
Starknight fencer
第3章 Escape
「・・・あれ?」
カービィが目を覚ましたのは艦艇の内部らしい場所だ。
飛び起きると、剣を取って立ち上る。
「ここって・・・?」
「ようやく起きたのか。ここはDDA(イージス艦)「ゆきかぜ」艦内だ。」
目の前にいるのは迷彩服の上下に迷彩バンダナの青年と白いコートに水色のショートヘアーの少女。
「そして・・・俺はソルジャー。第17水雷艦隊の提督だ。こっちはゆきかぜ。俺の副官でこの艦の意思だ。」
「よろしく。カービィとか言ってたよね?」
ゆきかぜがカービィに手を差し出すと、あっさりと握手する。
それから、今さらのように気づいてカービィがソルジャーに尋ねる。
「あれ?そういえばフィンは?ここにこなかった?」
「つかまったぞ。」
「え!?」
カービィは驚きの余り剣を落としてしまった。
「つかまったって・・・だ、誰に!?」
「街の連中だ。レナとかいう少女も一緒だったが・・・あれはただ事じゃない。異民族とかその類じゃないか?」
「え・・・!?」
「まぁ、差別用語で言えばミュータント・・・だろうな。とにかくやばそうだ。明日にでも処刑すると言ってたぞ。」
カービィはすぐに外に飛び出ると、そこは真夜中だ。
「明日って・・・?今日の昼って事!?」
「そのとおりだ・・・はっきりという、逃したければ早く逃してやれ。第17艦隊はあえて見逃す。」
「何で!?何で僕達のために・・・!?」
その途端、カービィは夢の中にいる人物と彼の顔が重なった。
夢で見た・・・同じ服装で空挺を操作していた人物だ。
「理由は聞くな・・・早く逃げろ。シェルディア領内の他の町に。詳しく身体検査でもされない限り隠し通せる。」
「う・・・うん。」
剣を取り、カービィはすぐに街へと戻る。
寝静まっているのだから、人通りも少ないし上手くいけそうだ。
「フィン!ど、どういうこと・・・!?」
宙吊りにされた檻のなかにフィンとレナが座っていた。
「カービィ・・・?」
「助けに来たよ。」
笑顔でカービィはうなずくと、剣で鍵穴を壊してこじ開けた。
そして、フィンの剣を持ってきて渡す。
「レナも早く!ねぇ!」
「・・・うん。ありがと。」
フィンがレナの手を握り、カービィをある場所に案内する。
階段を何度も駆け下り、たどり着いた場所は魚雷艇格納庫だ。
先日捕獲したモニター艦もあるが、フィンが案内したのは大型のミサイル艇だ。
「こいつで逃げよう。ミサイル艇「はやぶさ」で。」
「いいの?」
「滅多に使わない船さ。大丈夫。早く乗って。」
フィンが艦橋に入り、レナとカービィも艦橋に入れる。
乗員6名程度で動かせるミサイルコルベット艦で、最大乗員は18名。
しっかりとした船室もある艦艇だから、長旅でも十分使える。
「行くよ。出航!」
抜錨し、高性能ワルター機関がうなりを上げる。
シェルディア共和国軍では最高の速度を誇る艦船でもあり、ワルター機関は水素を燃料とするため燃料調達が簡単に出来る。
しかも、この「はやぶさ」には海水から水素を精製する装置が搭載されているため無限に航行が可能なのだ。
「・・・「はやぶさ」が逃げたぞ!追え!」
「来たね・・・」
フィンに反感を持っていた自警団のメンバーが「はやぶさ」を17号魚雷艇で追撃してくる。
が・・・17号魚雷艇は70ktどまり。こちらは78ktも出るのだ。
「突っ切るよ!全速前進!」
78ktの高速で「はやぶさ」は闇夜に姿を消していく。
ステルス性も備えているため、外洋に出ては捕捉不可能だろう。
「あー・・・助かったよ。ごめんね、無茶させて。」
「・・・私のせいだから。フィンは悪くないの。」
レナは、何故かフィンをかばうような発言をしている。
「え?」
「私のせいでばれたような感じだしさ・・・荷物を運んでいたら怪しまれてつかまって・・・まぁ、誰かの財布が盗まれたらしいから私も調べられた。で・・・見つかってしまったの。」
レナが髪の毛を捲り上げると、耳の裏辺りに切れ目が入っている。
「・・・これって、エラ?魚とかによくある・・・」
「そう。ばれちゃったわけ。で・・・フィンが私をかばって・・・結局ばれて、つかまったの。私とフィンは人魚・・・といった方がいいのかな。」
「・・・」
カービィは返す言葉が見つからないようだ。
「あとはつかまって・・・今日の昼処刑されることになってた。それを助けてくれたのがカービィって事。ありがと」
「いいよ。そんな理由で処刑されるなんて許せなかったんだ。何もしてないのに・・・」
カービィはそういうと、双眼鏡を持ってデッキに出る。
周囲に艦影はない。ならばあとはレーダー任せで寝ても大丈夫だろう。
「・・・寝ようか?あんな檻じゃ眠れないでしょ?」
「そうだね・・・船室でゆっくりと寝よう・・・」
3人は一旦船を止めて寝ることにした。
「ここは・・・?」
夢のなか、いるのはフィンとレナ、それに自分の3人・・・
今度は前とは違う場所・・・どこかは良くわからない。
いや、今度は何もかもが静止している・・・しかも爆撃機の内部。
「どういうこと・・・?」
甲板に上がると、そこにいたのは自分たちと同じ姿をした3人・・・
『待ってたよ・・・』
『私達の仲間を探して・・・』
『お願い・・・』
この3人だけはしっかりと動けるようだが・・・その理由すら分らない。
「仲間?」
レナがたずねると、もう1人の「レナ」が答える。
『・・・仲間を探して、この世界を救って。私の運命を持つ人・・・お願い。』
『君は僕達の生まれ変わりなんだ。お願い・・・』
目が覚めると、やはり船室の中・・・
カービィは飛び起きて、艦橋へと向かうとフィンとレナがすでに起きて船を動かしている。
「変な夢を見たよ・・・」
「僕も。ずーっと昔の僕に話しかけられたんだ。」
「私も・・・」
3人揃って同じ夢。しかも詳しく聞くと爆撃機らしい内部にいたというのだ。
こんな偶然があるのだろうか・・・
「フィン、後!魚雷艇・・・あれはフィッシュガード級!」
レーダーには友軍輸送船と1隻のコルベット艦が映っている。
フィッシュガード級といえば、ヴェルガンド帝国軍が使っているコルベット艦だ。
駆逐艦より小さく、魚雷艇、ミサイル艇より大きいのをコルベット艦という。
乗員5名程度で動かせるがこちらより速度は遅い。
しかも、かなり至近距離まで迫っている。
追いついた途端に2人の乗員がこちらに飛び移ってきた。
「・・・砲撃開始!」
すれ違う寸前に12.7cm砲弾を敵艦の艦橋に撃ち込み、一瞬で破壊してしまった
「誰か乗ったみたい。見てくる!」
「私も!」
カービィとレナは艦橋から出て艦尾へと向かう。
そこにいたのは2人の刺客・・・フィスカとクレアだ。
「まだ死ななかったんだ。あはは・・・死んでると思ったのに。」
「・・・こうして殺すのは本意ではないが・・・やるしかない。覚悟!」
クレアが小銃を構え、発射した途端カービィは剣を引き抜いて銃弾を防御する。
そして、一気にクレアへと切りかかる。
「・・・味なマネを。だが・・・負けない!」
クレアは小銃で受け止め、すかさずはじき返す。
反撃も与えずに小銃を乱射、カービィは銃弾をはじくが何発かが掠めた。
「・・・やるじゃない。」
左腕を銃弾が掠め、血が流れ落ちている。
「私は殺すだけだから・・・貴方も殺す。」
「それはどうかな?」
カービィは自衛用の12.7mmガトリング砲を掴み取り、すぐに射撃する。
クレアは射線から身をかわし、飛び上がると小銃を撃つ。
「正確極まりない射撃、恐ろしいね!」
正確にカービィを狙っていた射撃と考え、彼はすぐに身をかわす。
が・・・もう1発の銃弾が彼の足を貫いた!
「・・・っ!?」
思わずカービィは倒れてしまう。
いくらなんでも、銃弾が脚を貫通してはかなり痛い。
「終わりだ、剣客。」
「・・・悪いけど、僕の親友を好きにさせない!」
艦橋からフィンが出てくると、剣を片手にクレアに切りかかる。
が・・・あっさりとクレアはそれを交わし、フィンは前のめりに倒れてしまう。
そこにクレアが銃口を突きつけ、引き金に手をかける。
「・・・邪魔だ。貴様には寝ていて貰う。」
クレアが銃口を引いた一瞬の隙を逃さず、フィンは剣で受け止める。
そして、剣を突き出すとクレアはそれを後に交わす。
すかさずフィンは起き上がり、剣を構えなおす。
「引き金を引けばよかったのに。」
「・・・黙れ!どかなければ貴様も殺す!」
「友達のためなら死ぬ覚悟があるよ・・・絶対に。カービィを殺すなら、僕を殺してからにして!」
そんなことをフィンが言った途端、いきなり水上バイクが出現してこちらに向かってきた!
「なんでサジタリウスが!?あれは交易用の輸送船・・・」
「乗っ取って僕達を待ち伏せしてたんだ!」
向こうにいた輸送船は、どうやら乗っ取られたらしいのだ。
フィンが見たときはIFF(敵味方識別装置)で味方と出ていたから油断したが、違ったようだ。
「ぐっ・・・!」
いきなりクレアがサジタリウスの兵士に銃で撃たれ、倒れこんでしまう。
「クレア!し・・・しっかり!」
「・・・やばいかもしれないな。フィスカ・・・」
「弱気なクレアなんて見たくない・・・って、何ぼーっとしてるの!早くぶちのめしてよ!」
12.7mmガトリング砲をカービィは取ると、すぐに水上バイクを迎撃する。
「うるさいよ!君の仲間が撃ったのに・・・こんな脚じゃどうしようもないよ!」
「見てらんないなぁ、まったく!」
フィスカは飛び上がると、水上バイクの兵士に双剣を突き刺した。
引き抜いて敵兵を振り落とすと、そのまま他の敵兵を追う。
「・・・レナ、船室に連れて行って。僕は対艦ミサイルで輸送船を撃沈する!」
「え、ええっ!?僕1人なの!?」
「後で何とかするよ!」
やれやれと思いながら、カービィは12.7mmガトリングを連射。
狙いを定めて発射、2機目を撃破する。
「うおっ!?」
目の前を通過しようとした2機の乗員がいきなり撃たれて倒れてしまう。
フィスカが上手く倒してくれたようだ。
「まったくさー、頼りにならないんだから。」
「頼りにならないって・・・」
フィスカが水上バイクを横付けし、すぐに「はやぶさ」に乗り移る、
「足の怪我、どーなの?まだ歩ける?」
「痛いかも・・・」
「わかった。」
フィスカは軽くカービィを担ぎ上げる。
「え・・・う、嘘!?」
「はいはい、そこまで。早く怪我治さないとやばいよ。」
笑顔でフィスカは答えると、船室の中に入れた。
続く