Starknight fencer 

第1章 Seawind

 

かつて、星の軍勢や闇の軍勢という諸侯が戦った世界。

何度もこの軍勢は転生を繰り返し、ついには世界を終末の戦争へと導くことになってしまう。

戦争は果てしなく続き、ついに星の軍勢は「最終兵器」を使用。

そのせいで、世界は海面が上昇・・・世界の9割が海につつまれることとなった。

 

その後、この2つの軍勢はどこへ消えたかも分らなくなり世界はあらぬ形で平和になってしまう。

誰もが予想しなかった戦争の終焉・・・人々はかつて高山地方と呼んだ場所に新しい世界をつくり、平穏に暮らすことになった。

そして、この2つの軍勢の記録も時と共に掻き消えていった。

シェルディア共和国という国家が一応存在しているものの、軍事以外の大半を地方に任せ緩やかな統治がおこなわれている。

宗教も自由、教育も自由・・・ただ、軍事だけは共和国軍が各方面に艦隊を配備しいつでも出撃できるようにしている。

外敵ともいえる海賊集団「サジタリウス」がいるからだ・・・

 

「・・・あーあ、退屈だなぁ。」

シェルディア共和国の辺境にある海上集落。

海の上にあり、周囲全てを木製の城壁で囲っている。

戦艦4隻を収容するだけの広さを持っている港湾拠点で、第17水雷艦隊の母港でもある。

夜ともなればかなり静かなもので、誰も外には出ない。

「早く寝たら?カービィさぁ!」

「もう少しいいじゃない!どうせ剣客は暇さ!」

カービィと呼ばれた桃色の髪の毛の少年・・・かれは物見やぐらの上で夜空を見上げている。

隣には侵入者撃退用の12.7mm固定機銃が配備されている。

危なっかしいから共和国軍兵士以外立ち入り禁止だが、彼・・・カービィだけは特別のようだ。

ここ最近は海賊も来ないし、大丈夫だ。

彼は一応剣客だが、「剣など時代遅れさ」と言われて変人扱いされている。

15歳にもなっているが、外見は13歳くらいの少年だ。

「いいよ・・・もう!そこで寝ないでね!」

「はいはい・・・フィン、分ってるよ。」

下にいるのはフィン。ここの自警団の団長だがまだ13歳。

カービィの弟分だが、兄は去年海賊に殺されてフィンが引き継いでいる。

「外の世界って、どんなのかな・・・?」

気になるのも仕方ない・・・いつか彼は民間の客船でもヨットでもいいから外海を旅するのが夢だ。

すると、いきなり弓矢が飛んできたのでカービィがそれを受け取る。

「・・・手紙だ。買って着てって?」

矢には、手紙と一緒にお金がくくりつけられていた。

明日、兵器店で12.7mmの銃弾を買ってきて欲しいとフィンからの依頼だ。

「・・・しかたないなぁ。ここで寝るよ。」

毛布をかぶり、枕を置いてカービィは物見やぐらの上で寝る。

夜空を見ながら、涼しい外で眠れる最高の場所だ。

 

「・・・?」

夢のなか・・・かもしれない。

が、何故か隣には誰かがいる。

「・・・お前の好きだった奴を斬るんだ。相手がそいつでも・・・戦えるか?」

よく分らない場所・・・軍艦の内部?

が、やけに音がうるさい。窓の外を見ると空を飛んでいる。

「うん・・・戦うよ。」

自分の名前を呼ばれて振り返ったが、よく見るともう1人の自分がいる。

隣にいるのは・・・迷彩バンダナに上下迷彩服。思いっきり軍人の青年。

軍刀と携行榴弾砲まで持っている。完全に軍人だ。

「・・・お前らしくないな。宿命でも取るのか?」

「違う!僕はクリスを助けたいから戦うだけさ・・・」

「・・・それでこそ、お前だ!さ、行くぞ!そこのお前も!」

自分が呼ばれたと思い、カービィはもう1人の自分と一緒についていく。

そこは・・・1本だけ太いワイヤーが引っかかっている場所。

「滑り降りるしか手段はなさそうです・・・」

後ろにいるのは水色のロングヘアーの少女・・・白いローブをまとい、腰にレイピアの鞘を挿している。

剣の方はもう抜いているようだ。

「行こう・・・僕達の仲間を助けるために!」

先頭の2人が続き、カービィもそれに続く。

が・・・慣れていないためか、思わずバランスを崩してしまう。

「うわあっ!!?」

「危ない!」

手を掴んだのはもう1人の自分・・・本当にソックリだ。

「・・・君は?」

『剣を探すんだ・・・君が見た人たちも。そしてクリスも・・・ゆきかぜも。いい、君の記憶にしっかりと刻んでおくから・・・』

「だから誰!?その人たちって・・・?」

『見れば分るよ・・・宿命はとめられないんだ。君が闇の軍勢と戦うことも・・・』

 

「あ・・・」

目が覚めると、物見やぐらの梯子に手をかけた状態でカービィは寝ていたのだ。

落ちたからあんな夢を見たのだろうか・・・

「やばそう!ちょっと急がなきゃ・・・」

この高さから落ちれば重傷・・・それだけでカービィは目がさえ、すぐに梯子を上る。

そして、物見やぐらの上にある滑車を掴むとそこから飛び降りる。

カービィの発案でつけたもので、梯子が焼け落ちたりした場合すぐに下りれるように、とか重いもの運ぶため・・・というわけでつけたが実はこうして楽をするためにつけただけだ。

町の人もこの光景はなれた感じで、ときどきフィンも練習するが海に落ちてばかりだ。

握力が足りないんだよ、とカービィはそのたびに言っている。

手紙をもう一度確認すると、「お釣りで朝食と好きなものを買ってよ。」て書かれている。

「やれやれだね。本当。」

12.7mm銃弾はかなり重い。だから滑車を使って運ぶのが一番だ。

梯子でまともに運べば無駄に疲れる。それに今日はやばかったからそんな気なんて起こらない。

まずは朝食を終えてから銃弾を買おう・・・カービィはそう思い、先に食料品店へと向かう。

 

 

「いたよ、クレア・・・標的発見♪」

「その性格はどうにかしろ、フィスカ。」

兵器店の屋根の上、2人の暗殺者がそろってカービィを発見する。

1人は赤いショートヘアーに白い服、拳銃を仕込んだ双剣を持った緑色の瞳の少女。

もう1人は蒼のロングヘアーに青い服、黒いズボンに狙撃小銃をもった少女だ。

「えー?だってさ、今回の報酬はいいじゃない。相手も13歳くらいだよ?」

「甘く見るな。万が一のことを考え、確実に撃つべきだ・・・今日、奴らがここを襲撃する。サジタリウスだ。混乱の合間に奴を狙撃する。」

「まったくさー、クレアはいつもそんな慎重なんだから。いいよ。私も確実にしとめたいし。」

2人は、屋根の上で話しながら時期を待つことにした。

 

続く