Starknight fencer

第6章 Ruins

 

超兵器ドック廃墟 2300時

「ここに停泊するよ。」

フィンが「はやぶさ」を停泊させたのは遺跡・・・数千年前の超兵器ドックと噂される場所だ。

コルベット用の停泊埠頭があり、そこに接舷する。

「ここって・・・超兵器ドックとかいう噂の遺跡だよね?まだ超兵器が残ってるんじゃないの?」

「大丈夫さ・・・数千年前の兵器が動くわけないよ。」

カービィの不安を、フィンは抑えるように言った。

普通の常識なら数千年前の兵器が動くわけない。必ず錆付いていて動かなくなるはずだからだ。

「けどね・・・レアメタルってものを素材に使ってるからさびないって。変質もしないし。」

「カービィ、恐いの?」

「ミサイル艇の何倍もある兵器だよ?恐くないの?」

「78kt以上出る艦船なんてそんなにないよ。」

フィンの言うとおり、シェルディア共和国の「はやぶさ」は世界最速の艦艇だろう。

が・・・相手は超兵器、それ以上の速力を出す兵器じゃないと断言もできないのだ。

「・・・それもそうだね。」

こんなコルベットの停泊地なんか襲わない・・・カービィはそう思い船室で休むことにした。

ここなら滅多なことで発見されることもないし、ゆっくり眠れるはずだから・・・

 

0400時 DDB「ゆきかぜ」艦内

「艦長・・・やばいかもね・・・・」

「俺も始めてそう思った。陸戦隊のクルーは全員刺客、そして危険人物ばかりだ。とにかく直属のクルーを呼んできてくれ。」

「了解。」

ゆきかぜは艦橋から降りると、船員の部屋に向かう。

が・・・目の前にシエルがいた。

「あ・・・こんばんは。」

「・・・ごめん。」

いきなり何を言うのかと思った途端、いきなりシエルに殴られてゆきかぜは気絶してしまう。

「いいよ、シエル。艦橋に行こう?」

「わかった。」

3人は艦橋への急な階段を上がり、扉を開ける。

「艦長・・・」

「ゆきかぜ・・・じゃなさそうだ。何者だ!?」

軍刀の鞘を抜き、ソルジャーは榴弾砲振り無kざまに構える。

「名前は聞いたことがあるかな?蒼い風の刺客・・・」

「クリスか・・・ティトとシエルをつれての出撃か?ゆきかぜをどうした?返答次第では生かして返さない。」

「第17艦隊の提督、ソルジャーね・・・あいかわらず強気な発言みたい。」

クリスは笑みを浮かべると、小銃を構える。

「私の狙撃の腕前知ってるよね?」

「榴弾砲の引き金を撃つ方が早い。貴様・・・命乞いか?」

「大当たり。もし私に何かあったらティトとシエルが殺すよ・・・私達3人を後ろから撃つマネはしないでくれる?そうしたら・・・次のターゲットはゆきかぜかあんただから。」

「何・・・?面白いな。俺の作戦を読み取ってそこまで言うとは。」

ソルジャーは微笑すると、右手を軍刀の柄にかける。

「やりかねないことだからね・・・私も生きるためにやってることだし、悪く思わないで。」

「俺はかまわないが、それなりの見返りが欲しいものだ。ただで飲むほど甘くは無い。」

「何?」

「俺を標的から外すことだ。永遠にな。そのかわり暮らすには困らないだけの資金と家屋を提供する。」

ソルジャーもなかなか策士で、ただでは言うことを聞きそうにない。

クリスはやれやれとため息をつくと、うなずいてみせる。

「それくらいならいいよ。だけど、シェルディア政府の要人は保護しないよ。見てみぬ振りをしてくれる?」

「利害が一致したな。俺も邪魔だと思っている連中だ。好きにすればいい。」

「じゃ、そういうことで。仲間同士ってわけね。」

「そうだな・・・用が済んだら船室にもどれ。感づかれるとまずい。」

ソルジャーがそういうと、クリスはティトとシエルを連れて戻っていく。

が・・・ただで帰すほど甘くはなかった。

「いたずらしてやるか。」

急激にスロットルを巡航から逆進に変更、逆方向にすさまじい力がかかる。

階段を降りようとしたクリスたち3人はそのまま吹っ飛ばされ、床に叩きつけられてしまう。

「いたた・・・何するのさ!」

ティトが階段を上がった途端、急激にソルジャーは最大速度にした。

今度は前のめりにティトが倒れてしまい、顔面から転んでしまう。

「ひどいよ!わざとやってるでしょ!」

「ゆきかぜを気絶させた罰だ。」

監視カメラでその様子をソルジャーは見ていたようだ。

 

「いたた・・・艦長、やられたよ・・・」

「大丈夫か?」

「まぁね・・・」

数分くらいしてから、ゆきかぜが艦橋に上がってきた。

かなり痛かったのだろうか・・・まだ殴られた場所を押さえている。

「見ていなくて悪かったな・・・とにかく奴らは危険だ。」

「同感・・・ところでさ、さっき吹っ飛ばした人達だけど・・・仲間にしておくの?」

ゆきかぜには何も隠せない。ソルジャーはそう思うと正直に話す。

「ああ。悪い奴らじゃなさそうだ。」

「断ったら無理にでも説得するつもりだったけどね。」

「意外だな。「ぶっ飛ばしてよ!」とか言うと思ったんだが。」

「私に話の内容を聞かせたくないから、無理にああしたみたいだし・・・艦長がしっかりと反撃してくれたからいいや。引き摺っても意味ないし。」

いつもこんなあっさりとしている感じ、それがソルジャーが彼女を好きな理由だ。

すると、レーダーに島が映った・・・おそらく、例の遺跡だろう。

「これより接舷する。陸戦隊は配置につけ!サジタリウスの奴らが潜伏している可能性も高い!」

一応は命令を出すと、ソルジャーは無線の周波数を「ゆきかぜ」クルー用にあわせる。

「・・・1人でも戻ってきたら射殺しろ。万が一超兵器が起動した場合、交戦も辞さん!ただ・・・味方がいるからそいつらは殺すなよ。いいな?」

「了解。」

「画像データは無線機に送っておく。」

シェルディアの無線機は傍受不可能、しかも画像データまで送ることが可能だ。

携帯よりも高性能で、普通の電話としても使用できる優れものだ。

「艦長、危険人物を始末しておくつもりなの?」

「フォルオールはクーデターを考えている奴だ。うかつに信用はできない。悪いが・・・これも作戦だ。お前を人質に俺に無理な作戦を強いた罪だ。」

「そっか・・・」

普段は細かいことは気にせず感情的になりやすいソルジャーだが・・・作戦を考える時は途端に冷静になり、人が完全に変わってしまう。

ただ、無理に突撃を強いるだけの提督ではない・・・だからこそ総帥も彼を重要視しているのだ。

「・・・あいつは何を考えてるのかな?」

「シェルディア共和国の完全なる独裁だろう。そしてこの世界を自らの手で支配するつもりだ。刺客を雇って得た情報だ。」

シェルディア共和国では情報部というものがなく、刺客を使って諜報活動をさせたりするのが一般的だ。

危険な任務だが需要は多い上に報酬もよく、その手の仕事に付いている人もかなり多い。

「なるほどね・・・」

「クーデターをなんとしても止める必要があるわけだ。超兵器など渡しては厄介なことに成る。」

クーデターを起こされると、まず総帥も消されるものと見て間違いない。

今の総帥にソルジャーも育てて貰ったため、慕っているのだ。

「そうだね・・・艦長、総帥を慕ってるし。」

「ああ。止めるぞ・・・超兵器を。」

接舷し、タラップがおろされると陸戦隊が一斉に切り込んでいく。

正規クルー達はシェルディア陸軍の正式機銃、17式機銃を構え艦内で待機している。

「お手並み拝見と行こうか。」

 

「あれ・・・?」

銃撃戦の音にカービィが目を覚まし、剣を片手に飛び起きる。

サジタリウスとシェルディア共和国軍の軍服を着た人たちが壮烈な銃撃戦を繰り広げている。

「ちょっと見てくるね、フィン。」

「あ・・・僕も行くよ。」

何気なく寝ている人に語りかけたつもりだったが・・・フィンもおきていたのだ。

レナも寝ぼけながら長剣を持って船室に入ってきた。

「私も行って見る。フィスカとクレア、リシュアはぐっすりと眠ってる。」

「じゃ、大丈夫だね・・・行こう。」

3人はタラップを降りて、ドックに入るとまず階段を上がる。

上がった先の扉を開くと、目の前に巨大な戦艦が鎮座していたのだ。

「これって・・・!?」

途方もない大きさにフィンは呆然としてしまう。

国内で見た「そうりゅう」級巡洋戦艦よりも巨大で、この前見たドリル戦艦にも劣らない大きさだ。

3連装の主砲を艦首と艦尾に2基ずつ、口径は51cmクラスだろう。

「見つけたぞ!「ヴィルベルヴィント」だ!」

「乗り込め!」

下のほうで声が聴こえると同時にシェルディア共和国軍の兵士が次々に乗り込んでいく。

超兵器の艦首に存在した壁が音を立てて沈んでいき、外に出て行く。

「乗り遅れた・・・って、あんたたちは!?」

後から声がしたので振り向くと、水色のロングヘアーに白い服の少女が立っていた。

「僕達も分らないよ!でもあれは・・・!?」

「あんなの復活させたらまずい・・・!どいて!」

少女は通路から飛び降りると、大体4mくらいはある通路から超兵器の甲板に飛び移った。

「追ってみるよ!」

カービィも続いて飛び降り、フィンとレナも思わず飛び降りてしまった。

甲板に上手く着地したが、フィンが右足を怪我したようだ。

「いたっ・・・!」

「フィン、大丈夫!?」

レナが駆け寄り、フィンの様子を見ている。

が・・・この超兵器は扉が開くと同時に動き出したのだ。

目の前にはシェルディア第4艦隊が見えるが・・・

「まさか、こいつら・・・第4艦隊に超兵器を引き渡すつもりじゃないの!?」

レナがそんなことを言った途端、先ほどの少女が戻ってきた。

「君は・・・?」

「この超兵器をよく知ってる人物。もうこの兵器は止まらない。この兵器は人を操る兵器・・・少人数での運用を前提とされた大型のね。」

彼女はリシスと名乗り、3人の前で微笑してみせる。

「どういうこと?詳しく教えてくれる?」

少しずつ、フィンが興味を持ち始めてきたようだ。

リシスはうなずくと、数千年前に怒ったはずの戦争について話しはじめる。

「世界は無限に発展し、こんな艦船が発達したの。そして・・・国家間による超兵器戦争が始まった。闇の軍勢と星の軍勢によるね。」

「ふぅん・・・」

「けど、闇の軍勢は切り札を出した・・・大陸を沈める究極の超兵器を。それで本当に大陸の1つが沈み、おかげで海面が急激に上昇・・・今の世界になったの。」

信じられない話だが、この超兵器ドックもその遺産だという。

艦船だから上昇した海面でも浮かび、それをあちこちに封印したのだろうか。

「残った人たちは元凶となった超兵器を各地に封印。その記録なども一切抹消したの。でも・・・おかしいと思ってるのは「ゆきかぜ」級なの。」

「どうかしたの?」

レナが訊ねるが、リシスは不安げな表情で言う。

「何千年も前に私はこの艦艇を見たの。同じ装備で同じ速力の船を・・・でも、何百年かの単位で復活してる。艦の意思も同じ・・・何かあると思うの。」

「そんな事ってあるの!?」

信じられない話だ・・・いや、彼女がリシュアと同じようなしゃべり方をしているところからして不老不死なのだろう。

この「ゆきかぜ」と言う名前が何度も使用されてきたのは分らなくもない・・・とは言ったが、その時代からのテクノロジーが途切れた今でこのような艦船がいることがおかしいようだ。

リシスはうなずくと、リシュアと同じようなことを一通り言った後ゆきかぜの話題に戻す。

「私の予感だけど・・・ゆきかぜは・・・」

「そこまでにしてもらおうか。貴様らの雑談は聞き飽きた。」

甲板に1本の刀が突き刺さり、艦橋から1人の人物が飛び降りてきた。

銀髪に赤い瞳、黒いマントを羽織っている。

「君は!?」

「ルーシャス・ヴィルディス・・・まぁ、貴様らの敵といえばいいだろうな。ヴェルガンドの中将だ。」

刀を引き抜き、両手に持つとルーシャスは構えを取る。

なかなか接近戦は強そうだ。

「新秩序のためにこの超兵器は貰っていく。ヴェルガンドによる新たな治世が必要なのだ。」

「騙されないで!超兵器は破滅しかもたらさない・・・この高速戦艦を渡すわけには行かない!」

「シェルディアも「播磨」級双胴戦艦がある。同じことをいえるのか?」

そんな話は3人ははじめて聞いた。

そのような事実があったことすら知らないし、どこにあるかも分らないのだ。

「そんな!?」

レナは驚いたが、ルーシャスは淡々と続けていく。

「超兵器ドックのある場所を突き止め、すでに艦隊に編入した。第4艦隊だ・・・これから「播磨」に「ヴィルベルヴィント」をぶつける。」

「やばいんじゃないの・・・!?」

「世界最大の艦隊決戦が始まる・・・犠牲は深刻だろうな。だが、それをとめられる実力は貴様らにはない。」

その途端、上空に2つのローターを搭載したヘリが出現した。

CH-47チヌーク、そこからぶら下がった梯子をルーシャスは掴み取る。

「死にたくなければ止めてみることだ。無理だろうけどな。」

ヘリはそのままどこかに飛び去っていくが、「ヴィルベルヴィント」は止まる気配を見せない。

 

続く