Starknight fencer 

第2章 Enemy attacking

 

「・・・船だ。」

外門が開き、1隻の船が入港してきた。

シェルディア共和国軍が廃棄し、今は民間に数多く出回っている12式魚雷艇だ。

「交易の品物でも持ってきたんだよ。きっとさ。ちょっとね・・・」

カービィは望遠鏡を取り出すと、魚雷艇に乗っている人を覗く。

フィンと同じくらいの少女・・・髪の毛は黒で赤い服に黒いズボン。

後に大量の箱を積んでいるが、あれが交易品だろうか。

12式魚雷艇は埠頭に接岸、1人の少女が下りてきた。

「こいつが交易品。それと・・・12.7mmと5.76mmの銃弾。高値で売れるって聞いたから持ってきたの。」

「なるほど・・・よし、いいぞ。」

自警団が中身を確認。それからレナが兵器店に持っていく。

12.7mmはシェルディア共和国重機銃の銃弾だが、5.76mm銃弾は自警団専用の銃弾で銃弾が人体を貫通しにくい。

これで、敵の後ろに民間人がいてもあたることが少なくなったのだ。

フィンは、ぼーっとした表情でそれを見送っている。

「団長・・・団長。」

「あ・・・な、何?」

「中身は確認しました。安全です・・・では。」

兵士はすぐに持ち場に戻ったが、フィンはまだぼーっとしている。

「・・・フィン。まさか?」

「う、うん・・・なんとなくね。なんとなくさ・・・」

ふぅんとカービィはうなずくと、フィンに背中を少しだけ押す。

「行って来たら?友達になりたいって。」

「・・・あ、うん。」

フィンは照れながら、その少女に近づいていく。

 

「・・・イマイチね。お金は払うから。」

「あ、ああ・・・」

少女は水と圧縮食料を担ぐと、そのまま飲食店を出て行く。

あまりここの料理が口に合わないのか、食べ残したままだ。

「・・・重いでしょ。ちょっとだけもってあげる。」

「別にいらない。」

助けなど要らない、そんな感じで少女はフィンの方も向かずに魚雷艇に戻っていく。

「自警団の人ね。私はレナ・・・また会うと思うけど、そんな特別な感情なんてないから。」

「・・・わかったよ。」

フィンは仕方ないなぁと思いながらも、ため息をつく。

まぁ、それはそうだ・・・初対面の人にそんな事言われても動揺するか突っ放すしかないわけだから。

「敵襲だ、敵襲ーー!!」

その途端に見張りの兵士からの伝令。サジタリアスが襲撃してきたというのだ。

すぐに正門が閉ざされ、総員が配置につく。

「・・・どういうこと!?」

「こっちに来て。」

フィンはレナをつれて、自警団の詰所にたどり着く。

すでに兵士たちは制服を着て集まっているようだ。

「レナを預かっておいて。総員戦闘配置、15.5cm砲台と見張りやぐらに戦闘員を配備して。残りは歩兵として敵を迎撃。12.7mm機銃ネストに優先的に配置。」

「了解!」

自警団は5.76mm機銃を取りそれぞれの持ち場に着く。

フィンはレナと共にここに残り、多機能レーダーを使うと同時に第17水雷艦隊へと援軍を要請する。

「こちら自警団・・・第17艦隊提督応答願います!」

「ああ・・・来たか?」

「来たよ・・・大至急戻ってきて。敵戦力は揚陸艦1隻と駆逐艦2隻、旗艦と思われる巡洋艦が1隻。小型魚雷艇無数・・・未知の艦影も。」

「わかった。イージス艦1隻を向かわせる・・・到着は30分後だ。」

大きさは駆逐艦より小さい艦艇がいくつもあるが、何をたくらんでいるのかさっぱり分らない。

すると、敵が砲撃を開始したようだ。

「応戦して!15.5cm砲発射!」

「了解!」

城壁内部には、自走砲を改造した15.5cm砲台があり城壁の内部から外を攻撃できる。

櫓に搭載された水上レーダーで位置を捕捉するため、命中率が高い。

一方の敵は城壁の内部をあてずっぽうで撃っているだけなので、建物への命中は少ない。

が・・・城壁を破るとそこから侵入してくるのだ。

「なんだあの艦船・・・お、おい!砲を向けたぞ!」

「何を・・・うわあぁっ!?」

途端に正面門が大破。一瞬で崩れ去ってしまう。

重巡洋艦どころか巡洋戦艦の砲撃にも耐えた門が、あっさりと崩れてしまったのだ。

「何!?そんな・・・」

フィンは無線機を片手に正面紋の見える埠頭へと向かう。

そして、双眼鏡を覗くと小型の船体に不釣合いな巨大な砲台を乗せた艦船を正門の向こうに発見した。。

「モニター艦!?そんなものまで・・・」

駆逐艦クラスの船体に戦艦級の砲台をつんだのがモニター艦だ。

敵陣地攻略にかなりの力を発揮する奇襲艦艇で、防御力もそこそこある。

「魚雷艇で打って出て!モニター艦を潰すんだ!」

「了解!」

フィンが無線で指示を出したのは魚雷艇格納庫。

ミサイル艇3隻と魚雷艇8隻も自警団は持っているため、こんなことがあっても大丈夫だ。

それに、あのモニター艦は1発しか砲弾を搭載できない。超兵器クラスの56cm砲だから・・・だ。

が、敵は水上バイクを駆って一気に入ってきた。

数は20機、多いかもしれない。

「12.7mmで迎撃して!」

「了解!」

真正面に2機が向かってきたが、フィンは剣を引き抜く。

流星の欠片から作られたといわれる「ミーティア・リタルダント」・・・亡き兄の形見でもある刀身の蒼い剣だ。

「殺してしまえ!」

操縦者が機銃を乱射しながら向かってくるが、フィンはすかさず身を翻して交わす。

すかさず水上バイクをかわし、飛び降りてきた2人を剣で引き裂く。

 

「もらっちゃおうかな・・・」

乗り捨てた水上バイクをカービィは貰うと、それに乗って走り始めた。

剣を引き抜き、片手だけで操縦している。

「簡単じゃない・・・ちょっと調子つけるよ!」

正門にカービィは向かうと、装甲車を載せたホバークラフトがこちらに向かってくる。

脇によけると、カービィは剣をホバークラフトに突き刺す。

「わ・・・わあぁぁ!沈むぞ!」

切り裂かれた部分からホバークラフトは沈み、装甲車や兵員を巻き込んで海に落ちていく。

その間にカービィはモニター艦を発見、舵をそちらに取る。

「お、おい・・・なんか来たぞ。」

「何だあれ?味方か?」

敵兵が戸惑っている隙を突き、カービィは水上バイクを突撃させる。

ぶつかる寸前にモニター艦に飛び移り、拳銃を左手に持つ。

「こいつ!どこから紛れ込んだ!?」

操作しているのは4人。なんとも簡単な構造だ。

隣の補給船から砲弾を受け取り、装填し終わったあとのようだ。

躊躇無くカービィは真正面の敵を切り裂き、前を向いたまま拳銃で後の敵を打ち倒す。

「ちっ!」

敵がナイフを取り出したが、総身125cmの剣ではかなり分が悪い。

真正面の敵兵はあっさりと切り裂かれ、カービイはすぐに背中に剣を回す。

ナイフを受け止めたような金属音が聞こえた後、すぐに振り向いて拳銃を発射。何とか倒したようだ。

「さーて・・・君たちにはたっぷりと痛みを味わって貰わないと。」

隣の補給船は魚雷艇の攻撃により撃沈されてしまう。

カービィは舵を敵の揚陸艦のほうに切り、主砲をロックオンさせる。

「方位、角度良好・・・発射!」

すさまじい轟音と共に56cm砲が発射、敵の揚陸艦に直撃したようだ。

「ダメだ!もうこの艦船は持たない!」

「敵増援・・・イージス艦1隻。「ゆきかぜ」級だ!」

「もう来たのか!?」

カービィはすぐに双眼鏡で確認する。

間違いなくあれはイージス艦「ゆきかぜ」・・・第17水雷艦隊の旗艦だ。

 

 

「遅くなってしまったかな・・・」

「大丈夫、艦長。これから巻き返せるよ。」

1隻の大型イージス艦が戦闘海域に突入、右舷を向けて敵艦隊を魚雷の射程に治める。

艦橋には上下を迷彩服でつつんだ茶髪、緑瞳の青年と水色のショートヘアーに白いコートの少女がいる。

「イージスシステムロックオン。目標、敵巡洋艦と駆逐艦2隻。」

「よし、斉射!撃てっ!!」

右舷の魚雷発射管5連装2基が一斉に魚雷を3本ずつ発射。

同時に敵から対艦ミサイルが発射されてきた。

「迎撃開始!RAMを使え!同時にチャフをばら撒け!」

RAMとはミサイルを迎撃する小型ミサイル、チャフはアルミ箔を薄く切ッタ物を発射してレーダーを妨害するための装置・・・と考えればいい。

それと同時に「ゆきかぜ」は全速で全身、ガスタービン機関をうならせ69ktもの最高速度で離脱する。

魚雷を発射しての一撃離脱、これが「ゆきかぜ」の戦い方だ。

高速で海中を進む魚雷に対し、艦船は機銃で打ち抜くしか手段がない・・・つまり、有効な防御方法が少ないのだ。

駆逐艦は魚雷が直撃し轟沈、巡洋艦も左舷に3発を受けて傾いている。

敵に有効な戦力はもう無い。あとは・・・

「護衛艦「かみかぜ」から戦闘ヘリをよこせ。AH-1ヒューイコブラだ。」

「了解。」

戦闘海域に到達した護衛艦からヘリが引き出され、後部甲板から発進する。

AH-1のような戦闘ヘリは歩兵や戦車など、有効な対空火器のない相手にすさまじい威力を発揮するのだ。動きが遅いためミサイルには弱いが。

サジタリウスの残党を片付けるため、AH-1は城壁内部に向かう。

 

「ふぅ・・・」

モニター艦を城壁内部に入れて、カービィはようやく一息つく。

敵の水上バイクがこちらに向かってきたが、モニター艦には自衛用の12.7mmガトリング砲が搭載されている。

時折ペダルを踏み込んだままにして、12.7mmガトリング砲で水上バイクの相手を狙い撃ち、撃破する・・・これを繰り返して埠頭へと向かう。

ヒューイコブラも着てくれたから、もう大丈夫だろう。

次々に機銃で水上バイクを追い詰め、時には対戦車スティンガーAGMで破壊している。

「お土産、持って来たよ。」

カービィはそんな冗談を交えながら上陸。途端に歓迎されたのだ。

こんな巨大なモニター艦を奪取し、おまけに撃退してくれたのだから。

「さっすが、カービィ!よくやったよ!」

「フィン、血が・・・」

「こんなのかすり傷さ。自分で治すよ。」

「本当に大丈夫?ねぇ・・・」

傷口を確かめるため、カービィはフィンの髪の毛を捲り上げる。

「・・・古傷?これ。」

「あ、うん。」

フィンの耳たぶの裏に、細い裂け目があるのをカービィは見つけた。

・・・なんとなくやばそうだが。

「こいつじゃないなぁ・・・あ、ここかな。」

カービィが救急箱に手をかけようとした途端、1発の銃声が鳴り響きカービィを貫いた!

「あっ・・・・!?」

「か、カービィ!」

フィンがあわてて駆け寄ると、また銃弾が飛んできた。

少しだけ狙いが外れ、フィンの髪の毛を掠めて銃弾は飛び去ったようだ。

「あいつらを早く捕まえて、早く!」

自警団の兵士がすぐにその方向に向かい、刺客を追跡している。

銃弾はカービィの右胸を貫通し、そのまま意識を失った・・・

 

続く