Starknight fencer 第12章

Combined fleet

 

シェルドハーフェン港湾内部

「え・・・!?」

艦橋に駆け上がってきたカービィとウェインは、目の前のイージス艦が炎上している光景を目の当たりにした。

イージス艦「ゆきかぜ」の砲撃・・・となれば「ふゆづき」はクーデター軍の艦船だろう。

「こちら「ゆきかぜ」、「はやぶさ」応答せよ。」

「「はやぶさ」応答、何か?」

「シェルドハーフェンはクーデター軍により制圧された。行くあてがなければ南方大陸へと来ないか?こちらが先導する。」

南方大陸の拠点は親ランス卿派の部隊がほとんどでいざとなれば戦力になるとの見込みだ。

同盟国のルーメン公国も支援するが、その支援を受ける意味でも南方大陸が一番近い場所だ。

「どうする?カービィ・・・私はあくまでも後から入ってきた。私に主導権はない。」

「え?」

「この艦長はお前だ。誰も意思は阻害できない。」

クレアはそういうと、イスに座って様子を眺めている。

「僕が・・・?」

「そのつもりではないか?フィンもレナも・・フィスカも。」

フィンはうなずき・・・フィスカはま、それでいいよという。

少し考えてからレナも構わないと言う。

「え・・・で、でも・・・僕は・・・」

「クーデター軍についても構わない。第4艦隊の居場所を聴きだして合流してもいい。自分のしたいようにやっていい・・・そのつもりでここにいる。」

「ちょっ、俺は!?」

ウェインがクレアに訊ねるが、そっけない答えが返される。

「貴様は一番後ろだ。」

「何!?」

思いっきりフィンとフィスカから笑われ、ウェインは少し気分が悪いようだ。

が・・・ふぅとため息をつきウェインは言う。

「仕方ない・・・俺もあんたたちに命を預けるとするか。」

「あのさ・・・僕リーダーって感じじゃないよ・・・」

カービィが遠慮気味に言うが・・・断るのも何なのでとにかく無線で応答を入れる。

「こちら「はやぶさ」。「ゆきかぜ」に随伴するよ。」

「了解。IFFコードをADE-17に設定しろ。」

「わかった。」

DDA-51「ゆきかぜ」・・・本物に間違いない。

が・・・フリゲート2隻が「はやぶさ」と「ゆきかぜ」の間に割ってはいる。

「何のつもりだ!?前方の「はつはる」級フリゲート、進路を開けろ!」

「魚雷撃て!!」

その途端に4本の魚雷を発射・・・「はやぶさ」にも向かってくる。

「CIWS稼動、速射砲前方の敵艦に。IFF解除!」

クレアがすぐに指示を出し、兵装システムをかどうさせる。

艦首と艦尾のCIWSが海面を向き発射・・・次々に魚雷を破壊する。

同時に速射砲が発射・・・「はつはる」級フリゲートのレーダーを破壊する。

「レーダー損傷!」

「こっちが始末する!14cm砲発射!」

「ゆきかぜ」が主砲を向け、敵艦艦橋めがけ発射・・・

途端に敵艦が爆発を引き起こし、そのままフリゲート艦同士が激突してしまう。

「浸水発生!戦闘不能!」

「「はやぶさ」は「ゆきかぜ」に続け!」

「了解!」

69ktの高速・・・「はやぶさ」の最高巡航速力で2隻はシェルディア海軍基地から逃亡する。

司令艦隊はまだ出航していないが、第17艦隊が支援するため少し遅れるようだ。

「前方に戦闘機・・・F-2Aヴァイパー・ゼロ!」

「あれは「しょうかく」所属機だ。友軍だ!」

友軍機の下をすり抜け軍港を脱出・・・何とか第5機動艦隊と合流を果した。

敵艦の追撃はない・・・あとは南方大陸まで突っ切るだけだ。

「危なかったぁ・・・」

ほっと胸をなでおろしたが・・・カービィはまだ不安が残っている。

南方大陸から・・・この後どうするのかと。

「・・・南方大陸ってさ、たしかスターナイトの本拠地があった場所じゃない?ずっと昔に。」

唐突にフィンが話し始めたが・・・ずっと昔の伝承の事を言っている。

何十年・・・いや、何百年かも知れないがかつて闇の軍勢と星の軍勢を名乗る軍勢が戦いを繰り広げた。

そのときに星の軍勢が「最終兵器」を発動。無数の大陸を沈めてしまったと言う。

が・・・その最終兵器の暴走により星の軍勢もまた壊滅状態に陥り、残された人たちは大陸を捨てて海上に集落を作ったのだ。

海面を上昇させたという記述もあるが、そこはまだわからない。

今は観光目的で行く人も多い。が・・・鉱山資源が豊富なためシェルディア海軍の重要な拠点でもある。

ランス卿の信任が厚い部下を配置しているため・・・シェルディア海軍は不測の事態が起こった場合ここを拠点に再起を図れる。

あとは・・・逃げ切れるかどうかの問題だ。

 

シェルディア海軍軍令部

「・・・?」

ランス卿が見たのはゆきかぜと・・・もう1人は確か刺客の少女。

助かったと思い、すぐに立ち止まる。

「危なかったです・・・ふぅ。」

「危ないように見えないのは私だけかな?」

クリスがそんなことを言うが・・・ランス卿の服には傷どころか返り血すらついていない。

無人の軍令部内部を走ってきたような雰囲気だ。

「後から敵兵が来るんです・・・急いで旗艦に向かいますよ。」

「了解。」

あらかじめ旗艦「そうりゅう」に乗り込み、脱出する手はずになっている。

3人・・・および陸戦隊は第16埠頭に向かいすぐにCB「そうりゅう」にたどり着く。

そこに・・・ティトとシエルが待っていた。

「お姉ちゃん・・・みんなやられてた・・・!」

「え!?」

シエルの悲しい顔だけで・・・クリスは何があったか察したようだ。

「ヴェルガンドの将校に皆殺しにされたんだ・・・おねえちゃんをおびきよせるためとか何とか言って・・・お願い、辛い気持ちは解るけど行かないで!罠を張ってる!」

「ティト、解ってる・・・罠張ってることも私をどうかしようとしてることも解ってる!でも行くよ・・・私は許せない。兄弟、姉妹同然の仲間を殺されて・・・黙ってられない!」

クリスは制止を振り切って行くと・・・ティトとシエルも着いていく。

「・・・やれやれです。」

ランス卿がゆきかぜと共に乗艦しようとした途端、ひりゅうが大急ぎで走ってきた。

「ど、どうしたんです?」

「ヴェルガンドが裏にいることがはんめいしましたよ・・・参謀長は今ヴェルガンド軍の将校と戦闘中。もうどうなったかわかんないけど・・・」

すぐにランス卿は槍を取ると、ゆきかぜに命令を伝える。

「ひりゅうを連合艦隊副提督として至急向かわせてください。ソルジャーに連合艦隊を一任します・・・私は参謀長を救出します!」

「待って!私が・・・」

「ヴェルガンド軍の将校相手にかなうはずありません!ゆきかぜ・・・ひりゅうと共に再起をお願いします!今すぐ司令艦隊の出航を!逃せば封鎖線を張られて終わりです!」

機雷を設置されては戦艦だと航行不可能・・・今すぐ離脱しなければ危ない。

ゆきかぜはランス卿の強さは知っている・・・だからすぐに出航する。

「出航するよ!総員戦闘配置!」

「でも総帥が・・・」

「急いで!」

CB「そうりゅう」は2隻のフリゲートと防空戦艦「ひりゅう」に護衛され、軍港を発つ。

ランス卿はクリスの後を追いかけて市街地へと向かっていく。

ゆきかぜはすぐにソルジャーへと無線で連絡する。

 

「何・・・総帥が!?」

「戦艦は一時退避させなきゃいけないから無理だけど・・・駆逐艦なら何とかできるよね、艦長!?」

今は撤退が最優先・・・そんなときにゆきかぜからの通信。

このイージス艦も充分大型だから機雷を大量に張られては終わりだが。

そんな時に後の「はやぶさ」から通信が入ってきた。

「第5機動艦隊と合流したよ!」

とっさに、ソルジャーにはある案が浮かんだ。

「すまないが、ミサイル艇で俺を運んでくれないか?機雷でもミサイル艇ならすり抜けられる。運ぶだけで構わない!」

少しの間の後、「はやぶさ」から通信が来た。

「いいよ。せっかくだから協力してあげる。」

「お、おい。何もそこまで頼んでいないんだが・・・」

すると、今度は別の人物の声が聴こえてきた。

「・・・まぁいい。接舷するから乗り込め。」

「了解。」

その途端に「ゆきかぜ」が衝撃を受けて揺れてしまう。

直接、ぴったりと舷側をくっつけてきたようだ。

「おいおい、乱暴に扱うなよ!」

「早く来て!」

やれやれとソルジャーは思いながらも、「ゆきかぜ」の舷側から飛び降りる。

「ゆきかぜ」と「はやぶさ」は甲板の高さが2mくらい違うが、苦も無く乗艦できた。

すぐにソルジャーは艦橋に上がり、レーダーを確認する。

「あ、あの・・・傷だらけだけど大丈夫?」

ソルジャーの頭に包帯が巻かれているのをフィンは心配しているようだ。

「何言ってる・・・これくらいの怪我で総帥を守れるか。で、俺と同行する命知らずは?」

「僕が行かせて貰うよ。」

剣を取り、カービィが立ち上がる。

「無茶だよ!傷は・・・」

「もう大丈夫さ・・・いける。」

背中に剣を背負うと・・・フィンもカービィの手を取る。

「いつも君は危険な場所にばかり行く・・・止められないならせめて連れて行って!僕も剣術で支援するよ!」

「フィン・・・ありがと。クレア、後は任せるね。」

カービィに頼まれ・・クレアはやれやれと言うしか出来なかった。

「・・・まったく。わかった。戻ってくるまで待機しよう。なるべく早めに済ませて欲しい。いつ封鎖を受けるかわからない。出来ることなら、艦を放棄したくはない。」

「わかった。」

「はやぶさ」だけが軍港に戻り、3人を下ろすと埠頭から離れていく。

敵が乗り込む可能性もあるため、艦の安全を確保するにはこれしかないのだ。

「行くぞ・・・」

「了解。」

3人は市街地へと走っていくが、クーデター軍兵士も各地を巡回しているようだ。

下手に目立つ動きはしないほうがいい、そう結論付けて3人は慎重かつ大胆に走っていく。

「・・・誰がこんなクーデターなど起こしやがったんだ・・・!?」

「わかんないけど、やな感じ・・・」

住民の大半は戒厳令の下、自分の家にこもっている。

そんなところを歩いて目立たないはずは無いが・・・ソルジャーが裏路地を案内してくれたため、見つかりそうにない。

「そうだね・・・住民を中毒にさせて、首都を占拠するなんてどうかしてる・・・」

フィンもそんなことを言うが、その気持ちは2人も同様だ。

こんなことが許されていいはずがない。絶対に。

「総帥はどこなんだ・・・?」

「僕もわからないよ・・・」

困る、とフィンはいいたそうだ。

そんな時に、カービィはようやくそれらしい人物を見つけた。

槍を持って・・・ヴェルガンドの敵兵に囲まれている。

「あ、ソルジャー!こっち来て!」

「何・・・って、総帥!?」

ソルジャーもそういっているところを見ると、間違いなさそうだ。

隣には刺客らしい少女もいるが・・いっしょに戦っているようだ。

「加勢するんだよね?行こう!」

カービィとフィンが抜刀、すかさず敵兵に切り込んでいく。

どうじにソルジャーが榴弾砲で支援射撃、次々に敵兵を吹き飛ばしていく。

 

続く