Starknight fencer

第20章 Sword of counteroffensive

 

 

ルーメン公国中央部城郭 1450時

「・・・何で僕が?」

「貴方がまとめ役です・・・「はやぶさ」の。そして相棒と副官も連れて行くのは当然でしょう?」

暗い廊下をカービィとランス卿・・・そしてソルジャーとクリス、クレアが歩いている。

僅かだが援軍でももらえれば幸い。主力艦の修理は3日後に出来るからとりあえず味方の上陸はさせている。

「そうだ・・・お前の指揮で超兵器も鹵獲できた。もう1人の剣客とかで言い逃れられる身分ではない。シェルディアに多大な貢献をしている。わかるか?」

「諦めろって。カービィ・・・俺と張り合うくらいまでの実力者になるとは思わなかったけどな。力ってのはリスクが付くものだ。」

ソルジャーに肩を思いっきり叩かれ、カービィはため息をついてしまう・・・こういうことになるなんて本当に予想外だが、仕方ないだろう。

それが解っているからこそのため息か。

「ま、いいじゃん。普通じゃ出会えないルーメン国王の顔見られるだけでもさ。」

「そうだね・・・」

クリスの言うとおりだろう・・・だいたいここに普通の人が来られるだけでも凄いのに。

でも、クリスはここの内部を知っているようだ・・・ソルジャーやカービィが周囲を見渡しながら進んでいるのに、クリスは真っ直ぐ前を見ている。

「ところで・・・珍しくないの?」

「そうね。私は何回も見たから。綺麗な宮殿に巣食う魔物を討伐するために。」

「え?」

「ルーメンは潜水艦大国で資源も大量にあるけど、中身は昔ながらの貴族が政権を握っているわけ。まぁ・・・仕方ないけどね。シェルディアだって元は同じような感じだし。」

「そうなんだ・・・」

「だからみんなランス卿に思いを託してた。いずれクーデターでもどんな形でもいいから政権を取って欲しいって。シェルディアの人はよく言ってたね。」

「そっか・・・でも、今のシェルディアは・・・」

「うん・・・」

国民の大半は何らかの薬物を飲まされている・・・とりあえず残留しているシェルディア海軍が解毒剤を飲料水の中に入れているためだいぶよくなったようだが。

それにしてもひどい手段でクーデターに出るものだ・・・何か怪しいが、ヴェルガンドの連中が裏で手を引いていそうだ。

すると、ようやく扉の前に出た・・・扉が開くと、今までの風景とは全く違う明るい部広間・・・その中央の椅子にリーネが座っている。

「・・・シェルディア軍総帥ランス卿。噂は聞いていたよ。」

「貴方こそ・・・ルーメン国王リーネ様。後ろのは・・・いろいろ行動をともにした仲間です。」

「わかってる・・・ま、こんな遠くだと話できないし近づいて。」

ランス卿が近づいていく・・・カービィが目を向けるが人は従者程度。貴族とやらは・・・いた。リーネのすぐ近くに。

「・・・仲間、ね。それで、用件は?」

「シェルディア海軍への援軍をお願いします・・・ヴェルガンドが次に狙うのはここだとお分かりでしょう?」

「援軍・・・かぁ。」

「どちらにしても、3日後には出て行きます。それまでに決めて欲しいのですが。」

「3日!?」

リーネどころか隣の貴族までびっくりしたようだ・・・あまりに唐突だからだろうか。

「な、何を申される!」

「主力艦のフリゲート「くずりゅう」以下数隻の修理完了後に出撃します。援軍を出さず万が一失敗したら、貴方達は信義も国も一度に失うのですよ?頼ってきた軍をむざむざ見捨てて何ももたせずに追い出した貴方達を世間はどう評価するか。」

隣の貴族・・・ガーランド候がびっくりしているようだが・・・ランス卿ははっきりと続ける。その鋭い言葉はガーランドに向けられているような雰囲気だ。

「ヴェルガンドはルーメンも狙っています。超兵器を領海内に入れたと言うのがその証拠。いずれ貴方達を滅ぼすでしょう。」

「脅すつもりか!?」

「私は貴方達より戦局を見る目はありますので。とにかく・・・この援軍を出さなければ貴方達にとって大きな損害と言うことです。良く考えてください。」

深く礼をしてランス卿が出て行く・・・カービィたちも一緒に出て行く。

 

「はやぶさ」甲板 1510時

「しっかし、ランス卿もすごいよね・・・ああいう風に言う?普通。」

カービィが彼の気迫に押されて何もいえなかったらしい・・・まぁ、たしかにああいうように交渉するのはめったにないだろう。

「・・・決裂させないための脅迫だ。ある意味だが。まぁ、いくら国王とか何とか言っても貴族・・・元老院が決定する。リーネの隣にいたのはガーランド・・・ルーメン元老院の実験を握っている奴だ。」

「なるほどね。彼に対しての脅しだったんだ・・・」

「そうだ。実際にランス卿の持つ司令艦隊だけでは難しいし、国民や潜伏している将校のことを考えれば一刻も早く向かいたい。元老院は時間稼ぎをしようとするから・・・おそらく、リーネと綿密な打ち合わせをあの時したのだろうな。」

クレアがカービィに話す・・・やはり頼れる副官みたいな存在だ。

自分でもそんなことが解らなかったのに・・・

「さすがだね、クレア。いつもありがと。」

「・・・気にするな。」

クレアはそういって・・・照れくさそうに立ち去り艦内に入っていく。

すると、クリスがいきなりカービィの左隣にでてくる・・・ちょっとした嫉妬か。

「あいつに何思ってるのさ?」

「頼れる仲間だなって。それだけだよ・・・どうせ僕よりフィスカの方が好きみたいだし。」

「あはは、それありえる。」

クリスはイタズラっぽく笑みを浮かべる。何気なくフィスカの隣にいるほうが嬉しそうに見えるようだが。

「ってかさ・・・私はどう思ってる?カービィ。」

「君かな・・・?まぁ、可愛いかな。」

「可愛い、ね。」

少々複雑な心境だが・・・まぁ、可愛いといわれたことは嬉しく受けておく。

本当は大好きといって欲しいのが本音だが・・・まぁ、そう簡単に言ってくれるはずもない。

じっくりと時間をかけて、そうしていく必要がありそうだ・・・

 

「ふぅ。」

フィンは艦橋の上で寝ている・・・今さっき起きたところだが、カービィとクリスを見てかすかに微笑んでいる。

すると、レナがやってきた・・・フィンを探していたようだ。

「何やってたのさ?フィン。」

「寝てた・・・レナ、どうかした?」

「何も。ただ・・・フィンの声を聞かないと不安なだけ。いつもいるのに、いないから。」

「ごめんごめん。でも・・・・1人だけになりたいときもあるんだ。」

フィンはため息をつく・・・右腕に包帯が巻かれているがこの前斬ったヘリの破片が突き刺さっていたようだ。

「レナ、ごめん。囮なんかに使って。」

「・・・いい。私の長剣は比較的重いからフィンのほうが高く飛べる。それだけ考えれば私をおとりに使ってよかったと思う。」

あぁそうとフィンは言う・・・まぁ、まだ達観したような態度は崩していないようだ。

けど・・・初対面とは何かと変わっている。

「そういえば、レナ変わったよね。少なくとも僕に対して。」

「・・・そう?」

「うん。前なんか僕のことを無視しようとしてたのに。」

レナはああとうなずくと、少しだけフィンを見つめる。

「・・・同じ種族だから。それ以上でも以下でもない。別に・・・」

「僕は嫌い?」

「そ、そんなことは・・・!嫌いなわけない!けど・・・」

「可愛いね、やっぱり。」

フィンに微笑まれ・・・レナははぁとため息をついてしまう。やっぱりどうしてもかなわないようだ。

それもいいかと思い、艦橋の屋根に寝転ぶ・・・まぁ、嫌いじゃない。こういうのは。

「・・・2人とも、いいか?」

「イリア!?な、何で・・・危ないって・・・見つかったらどうなるか・・・」

「そうだったな・・・ただ、船室の中にいるというのも疲れる。」

まぁいいかとフィンは思う・・・確かに船室の中にずっといるのも嫌だろうし、外を見せたっていい。

イリアもふぅとため息をつくと、そのまま艦橋に座り込む。

「・・・聞いていい?」

「何?」

「・・・何があったの?僕たちと別れてから。」

「ルーメンの輸送船などを襲撃していた。そんなときにヴェルガンドから依頼が来て、大型の兵器を提供するからシェルディアを襲撃しろと依頼が来た。だから・・・」

「それがあの・・・」

「ああ。だがはっきりさせておきたい。海上集落やシェルディア領内での略奪は一切行っていない。私達は・・・」

それは絶対にやっていないという・・・フィンもどこかこの人が襲撃を行う人物には見えなかった。

無差別に殺し、略奪をして生きていくような連中には。

「・・・わかってる。親友だから信じるよ。君はそういうことをする人じゃないし。」

「すまない・・・さて、ちょっと寝てくる。」

「え・・・あ、うん。わかった。」

そのままイリアは水の中に飛び込む・・・さすがにフィンとレナの邪魔はしたくなかったのだろう。

まぁ、イリアも人魚だ。水の中でも眠ろうと思えば眠れる・・・というよりいつも彼女はそういうところで寝ているらしい。

 

「艦長。」

「どうした?」

ゆきかぜがソルジャーに話しかける・・・となりにゆきなみもいるが、何のつもりだろうか。

「・・・ヴェルガンド、何やってるのかな?私たちをここまで行かせるなんて。」

「連中も時間はない・・・海上要塞「八雲」を抜かなければならないからな。」

海上要塞「八雲」。シェルディア海軍が総力を挙げて建造した巨大要塞であり軍港。巨大な砲台などを備え難攻不落とも言われている。

ここを無視していけば艦隊の追撃を喰らう。航空機も大量にあるから追撃されたら大打撃を受ける。

「ルヴァイドさん、だっけ。あの提督。」

「ああ。八雲の司令な。絶対防衛してくれるはずだ。」

ゆきなみは一安心している・・・いつまでも持ちこたえられないからこそ、早急に総帥は出立するらしい。

3日後の出撃、艦隊到着まで2日かかると5日・・・それまで持ちこたえてくれればいいのだが、敵の超兵器相手にどこまで持ちこたえられるか。

「ま、なって見ないとわかんないさ。休むか・・・」

「うん、そうだね。」

ソルジャーに連れられ2人は「ゆきかぜ」艦内に向かう・・・すると、緊急の通信が入っている。

すぐに無線を開くと、それはルヴァイドからの通信だ。

『・・・こちら「八雲」。救援を請う・・・我が軍はあと4日くらいしか持たない。何とかしてくれ・・・!』

「何・・・!?」

 

緊急を要する事態が差し迫っている・・・そして、カービィ達の戦場は決まった。

海上要塞「八雲」・・・援軍の先遣隊として送り込まれる。おそらくは。

 

続く