
Starknight fencer
第14章 Clash
「まだいたの!?」
ティトとシエルがすかさずふりむいた途端、将校が槍を持って立っている。
すかさず2人は同時に振り下ろされた槍を受け止め、はじき返す。
「ちっ・・・2人一組か。」
「1本の矢は折れやすいけど、2本だと折れにくいからね。」
ティトが答えると、すかさず切り込んでいく。
敵ヴェルガンド軍将校はうまく攻撃を裁いている・・・ティトはそこそこは強いのだが正規軍の将校ほどではないようだ。
「どうした?俺を倒すんじゃないのか?」
槍でショートソードを受け止めた途端、将校は槍の柄でティトを殴りつける。
気絶したティトを逃さず、槍で左腕を突き刺し剣を落とさせる。
「くうっ・・・!」
「正規軍でもない貴様のような奴にやられるわけにはいかないんだよ。覚悟しろ!」
槍を引き抜いた途端、いきなり将校が後ろから衝撃を受けて倒れてしまう。
シエルが後ろから突き飛ばしてしまったのだ。
「後ろは注意・・・ってね!」
思いっきり顔面を蹴飛ばし、シエルは将校を気絶させてしまう。
「・・・ティト、大丈夫!?」
「痛いかも・・・」
ティトは左利きだから、剣を握るのはもう無理だろう・・・
痛いところで戦力を失ったが・・・クーデター軍が外をうろついている以上、ティト1人では帰還できない。
連れて行くしかない・・・シエルも置いていくつもりなどない。
「・・・動かないで、ティト。」
シエルは自分の服を破くと、ティトの腕に巻きつけて止血する。
出来ることはこれくらいしかないが、何とかなりそうだ。
「相変わらずスピードがあるな!」
「褒め言葉か?セフィン!」
軍刀と軍刀が交わりあう激しい戦いをソルジャーとセフィンが繰り広げている。
ソルジャーは榴弾砲を背中にかけたまま戦っているが・・・それがシェルディア海軍の軍人としての礼儀なのだろう。
「・・・ああ!」
「そこまでして俺と敵対する意味は!?」
「聞くな!」
言いたくないのだろう・・・ソルジャーは微笑すると片手で軍刀を持つ。
「・・・お前の理想のために俺を殺すか・・・それもいい。戦いは信じるもののためにやるものだからな。」
セフィンの振りかざした軍刀を、ソルジャーは軍刀で受け止める。
すかさずソルジャーが敵の腹部を殴りつけると、軍刀の柄で頭を殴り飛ばす。
「おとなしく寝ていろ・・・それがお前のためだ。」
「・・・ソルジャー・・・とどめは・・・?」
「知るか!俺は親友を殺さない・・・そんなに死にたければ自殺なり何なりすればいい!」
軍刀を鞘に収め、ソルジャーは交戦中の仲間を置いて先に向かう。
「・・・っと!」
敵の一撃を真上に飛んで交わし、銃弾を打ち込んでクリスは敵軍の将校を倒す。
そして・・・カービィの相手をしている将校を見つめる。
「クリス、あれってグリフィンだよね?ヴェルガンド軍の四天王とも呼ばれた・・・」
「そういうこと。海兵隊元帥ルーシャス、空軍元帥ライフェル・・・そして海兵隊第7師団長ルウと第5師団長グリフィン・・・見とけば?これからヴェルガンドとも戦うんだし。」
「うん・・・」
フィンは不安な面持ちでカービィとグリフィンが戦うところを見ている。
自分ととても親しい親友が戦っているとあれば・・・不安になるだろう。
「・・・行くよ!」
「貴様のような好敵手を送り込んできたことを、感謝しなければなるまい!」
グリフィンが剣を振りかざすと、カービィはすぐに受け止める。
もう片方の剣を横なぎに振りはらったが、すぐにカービィは身をかがめてかわす。
「何!?」
いつの間にかカービィが後ろにいて・・グリフィンの肩当が破壊されていた。
「・・・浅い一撃さ。無意識のうちに君が交わしたから深く入れられなかったよ。」
「ふん・・・貴様のような奴に一撃を入れられるほど甘くはない。」
すかさずグリフィンは剣を突き出すが、カービィもすぐに身をかわす。
「動き方が違う・・・グリフィンが攻めてるのに対しカービィは受けに回っている・・・」
フィンは、2人の動き方の違いがはっきりとわかっている。
グリフィンが攻めれば、その分カービィが受けに回り最小限の動きで交わしている。
隙を見ているのだろう・・・隙さえあればカービィは鋭い一撃を叩き込んでくる。
「ほう・・・私と双極とは。おもしろい。その剣術は誰に習ったものだ?」
「・・・水色の髪の毛の人。リシュアだよ。何年か前に来て、何度も教えてもらったんだ。あとは自分で実戦本位にアレンジしただけ。」
「なるほどな・・・だが、私の剣をいつまで受け止められる!?」
「君が倒れるまで!」
その途端、カービィがすかさず前に出る。
グリフィンの突き出した剣をほとんど動かずに交わし、剣をのど下に付きたてようとする。
すかさずグリフィンは剣の柄で受け止めるが、あと少し遅れていたらのど元に刺さっていた。
――強いが・・・年齢ゆえに体力はなさそうだ。ならば作戦もある。
戦法を買え、グリフィンは剣を振り上げる。
受け止めた衝撃でカービィが空中に放り出されるが、グリフィンも空中に飛び上がる。
「あ・・・!」
「ふん・・・!」
空中でグリフィンはカービィの足を捕らえると、着地と同時に踏みつける。
そして・・・双剣の片方を自分の足ごと刺し貫いた!
「くっ・・・!!」
「勝負あったな・・・貴様はこの間合いでもっとも不利。どうする?」
剣を抜こうとすれば鋭い一撃を入れられてしまうし、かと言ってこのままでは体力をかなり消耗してしまう。
体力は明らかにグリフィンの法がある・・・しかも、この距離だとカービィは効果的に回避が出来ない。片足が動かない以上なおさらだ。
「・・・こんな戦法って・・・ありなの・・・!?」
「悪いが・・・勝つためには自分の体でも犠牲にする。どうする・・・?貴様は強い。だが、まだ自分より強い相手とは戦っていない。私と違ってな・・・」
さらにグリフィンが剣を差込み・・・血が大量に流れ出す。
カービィの表情が苦痛にゆがんでいるのがはっきりと見える。
「・・・やめてよ。」
「何・・・?」
「そんな手段、最悪だよ!!」
フィンがすかさず切り込み、グリフィンの右腕を押さえる。
「貴様、何を・・・!?」
「早く抜いてよ!」
かすかにうなずくと、カービイはすぐに刺さっていた剣を抜く。
同時に剣をグリフィンに突き刺そうとするが、あっさりとグリフィンはフィンを右腕につかませたまま交わす。
「ちっ、離せ!」
グリフィンが右腕を大きく振ろうとした途端にフィンも手を離し、距離を置く。
「・・・興が冷めた。引かせてもらおうか・・・だが、カービィ・・・貴様は私が倒す!」
すぐにグリフィンは剣を取ると、軍令部の奥に向かっていく・・・
カービィたちもそれを追い、軍令部内部へと突撃する。
「・・・キリル!?キリル!」
クラウスが、隣に倒れていたキリルを起こす。
傷はかなり深いが・・・クラウスをはこんだせいでさらに傷口が広がっている。
「クラウス・・・?」
「俺だ、キリル!しっかりしろ・・・ぐっ!」
クラウスもカービィと戦った傷がまだ癒えていない。
傷口が傷み、機銃に寄りかかってしまう。
「クラウスこそ・・・無理してる・・・」
「・・・俺の傷などまだ浅い・・・大丈夫だ。」
クラウスは埠頭のほうをのぞくと・・・1隻だけ沖合いにミサイル艇が停泊している。
あれに乗り込めば、当分は何とかなりそうだ。
「・・・姉さん、シェルドハーフェンに戻って何するの?」
シェルドハーフェン軍令部の裏口にいたリシュアとリシス・・・
確認している超兵器は破壊した・・・次はどうするかだ。
「・・・資料を集めようと思いましたが、それどころではないようですね。」
「クーデター起きちゃってるしね。」
「軍令部でも探しましょうか。この隙に・・・」
混乱に乗じて、2人は軍令部内部に入っていく。
「姉さん・・・本当は違うんでしょ?」
「え?」
「シェルドハーフェンに戻ったのは、カービィたちが気になってるんじゃないの?」
リシュアは苦笑すると、素直にうなずく。
「ええ・・・もう一度、あの時間をすごせるならと思っています。」
「何千年も前に過ぎ去った・・?」
「そのときの時間だけが、今も私の中で流れ続けているんです・・・」
「そっか・・・まぁ、わかるよ。その気持ち。だからまた・・・?」
「ええ。もう一度協力します。このクーデター鎮圧にでも。」
レイピアを抜き、リシュアは目の前の敵兵を切り裂き進んでいく。
その姿を見て、リシスは何かを感じている。
――今までの姉さんと完全に違う。今までなんかちょっとしたことで自殺しかねない雰囲気だったのに・・・
何がそこまで明るくさせたのだろうかとリシスは思い・・・仲間という結論に達した。
やはり、そういう人がいればいいのだろう・・・
「・・ま、いっか!」
リシュアが倒し損ねた敵兵をリシスは確実に双剣で引き裂き、後を追っていく。
階段を降りて牢獄に到達・・・1人の女性が連行されているのを見つける。
「何!?誰だ、貴様ら!」
「退いて下さい。そうすれば命まで奪いません。」
レイピアを構えているところからし、リシュアはかなり本気だ。
敵兵は剣を抜いて切りかかっていくが、一瞬で切り裂かれてしまう。
「相変わらず早いね、姉さん。そっちの人は?」
「シェルディアの参謀長みたいです・・・階級からして。」
すると・・・参謀長の女性も気づいたらしい。
「・・・誰だ?私を・・・助けに着たのか?」
「ええ。そんなところです。」
リシュアは参謀長に肩を貸すと、そのまま階段を上がっていく。
「・・・そうりゅう、さん。」
「私の名前をなぜ・・・?」
「話せば長いです。まぁ、永遠の命を持っている人は、軍の内部にも精通していると言うことは言っておきます。」
「・・・そういうことか。」
なるほどと納得すると、そうりゅうは奪われていた槍を取り道案内する。
リシュアとリシスも付いていくが・・・その途端に敵の将校と遭遇してしまう。
「ちっ!おい、こっちに参謀長が逃げたぞ!」
軍令部内部のスピーカーに声が響くが、リシュアはすぐにレイピアで無線を刺し貫く。
「遅いですよ。逃げますか?」
「ふざけるな!貴様・・・!」
「良いでしょう。」
敵クーデター軍将校が剣を抜いた途端、リシュアはレイピアをすばやく突き出す。
将校が剣で受け止めるが、そのときにはリシュアはすかさず隙だらけの右肩にレイピアを突き出し・・・刺し貫いてしまう。
「くっ、なんだと・・・!?」
「3対1・・・退いて貰いましょうか。見逃してあげます。」
「・・・覚えてろ!」
敵の将校は左腕で剣を持ちながら撤退・・・他愛ないものだ。
リシュアたちは複雑な軍令部・・・攻撃によって壁や天井が崩れたところを切り抜け正面から出て行く。
裏口方面にはすでに防火シャッターが閉まっていて、脱出できないのだ。
「こっちの方に行った筈なのに・・・!」
あちこちのシャッターが閉ざされ、カービィたちはグリフィンを追撃できなくなってしまう。
しかも、先ほど通ってきた通路さえ封鎖されてしまったのだ。
「・・・ここは一旦脱出したほうが良いんじゃない?ちょっと前にこんな状況私もあったし、確かこっち・・・」
クリスが抜け穴まで何とか行こうとしたが・・・そこもシャッターで閉ざされている。
とにかく、あいているシャッターを潜り抜け外壁まで到達する。
そこにソルジャーがいて・・・爆薬で壁に穴を開けていた。
「ソルジャー、ここにいたんだ!?」
フィンがいつの間にかいなくなっていた彼を見て、驚いたようだが・・・
「ちょうどよかった・・・シーホークの到着ってわけだ。」
その途端にヘリのローター音が聞こえる・・・ソルジャーの言うとおりUH-60シーホークだろう。
対潜哨戒ヘリだが、ガンシップ装備の場合搭乗員以外にも乗員9名を載せることも可能だ。
「艦長ーっ!!」
「ゆきかぜか・・・ちょうどいい。だが参謀長が・・・」
すると、後ろからリシュアたちがそうりゅうをつれてやってきた。
どうやら、何とかここまで護衛してきてくれたらしい。
「連れて来ましたよ・・・」
「ああ・・・彼女達に助けられた。乗らせてもらう。」
まずそうりゅうが飛び乗り、次にティトとシエル、カービィが乗り込む。
「お姉ちゃん、速く!」
「あせらせないで!」
軽くクリスも乗り込み、ソルジャーも何とか乗れた。
リシュアたちを入れて定員ちょうど。幸運としか言いようがない。
「行きましょうか・・・」
「う、うん・・・怖いけど・・・」
怖がっているフィンを見て、リシュアは抱きかかえるとそのままヘリに飛び移る。
「わ・・・わあぁ!」
「大丈夫ですって・・・」
最後にリシスも収容、その途端にクーデター軍兵士がやってきて機銃を乱射する。
「急いで逃げるよ!最大速力!」
ヘリは反転すると司令艦隊に向かっていく。
同時に「しょうかく」艦載機のF-15ACTIVEが合流、編隊を組んで護衛してくれるようだ。
「あ・・・レーダーに機影、クーデター軍のアクティブイーグル!」
「何!?」
敵機は4機編隊。パイロットの腕前を同等と見ると1機はこちらに向かってくる。
敵機の武装は短射程ミサイルのAAM-5のみ。あとは近接戦闘のバルカン。
「ゆきかぜと誰か操縦を代われ!ミサイルランチャーなら敵航空機でも対処できる!」
「私が!」
シエルが操縦席に乗り込むと、ゆきかぜと操縦を交代する。
「だ・・・大丈夫なの!?」
「お姉ちゃん、大丈夫!一応私もパイロットだから!」
UH-60は空戦の合間を縫ってCB「そうりゅう」へと接近する。
が・・・後ろにF-15ACTIVE。まずい・・・逃げられる距離でもない。
「私が狙う!」
クリスがロープをコートとヘリのフックに引っ掛けると、身を乗り出して小銃を構える。
Shot down an enemy!
「敵機を撃墜!」敵クーデター軍が友軍機を撃墜・・・まだ来るようだ。
後ろにF-15ACTIVE、距離3100・・・
「急旋回するから捕まって!」
ヘリ後部からフレアー射出、AAM-5をかく乱させ弾道をそらす。
PG「はやぶさ」まで到達できれば、着陸してどうにでもできる。
「っと・・・!」
クリスは敵機が接近するのを待っている・・・20mmバルカンでもアウトレンジできそうだ。
「このっ!喰らえ!」
ゆきかぜがミサイルランチャーからスティンガー携帯SAMを発射・・・F-15ACTIVEは回避行動をとる。
Missile! brake, brake!
「ミサイルだ!かわせ!」その間にUH-60は少しでも距離を縮めようと軍港に向かう。
すぐにカービィは軍用の無線を撮ると、クレアに通信を入れる。
「クレア!今UH-60に乗ってるけど追われてる!」
「レーダーで確認した・・・後ろのアクティブイーグルは敵機か!?」
「そう!早く撃墜してよ!」
その途端、敵機が機銃の射程距離に入ってきた!
「くっ・・・!」
クリスが小銃を発射、その途端に20mmバルカンの銃弾がクリスの左腕を掠める。
すぐにティトが捕まえ、ヘリに引き上げる。
「あたった・・・?」
Blue-5,please respond!
「蒼5、応答しろ!」が・・・後ろのF-15ACTIVEはそのまま急激に高度を下げて落ちていく。
そして・・・ビルに直撃して爆発を起こしてしまう。
「あたったみたい・・・よかった・・・」
「まだくるよ!」
もう1機こちらに来る・・・が、軍港は目の前だ。
「はやぶさ」もかなり近くにいる・・・これで何とかなりそうだ。
「シースパローロックオン、発射!」
ミサイル艇から対空ミサイルが発射、ヘリを掠めて追撃機に向かっていく。
敵機の真正面に直撃、爆発・・・パイロットはパラシュートで脱出した。
「降下するよ!」
軍港の埠頭に降下、すぐに着陸すると「はやぶさ」が埠頭に停泊する。
エンジンはかけたまま。いつでも出向できる。
「早く乗って!」
フィスカがタラップをかけると、すぐにクリスとティトが乗り込む。
クリスが左腕に怪我を負っているため、早く手当てする必要があるのだ。
「あ・・・!」
レナがレーダーに機影を見つけた・・・F-2Aヴァイパー・ゼロ。クーデター軍のIFFだ。
間違いなくこのミサイル艇を攻撃してくるに違いない・・・
「防空戦闘用意!早く艦内に入ってよ!」
「わかった!」
すぐにソルジャーとシエルも入り、ゆきかぜはミサイルランチャーを構えている。
艦首の12.7mm速射砲と艦尾RAM発射機が稼動、いっせいに射撃を開始する。
「急ぎましょう!」
「敵の対艦ミサイル、第1防衛ライン通過!」
RAMと速射砲が迎撃しそこない、チャフを発射・・・艦首CIWSが稼動し熾烈な弾幕を浴びせる。
何とか途中で撃破・・・だが、F-2Aは高速で接近すると大胆にも機銃掃射をしてきた!
「わあっ!」
リシスが弾幕をよけるために飛びのく・・・いた場所には20mm銃弾がぶち込まれ、高い砂埃を上げる。
すぐにリシュアが抱きかかえ、「はやぶさ」に飛び乗る。
「く・・・!」
「参謀長!?」
参謀長が先ほどの銃撃で足を負傷・・・歩けないようだ。
「急いでよ!」
自衛用12.7mmガトリングガンにカービィが付くと、敵機に対して射撃を始める。
その間にゆきかぜはそうりゅうを抱えて何とか艦内に入った。
「くる・・・!」
小さな点がこちらに向かってくる・・・F-2Aだ。
すぐカービィも艦内に入ると、F-2Aは機銃掃射してきた。
ちょっとでも遅れていたら、死んでいたかもしれない・・・
「出航、急ぐよ!」
フィスカが手早く指示を出し、「はやぶさ」は港湾の外に向かっていく。
78ktの高速を生かし、司令艦隊に合流を果たすため・・・
続く