともLips that would Kiss, LC のいずれにも収録されています。 (2008/8)




LC 1981



  1. Sketch for Dawn 1
  2. Portrait for Frazer
  3. Jacqueline
  4. Messidor
  5. Sketch for Dawn 2
  6. Never Known
  7. The Act Committed
  8. Detail for Paul
  9. The Missing Boy
  10. The Sweet Cheat Gone

  11. For Mimi
  12. Belgian Friends
  13. Self Portrait
  14. One Christmas for Your Thoughts
  15. Danny
  16. Enigma
 マーティン・ハネットがミュージシャンにプロデュースの権利を渡さんということで、彼との作業はファーストで終り、 セルフプロデュースをしていくことになります。
 ファーストと違い、いきなり生のリズムセクションから始まり、おっと思いました。そしてそれに続くギターの音色がとても暖かく色彩的だったので、 あらっと思いました。そしてそして頼りないボーカルが入り、ありゃりゃと思いました。これ以降、おじいさんとしか言いようのないパーカッションの ブルース・ミッチェルとのコラボレイト作品になっていきます。
 前作が「切ない」といった過去を感じさせる感情を溢れさせたのに対し、とても肯定的で明るいサウンドです。ジャケットもとても美しく、色鉛筆や水彩、油彩を使い、 カラフルで抽象的なものになっています(このジャケットの印象が音楽に与えている影響は大きいと思います)。しかしいずれにしてもとても感傷的な音楽で 胸にグッとくるのです。
 A1. Sketch for Dawn(1)以降、2. Portrait for Frazier 3. Jacqueline 4. Messidor等A面は傑作曲のオンパレードです。5. Sketch for Dawn(2) B1.Never Knownはボーカル入りの暗い叙情曲。彼らのもう一つのお得意のパターンです。4. The Missing Boyはニューウェーヴ感覚溢れる代表作。 5. The Sweet Cheat Goneはピアノ独奏で、次作につながります。ボーカルは4曲で披露しています。
 ファーストとは違った面を持つこれまた傑作アルバム。

 上記の感想は、思いっきりジャケットの印象に引き摺られたものですね。
アルバムタイトルはローマ帝国についての、『時計じかけのオレンジ』の作者アンソニー・バージェスのドキュメンタリーに出てくる壁の落書き Lotta Coninua「闘争は続く」に由来するそうです。やっぱ「闘争」。
 The Missing Boyはイアン・カーティスに捧げる第3弾。ひきずったんですね。 (2008/8)

 《ファーストを100とした時のアルバム好き度(=音楽的評価ではないですよ。思い入れ含む)90(以下同)》

 Produced by Vini Reilly. Stewart Pickering.
 Vini Reilly: Guitars, Piano. Bruce Mitchell: Purcussions.

 Factory Catalog Number: FAC44





Deux Triangles (12inch) 1982



  1. Zinni
  2. Favourite Painting
  3. Piece for out of Tune Grand Piano
 前作の流れで作られたと思われるミニアルバム。ジャケットの印象もほとんど同じです。前作に少し現れたピアノが全面的に 使用されています。リズムボックスとベース代わりのギターがリズムを担当しています。B面は全1曲で曲名はPiece for out of Tune Grande Piano。 即興的な演奏が多く、キース・ジャレットか、と思わせるところもあります。何をやってもドゥルッティ・コラムになるといった感じです。

 当初の計画としてはStains, Tears & Madness, Solitude of the Hoursというタイトルの名が挙げられていたそうです。 それらが中身を替えたのかタイトルだけを変えたのかは定かではありませんが、 Stainsだけは2008年に出されたアルバムLive In Bruxelles 13/8/81に収録されているので、 全く別の曲だったことがわかります。まぁ、変更されて良かった曲だと思います。
 3曲とも現行CD、Lips that would Kissにめでたく収録されています。

 それにしてもZinniというのは裏ジャケットの子のことかなぁ(このページの一番上に載せている画像の娘)。 目の離れ具合からFidelityDryのジャケットに写る子のようだし、 名前はZinnia Mitchell-Williamsということでブルースの血縁かとも思えるし。 この目の離れ気味の娘が成長したと思われる女性がRebellionの内ジャケではCounsellingと表記されており、 一連のジャケットの子がそうだとするとヴィニの長年の心の支えということなのかしら。 (2008/8)

 Factory Catalog Number: FBN10





Live at the Venue London 1982



  1. Sketch for Dawn 1
  2. Party
  3. Mother from Spain
  4. Jacquline
  5. Conduct
  6. Sketch for Summer
  7. The Beggar
  8. Never Known
  9. The Missing Boy
  10. Sigh Changes Scream
  11. Self-Portrait
  12. For Belgian Friends
 ヴィニとブルースの二人でライヴなんかできるんかいな、と思ってたらライヴが出されました。音の薄さは覆うべくもないですが、 ヴィニは曲中でもギターからエレピへと弾き変えたりしてがんばっています。ボーカルは元々頼りないんでこんなもんやろという感じです。ブルースがさすがに張り切って います。A4.Jacquelineではタイコソロまでやってはります。

 上記のJacquelineでのブルースの「クソッタレな(トニー・ウィルソン談)」ドラムソロへの観客の喝采に代表されるもの、 つまりルーティンワークに対する観客の承認が、トニー・ウィルソンにドゥルッティの「変化」を要請したんですね。 Without Mercyが正解だったとは思いませんが、 「いつもいつも(ウィルソンによると2年半、つまりデビュー以来)同じことやってて楽しいんかい。」というウィルソンの感覚自体は正しかったと思います。 (2008/8)

 《65》






I Get along without You Very Well (single) 1983

 他人の曲をアレンジし、しかも女性にボーカルを取らせているという珍しい作品。彼らにしてはとてもポップなもので異色の 作品になっています。カップリング曲はAnother Setting1曲目のPrayer。

 ボーカルは当時トニー・ウィルソンの奥さんであったリンジー・ウィルソン。
作曲者のホーギー・カーマイケルはジャズ・スタンダードの『スターダスト』やレイ・チャールズでお馴染みの『わが心のジョージア』の作者。 (2008/8)

 Factory Catalog Number: FAC64






初期のシングル・コンピ収録曲の現在(2008/6)
発売年月 発表形態 発売元 現在収録されているCD 新しく知った情報等

1980. 9. single ファクトリー・ベネルクス
 Lips that would Kiss Lips that would Kiss, The Return of the Durutti Column
 Madeleine Lips that would Kiss, The Return of the Durutti Column

1980.11. from "From Brussesl with Love" クレプスキュール
 Sleep will Come The Return of the Durutti Column ア・サートン・レイシオのベーシスト、ジェレミー・カーとのコラボ
 Piece for an Ideal Lips that would Kiss

1980. 12. from "Factory Quartet" ファクトリー サートン・レイシオのドラマー、ドナルド・ジョンソン参加
 For Mini LC
 For Belgian Friends LC
 Self-Portrait LC

1981.summer single Sordide Sentimental(フランス)
 Danny Lips that would Kiss, LC
 Enigma Lips that would Kiss, LC

1981.11. from "The Fruit of the Original Sin" クレプスキュール
 The Eye and the Hand
 Party
 Experiment in Fifth Lips that would Kiss, The Return of the Durutti Column

1981.12. from "Ghosts of Christmas Past" クレプスキュール
 One Christmas for Your Thought  LC
 Hommage to Martinu Lips that would Kiss 未発表かな

1982.10. accompanying "Deax Triangles" ファクトリー・ベネルクス  Deux Trianglesにオマケとしてつけられていたのかな
 For Patti Circuses and Bread
 Weakness and Fever

1983.6. single ファクトリー
 I Get along without You Very Well Circuses and Bread ボーカルはトニー・ウイルソンの嫁はんでしたか
 Prayer





Another Setting 1983



  1. Prayer
  2. Response
  3. Bordeaux
  4. For a Western
  5. The Beggar
  6. Francesca
  7. Smile in the Crowd
  8. You've Heard It Before
  9. Dream of a Child
  10. Second Family
  11. Spent Time

  12. Amigos em Portugal
  13. Menina ao pe duma Piscina
  14. Lisboa
  15. Sara e Tristana
  16. Estoril a Noite
  17. Favourite Descending Intervals
  18. To End with
 LCの路線を引き継ぎながら新しい面も表した作品。LCにも ポップスといってよい作品が収録されていましたが、A5. The Beggarといった曲はシングルにしてもヒットしそうなキャッチーなものです (もしかしたらヒットしたのかもしれません)。この曲とA3. Bordeauxでのブルースのドラムはとてもしっかりしたもので、はかなげなものを求めて彼らを聴いているときには、 少し強すぎるという感じもしてしまいます。またA1. Prayer B4. Second Familyではトランペットが使用され、後の路線への展望も見せています。 しかしこのトランペット、後のニューエイジを思わせるところがあってちょっといややなぁ。 ドゥルッティはニューエイジとは全然違うのに、そのように聴かれる可能性がここにはあります。 A2. ResponseはDeux Trianglesの流れの曲です。
 ともあれ今までの路線とこれからの路線が含まれたある意味でお得な、言い方を変えれば過渡的な作品集といえるかもしれません。しかし当時は LCの第二弾と思って嬉々として聴いていました。良い曲があればいいんです。LCほどではないですが、 たくさんあります。ラストB5. Spent Timeはスティーナノルデンシュタムのようで、いいなぁ(主客転倒)。ボーカル曲は6曲あります。

 苦手だ苦手だと色んなところで書いているトランペットですが、ここでのトランペッターは我が愛するサートン・レイシオのサイモン・トッピングだったんですねぇ。 はぁ〜。それならファンク・トランペットでいってくれたらよかったのに、とわけの分からん注文をしたりします。 (2008/8)

 《80》

 Produced by Vini Reilly, Chris Nagle.
 Bruce Mitchell: Percussion. Maunagh Fleming: Cor Anglais. Simon Topping: Trumpet.

 Factory Catalog Number: FAC74





Amigos em Portugal 1983



  1. Amigos em Portugal
  2. Menina ao pe duma Piscina
  3. Lisboa
  4. Sara e Tristana
  5. Estoril a Noite
  6. Vestido Amarrotado
  7. Wheels Turning
  8. Lies of Mercy
  9. Saudade
  10. Games of Rhythm
  11. Favourite Descending Intervals
  12. To End with
 『ポルトガルの友人たち』ということで彼のポルトガルでの友人たちについてのアルバムということですが、 B面は別に「ジャクリーヌに捧ぐ」というタイトルがつけられています。LCには「ジャクリーヌ」という曲まであるのですが、 どうやらヴィニにとってとても大切なジャクリーヌさんが亡くなり、その追悼に作られた面があるようです。ブルースも参加しておらず、とても個人的な感覚が強く 出ています。最初聴いた時、なんとも哀しいアルバムやなぁと思ったものですが、やはりそういった背景が関係しているのかもしれません。
 A面なんかはリズムボックスの音がやたらきついなぁと思う曲や、明るいというより能天気っぽく聞こえる曲もあるのですが、B面は1曲目のWheels Tuningやラストの To End withでは痛々しさまで感じます。特に後者はまさに鎮魂歌といった趣を持っています。ボーカル曲も3曲しかなく、とても内省的で透明な感じがあります。 今までの流れをいったん止めて、特別に作り上げたような作品集です。

 レコーディングされた作品の量がファクトリーで出せる範囲を越え、それでも発表したい時、ヴィニは他のレーベルに頼るんですね。 つまり「ポルトガルの友人たち」リリースしてくれてありがとう、ということなんでしょう。
 だから、ファクトリー以外で出されたものは、今作以降もアウトテイク集的なものになるんですね。
 クレジットにプロデューサーやらスタッフやらが表記されていなかったのも、色々な時、場所でレコーディングされたからかな。 上記のような感想になったのはそういうことだったんですね。 5.Estoril a NoiteははっきりShort Stories for Pauline用の曲だったそうでうですし。 しかしLP時、B面だったサイドはテーマがあるからか、あるいはテーマに沿った作品を集めたからか、一貫したイメージがあってやはり良いと思います。 それが、CDではAnother Settingの余りに、7曲だけ入れられていて、なんか釈然としない形でしたが、単独でもリリースされたようで、 良かった、良かった。 (2008/8)

 《75》

 Released by Fundacao Atlantica





Without Mercy 1984



  1. Without Mercy (1)
  2. Without Mercy (2)

  3. Goodbye
  4. The Room
  5. Little Mercy
  6. Silence
  7. E.E.
  8. Hello

  9. All That Love and Maths Can Do
  10. The Sea Wall
 彼の戦闘的な精神はこんな作品まで作ってしまいました。片面1曲ずつの作品で、タキシード・ムーンの ブレイン・レイニンガーなどを招いてドゥルッティ流オーケストラ作品を作ったのです。B面にはニューヨークのダンスシーンからの影響があるそうです。 レイニンガーのヴァイオリン、ヴィオラにトランペット、チェロ、サックス、オーボエ、トロンボーンそしてブルースのタイコにリズムボックス。
 やりたいことは分かるんやけども、彼の音楽性には、Another Settingでトランペットについて書いたのと同じように、 室内楽はどうも、という感じです。逆にニューヨークの影響か知りませんが、リズムは硬く、洗練されていないし。 この作品がファンに対して及ぼした影響は大きかったのではないですかね、これ以降私を含め彼についていけない者が大量に出たんではないでしょうか。 軟弱な者なら「失敗した、元に戻そう。」となるんでしょうが、彼は信念を持ってやっているのでそうはなりませんでした。

 最近、阿木譲さんのブログで「ベストはファーストと『ウィズアウト・マーシー』」とあるのを読んで、「は〜、そんな風に取りはった人もいたのね」 とちょっとビックリしました。しかしこれまた最近ドゥルッティのオフィシャル・サイトを読んで、ヴィニ自身が「これは冗談、酷い作品。 トニーがクラシックっぽくするためにしたこと」と言っているのを知って、「やっぱ、そうですよねぇ。」と再確認しました。 ただ作者が「これは最低(あるいは最高)」と発言しようが、それを鑑賞した人間が「これは最高(あるいは最低)」と考えるのは 別に間違っているわけではないので、やはり「良い!」と感じるだけの魅力はあるんでしょう。

 で、久し振りに聴いてみましたが、やっぱりあきませんでした。Little Mercyというモチーフを無理に伸ばしているだけのようで、ダレダレに聞こえました。
 しかしウィルソンがAnother Settingに対して「同じことの繰り返しで退屈」として、新たな展開を考えたのはエライとは思います。 前進できる力がヴィニにあると信じていたわけですし。そしてその思いはThe Guitar and Other Machines以降の 新しい展開を導き出すことになるわけです。 (2008/8)

 《50》

 Produced by Tony Wilson, Michael Johnson.
 Vini Reilly: Guitar, Bass Guitar, Piano and DMX. Bruce Mitchell: Percussion, Congas and DMX. Blaine Reininger: Violin and Viola.
 Richard Henry: Trombone. Maunagh Fleming: Cor-Anglais and Oboe. Mervyn Fletcher: Saxophone. Caroline Lavelle: Cello. Tim Kellett: Trumpet.

 Factory Cataolog Number: FAC84





Say What You Mean,Mean What You Say (12inch) 1984



  1. Goodbye
  2. The Room
  3. Little Mercy
  4. Silence
  5. E.E.
  6. Hello
 前作に較べると小品集になっているので、聴きやすくなっています。「前作はまとまりに欠けるものになってしまったので、 これを製作した」というようなことを来日時に語っています。しかしそれにしても、音の面で前作と変わるわけではなく、本当にこれで、以降個人的に興味が持てなくなり、 実際彼のニュースもほとんど耳に入ることがなくなりました。こうした傾向はAnother Settingの時から耳に付き始めていたのですが、 要するにトランペットやヴァイオリンといった室内楽的な楽器が入ると、ドゥルッティやないのですな、頭の固い者にとっては。そう考えると、 ほんとに我々は彼のギターが好きなんだというのが分かります。

 Without Mercyから数ヵ月後、ドゥルッティ・コラム・オーケストラをドゥルッティ・コラム・クインテットにして、 ややスリムにして焦点を絞ろうとしたわけですね。5人揃って演奏しているわけではないので、全然簡素になっていますが。
 しかしこうして聴き直してみると、ウィルソンの「何か新しいことをする必要がある」という判断はやはり正しいと思わざるをえないところがあります。 以前の感触に戻った曲には力が感じられない様に思います。 (2008/8)

 Vini Reilly: DMX drum machine, DX7 Synth and Guitars. Bruce Mitchell: Percussion.
 Mervyn Fletcher: Saxophone. Richard Henry: Trombone. Tim Kellett: Trumpet.

 Factory Cataolog Number: FAC114





Domo Arigato 1985



  1. Sketch for Summer
  2. Sketch for Dawn
  3. Little Mercy
  4. Mercy Dance
  5. The Room
  6. E.E.
  7. Blind Elevator Girl
  8. Belgian Friends
  9. Missing Boy
 未聴

 1985年4月、ヴィニ、ブルース、トランペッターのティム・ケレットそしてヴィオリストのジョン・メトカーフという ドゥルッティ・コラム・カルテットで来日しはりました。ドゥルッティ・コラムのライヴとしてはとても高水準のライヴだったそうで、日本のファンは恵まれましたね。
 私はこの時点で気持ちが離れていたんですねぇ。本当に若さって堪え性がないんですよね。 (2008/8)

 Produced by Durutti Column, Anthony Wilson.
 Vini Reilly: Vocals, Guitar, Piano and DX7. Bruce Mitchell: Percussion, Xylophone and DMX. Tim Kellett: Trumpet. John Metcalfe: Viola.

 Factory Catalog Number: FAC144





Tomorrow (single) 1986

 Circuses & Breadの先行シングル。
 カップリングに、これ以降後々までの付き合いになるヴィオリスト、ジョン・メトカーフのスタジオ初参加作品All That Love and Maths Can Doが 収録されたことに意味あるかな。 (2008/8)





Circuses & Bread 1986



  1. Pauline
  2. Tomorrow
  3. Dance II
  4. Hilary
  5. Street Fight
  6. Royal Infirmary
  7. Black Horses
  8. Dance I
  9. Blind Elevator Girl (Osaka)

  10. All That Love and Maths Can Do
  11. I Get along without You Very Well

  12. Verbier (For Patti)
  13. The Aftermath
  14. A Silence
  15. Cocktail
  16. Telephone Call
  17. Mirror A
  18. Mirror B
 基本的にAmigos em Portugal以降の音ですが、だいぶ洗練されているように思います。
 1. Paulineから不変のギターが鳴り響きます。ヴィオラの使い方も洗練されています。2. Tomorrowでは不変のボーカルが聴けます。3. DanceUは リズムボックス使用の曲ですが、ブルースは参加していないようです。ファズの利いたギターを弾いているのが珍しいですが、印象は変わりません。 4. Hilary。出たよ、トランペットが。しかしいやな気になるのは私だけかもしれません。いまだにやっているということは、これがええっちゅう人もいるんでしょう。 個人的には、ギターがあるからなんとかニューエイジにならずにすんでいるという感じです。5. Street Fight。銃声をバックにピアノ、サックスとの二重奏です。 路上のケンカではなく、市街戦でしょう。7.Black Horses 8. DanceT 9. Blind Elevator Girl・OsakaはWithout Mercyの路線で、 ちょっと御勘弁。

 傑作というわけではないのですが、イメージは一緒なので聴けます。しかしもう昔のようなオーラを感じることはなかったのでした。

 90年代の終わりに久し振りに聴いたアルバムがこれだった、というのは私にとっては少し残念だったというか、なんというか。 旧態依然のドゥルッティを聴いて「やっぱりもうええわ」と思ってしまったわけなので。
 Amigos em Portugalのところで書いたように、ファクトリー・ベネルクスから出たというのも、 「ウィルソンはあまり良いとは思わなかったんやろな」という事の証左のような気がします。
 クレジットがないので、確かではありませんが、ドゥルッティ・コラム・カルテット、つまりヴィニ、ブルース、ティム、ジョンが基本線でしょうね。
 今回改めて聴いてみましたが、以前と印象はほとんど変わらなかったです。1はLittle Mercy路線ですが、やはり「洗練されている」と 感じました。また全体に簡素であるのも好印象です。ホーンに関しては、予防線を張っているせいで、それほどまでには苦手感はなかったです。
 しかし、二番煎じ感が強いというか、大げさな表現はあるけど迫力に欠けるというか、ドゥルッティらしいポップさを生かしたものがないというか。
 右側のジャケットは93年にクレプスキュールから再発されたときのジャケットでタイトルがBread & Circusesとなってますが、 一体どういう意図でしょ。その時、「娯楽が食うことより大切」から「食うことが娯楽より先」に考え方が変わったということでしょうか。 あるいは「芸をやって飯を食う。」から「飯があって芸ができる。」ということですか? 「パンとサーカス」自体は帝政ローマの、市民に対する統治の基本姿勢だそうですが。

 再発時に収録されたトラック14-18はShort Stories for Paulineだったはずの曲たちだそうですが、「そうだったんですか」 という印象以上のものはないですね。悪くないけど、決定的な何かに欠けているような。違いますね、とにかくこの路線が私はやや苦手だということです。 (2008/8)

 《60》

 Produced by Vini Reilly

 Released by Factory Benelux

 Factory Cataolog Number: FACD154





The City of Our Lady (12inch) / The Durutti Column with Debi Diamond 1986



  1. Our Lady of the Angels
  2. White Rabbit
  3. Catos con Guantes
 未聴

 日本を去った後、今度はアメリカツアーに向かったそうで、 そのときの成果がA Night in New Yorkとこれだそうです。
 ロサンジェルスは名前通りの街だったそうで、Our Lady of the Angelsは「素晴らしい素晴らしい」街ロスに捧げているそうです。
 ところで、Debi Diamondという人はウィルソンにとっていわくのある人のようですが、一体何者なんでしょ。 (2008/8)

 Factory Catalog Number: FAC184





A Night in New York 1987



  1. Prayer
  2. Arpeggiator
  3. Our Lady of the Angels
  4. Pol in B
  5. Miss Haymes
  6. For Mother
  7. Requiem
  8. Jaqueline
  9. Elevator Sequence
  10. Missing Boy
  11. U.S.P.
  12. Tomorrow
 未聴




The Guitar and Other Machines 1987



  1. Arpeggiator
  2. What Is It to Me (Woman)
  3. Red Shoes
  4. Jongleur Grey
  5. When the World
  6. U.S.P.
  7. Bordeaux Sequence
  8. Pol in B
  9. English Landscape Tradition
  10. Miss Haymes
  11. Don't Think You're Funny

  12. LFO Mod
  13. Dream Topping
  14. 28 Oldham Place

  15. Otis
  16. English Landscape Tradition
  17. Finding the Sea
  18. Bordeaux
 ついに第2期突入ですね。あるいは中期ファクトリー3部作のスタート。(こういう括り方はあるんですかね)

 カルテットのメンツだったティム・ケレットはシンプリー・レッドへ、ジョン・メトカーフはクラシックの活動へと、 ドゥルッティと距離を置かざるをえない状況になって、ついに本格的に次の一歩に踏み出さざるをえなくなったわけですが、個人的には良かったと思います。
 最初、The Guitar and Other Instrumentsと誤解していたので、「またドゥルッティ・アンサンブルですか」と思って敬遠していたんですが、 実はOther Machinesで、結局その「マシーン」ってヤマハのシーケンサーとドラムマシーンのことだったんですね。 新たな「マシーン」たちにはなかなか苦労したようですが、結果的には新たな一歩を踏み出したわけです。
 1987年のマンチェスターと言えば、アシッド・ハウスの興隆期で、個人的には当時、808ステイツのファースト・シングルだかなんだかを聴いて、「カッコいい!」 と思った記憶があります。 だから、その当時このアルバムを聴いていたら、同じように、特に1なんか「爽快、かっこいい!」と思っていたかもしれません。 (ヴィニ自身はハシェンダにはよく通ったけど、そういうシーンには全く関わらなかったと言ってますが。) ウィルソンもこの爽快さは新しいと思ったそうです。システム7のようなテクノではまったくないですが、新しいリズムではあったでしょう。

 1はホントに爽快で、ピチカートもキーボードも気持ちよいです。2でのシーケンサーはポップ期のマイク・オールドフィールドみたい。 ドゥルッティ・コラムはこの時期以降、「何にも似ていない」というスタンスをやや弱めるような気がしますが、ドゥルッティ独特の曲があれば そういったタイプの曲が増えるのは良いことかな。
 3では女性ヴォーカルの本格初参戦、つぶやき系ですけど。6ではクラシック・ギターの本格的初参戦。 7はAnother Setting収録のBordeauxのリメイク。ミュージシャンとして深化していることを示すテイクと言えるでしょう。 これ以降リメイク作品もちょくちょく作っていきはります。
 8はファーストにのみあったようなエレキギターでのソロ。当時よりさらにクラシックギター風味を醸し出しています。 9.これにトランペットが入っていたら、Circuses & BreadのBlind Elevator Girlですな。あぶないあぶない。 11.最後の曲を自分の歌で締めているあたり、「皆が僕に歌わせたくないのは知ってるけど、女性ボーカルに全面的に任せる気はないよ。まだ歌うよ」と言っているかのよう。

 ボーナストラックのDream Toppingはタイトル通り、Vini Reillyで書きましたサイモン・トッピングが ティンバレス修行だかなんだかから帰ってきたのを迎えてのセッションだそうですが、同じくサートン・レイシオのジェレミー・カーも参加しています。 ウィルソンは歌っているというようなことを書いているけど、歌なんか聴こえませんけど。 ティンバレスとかコンガとかをやってはる感じ。ドゥルッティ・コラムとサートン・レイシオの合体ということで爽やかファンク。


 1を始めとする新しいリズム、女性ヴォーカルの導入、5でのギター弾きまくり、本格的なアコギの導入などなど、ドゥルッティの新段階を画する作品。 これ以降のドゥルッティをテクノ・アンビエントに成り切れないということで、乗れない人もいたんでしょうが、別ものですからね。 私は多分、当時これを聴いていたら気に入っていたと思います。 (2008/8)

 《80》

 Produced by Stephen Street
 Vini Reilly: Guitar, Keyboards, Machine Programs and Vocals. Bruce Mitchell: Drum Kit, Xylophone and DX Machine.  John Metcalfe: Viola and Percussion on 5.
 Stephen Street: Bass Guitar on 9. Rob Gray: Mouth Organ on 2,4. Stanton Miranda: Vocals on 3,5. Pol: Vocals on3,5,7. Tim Kellet: trumpet on 5.

 Factory Catalog Number: FAC204





Vini Reilly 1989



  1. Love No More
  2. Pol in G
  3. Opera I
  4. People's Pleasure Park
  5. Red Square
  6. Finding the Sea
  7. Otis
  8. William B
  9. They Work Every Day
  10. Opera II
  11. Homage to Catalonea
  12. Requiem Again
  13. My Country

  14. Paradise Passage Road
  15. Les Preger's Tune

  16. Buddhist Prayer
  17. Misere
  18. Real Drums - Real Drummer
  19. Pathway
  20. Rob Grey's Elegy
  21. Shirt No. 7
 今作の新しい「マシーン」はアカイのサンプラー。
 オーティス・レディング、トレーシー・チャップマン、そしてオペラ歌手ジョーン・サザーランドらの声のサンプルを使用しているということで、 仮のタイトルはDurutti Column Samplerと呼ばれていたそうです。(他にも色々使っているんでしょうが、分かりません。 アニー・レノックスを使ってるとか。ボノっぽいのもありますが。)
 その仮タイトルは「色々なサンプリングを使っていることがこのアルバムの特色」 という意味はもちろん、Factory Samplerのように「ドゥルッティ・コラムがこれですべて分かりますよ、代表作ですよ。」 と宣伝したいゆえのダブル・ミーニングを表していたんではないですかね。そして後者の線から正式タイトルにつながったんじゃないでしょうか。

 ウィルソンをはじめ、スタッフたちはヴィニに歌うことを止めさせようとずっとしていたそうです。なんと正直な。代わりにサートン・レイシオの サイモン・トッピングに歌わせようとしたりしたそうですが、その当時サイモンはトランペットやティンバレスの演奏に凝っていて、歌うことに興味はなかったとのこと。 そこでウィルソンたちはヴィニにサンプラーを渡したんだそうです。もちろん、その頃のテクノカルチャーの影響があったゆえでしょうが、 しかしヴィニは違う使い方をしはるので、そのウィルソンたちが受けていた影響はヴィニ自身にはあまり関係なかったといえるかもしれません。 この辺が唯一無二である由縁でしょう。

 1はいきなりのアコギ曲、それだけでも新鮮なイメージです。そしてドゥルッティ流サンプリングのお披露目。ウィルソンたちの意図とは違って、 楽器の一種として使っていて、ヴォーカルの代わりでは使ってないですね。 まぁ、それも当然のことでウィルソンたちの「ヴォーカル代わり」という考えも実は冗談なんでしょうね。 2.ここでのギターのストロークによる伴奏は初めてに近いんじゃないですかね。ギターを伴奏に使うときはボサノバのように爪弾きが基本で、 それがドゥルッティの特徴でもあったわけですが、ギターストロークはこのアルバム以降、かなり使われていきますね。これまた脱「何にも似ていない」曲。 一般性を獲得できるのでしょうか。
 3は弦楽のサンプリングかな、これまた、ちょっとありがちか。4はドラム・ベース・ツインギター・ヴォーカルでかなり既成のロックスタイルの曲ですね。 6.ピアノを主体とした演奏からの組曲形式の曲。前作からそうですが、構成が、簡素とはいえ、マイク・オールドフィールドみたいなところがあります。 9はフラメンコギターみたいなので伴奏。11はフラメンコそのままですね。「カタルニアへのオマージュ」ですからね。 それに対しサートン・レイシオのアンディ・コーネルの参加している5,7,12は昔のイメージです。さすが当時の付き合いが音に出ますか。 最後は前作と同じく、そして今回は唯一のヴィニのヴォーカル。めげないですねぇ。

 ヴォーカルのサンプリングはサンプリングにすぎず、サイモン・トッピングの(そしてもちろんヴィニの)代わりができているわけではないですしね。 また女性の生のヴォーカルもヴェールのように、効果音ぽく使っている感じで、歌のイメージはかなり低いアルバムです。
 また2,3,4,6,9など色々と幅を広げているために、オリジナリティを低めていることになっていますが、それでも誰よりもオリジナルだと思います。

 ボーナス・トラック中の16-21は後に出されるSporadic Recordingsからの抜粋で特にヴィニの気に入っているやつとか。 18のドラムパターンはMissing Boyじゃないですか。

 ジャケットは現行のCDに使われているヴィニの写真を囲みに使う形式をヴィニが嫌って「写真をもっと大きく使え。」と要求した結果が左の ヴィニのアップ写真だそうです。当時ヴィニはモリッシーのファースト・ソロ・アルバムViva Hateで大活躍だったようで (ノークレジットだったり、支払いが悪かったことについて後々怒ってはりますが)、帰ってきた時にはヴィニは「ボブ・ディランのように扱え」などと 「モリッシーの段階にいた(=傲慢?)」そうです。

Mark Holt, Vini's graphics magician, founder of the legendary 8vo, thinks today that three weeks at the Woolhall working with the two Stephens on 'Viva Hate' had messed him up; "He was in his Morrissey phase, wanted the picture bigger... there you go."
"Here's Bob Dylan, do it like that", said Vini.

 ヴィニ自身はタイトルは会社が決めたんだと言ってますから、ジャケットの話はホンマかいなと思いますが、ウィルソンは上のように回想していますね。 (2008/8)

 《75》

 Produced by Vini Reilly with Stephen Street.
 Bruce Mitchell: Drums
 Andy Connell: Keyboard on 5,7,12. John Metcalfe: Viola on 6. Rob Gray: Vocals on 9. Liu Sola: Vocals on 4,6. Pol: Vocals on 7.

 Factory Catalog Number: FAC244





Womad Live 1989



  1. Otis
  2. English Landscape Tradition
  3. Finding the Sea
  4. Bordeaux
 Vini Reillyに書いたことを考えると、このジャケットはセルフ・パロディというよりも、イジメではないでしょうか。 当のブルースによると、Vini Reillyのジャケットを「異様なもの」と思い出したヴィニが被害を広めるためにやったことだそうですが。 ブルースはここではドラムを叩いてさえいないでしょ、多分。なんだかねぇ。
 サンプリング・ヴォーカルは使わず、Vini Reillyに参加していたリウ・ソラという人に歌ってもらってます。 ペキンのオペラ歌手ということですが、オペラな歌い方ではなく、いかにも中華みたいな歌声ですね。 ブルースいわく「大げさな表現」。別に悪く思っているわけではないでしょうが。
 Bordeauxはヴィニが歌っています。めげないですねぇ。
 現行CDThe Guitar and Other Machinesに収録。 (2008/8)

 Vini Reilly: Guitar & Keyboards. Liu Sola: Vocals. Andy Connell: Keyboards

 Factory Catalog Number: FACD234





Dry 1989



  1. Dry
  2. Paradise Passage Road
  3. Rope Around My Neck
  4. Short
  5. Boat People 1
  6. Boat People 2
  7. Our Lady (version)
  8. Grade 2 Duet
  9. Octaves
  10. Out of the Blue

  11. Otis
  12. English Landscape Tradition
  13. Finding the Sea
  14. Bordeaux

  15. The Beggar
 未聴

 Produced by Vini Reilly

 Released by Materiali Sonori




The Sporadic Recordings / Vini Reilly 1990



  1. Buddhist Prayer
  2. Pathway
  3. Nile Opera
  4. Shirt No. 7
  5. Kind of Love
  6. Rob Gray's Elegy
  7. Misere
  8. For Steven Patrick
  9. We Stumble
  10. Sketch for A Manchester Summer 1989
  11. Arpeggiator II
  12. Diazepam 5 mgs (Enough to relax you.)
  13. But Was I...?
  14. Pol in A-flat
  15. Real Drums -- Real Drummer
  16. Another Mirror -- Another Wall
  17. 30 Oldham Street I
  18. 4.10 am
  19. For Lydia
  20. Detail for Heidi And Jodie
  21. Zinni's Dance
  22. PPP Version
  23. For Lucy H.
  24. 4.30 am
  25. It's a Bright Guilty World -- Part I
  26. It's a Bright Guilty World -- Part II
  27. Nile Reprise
  28. Diazepam 10 mgs
 未聴

 Vini Reillyの時期にファクトリーでは出せないほどの曲を作り上げたヴィニの4000枚限定のアウトテイク集。
 ファクトリーで出してもらえないものを他で出してもらうというのは、実は最初期の80年のLips That Would Kissを ファクトリー・ベネルクスで出して以来のやり方なわけですが、この作品はVini Reilly名義で出していて、それが今までとは話が違うと感じさせます。 ドラムを叩いているのはブルースでしょうし、メトカーフだって参加しているでしょう。それでいてドゥルッティ・コラム名義で出さないということは、 契約が一番の問題でしょうが、ドゥルッティ・コラムとは結局、ヴィニとトニー・ウィルソンのバンドだということを表しているということではないでしょうか。 つまり「俺(トニー・ウィルソン)が出さないようなものはドゥルッティではない!」ということなんじゃないでしょうか。 (2008/8)

 Released by TTTTTTTTT





Obey the Time 1991



  1. Vino Della Casa Bianco
  2. Hotel of The Lake 1990
  3. Fridays
  4. Home
  5. Art And Freight
  6. Spanish Reggae
  7. Neon
  8. The Warmest Rain
  9. Contra-indications
  10. Vino Della Casa Rosso

  11. The Together Mix
  12. Fridays (Up-Person Mix)

  13. Kiss of Def
 ヴィニがほとんど一人で作り上げた、ドゥルッティ流テクノ・アンビエント作品。
 タイトルは『オセロ』のセリフから取ったらしいですが、マンチェスターのこの「時代に従っ」た結果のアルバムなんでしょう。 前作・前々作ではシーンの興隆期だったせいで「ヴィニが自分のやり方でシーケンサー・サンプリングに挑戦した作品」になっていましたが、 この時はすでにシーケンサーミュージックはクラブミュージックとして確固としたスタイルが確立されていたので、 ヴィニもそのスタイルに乗ってみたのでしょうね。

 80年代中頃の雰囲気を持っている1で始まるものの、それは1分ほどで終わります。完全に今までの音楽を「過去」のものとして提示してみせたような構成です。
 2からは、「テクノ・アンビエント」の作品です、と言ってもいいような曲が続きます。そこにヴィニ印のギターが乗っかる、という感じです。 5なんかはシンプルな8ビートでギターフレーズもまったくドゥルッティ・コラムなんですが、間を取ることによってアンビエント的な浮遊感を醸し出しています。 ヴィニは「アンビエント」とか言われるとイヤみたいですが、このアルバムはイヤがってもしょうがないですね。
 7や8にはラテン的な感覚がみえますが、それもテクノの文脈においてです。しかし全体に暗めだから、こういう曲がもうちょっとあった方が聴きやすかったかな。 そうすると、ハルモニアになってしまうかな。それはそれでよかったんですが。そう考えればこのアルバムはクラスターの文脈においてもいいかもしれませんね。
 ラストの10は曲名からも分かるように、1とでこのアルバムをサンドイッチにするための作品。アコギとディレイギターを使ったもので、シーケンサーを使っておらず、 ディレイギターがその役割をなす、という本来のドゥルッティのスタイルを持っており、このスタイルをもっとやったら良かったのになぁ。

 少し後のSex & Dathの時期のインタビューでは「オービタルにインスパイアされてダンスアルバムを作っている。」と いうようなことを言ってますが、まあこれも、時代が作らせたアルバムですが、本人もそのことには自覚的であったと思います。

ボーナスの13は98年のTime Was Gigantic... When We Were Kids収録のMy Last Kissを、そのアルバムのプロデュースをした キアー・スチュワートがリミックスしたもの。なぜかジャングルに近いドラムン・ベースです。 (2008/8)

 《65》

 Produced by Vini Reilly. Computed and engineered by Paul Miller. except 9 computed and engineered by Andy Robinson.
 Bruce Mitchell: Drums on 6.

 Factory Catalog Number: FAC274





The Together Mix (12inch) 1991



  1. The Together Mix
  2. Contra-indications (album version)
  3. Fridays (Up-Person Mix)
 ファクトリーのDJデュオなのかな、トゥギャザーにリミックスをやらせたんですな。
 完全に四つ打ちの本格的なクラブ使用ですが、こういうクラブミュージックでわからないのは、 別にドゥルッティの曲でなくてもいいやん、と思わせるところです。チラッと聞こえるあたりがいいのかなぁ。
それに対し、Fridaysはヴィニがリミックスしているので、さすがに原曲を生かそうとしてますわな。

 トゥギャザーの一人がTime Was Gigantic... When We Were Kids以降、プロデュースを担うことになり、 ドゥルッティ・コラム第3のメンバーになったと言えるキアー・スチュワートなんですな。 (2008/8)

 Factory Cataogue Number: FAC284





Lips That Would Kiss 1991



  1. La Douleur
  2. Madeleine
  3. Lips that would Kiss
  4. Danny
  5. Enigma
  6. Snowflakes
  7. Little Horses of Tarquina
  8. Experiment in Fifth
  9. Take Some Time Out
  10. At First Sight
  11. Journeys by Vespa
  12. Destroy, She Said
  13. The Square
  14. Hommage to Martinu
  15. Piece for an Ideal
  16. Zinni
  17. Favourite Painting
  18. Piece for out of tune Grand Piano
 1983年の段階で、FBN36というカタログナンバーまで振り当てられファクトリー・ベネルクスから出される予定だったというアルバム Short Stories for Pauline(後にFBN36はCircuses & Breadに使われます)に収録されるはずだった 作品を9曲含む、91年発売の初期作品のコンピレーションアルバムが2007年に再発されました。
 ここでの1,6,7,9,10,11,12,13,14にCircuses & Breadの14,15,16,17,18を足すと14曲入りのアルバム Short Stories for Paulineになりますね。なぜその形で出してくれないのかな、と思いましたが、 この14曲がファクトリー・ベネルクスで棚上げされていたShort Stories for Paulineそのものではなかったんでしょう。 その後、それらレコーディングされたと思われる曲たちはSay What You Mean, Mean What You SayAmigos em Porugal、あるいはさらに後のCircuses & Breadにも、形を変え収録されたりしているんでしょう (Circuses & Breadの1曲目はPaulineですからね)。
 Short Stories for Paulineという作品で出ていたとしたら、それはそれでAmigos em Porugal系の しみじみした作品になったと思います。7にはCircuses & Breadでは使われていないハープも入ってたりもします。 が、Say What You Mean, Mean What You Sayでも書きましたが、全体的にちょっと弱いと思います。

 やはりこのコンピレーションアルバムの価値は初期シングル、コンピ提供曲が揃って収録されているという点にあると思います。 Deux Triangles もここに収録されて、聞きやすくなったわけですしね。 (2008/8)

 《90》





Sex and Death 1994



  1. Anthony
  2. The Rest of My Life
  3. For Colette
  4. The Next Time
  5. Beautiful Lies
  6. My Irascible Friend
  7. Believe in Me
  8. Fermina
  9. Where I Should Be
  10. Fado
  11. Madre Mio
  12. Blue Period
 未聴

 Obey the Time後につぶれたファクトリーがFactory Tooとして復活し、これはその第1弾として出された作品。 1曲目はトニー・ウィルソンにはっぱかけてるのかな。なんか力作ということなんで聴きたいなぁ。
 1年後に出されたCD-ROMはファーストに捧げるということで、黒いサンドペーパーを使用しているということです。すでにプレミアか。 (2008/8)

 Produced by Stephen Street

 Released by Factory Too
 





Fidelity 1996



  1. Fidelity
  2. For Suzanne
  3. Future Perfect
  4. Abstract of Expression
  5. G & T
  6. Remember Me
  7. Sanko
  8. Grace
  9. Guitar for Mother
  10. Storm for Steve
 またもブルースは不参加で、ヴィニとローリ・レキシコンとで作り上げた作品。ファクトリーではなく、クレプスキュールからですが、 ローリー・レキシコンが単独のプロデューサーとしてクレジットされているので、アウトテイク集ではないようですね。
  Obey the Timeより、色んな素材がドゥルッティらしく処理されていると思います。 「シーケンサー革命」から時もかなり経過し、だいぶ付き合い方が上手くなったのかな。 それともプロデューサーがヴィニの仲間ということで、上手く処理してもらったかな。 やはりSex & Dathを聴かないと。

 1.ピアノの打楽器的使用が意欲的なドゥルッティらしくてよろしいですね。エレクトロニクスもエリーのボーカルも馴染んでいる感じ。 2以降、サンプリング・ボーカルの使用が多いです。サンプリングに沿って曲を作っていく感じなのかな。Vini Reillyで 「サンプリングがヴォーカル替わりになるわけないでしょ」みたいなことを書きましたが、これ以降効果音としてではなく、サンプリングをホントにヴォーカル替わりに 使いはります。また話は違いますが、シンセ〜みたいなキーボードはいやです。 5ではアコギとトランペットの二重奏ですが、やはり上手く処理されているのか、トランペットが全然イヤじゃないではないですか。 経験は重ねるものですな。6.お〜、まだ歌いますか。7.アンビエント・テクノですが、爽やかなあたりはクラスターやノイといったジャーマンのイメージもあります。 8もなんかそんな雰囲気持ってます。リズムがシーケンサーという立派なもんではなく、リズムボックスみたいなんですが、 その方がドゥルッティには合ってますね、やっぱ。9はThe Guitar and Other Machinesから始まったポップ・マイク・オールドフィールド曲。 10.小鳥が囀るドゥルッティ・コラムの元型をなぞるかのような作品。やはりアルバムに1曲は入っていて欲しいスタイルの曲。

 リズムボックス風のリズムトラックを始め全体に地味なアルバムですが、その地味さがドゥルッティ風味であるので、抜群ではないですが、良好な作品です。 (2008/8)

 《65》

 Produced by Laurie Lexicon
 Elli R Rudge: Vocals on 1,3.

 Released by Crepuscule





Time Was Gigantic... When We Were Kids 1998



  1. Organ Donor
  2. Pigeon
  3. I B Yours
  4. Twenty Trees
  5. Abuse
  6. Drinking Song
  7. Sing to Me
  8. My Last Kiss
  9. For Rachel
  10. Highfield Choir
  11. Epilogue
 未聴

 今や第3のドゥルッティ・コラムニスト、キアー・スチュワートのドゥルッティ・プロデュース・デビュー作。

 Produced by Keir Stewart

 Released by Factory Too





Rebellion 2001



  1. 4 Sophia
  2. Longsight Romance
  3. Geh Cak Af En Yam
  4. The Fields of Athenry
  5. Overlord Part One
  6. Falling
  7. Voluntary Arrangement
  8. Mello Part One
  9. Mello Part Two
  10. Protest Song
  11. Meschugana

  12. Everybody Loves Papa
  13. Teresa
 Time Was Gigantic... When We Were Kidsを出した後、ファクトリーのやり方に反発を覚えたヴィニはなんと恩人であり、 ドゥルッティの半身であったともいえるマネージャーのトニー・ウィルソンをクビにしてファクトリーを辞めてしまいました。あちゃ〜。 そしてアートフル/フルフィルというイギリスの小さなレーベルと契約することになりました。ここがこれ以降ドゥルッティの新譜を発売していくことになるようです。
 さて、このアルバムの特徴は、史上初のハキハキしたヴォーカル導入で、史上一番ポップなあるいは一般的な作品を目指したということではないでしょうか。

 1はドゥルッティらしい美しい曲です。こんなベタないかにもドゥルッティ・コラムです、というような曲ばかりのアルバムを作るのはどうでしょう。 (次回作でその望みはかなりかなってしまいます。) タイトルはいつものごとく、ソフィアって女の人にちなんでいるのかと思いましたが(実際このアルバムにはソフィアさんが参加してます)、 ブルガリアの首都にも関連するみたいです。
 2ではタブラみたいなリズムトラックでヴィニが歌っています。これまたドゥルッティ・コラムですねぇ。Longsightでの銃撃事件をきっかけに生まれた曲だそうですが。 3にクレジットされてる子供の声なんか聞こえませんねぇ。どこに入ってるの。 もしかしてクレジットに表記されていないのに女性ヴォーカルが囁いている6がそうでしょうか?
 4は他人の曲でアコギの伴奏で、ヴィックという人にハキハキ歌ってもらってますよ。シングル候補だったそうですが、ドゥルッティを表すような曲ではなく、 一般受けしそうな曲を宣伝用のシングルにするという一般的な発想はどうでしょ。 それにしても、このヴィックという人のハキハキヴォーカルがねぇ、好き嫌いは人それぞれですけどね。
 5はインド風(バングラっていうのかな、ラーガっていうのかな)ヒップホップですが、しかしそれと対峙するヴォーカル部分は当然堂々。 8はアコギとヴィニ印ギターに彼のヴォーカル、やはりこれがドゥルッティ。9は深化したシーケンサーミュージック。 10はチベタンバンジョーをバックにしたものですが、「歌物」と言ってもいいんじゃないですか。音楽的には穏やかだけど、しかし タイトルはズバリProtest Song。当時ヴィニの一番政治的なプロテスト事項は、マリファナへの非難に対するプロテストだそうで、 マリファナを健康上必要とするヴィニにとってはマリファナへの非難はとても間違った政策だそうです。

 ということで、4,5,7,10のハキハキしたヴォーカル曲は私は苦手ですね。 もちろんこの感想は、大昔、室内楽を嫌ったように私の偏狭なドゥルッティ・コラム・イメージへの思い入れが思わせるものでしかありません。 例えば、私は全然楽しくなかったマイク・オールドフィールドの80年代初期のヒットヴォーカル曲「ファミリー・マン」や「ムーンライト・シャドウ」ですが、 私の周りでは割と受けていたので、こういうヴォーカル曲を好む方がいてもおかしくはないです。
 それにしても逆にヴェールみたいなヴォーカルはそれはそれでベタな感じがするので、そう考えると歴代のスタッフが止めさせようとして止めさせられない ヴィニ自身のへなちょこヴォーカルが一番合ってるような気がしてきました。 (2008/8)

 《60》

 Produced by Keir Stewart
 Bruce Mitchell: Drums
 Vick A Wood: Vocal on 4,5,7,10. Camilla Britten: Vocal on 3. Bic: Rap on 5. Gerard Keaney: Hamonica on 4.  John Gell: Violin on 3. Sophia Keller: Tivetan Banjo on 10.

 Released by Artful/Fulfill





Return of the Sporadic Recordings 2002



disc1: Return of the Sporadic Recordings
  1. For Soph
  2. Final Cut
  3. Silent Nite
  4. Smiles U Gave Away
  5. Waiting 4 the Earth
  6. U Didn't Need Me
  7. How Do U Think It's Going to Feel? 
  8. Slo-Glyde
  9. Returned Love
  10. Catos Con Guantes
  11. Vampire Business
  12. Ping-Pong
  13. Zinni Tune
  14. I'm Nowhere
  15. Only Love


disc2: The Sporadic Recordings
  1. Nile Opera
  2. Kind of Love
  3. For Steven Patrick
  4. We Stumble
  5. Sketch of a Manchester Summer 1989
  6. Arpeggiator II
  7. Diazepam 5 mgs
  8. But Was I...?
  9. Pol in A-flat
  10. Another Mirror - Another Wall
  11. 30 Oldham Street
  12. 4.10 am
  13. For Lydia
  14. Detail for Heidi and Jodie
  15. Zinni's Dance
  16. PPP version
  17. For Lucy H
  18. 4.30 am
  19. It's a Bright Guilty World Part I
  20. It's a Bright Guilty World Part II
  21. Nile Reprise
  22. Diazepam 10 mgs
 未聴

 今や、ドゥルッティ・コラムの新たな、そして貴重な捌け口になっているクーキーディスクから、以前発売されたコンピ The Sporadic Recordingsに新たなアウトテイク集をくっ付けての2500枚限定のリリース。

 Released by Kookydisc





Someone Else's Party  2003



  1. Love Is a Friend
  2. Spanish Lament
  3. Somewhere
  4. Somebody's Party
  5. Requiem for My Mother
  6. Remember
  7. Vigil
  8. Blue
  9. No More Hurt
  10. Spanish Fairy
  11. American View
  12. Drinking Time
  13. Woman
  14. Goodbye
 2002年から2003年にかけての時期にお母さんが亡くなったということで、「亡き母に捧げる」作品。 そういう理由ででしょうか、部外者の参加を極力抑えていますが、そのことがヴィニのギターだけあればいいのにと、 過去かなりの曲でそう思っている私にはとてもよろしく響きます。 イアン・カーティス、ジャクリーヌ、そして母親と、追悼の感覚が深いんですかね、良い作品になります。

 2のサンプリングはデビッド・リンチの『マルホランド・ドライヴ』の劇中歌唱のものであることが、わざわざクレジットされていますが、 1のボーカルのサンプリングはないのはなぜでしょう。ロイ・オービソンのCryin'のようなんですが、サンプリングって元を表記する義務はないんでしょうね。 どちらもヴィニのエレキギターが美しく響きます。
 3から7まで、いずれもヴィニのボーカルにこれまたヴィニ印ギター伴奏。4のイントロなんかはどっかで聴いたことある感じですが(Rebellion の4 Sophiaですが)、とにかくヴィニ印ですから、当然です。ファンからすれば、これでいいんですよ、という感じ。5は母親の葬儀の晩に書かれたものとか。
 8.Blueはホンマにヴィニ流ブルースギターですが、これはどうでしょうか。しかしTime Was Gigantic... When We Were Kids 収録のPigeonはフリートウッド・マックのあのAlbatrossからのインスパイアだそうですから、むべなるかなですね。また幅が広がって一般的になったということです。 9はヒップ・ホップ。でもヴィニが歌います。10も11もヴォーカリスト・ヴィニ。
 12はFidelity以来の付き合い、エリーのヴォーカルですが、全体の統一感を失うことはないです。13は子供の遊びの歌をループしたものらしいので、イギリス人にとっては 馴染みのあるフレーズなのかな。ドゥルッティ流レゲエ。14.最後は小鳥の囀りに導かれ、アコギでお別れですが、印象は統一されてます。

 本来ドゥルッティ・コラムにとって良い作品とは「意欲的な作品」のことなわけですが、これは追悼アルバムですから、そういう面を考えないで創られ、その結果は 従来のファンにとってはとても「良い作品」になってしまいましたね。前作とは対照的に、またドゥルッティ史的にもヴィニが歌う量が極端に多いアルバムですが、 へなちょこ率が高くなってもその分、唯一無二性が出ているわけで、改めてドゥルッティ・コラムという「オリジナリティ」の重要性を示したアルバムです。 (2008/8)

 《80》

 Produced by Vini Reilly. 2,13 produced and 1 programmed by Laurie Laptop. Album Mastered by Keir Stewart.
 Eley Rudge: Vocal on 12. Sampled Voice 2 by Rebekah Del Rio from the David Lynch film 'Mulholland Drive.

 Released by Artful/Fulfill





Tempus Fugit 2004



  1. Counting...
  2. Shooting
  3. Lullaby 4 Nina
  4. Mystery
  5. Guitar-Woman
  6. Violence
  7. Bollywood
  8. Love Song on Quattro
  9. Tempus Fugit
  10. The Man Who Knows
  11. Slipping away
  12. Trip for an Opera
  13. Untitled for You
  14. Salford Harmonics
  15. ... shopping
 タイトルはすでに86年のベストアルバムValuable Passagesのジャケットに写る墓標らしきものに刻印されていますね。 「光陰矢の如し」ですと。ヴィニはよく「時間がないのに何も成し遂げていない」と言ってるのでそういう感覚なんでしょうね。
 前作のイメージを引き継いでいますが、これは、曲ごとにローリーに手伝ってもらったり、キアーに手伝ってもらったりと製作の仕方が一貫していないですし、 クーキーに前作のアウトテイク集を出してもらったということかな。「スポラディック=散在したもの」でなく、一時期のもので、 また最終的なマスターをローリーが引き受けている、ということで統一感がありよく仕上がった作品集になっていますが。

 1と15は曲ではありません。2はジル・テイラーのハーモニーが聖歌的で美しい。ヴィニのヴォーカル、ギターにアコギの伴奏。 3.女性のヴォーカル曲に聞こえますが、童謡でもサンプリングしたんでしょう。そのメロディがとても可愛らしいです。まさにララバイ。 5.前作のWomanのリメイクで、よりヒップホップ乗りにしています。だからリミックスと言った方がいいのかな。 7,13はいにしえのドゥルッティ・コラム風ですが、さすがに25年も経ち、経験も重ね、器材への理解も深まり、の上での演奏です。これでいいんです。 8.フラメンコ。10はブルース風フラメンコか。違うか。12はアンビエント。

 2,4,6,9,11とヴィニヴォーカルにヴィニ印ギター、そしてアコギのストローク伴奏ですが、このスタイルの伴奏ギターはVini Reilly以来、 よく使われるようになって来たものですが、ここではそれが目立ちます。
 あるインタビューでベーシストを使わない理由を、「自分の親指を使った演奏法にとってベースが邪魔になるから」と説明していますが、 その演奏法こそ「ドゥルッティ・コラム風」を創り上げるミソだったと思うので、 ギターストロークの伴奏はできるだけ控えめにしてアルバム中2曲までにしていただきたい。
 そのあたりの安易なように聞こえる演奏が前作より、やや得点ダウン要素。アコースティックな響き自体はいいんですけどね。 これらがデモに近いものであるとするなら、この演奏の意味は分かりますが。

 前作に引き続き、ヴィニ歌いまくりの宅録アルバム。 ほとんどがBOSSのMTRで録音されているとクレジットされていますが、ブルースのドラムがなければ宅録で充分なんですね。 (2008/8)

 《75》

 Produced by Vini Reilly with Laurie Laptop(3,6,11,13,14) and Keir Stewart(7). Mastered by Laurie Laptop.
 Jill Taylor: Vocal on 2.

 Released by Kookydisc





Keep Breathing 2005



  1. Nina
  2. Its Wonderful
  3. Maggie
  4. Helen
  5. Neil
  6. Big Hole
  7. Let Me Tell You Something
  8. Lunch
  9. Gun
  10. Tuesday
  11. Agnus Dei
  12. Waiting
 私にとってドゥルッティ・コラムはこのページに書かれてあるように、84年までがリアルタイムであり、 またキチンと聴いていた時期でした。その後20年間過去の作品を聴く事はあっても、リアルタイムに活動している彼らの音を聴く事はありませんでした。 しかし今作、色々な情報からあのLC 以来の傑作との噂を聞きつけ、それは聴かなアカンでしょ、 ということで、ほん〜とに久し振りに購入いたしました。
 結論から言うと、80年代初期に味わった感動が蘇る、というわけではありませんでした。しかしここで聴ける音楽はドゥルッティ以前にも、また以後にも聴いたことのない、 彼らにしか作りえないものだと思います。この20年間で蓄積してきた様々な、しかしドゥルッティ・コラムとしか言いようのない音が詰め込まれています。 LC 収録のような曲も含まれており、もしかすると集大成的な作品なのかもしれません。(管弦楽的なものは流石にありませんが)
久し振りに日本盤まで発売されたということで、注目を集めた作品だったようです。(2007/1)

 小さい部屋でマイク一本で録られた作品集とのこと。宅録だということですかね。 「アフリカのヒッポ・ホップ、伝統的なユダヤ音楽、1930年代のアート・テイタムのピアノなどにインスパイアされた作品」ともあります。
 上にも書いたように「LC以来の傑作」とか「最高傑作」と宣伝されていますが、このアルバムが発売される前に、 レッチリのジョン・フルシャンテがヴィニを「世界最高のギタリスト」というようなことを言ったんですね。 それで、このアルバムは時期的に売れると思って、宣伝として「最高傑作」とか言ってるのではないですかね。

 1.レゲエ調の歌。イギリス人にとってレゲエは日本人と違って、割と自然なものなんでしょうね。自然にドゥルッティ流にやってはりますね。 2.ハードロッキンなギターカッティングですねぇ。3.14年前にBBCで放送された聖歌隊の歌をサンプリングしたそうで。4,7.シンセっぽい音やリズムトラックが大げさ。 5.アコギをバンジョーみたいに使っているので、カントリー風味ですが、しかし次第にドゥルッティ風に。ギターソロ作品。 8,9もアコギの響きが美しい。11.シンプルなアコギ伴奏で祈りの曲。12は11の歌のようなものをサンプリングしているので似たような感じで始まりますが、 ちょっと感動させよう、とういう感じのする曲。どうかな。

 1,2,4,6,7,9,10,12がヴィニのヴォーカルですが、ちょっと歌い過ぎじゃあないすか。Someone Else's Partyでは 曲のオリジナリティを高める効果を持っているとは書きましたが、だからと言って、こんなに開き直って歌われるのはちょっと…。 曲が全体に暗めで、また逆に大仰なところもあって、ということでこのプロデュースは私は苦手です。
 一ファンとして言いますが、この作品は悪いわけはないですが、ドゥルッティ・コラムの「最高傑作」ではありませんので、あしからず。 (2008/8)

 《65》

 Produced by Ben Roberts.
 Helen Farley-Jones: Vocal Harmonies on 11. Ben Roberts: Harmonica on 6 and Clarinet on 10.

 Released by Artful/Fulfill





Sporadic Three 2006



  1. Birthday Present
  2. Dig a Hole
  3. Mama and Papa
  4. In the City
  5. The Best Dream
  6. The end of the Journey
  7. For Loretta
  8. New Order tribute
  9. I B Yours - version
  10. Natural Mystics
  11. Drinkin Time - version
  12. Trust the Art Not the Artist
  13. Fate
  14. For Danny
 さすがにこれはデモトラック集ですね。3,9,11.が別ヴァージョンだったり、8でニュー・オーダーに捧げたり、14であの懐かしのDannyをリメイクしたりと、 色々やってはいますが、まだ仕上げる余地を残した段階のトラック集と違いますかね。1は友達の母親の誕生日プレゼントだそうですし、4の四つ打ちの ダンスビートはお気楽ですし、8などは趣味の範囲ですね。Tempus Fugitでも書きましたが、伴奏ギターが多いのもそれが デモレベルのガイド録音だと考えれば納得できます。しかしながら14の音色はオリジナルを意識しているのか、お〜、と思ってしまいます。

 《50》

   Released by Kookydisc





Idiot Savants 2007



  1. Better Must Come
  2. Interleukin 2 (for Anthony)
  3. Please Let Me Sleep
  4. 2 Times Nice
  5. No Last Surprise
  6. Gathering Dust
  7. Whisper to the Wind
  8. That Blows My Name Away (for Rachel)
 1.ブルースのドラムから入るなんて、久し振りのことではないですか。古いジャマイカの子供たちの歌を基にしたアフリカン・ヒップ・ホップのサンプリング曲。 しかしながら、ブルースのドラムのせいかメインストリームロックみたいに響きます。よろしいんじゃないでしょうか。
 2はその年の8月に亡くなった盟友、トニー・ウィルソンに捧げた曲。タイトルはウィルソンに投与されていた薬の名前で、「自分の曲も彼を落ち着かせるために作った」と 言ってますが、鎮静作用を持つというより、元気を出させるような曲で「アロマ・ミュージック」ではありません。 ヴォーカルのポピー・ロバーツという人は若い女性ですが、ヴィニは彼女について、ヴィニ・"キース"・ライリーにとっての"ミック・ジャガー"と絶賛しています。 歴代のヴォーカリスに比べ、つぶやきでもなく、元気一杯でもなく、ややソウル系のヴォーカルでなかなかよろしいんじゃないでしょうか。 しかし運命のヴォーカリストであっても、このアルバムでは3曲にしか歌わせず、結局やはり、自分で3,4,5,8と半分を自分で歌っています。
 3はガット・ギターでLCの曲、例えばSketch for Dawn 2でも弾いている感じ。後半になってヴィニのヴォーカルが入って、 結局9分に及ぶ大作に。4,5とブルース・ドラムでベースも入れてディストーションギターを弾いたりしてバンド形態曲を。6はポピーとの共作でポップな路線を目指した曲。 こういうのをちょっと入れたがりはるのね。
 7,8は曲調はまったく違いヴォーカルも7がポピー8がヴィニと、印象をあえて変えてますが、同じ歌詞を使って、タイトルも二つ合わせて一つ (「我が名を吹き飛ばす風にささやく」)になっているので、組曲のイメージ。7はたおやかに、8はガット・ギターでクラシック調のイントロからヴィニのヴォーカルで 締め。7だけで8分30秒、二つ合わせると13分弱に及ぶ大作に。まぁ、そんなイメージはありませんが。 さらに2での歌詞を再び使っており、歌詞の面でアルバムに統一感を持たせようとしているようです。

私にとっては、かなり標準的なドゥルッティ・コラム作品であります。

 《70》

 Produced by Keir Stewart. except 3 produced by Tim Thomas. 5 produced by Laurie Keith.
 Vini Reilly: Guitars, Vocals. Poppy Roberts: Vocal on 2,6,7. Bruce Mitchell: Drums.

 Released by Artful/Fulfill





Live in Bruxelles 13.8.1981 2008



  1. Sketch for Dawn
  2. Messidor
  3. Jacqueline
  4. Conduct
  5. Sketch for Summer
  6. Danny
  7. Stains (Useless Body)
  8. The Missing Boy
  9. Self Portrait (Version)
  10. For Belguian Friends
  11. Interview
 ホンマや、こんな時からJacqulineでは「クソッタレ」ドラムソロ(Live at the Venue Londonおよび Without Mercyでの拙文を参照してください)をやることになってたんですね。 それでは、ウィルソンが「あきあきする」のもしかたないですね。

 1981年、ブリュッセルでは8月に2度のライヴを行ったドゥルッティ・コラムの、13日の野外ライヴがラジオで放送され、それがこれだそうです。
 ラジオ局かライヴミキサーの所業か知りませんが、ドラムの音が大きいって。とことんへなちょこのボーカルがとことんへなちょこに録音されております。
 7のStain (Useless Body)はDeux Trianglesに収録予定の曲で、結局未発表のままに終わった曲ですが、ポップだけど、 ちょっと間抜けな曲Partyと似たような路線の曲で、まぁ、発表しなくてよかったかな、というぐらいの作品です。 その後に出てくるMissing Boyとの落差ですよ。

 ラジオ放送時に行われたインタビューも収録されており、実質的な演奏時間は40分弱ですが、貴重な演奏ということで。

 《65》

 Released by ltm recordings





Sunlight to Blue...Blue to Blackness 2008



  1. Glimpse
  2. Contact
  3. Messages
  4. Ged
  5. Ananda
  6. Never Known - version
  7. So Many Crumbs and Monkeys!
  8. Head Glue
  9. Demo for Gathering Dust
  10. Cup a Soup Romance
  11. Grief
 クーキーからということで、デモや未発表や別ヴァージョンを集めたものでしょうが、これがSporadic Threeとは違って、 仕上げる前の簡素さがとても、「ドゥルッティ・コラム」らしい録音になっていて、なかなかいいんではないですか。 また2曲でWithout Mercyに言及しており、その価値を今改めて評価し直しているんでしょうか。

 1.自分の曲をアコギで爪弾いて練習しているような曲ですが、これがシンプルでドゥルッティの骨組みだけでできているようで、とても良い録音ではないでしょうか。 2はWithout Mercyの幕間の曲に似たインストとありますが、シンプルなため(私には)ずっとよく響いています。 伴奏ギターもストラトとの2本体制というシンプルさのためなんの問題もなく聴けます。 3は伴奏ギターにリードアコギにハーモニカ。ちょっとフォーク調の曲。でもやっぱりシンプルだから聴けますね。 4.可愛らしいポップな曲。と言ってもポップチャートにのるような曲ではなく、リズムボックスでドゥルッティらしい可愛さを持った曲です。 5はポピー・モルガンという人の曲で、この人のピアノにギターで絡んでいます。なんとも「80年代初期、クレプスキュール」という演奏です。
 6.LCのあのNever Knownのリメイク。シーケンサーを使ってリズミックにやってますが、それ以外はアレンジは変えてあるものの 前のイメージのままなので(ヴォーカルもヴィニですし)、合ってないですね。実験トラックでしょう。 7,8とヴィニヴォーカルの楽園イメージ曲。8は女性ヴォーカルとのデュエットですが、クレジットがないので、サンプリングとデュエットしてはるのかな。 9.Idiot Savants収録曲のギター一本でのデモ。途中フラメンコが入ったりして、デモ感があります。 Idiot Savantsでは、ポピー・ロバーツとの共作とありましたが、ここではポピーの名前は表記されていないので、 彼女は作詞だけを担当していたということですね。10.続けてフラメンコスタイルのインスト曲。11.Without Mercyの追憶ピアノ曲、 とありますが、というよりDeux Triangles追憶の曲といったほうがしっくりきます。

 やはりドゥルッティ・コラムはシンプルが一番。で、

 《75》

 Poppy Morgan composed and perfomed 5.

 Released by Kookydisc





Treatise on the Steppenwolf (Soundtrack) 2008



  1. A Beautiful Thought (Pt 1)
  2. The Mothers and the fathers
  3. A Wolf of the Steppes
  4. Interlude
  5. Title on the Cover
  6. Divided
  7. Magic Theatre
  8. Soul Track
  9. Harry Dreams the Dream
  10. A Beautiful Thought (Pt 2)
  11. Stupid Steppenwolf (Pt 1)
  12. Stupid Steppenwolf (Pt 2)
  13. Lullaby (Live)
  14. Mello (Live)
 2002年から2003年にかけて書いた、実験的な演劇グループ、12スターズ・シアター・プロジェクトの舞台Treatise on the Steppenwolfのための音楽。 この時の舞台は男女1組のもの。ジャケットの女性がその一人です。
 小説Steppenwolfはヘルマン・ヘッセの世俗に対する批判的なアウトサイダー的小説で、60年代のヒッピーに影響を与えたそうです。 ロックバンド、ステッペンウルフは当然これなんですね。
 ただ、ヘッセの脚色というのは後からの話のようで、最初はヴィニと12スターズのコラボとして計画されたものなので、ヴィニは自由に創作したそうです。 全体にエコーを効かせまくって舞台のバックグランドミュージックにしています。ギター演奏のほとんどがエレキなのも、またヴォーカルが少ないということも、 舞台を意識してのことでしょう。80年代後半以降の中では一番アコースティック類の少ない演奏です。

 既発音源として、1,10はSomeone Else’s Party収録のDrinking Timeのこと。エコーかけまくりで舞台用にしています。 2はRebellionにボーナス収録されたEverybody Loves Papaのことで、Sporadic Threeにも Mama and Papaとして収録されているものです。このサントラが発表される当てがなかったので、それらに収録したんでしょう。 つまり、このサントラの演奏がオリジナルだということだと思いますが、なんとか発表したいと思っていた曲なんでしょうね。ドゥルッティ流レゲエ。

 3はTempus Fugit収録のTrip for an Opera 。ほぼそのままかな。 8は既発音源ではありませんが、Tempus Fugitとよく似た弾き語り的フォーク調の曲。エレキでやってますが。 9,13.Tempus FugitのLulluby 4 Ninaです。13はライヴ音源で、多分女優さんが朗読をしているんではないですかね。 11,12.Someone Else’s PartyのWomanが使われています。このサントラに使うために色々試行錯誤した結果の一つが Tempus FugitのGuitar-Womanなんでしょう。
 こう見ていくと、Tempus Fugitはこのサントラのアウトテイクというか、リメイクの感覚を含んでいるわけですね。
 14.MelloはもちろんRebellion収録曲でpart1の方。

 他の4,5,6,7あたりはサンプリングヴォーカルを多用しているので、Vini Reilly以来の雰囲気を持っています。

 2003年5月1日から3日の間に舞台が行われ、そこでドゥルッティ・コラムはライヴのサウンドトラックを演奏したようです。 舞台の写真を見ると、ヴィニ、ブルース、キアーの3人で演奏していますが、収録されたライヴ音源の13,14ではドラムは聞こえないですし、 他の曲でも目立ったドラム演奏はないので、ブルースは一体何をやっていたのでしょうか。

 あのSomeone Else’s Partyの時期の作品ということで4,5,6,7あたりの曲はなかなかよろしいですが、 やはり(舞台用にエコーをかまされた)既発音源が多く、またライヴ演奏の面白さがあるというわけでもないので、それほど高得点作品とは言えないですかね。で、

 《65》

 Released by ltm recordings





Love in the Time of Recession 2009



  1. In Memory of Anthony
  2. Rant
  3. More Rainbows
  4. I'm Alive
  5. For Bruce
  6. Painting
  7. Wild Beast Tamed
  8. Rainbow Maker
  9. My Poppy
  10. Loser
  11. Lock-Down

  12. The Secret between the Blade and Me
  13. Duet for Piano and Guitar
  14. Everybody's Laughing (I don't Care)
 これは近年ではなかなかの力作。タイトル『不景気の時代の愛』はガルシア・マルケスの『コレラの時代の愛』にインスパイアされたものだそうです。
スローとミディアムの曲ばかりなんですが、それがまたよろしい。こちらも歳をとったんかな。 Amigos em PortugalのB面の感覚があるなぁ。

 《75》

 Released by Artful/Fulfill





Paean to Wilson 2010



disc1: A Paean To Wilson
  1. Or Are You Just A Technician
  2. Chant
  3. Quatro
  4. Requiem
  5. Stuki
  6. Along Came Poppy
  7. Brother
  8. Duet With Piano
  9. Darkness Here
  10. Catos Revisited
  11. The Truth
  12. How Unbelievable


disc2: Heaven Sent (It Was Called Digital. It Was Heaven Sent)
  1. Bruce
  2. Keir
  3. Neil
  4. Mike
  5. Alan
  6. Anthony
病床のトニー・ウィルソンを見舞う際に作られ、捧げられたという12曲の楽曲で構成された組曲Movementを丸ごと収録したPaean to Wilson。
トニー・ウィルソンへのトリビュートとしてライブ会場やウェブサイト等でのみ限定販売されていたらしいです。
プラス05年にダウンロード販売されたHeaven Sentの2枚組。

 これはなんと言いますか、テーマがテーマだけにか、まったくもって回顧的な作品であります。すなわち「80年付近辺りがドゥルッティ!」と思っている者にとっては ど真ん中。特にHeaven Sentの方は、音色も含めてファーストかリップス・ザット・ウッド・キスかという感じ。Paean to Wilsonは、たとえば1曲目がスティーブ・ライヒのカム・アウト 的な表現をやってたりして、なんだか時代を無視した前衛性を醸し出してたりするんですが。
ということでオッサンの点数は、

 《85》

 Produced by Keir Stewart.
 Vini Reilly: Guitars, Piano. Bruce Mitchell: Drums. Keir Stewart: Bass, Keyboards, Harmonica. Poppy Morgan: Piano. John Metcalfe: Viola. Tim Kellet: Trumpet.  Ruby Morgan, Kate Williamson: Vocals.

 Released by Kookydisc





Short Stories for Pauline 2012



disc1: Short Stories for Pauline
  1. At First Sight
  2. Duet
  3. College
  4. Invitations
  5. Destroy, She Said
  6. Model
  7. Journeys by Vespa
  8. A Silence
  9. Mirror A
  10. Cocktail
  11. Telephone Call
  12. Mirror B
  13. A Room in Southport


disc2: Live in Bruxelles 13 August 1981
  1. Sketch for Dawn
  2. Messidor
  3. Jacqueline
  4. Conduct
  5. Sketch for Summer
  6. Danny
  7. Stains (Useless Body)
  8. The Missing Boy
  9. Self Portrait (Version)
  10. For Belguian Friends
  11. Interview
[長らく、VINI REILLYことDURUTTI COLUMNの“ロスト・アルバム”だった伝説の4thアルバム『SHORT STORIES FOR PAULINE』
――本作は、今年6月に輸入盤アナログのみでリリースされており専門店を中心にヒットしていたのですが、この度、満を持して、 待望の国内盤化!しかもファン待望の限定仕様による紙ジャケットです!

このアルバムは、1983年にベルギーはブリュッセルでレコーディングされ、FACTORY BENELUXからリリースされる予定でした。

「COLLEGE」や「A ROOM IN SOUTHPORT」など優美な楽曲がズラリと並んでいる中、当時DURUTTI COLUMNのマネージャーもしていたTONY WILSONが 「DUET」という曲を特に気に入り、この曲を発展させ、(傑作と呼ばれる)12インチ・シングル「WITHOUT MERCY」(1984年)をリリースしてしまいます。 その為、TONY WILSONの独断で『SHORT STORIES FOR PAULINE』はお蔵入りとなってしまいました……。しかし、約30年の時を経て、遂に陽の目を見ることに!

今回の初CD化に際し、アナログ盤には未収録だった“ライヴ音源10曲+VINI REILLYのインタビュー”が収録された『LIVE IN BRUXELLES 13 AUGUST 1981』を DISC 2として新たに追加!リマスター音源、そしてLes Disques Du CrpusculeのデザイナーだったBENOIT HENNEBERTが手掛けたジャケットも◎!

昨年リリースされたDURUTTI COLUMNの1st〜3rdアルバムの紙ジャケット盤に続き、本作によって彼の初期作品が真の完結となりますので、FACTORYファン、 VINI REILLYファンは必携です。]

以上、アマゾンHPより。



Released by LTM








コンピレーション



A Factory Sample 1978

 カタログ・ナンバー、Fac-2。これについては失念していました。ジョイ・ディヴィジョン、ジョン・ダウイ、 キャバレー・ヴォルテールたちとのコンピレーション。No CommunicationとThin Iceの2曲を提供。しかし覚えが無い〜。




From Brussels with Love 1980

 クレプスキュールのコンピレイションに2曲提供しています。Sleep Will ComeとPiece for an Ideal。 両者ともファーストの感覚でありながらのボーカル曲です。特に前者はダブルトラックでボーカルを重ねるという珍しいパターン。クレプスキュールはファクトリーの ベルギーでの拠点のようなレーベルだったのですが、その後どんどん独自性を出していき、ボサノバ、シャンソン、ジャズ、チェンバーミュージックなどとポップの融合を 図ったようなサウンドを得意とするレーベルになっていき、一時代を築いていくことになりました。このコンピはその第一弾として発売されました。
 ドゥルッティ以外には元ウルトラヴォックスのジョン・フォックス、ア・サートン・レイシオ、元スキッズのリチャード・ジョブソン、トーマス・ドルビー、 アンテナ、ビル・ネルソン、ハロルド・バッド、ギャビン・ブライヤーズ、マイケル・ナイマン、そしてジャンヌ・モローなどが参加しています。

 Sleep Will Comeのボーカルはア・サートン・レイシオのジェレミー・カーだったのね。イアン・カーティスに捧げる第2弾。
 現行CDでは、Sleep will ComeはThe Return of the Durutti Columnに、 Piece for an IdealはLips that would Kissに収録されています。





A Factory Quartet 1980

 3曲収録されています。For Miniはジャジーなセンスを持ったファースト期の感覚の曲。For Belgian Friendsはエレピが穏やかな雰囲気を醸し出す、新しい感覚の曲。 Self‐Portraitは彼ら得意の哀しいパターン。マーティン・ハネットはここでも無駄なリズムを取り払ってしまうなど、優秀なプロデューサー振りを発揮したようです。 彼がずっとプロデュースしてくれていたら、ヴィニの室内楽好きを止めてくれたんやないかな、などと思ってしまいます。

 上記、違いましたね。室内楽はトニー・ウィルソンの画策でした。ドラムはサートン・レイシオのドラマー、ドナルド・ジョンソン。
 現行CDでは、3曲ともLC に収録されています。





The Fruit of the Original Sin 1981

 クレプスキュールのコンピ。ソフト・ヴァーディクト、元ジョゼフ・Kのポール・ヘイグ、DNA、リチャード・ジョブソン、 オレンジ・ジュースなどが参加しています。作家のマルグリット・デュラスや、バロウズまで朗読で参加しています。ドゥルッティは3曲提供しています。 The Eye and the Handは哀しいパターン。ちょっとリズムが間抜けやなぁ。Partyは彼ら最大のポップ曲。でもちょっとキャッチー過ぎのような気がして、 音の力を感じません。それに対しExperiment in Fifthは最初期の雰囲気をもつ素晴らしいナンバー。

 上記に書いたこと、間違ってなかったのじゃないですかね。 現行CDにはExperiment in FifthはLips that would KissThe Return of the Durutti Column の両方に収録されていますが、The Eye and the HandとPartyは何にも収録されていませんよね。




Chantons Noel/Ghosts of Christmas Past 1981

 これまたクレプスキュールのコンピ。One Christmas for Your Thoughts1曲だけの提供。別にクリスマス関係ないですな。 その他、アンテナ、ミカド、ソフト・ヴァーディクト、タキシード・ムーン、キャバレー・ボルテール、ポール・ヘイグなどが参加しています。アンテナの Noelle a Hawai「ハワイのクリスマス」は最高です。

 現行CD、LC に収録。バラバラに出されていたものがコンピにまとめられてヨカッタヨカッタ。
さすがに↓はどこにも収録されていないでしょうね。





Some of the Interesting Things...Live 1982

 Partyの1曲を提供しています。ちょっと荒々しい部分が聴けます。さすがにライヴ。

 あっれ〜、現行CDのリストを見るとなんとPartyなど収録されておらず、Danny, Madness, For Belgian Friendsの3曲がクレジットされています。 どういう記憶違いでしょう。でPartyのライヴヴァージョンって何に入ってたやつだろう。もしかして、Live at the Venue London 収録のものかなぁ。わかりませ〜ん。でMadnessってDeux Triangles当時作っていた、Tears & Madnessのことかなぁ。わかりませ〜ん。 1982年のクレプスキュールのヨーロッパパッケージツアーに参加した時のもの。共演はポール・ヘイグやリチャード・ジョブソン、タキシード・ムーン、アンテナなど。









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