
Starknight fencer
第15章 End of start
PG[はやぶさ」艦内
「・・・はぁ。」
クリスは疲れた様子で、船室に座っている。
隣にはカービィとティト、シエルがじっと座り込んでいる。
「何とか逃げ切れたね。何とか・・・」
「うん・・・」
ここまでよく来れたのが・・ティトとシエルには信じられないようだ。
カービィは・・・今までのことをじっと考えている。
――フィン救うために海上集落抜け出して、メガフロートが壊されて・・・で、シェルドハーフェンにきたら今度はクーデターにあって・・・散々だなぁ。
ふぅとため息をつくと、カービィは剣を布で拭き始める。
血糊が着いている・・・何十人も斬って来たのだろう。
「・・・僕も人殺しなのかな?」
「そう。」
悩んでいるカービィに、クリスはあっさりと答える。
「けどさ、人が生きてること自体罪の積み重ね。だから取り立てて気にすることないと思うよ?自分の好きな人殺したとか、そんなんじゃない限り。」
「そういうものかな?」
「そういうこと。」
クリスは笑みを浮かべると、カービィをそっと抱き寄せる。
「ほんとは悩んで欲しくないの。笑顔が好きだから。」
「え・・・?」
どうやら・・・クリスはカービィが好きになってしまったようだ。
一方のカービィは・・・困惑しつつも顔を真っ赤にしている。
「あーあ、お姉ちゃんもついに恋人みつけたかな?」
「じゃ、カービィはお兄ちゃんかな?」
他愛のない会話を続けているが、それも安心できる環境だからいえることだろう。
一息つける場所・・・それがあるだけでもまだ良かった。
「はやぶさ」艦橋
「・・・貴様か。シェルディア海軍の提督というのは。」
クレアは・・・副長が座る椅子にすわりレーダーをにらんでいる。
「ああ。俺だ。まぁ、南方大陸まで世話になる。あんたが艦長か?」
ソルジャーが何気なく話しかけるが、クレアは首を振る。
「あくまでも私は副長だ。艦長はカービィ、参謀はフィン。そんなところだ。」
「参ったな。最年少の艦長か。」
「依存はないはずだが。貴様もその年齢の時には「ゆきかぜ」副長だ。」
厳しい口調でクレアが言うと、ソルジャーはかすかに笑っている。
「ところで・・・だ。クッキーでも食べるか?」
「お前が作ったのか?」
「ああ。」
ふぅんとうなずくと、ソルジャーは1つ口に入れる。
「か・・・艦長。遠慮したら・・・?」
「何言ってるんだ?出されたもの食わないほうが・・・ぐっ!」
口を押さえてソルジャーが苦しそうな表情をしている。
すぐにフィスカがコップを差し出すと、ソルジャーは勢いよく奪い取り一気に飲み込む。
「不味いもん出すな!味見しろ!味見!」
「ふん・・・貴様のようなのにこのクッキーの味が・・・・」
クレアも1個かじってみるが、思わず吐きそうになってしまう。
そして・・・フィスカをにらみつける。
「・・・貴様。私の作ったクッキーをどこにおいた?」
「あ、あれね・・・つまみ食いしちゃったんだー♪で、船底に隠れてた暗殺者締め上げて、無理やり作らせたってわけ。」
「つまり・・・貴様のせいということだな・・・」
クレアは小銃を取ると、銃口をフィスカに向ける。
「やだなぁ。私にはあたらないよ・・・」
「当てるまで貴様にぶち込んでくれようか・・・!」
青ざめた表情をするフィスカに、クレアは容赦なく銃をぶっ放す。
すぐにフィスカは交わすと、階段を下りて逃げていく。
それをクレアが追いかけ、銃声が何度も聞こえてきた。
「・・・いいコンビだな、あいつら。」
「まったくだね、艦長・・・って、あなたは?」
ゆきかぜが後ろを振り向くと、自分と同じくらいの身長で緑色のショートヘアーの少女が立っている。
「はやぶさ。艦の意思なの。」
「見れば解るって・・・どー考えてもそうなるんだけど。」
「あ・・・よろしくね、ゆきかぜ。」
「こっちこそ。」
ゆきかぜとはやぶさは握手すると、ソルジャーしかいない艦橋にとどまることにした。
敵艦が着たら、真っ先に動けるのは自分達しかいないだろうから。
「・・・作りすぎたな。」
先ほどフィスカにクッキーを大量に作らされ、2人はため息をついている。
「うん。」
「お前食え、キリル。」
「やだ。クラウスこそ。」
じっとにらみ合って、2人ともぜんぜん食べようとしない。
当然だ・・・クラウスが作ったのだから。彼の料理は無茶苦茶に下手だ。
「あ、何食べてるの?」
ちょうど良くフィンとレナが・・・クラウスは意を決してクッキーの入った皿を渡す。
「・・・作りすぎてあまったんだ。食べてくれ。」
「あ・・・ごめん。のど乾いただけなんだ。水飲みに着ただけ。」
「そういうこと。さっき食事もしたし・・・」
あっさりとフィンとレナに却下され、クラウスは無表情のまま・・・内心ではショックを受けていた。
そして、またどうするかを考え始めると・・・そこにクリスとカービィが来る。
「・・・クラウス?」
「クリス・・・それと隣はカービィか。悪いが射撃・・・」
「ダメ。大好きなんだから。」
クリスはカービィをぎゅっと抱きとめると、クラウスに鋭い視線を向ける。
「・・・殺そうとするなら、私もクラウスの大事なものを奪うから。」
「ほう?」
「キリルを・・・残酷な殺し方してあげようか?」
一瞬だけクラウスの表情がびっくりしたようになった。
「・・・かなわないな。わかった・・・」
軽く笑うと、クラウスはあっさりとうなずく。
「が、俺は同行するつもりはない・・・正規の報酬で雇ってくれなきゃ・・・」
「キリル、クッキー作ろうか?」
クリスは目標を変更、キリルと仲良くなることにしたようだ。
それにカービィも一緒に作っている。クラウスはふっと笑い、機銃を収める。
「・・・結局、面倒に巻き込まれちまうんだからな・・・」
「お疲れ様。」
疲れた表情をしているリシュアに、リシスが話しかける。
「・・・ありがとうございます。」
「姉さん、何でいつも敬語なのさ?丁寧と言うか・・・ね、どうして?」
ずうっと、リシスはそのことが気になって仕方がないようだ。
数千年も同じことを聴いてきたが・・・わからない。
「・・・癖になったんです。星の軍勢にいたころ、わたし達は見習いでしたよね?」
「うん・・・」
「ですから・・・口調をこのままにしたほうがやりやすいだけだったんですよ。悪い気分もしないでしょうし。」
それだけ・・・と言いたかったがリシスはうなずく。
別に、嘘を言ってるわけでもないしあまり深いものはないはずだ。
「そうです、リシス。これからどうなるのでしょうね。シェルディア海軍は。」
「南方大陸に逃げ込んだよね?でも、途中で封鎖されてるかもしれないね。」
クーデター軍もやすやすと通すわけない・・・やはり、封鎖線が張られていると見て間違いないだろう。
この突破に、「はやぶさ」がどれだけ役に立つのだろうか・・・?
まぁ、敵軍のかく乱くらいは出来る。カービィやクレアの腕前に期待するしかなさそうだ。
――Having started now : a long fight.
長い戦いは、今始まったばかり。――The fight doesn't end. Until either realizes one's desire.
戦いは終わらない。どちらかが思いを遂げるまで。
Starknight fencer 第1部終了 第2部に続く