
Starknight fencer
第16章 Surprise attack
PG「はやぶさ」 1400時
「はぁ・・・」
レーダーが霧のため使えず、ティトが見張りをしている。
赤外線式双眼鏡(敵の熱を感知する双眼鏡。視界が利かなくても敵を発見できる)を覗いて探しているが、何も見えない。
「シエル、そっちはどう?」
「全然ダメ。全く見えない・・・」
「じゃ、居ないんだよ。きっと・・・」
安心してフィスカとクレアに見張りを変ろうとした途端、シエルがこっちに来た。
「何かあった?」
「て・・・敵見つけた!敵軍の特殊部隊!」
高速の魚雷艇でここまで接近すると、梯子を使って乗り込んでくる。
すぐにシエルが後部甲板にいるクリスに伝えに行くと、ティトはすえつけられている12.7mmガトリング砲で応戦する。
「こいつら、サジタリウスじゃない!ヴェルガンドの連中だ!」
「え・・・わ!本当に連中だ・・・!」
クリスがすぐに小銃を構え、真正面の敵兵を打ち抜く。
すぐに敵の銃弾を真横に飛んで交わし、正確な射撃で倒す。
「後ろから!お姉ちゃん、気をつけて!」
「え・・・!?」
クリスが後ろを向いた途端、ヴェルガンド軍兵士がクリスを無理矢理捕まえてしまう!
とっさに救援に向かおうとしたティト、シエルも捕まりそのままボートに乗せられてしまう。
「・・・っ!」
「おい、何があった!?」
ソルジャーとカービィ、ウェインもすぐに降りてくるとティトとシエルが見える。
ヴェルガンド軍が連れて行こうとした途端、ウェインがすぐに踏み込み槍で敵兵を貫く。
「・・・まったく!世話の焼ける!」
「ちっ、逃げろ!」
逃げようとするボートめがけ、ソルジャーが榴弾砲を発射し爆発させる。
が、左舷からも敵兵が一斉に向かってくる。
「いたぞ!」
「傷つけるな。なるべく生かしたままにしろ!死んだら意味が無いからな!」
敵の意図が良くわからないが、とにかく動きは鈍そうだ。
すると、左舷で銃声が・・・フィスカたちが戦っているようだ。
「まだ若いな。そんなので俺達を殺せるか?」
「・・・言っておくけど、僕は君達を殺すことに躊躇しない。仲間を傷つけた人に容赦は無用!」
すぐにカービィが切り込み、敵兵の剣をはじき落とし返す剣で敵を切り裂く。
背後からさっきを感じて剣を受けとめ、振り向きつつ横に切り払う。
「あらよっと!」
ソルジャーが真上を飛び越え、軍刀を振りかざし敵兵を倒す。
カービィがよけた場所にソルジャーが榴弾砲を発射、その敵兵も吹き飛ばす。
「何て連中だ・・・!」
「逃すつもりは無い。消えろ!」
逃げようとする敵兵にクレアが小銃を発射、もう1人倒す。
その後ろにいる敵兵が、クレアに切りかかる!
「・・・っ!」
「危ない!」
ウェインが槍で貫き、一瞬で絶命させるとその後ろの敵兵を槍で吹き飛ばす。
海に落ちた敵兵を見るまもなく槍を構えようとした敵兵を貫くが、後ろの注意がおろそかだ。
「ぐ・・・!」
真横から剣を受けて、ウェインは転んでしまう。
血が流れているが、敵兵は容赦なく向かってくる。
「後ろに注意だ。消えろ。」
銃弾を受けて敵兵が倒れこむが・・・クレアが銃をぶっ放したようだ。
少し遅れてクラウスも到着したが・・・フィンとレナ、フィスカがいない。
「な、何が起こったの!?艦長!」
「えーと・・・あの・・・何が?」
ゆきかぜが見知らぬ少女を連れてきたが・・・もうヴェルガンド軍兵士はいなくなってしまったようだ。
そして・・・同時にフィンとレナ、キリルとフィスカ、そうりゅうとひりゅうも姿を消したと言う。
「・・・そんなに行方不明者が!?どうして・・・」
「俺はフィンとレナを止めたんだがな・・・あいつら、ボートを追っていきやがった。あいつらで追いつけるかどうかな。いくら泳げるからといっても。」
「・・・フィンとレナは人魚さ。追いつけないことは無いけど。」
「ああ・・・なるほどな。」
クラウスがうなずくが・・・カービィはすぐに艦橋に向かう。
「お、おい!どうするんだ!?」
「行くよ。目標は解ってるんだ。」
ソルジャーがあわてて止めようとしたが、カービィはスロットルを最大に入れている。
最大速力の78ktを出し、カービィはある場所に向かう。
「どこだよ!?」
「この補給艦。シェルディアのIFFだけどヴェルガンド公国軍さ。」
艦隊と逆方向に進む輸送船・・・明らかに不審な艦影をさしてカービィが言う。
「何で解るんだ!?間違いだったら・・・」
「さっき、見たときに黒い兵士が乗っていた・・・黒の兵士はヴェルガンドさ。」
ああとうなずくと、ソルジャーは無線で指示を出す。
「よし。本館は艦隊を離脱して敵艦を捕捉、拿捕する!突撃!」
敵輸送船に向けて「はやぶさ」は全速を出す・・・仲間を助けるために。
が・・・この行動がかなり危険な行動と知るのはもう少し後だったかもしれない。
「・・・貴様、そこで何をしていた?」
クレアが、クラウスにいきなり銃を突きつける。
「おどかすな・・・何の話だ?」
「とぼけるな!貴様・・・」
「俺が裏切り者?はっ、冗談もほどほどにしろよ。それにそんなことどうでもいいだろうがよ。俺は刺客だ。金次第で強い奴に裏切るんだよ。貴様と同じくな。」
「・・・貴様、裏切って満足か!?貴様の妹をわざわざ死地に向かわせて、挙句の果てに相棒まで・・・私の代わりに連中に八つ裂きにしたほうがよさそうだ。」
飄々とした様子でクラウスは聞いていたが、クレアが立ち去ろうとするといきなり口を開く。
「お前こそ、秘密を明かしてもいいのか?俺が言うなら貴様も言ってやるよ。それで無事に助かるかどうか。」
「・・・っ!貴様、あのことを・・・」
「いざと言うときの保身の手段くらいとっているんでね。お前と同じように・・・ヴェルガンドの刺客がやるパターンだ。裏目に出たな。」
「・・・」
「ま、好きにしろよ。互いに明かさないほうのいい秘密ってのもあるんだからな。」
クラウスは船室から出て行くが・・・クレアはしばらくうつむいてしまう。
この襲撃の原因が自分にあるとしたら・・・それが恐ろしくて仕方なかったから。
「・・・きみは降りないの?ソルジャー。」
「俺が?何でだ?」
「総帥を守るという任務、ここにいたら果たせないよ?」
カービィが皮肉っぽく言うが、ソルジャーは首を横に振る。
「勘違いするな。俺はお前に引かれたんじゃない。参謀長を失ったまま戻ったら俺の責任問題だからな。」
「君はそういうこと言う人じゃない。少なくとも・・・見栄張るのやめたら?」
「・・・黙れっての。まったく・・・ま、総帥は俺が何とかする。行くぞ。」
すると、階段を誰かが上がってくる・・・ゆきかぜだ。
「艦長、一応総帥に連絡入れておいたから。許可取れたよ?意外とあっさり。」
「そうか。それはよかった・・・」
ふぅとソルジャーが息をつくが・・・レーダーを見据えている。
常に油断していない。ソナーもしっかりと見ている。
「俺がそんなに珍しいか?」
「シェルディアの提督なのにさ、常に警戒してる。」
カービィが笑みを浮かべると、ソルジャーはふんと鼻で笑う。
「俺は自慢じゃないが実働部隊から上がってきた提督だ。エリートじゃないからな。癖だ。」
「そうなんだ・・・逆にうれしいんだ。海上集落にいた頃のシェルディアの提督って嫌な連中だったからね。エリートとか自慢してるし。」
「・・・なら良かったな。さて・・・連中の魚雷艇は早いな。が・・・こっちはもっと早い。」
「はやぶさ」の最高速力76ktの前では輸送艦も振り切れない・・・あと20分もあれば到達できる。
速度を同等にしてロープを輸送船に引っ掛けて、そこから切り込めばいい。
「お姉ちゃん、どうなるのかな・・・?」
ティトはクリスが何かされるのかと思い気が気ではないようだ。
が、案外シエルは落ち着いている。
「大丈夫。きっと生き残れるって・・・絶対。負けるはずないじゃない!」
「・・・そうだね。そう信じてるけどね・・・」
「無駄な心配するより、信じようよ?ね?いつも無事じゃない・・・ティト、落ち着かなきゃこれからの戦いはどうにも出来ないよ?」
ティトはあっさりと頷くが・・・どうも何かが引っかかっていて離れない。
何か嫌な予感がする。言葉ではいい現せない嫌な予感が。
「・・・行きましょうか?そろそろ。」
「あ、リシュアさん!」
「ティトさん、シエルさん・・・私もクリスさんを助けます。行きますか。」
リシュアに連れられ、ティトとシエルが甲板に出る。
すでに自動操縦に切り替えて、乗り込む準備をしているところ・・・ミサイル艇と輸送船の船体の高さは4mくらい違うが、ここにロープをひっかけて飛び移るつもりだ。
輸送船に手すりがついている。ここにひっかければ・・・
「ソルジャーさん、ロープを。」
「あ、ああ・・・リシュア、大丈夫なのか?そんな華奢な体で・・・」
「大丈夫です。」
笑みを浮かべてリシュアが答えると、ソルジャーがロープを手渡す。
先端にフックがついていて、これで手すりにかけるようだ。
輸送船と「はやぶさ」はほとんど同じ速度で並んでいる。輸送船に右舷を接触させながらだが隙間は無い。いける。
ロープを振り回してリシュアが手すりに引っ掛けると、そのまま上っていく。
ティトとシエルが固唾をのんで見守っているが・・・上手く上がっているようだ。
「こっちです!急いでください!」
「はいはい。じゃ、行くよ。」
シエルがロープに捕まると、ティトも捕まる。
が・・・敵兵が気づき一斉に機銃を乱射してくる。
「・・・急ごう!」
「うん!」
シエルとティトが剣と左手に銃を持ち、そのまま切り込んでいく。
もう会戦は始まっている。カービィたちは交戦しているようだ。
「・・・どいて!!」
ティトがハンドガンで敵兵を打ち抜くと、すかさず右からの槍を受けとめる。
すかさずハンドガンでぶち抜き、真正面からの敵兵を剣で切り裂く。
「喰らえ!」
背後から敵兵が機銃をうとうとしたが、シエルが切り裂いて何とか助かったようだ。
「危なっかしいね、ティト。」
「ごめんごめん・・・行くよ。」
甲板の制圧を完了、すぐにティトとシエルは艦橋に乗り込む。
対潜ヘリSH-60(輸送船上空)
「到着しました!総帥・・・ご武運を!」
「簡単には死にません・・・しょうかく、同行を。」
「了解!」
ランス卿としょうかく・・・輸送船上空から降下すると艦橋に直接乗り込む。
驚いた敵兵をしょうかくが斧で引き裂き、すかさず2人が艦橋内部に侵入する。
「て、敵!?何で総帥自ら・・・ぐあっ!」
通信士が槍の柄で殴られて気絶、2人が奥に入っていく。
「・・・シェルディアの総帥と副参謀つれてご入来か。ずいぶんと余裕だな。」
「ええ。手間は取らせませんから・・・あなたの命を奪うのに。」
続く