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砂漠化防止技術と研究

ここでは,砂漠化の原因を整理しながら、砂漠化防止技術と研究項目を関連付けた具体例を説明して,最後に持続的農牧林業の発展について述べたいと思います。

砂漠化の中で過伐採は,木の切りすぎ,取り過ぎのことですが,これは,毎日の生活で,炊事用の薪炭材,牧畜農業で他の家畜の侵入を防ぐ牧柵,住居用の木材などに必要なものです。
過伐採は,植生の破壊であり,乾燥地では,そのまま,はげ山になり,雨季の豪雨で大規模な土壌侵食が発生します。これを防ぐには,植林が有効です。技術開発・研究項目として,森林容量の状況把握,植林に適した樹種の選定,地域に適した造林技術,植林の啓蒙活動と実践,などがあります。問題は、人口増加に伴って、薪の需要が増していることです。


まず,状況把握のために、砂漠化の現地調査が必要です。西アフリカのマリ国の調査結果を紹介します。人口は1955年から1995年までの40年間に2.5倍になっています。薪炭材の消費量は年々増加しています。森林面積は、1974年から1992年の17年間に7.1%減少しています。特に,乾燥地の住民には植林という概念がなく,植林の必要性を訴えることが大事です。人口増加に伴い燃料と木材の需要が増しています。何とか、植生破壊の前で有効な対策を講じなければなりません。


ひとつの対策として,薪を節約する方法を検討することがあげられます。生活に毎日必要な炊事用の薪は,わずかな節約でも効果があります。従来の薪をそのまま使用する場合と比べて,改良カマドを使用すると節約になります。1戸の家庭では小さなことでも,広く普及すると,大きな効果になります。また,中国の黄土高原の小さな村では,燃料に天然ガスを使用しています。これも薪の節約になります。それぞれの地域によって異なりますが,どの程度の薪を節約できるかを定量的に把握することが必要です。


森林破壊を歴史的に把握することが重要です。黄土高原の森林の消滅について紹介します。3000年前は森林地帯で覆われていましたが,人口増加に伴い、中国北部の各地で森林破壊が起こり、現代の状態があります。まず、 3000年前から1500年前の間には、春秋時代に宮殿や墓の規模増大に伴う巨木伐採,戦国時代以降の無計画な大木の伐採,がありました。そして、 1500年前から現代の間に、唐・宋の時代の大々的な開墾があり、森林地帯が急速に減少しています。このようにして,歴史的に人類の行為によって森林が破壊されたのです。「自然と人間」の関わりについて,砂漠化という形で我々に示している事例です。


森林地帯を過度に開墾すると,裸地面の表土は豪雨によって表土流出を起こして土壌侵食となります。しかし、食糧確保のためには、ある程度の開墾は必要です。そこで,ある間隔に樹木を残して,その間で作物を栽培したり,牧畜を行うなどの工夫が必要です。林間作物栽培,林間牧畜,同じ場所で樹木の栽培と農作物の栽培を行うアグリフォーレストリーという考え方があります。樹木は,作物に日陰を提供したり,防風の役目や,落ち葉は土つくりになります。牧畜の糞は肥料にもなるでしょう。林業と農業と牧畜の共存によって,持続的な農業が可能となるでしょう。このように土壌侵食が起こらないような農業開発が必要です。


侵食防止の研究として,土壌被覆,つまりマルチによる侵食抑制実験があります。この写真は,土壌表面に,植物の残渣を被覆したもの,ポリアクリル系の物質を散布したもの,土壌改良剤を表層に混入したものなど,マルチの種類によって,表面流出量と浸透量にどのような相違が得られるか?つまり,侵食に対するマルチの効果を調べる実験です。表面流出量が少なく,経済的で有効,無害なマルチ材料を開発,選出することが必要です。


この図は,林地,草地,畑地,裸地によって,つまり,地表の植生状態によって,土壌の侵食量と流出率がどのように異なるか?また,侵食に,どのような種類があるかを示したものです。降水量に対する流出率が,林地では0.4%,裸地では50.4%と大きく異なることが見てわかります。また,当然のことですが,裸地の方が1ヘクタールあたりの土壌侵食量が大きいことを示しています。一旦,裸地状態になった大地を,再び,林地や草地に自然回復することは,工事費も膨大で困難です。侵食防止のために,あらかじめ農牧林地を植生で保護するに要する植被率を確保することが重要です。


侵食防止のための植林のためには,多くの現場の調査や実験が必要です。つまり,侵食量は,土壌の種類,傾斜度,斜面長,降雨強度,降雨前の水分状態などに依存します。そこで,緑化のために,適切な斜面勾配はいくらか?植栽間隔や栽培方法はどうすれば良いか?など,その地域ごとに決める必要があります。また,どの傾斜度からテラス工が有効であるかなどの研究が,種々の組み合わせの現場実験でなされています。


そのような研究は,政策に生かされています。中国では,これまで,山の上まで開墾をすすめてきましたが,侵食の問題を解決するために,「退耕還林」というスローガンを掲げました。すなわち,急傾斜地等での無理な耕作をやめ、森林に還すということです。傾斜角が25度以上は耕作をしないで,植林して侵食を防止し,緩やかな斜面にテラス工で作物を育てると言う考え方です。赤い丸で囲った部分をよく見てください。魚のうろこに見えませんか?


これは,「魚鱗坑造林」といって,苗木の周りに水を集める方法です。斜面に直径50cmから1mの穴を掘り,下流側に土を馬蹄形に盛り上げて,雨水を集め,穴の低い部分に木を植えます。


流動砂丘は,民家,道路,鉄道など,構造物を飲み込んでしまう。毛烏素砂漠では,1年間に1mずつ砂丘が移動しています。この砂の移動を防止し,砂丘を固定する技術が必要です。


この図は,自然の回復力を有効に利用して,砂丘を固定し,緑化する方法を示したものです。動き出した砂を止めるために,植林が行われています。毛烏素砂漠は半乾燥地ですが,豊富な地下水があり,樹木が育つ地域です。動いている砂丘の風上側の,水分条件が良い場所に,ヤナギの枝を直接,挿し木します。ヤナギが根付くと,その部分の砂の動きが小さくなります。そして,やがて砂丘全体の高さも低くなってきます。これを何回も繰り返すことによって,4−5年で砂の動きが止まります。


面的な砂丘固定法として,草方格と呼ばれる方法があります。草方格とは,約1m四方の格子状に,麦わらを砂中にスコップで押し込み,砂の動きを抑える方法です。


この写真は,中国のテングリ砂漠の中で,砂丘固定に成功したアルテミシアと,カラガナという緑化植物です。いずれも,耐乾性の植物で,草方格の中で自然に生育しています。どの種類の植物が耐乾性で,その地域で生存するかを判断することが,緑化成功のポイントであります。


さらに,植林する場合,その地域の在来種は何か?外来種を持ち込んでも生育するかの判断も重要です。気温,降水量,風などの気象要因を考慮して,緑化に適切な樹種を選択しなければなりません。中国で,砂地の植林に,油松,側柏,臭柏を植林していました。


臭柏は,砂地の原植生で育っている在来種です。根茎も深くまで伸びていて,その地域の緑化に適した樹種として有望です。この根茎の発達が,砂丘の移動を止めていること,そして,根が深くまで伸びることによって,少ない水を吸収していることが伺えます。


これまで,砂漠化を防止する技術として,移動砂丘の固定,林業・農業・牧畜の共存,持続的緑化,薪炭材の節約について説明してきました。次に,集水と節水農業,自然エネルギの利用,造水技術など,砂漠化防止に有効な工学的な技術開発を紹介します。


集水面積と耕地面積との比率を,ある一定の割合にして,集水する伝統的な技術があります。この方法は,圃場の周囲にある原野などの地域の雨水を集めて,その水を圃場に導入して,作物に利用します。集水面積と耕地面積は年降水量,栽培作物の消費量によって決まります。等高線に沿って溝を掘るか石垣を築くか,あるいはテラスによって集めた雨水を農業に利用します。背後地の狭いところでは,「マイクロキャッチメント方式」で集めた雨水を窪地に導き,そこに植えた果樹に利用されます。多くの場合,耐乾性樹木,多年生作物に適用されています。


半乾燥地では,降雨をいかに効率的に集水して、節水農業を行うかが重要な課題です。わずかな降雨も有効に利用するために,タンク灌漑法の場合,想定した圃場面積に対して,最適なエプロン面積,最適なタンク容量を決定することがひとつのポイントです。例えば,降雨の集水効率を16〜65%,適用効率を点滴法95%,散水法85%と設定して計算した結果,点適法は散水法と比較して,最適タンク容量を40%程度縮小できること,エプロンの面積を22〜41%の規模に縮小できることを示しました。これは,適用効率が高い点滴灌漑の場合,使用する用水量を節約できるので,タンク容量を小さくでき,エプロンの面積を狭くできることを,定量的にモデル解析したものです。近年では,集水エプロンに,アスファルトやフィルム,高分子剤などの不透水膜を地表の浅い部分に埋設して,降雨の集水効率を高める方法、あるいは、タンクを地下に埋設したり、タンクを被覆してタンクからの水面蒸発を防止する方法も試みられている。


これは,集水と地下タンクを組み合わせ,貯めた水の蒸発を少なくして節水を図った事例です。道路脇の小水路で,雨水を集めて,沈砂池を通して地下タンクに水を蓄え,作物に灌漑します。
また,別の例では、アスファルト道路脇の側溝へ流出水を集めて,地下タンクに雨水を蓄え,土塀の中では,換金性の高いリンゴを点滴灌漑で栽培しています。雨水をいかに有効に集めて農業に利用するかが,収量のポイントになるからです。


水資源を有効に使用するには節水が必要です。地表灌漑として,ボーダー灌漑,畦間灌漑があります。地表灌漑よりも散水灌漑の方が節水になります。さらに散水灌漑よりも点滴灌漑の方が節水になります。しかしながら,点滴灌漑では,減圧弁,圧力計,流量計,液肥混入器,バルブ,フィルターなどが必要で,施設経費が高くなります。例えば、ポンプを使用すれば維持管理費も掛かります。節水農業が普及するかどうかは,節水の必要性の認識と,経済的に維持管理ができるかどうかに依存します。


点滴灌漑は節水灌漑であることは知られていますが、土壌条件は節水に影響するのでしょうか?ここでは、砂質土壌に7日間断で点滴灌漑を行い、シルトの客土効果を比較したライシメータを用いた試験研究を紹介します。水適用効率は、降水量と灌漑水の和に対する、有効土層に貯留された水量で計算します。水適用効率は、それぞれ砂区が32.7%で、シルト20cm客土区が95.5%です。これは、シルト区の方が、多くの水を根群域に貯留していたことを意味します。同一の灌漑水量であっても、客土した場合は、作物にとって根群域から多くの水が利用できるので、蒸発散量も多く、その結果、収量も多くなります。このように砂質土壌に客土することで水適用効率が上昇して,節水になります。そこで,砂質土壌に対して、保水性と保肥力を向上させるために,最近でも、種々の土壌改良剤の開発が行われ、施用試験が進められています。


節水灌漑の中で,地中灌漑は土壌表面からの蒸発がないので、さらに節水になるのでしょうか?砂地でオクラを供試作物に選び,地中灌漑と、地表面に点滴灌漑を設置した場合について,水利用効率の比較試験を紹介します。水利用効率とは、1リットルの水で何グラムの収量があるかを推定するもので、作物生産に水が有効に利用されているかどうかの指標になります。
実験結果では,多孔質浸潤型地中灌漑は,適用効率が95%,水利用効率が 3.6 g/Lで,水が有効に作物に利用されています。採用した多孔質浸潤型ゴム管は,自動車のゴムタイヤを再利用したもので、ライン上に無数の多孔があり,フィルターを必要としますが,目詰まりの問題は稼動歴10年の実績で生じていません。日本では,まだ値段が高いので、施設野菜栽培,ゴルフ場,サッカー場の灌漑施設に利用されている程度です。


砂地栽培の地中灌漑で、水管理として、灌漑頻度が異なると、作物に対する水利用は異なるのでしょうか?砂地でパクチョイを供試作物に選び,多孔質浸潤型ゴム管を深さ5cmに埋設した地中灌漑区,地表面に点滴チューブを置いた点滴灌漑区を作成した場合,毎日灌漑,3日間断灌漑の比較試験を紹介します。多孔質浸潤型ゴム管を用いて地中灌漑を行う場合,圧力を一定として灌漑する場合,あるいは,流量を一定として灌漑する場合が考えられます。実験の結果,低水頭(10cm水頭)の状態で作物根による吸引力と土壌の吸引力に応じて,自動的に供給する灌漑方式が,より節水灌漑になるし,水管理も容易で,収量も多いです。このように,地中灌漑でも、きめ細かな水管理が節水農業のポイントになります。


砂地は保水力や保肥力が乏しいために,きめ細かな水管理を必要とします。最近,砂地の土壌水分張力を正確に測定できる埋設型感圧水分センサーが開発され、センサーによる実用的な自動灌漑が可能になりました。自動灌漑システムの違いが、作物の生育に影響するのでしょうか?同一施肥条件下の砂ベッド栽培試験で,タイマー制御による時間でON-OFFする方法と、センサーによって水分状態を制御する方法を採用したサラダ菜の生育比較試験を紹介します。タイマー制御は天候に関係しないで灌漑しますが、センサー制御は土壌水分の状態で灌漑するので、水管理が合理的で生育も良い。比較試験の結果,センサー区の方が市場の出荷サイズになる生育期間が短くて,節水できることが明らかになりました。このように、根群域の土壌水分を作物に適した状態にできれば,収量が多くなり、品質も良い作物が期待でき,水利用効率も高くできます。


マルチは土壌面蒸発の抑制効果があります。ビニルマルチ栽培や,トンネル栽培が,かなり普及しています。しかし,最近の環境問題でビニルの回収処理が問題になってきています。そこで、ビニルに代わる環境にやさしいマルチ資材に節水効果があるでしょうか?そこで,地表に再生紙マルチを被覆した点滴灌漑試験を紹介します。誘電率水分計を用いて,再生紙マルチ区とマルチのない対照区の土壌水分変化を測定した結果,明らかに,再生紙マルチによる根群域の水分保持効果が認められました。さらに,再生紙マルチにより,遮温効果があり地温が下がること,雑草の繁茂を防ぐこと,土壌面蒸発を軽減できること,収量が増加することが分かってきました。


灌漑農業で,維持経費の節約について紹介します。最近は,ポンプ揚水も,このように動力に変わってきていますが,燃料が必要です。そこで,自然エネルギーを使用します。この例は,風力による揚水機を使用して,地下水灌漑農業で,小麦やヒマワリを栽培しています。揚水量は少なく,小灌漑規模で,地下水の枯渇の問題はありません。利点としては,自然エネルギーを使用しているので,維持管理費が安く,これからの乾燥地の灌漑方法として有望です。しかし,自然条件,つまり,風速に左右されるので,高性能の蓄電池の開発が必要です。今後は、化石燃料の使用から、自然エネルギーの使用に、変えていく必要があるでしょう。


太陽光発電の揚水ポンプへの利用について紹介します。地下水の揚水,下流側から上流側への導水など動力ポンプを使用する場合には,自然エネルギーとして,太陽エネルギーを利用することが有効です。太陽光発電の技術は急速に進歩しています。シリコン電池などの技術開発も盛んで、年々、効率は上昇しています。発電システム全体として,1Wあたりの発電コストも低下してきています。発電効率も向上してきています。乾燥地の乾季は太陽エネルギーを十分利用できます。しかし、普及させるためには、砂嵐などによって、パネルが破損しないような防止技術の向上,そして、耐用年数を伸ばし、経済的により安価であることが必要です。


地気熱と太陽熱によって塩水から蒸留淡水化するシステムを紹介します。水槽に塩水があり,太陽熱で蒸発し,これを集水できます。同時に,シロッコファンで水蒸気を地中塩ビ管に運びます。土壌の深い部分は,気温が低いので塩ビ管の壁面に凝結水がつき,集水タンクに水が貯まるという仕掛けです。実用化と普及のためには,集水効率を向上させること,複合蒸留淡水化システムの耐用年数を伸ばすこと,経済的な規模の大きさを決定することなどが必要です。


太陽熱で海水から水をつくる技術を紹介します。海水は,太陽の熱で蒸発し,屋根に沿った特殊フィルムに接触して凝結します。結露水は斜面を伝って集水管に落ちて、集水槽に水が貯まると言う仕掛けです。実用化と普及のためには,集水効率の向上,太陽熱蒸留器の耐用年数,経済的な規模の決定などの問題があります。


太陽エネルギーによる結露による造水装置を紹介します。この図は,「露塚」という淡水化装置です。直径1mの鋼製円筒に透明特殊フィルムを被覆し,中には塩水があり,蒸発する仕組みです。結露水が漏斗に入り,回収容器に集められます。結露水の1日の回収量は,2mmと報告されています。以上,造水装置について紹介してきました。乾燥地でいかに水を確保するかがポイントです。


灌漑農業にとって水資源を確保することが必要です。この図は,農業用水,工業用水,生活用水に分けて,全世界の水需要の変化を示したものです。これまでの100年間に,地球全体の水使用の総量は約10倍に増加し,ここ数10年の間に,世界の水需要の増加率は,人口の増加率のほぼ3倍にも達しています。21世紀は,さらに人口増加と生活水準の向上が予想され,水の需要と供給のバランスがとれずに,水不足は深刻な問題になると推定されています。新しい水資源の開発が期待されていますが,新たに水資源を確保することは困難です。そこで、海水や塩分濃度の高い排水から脱塩処理すること,生活雑廃水を処理して地下の帯水層に戻してから再利用すること、などの水の再利用が、重要な産業になっています。


以上,集水と節水農業,自然エネルギーの利用,造水技術について紹介しました。ここで,重要なことは,自然と人類の共存を背景に,21世紀の食糧と水資源を確保するため,持続的な農業を行うための技術を発展させることです。「持続性」には,水資源や土壌などの保全を考慮した「環境的な持続性」と,対象地の継続的な技術導入が可能であることを考慮した「経済的な持続性」が含まれます。これらの環境的持続性と経済的持続性の両者を満足するとともに,近代的技術と伝統的技術を利用し,経済的持続的なバランスを保つこと,そして,世界各地で,すでに行われた種々の灌漑事業の事例を参照すること,が重要です。砂漠化防止のためには,生態環境と農村社会構造をよく理解し,新たな開発によって環境が破壊しないように,対象地域に対する最適な持続的農業開発が必要です。さらに,植物・樹木の栽培技術の改良,生活改善技術,社会経済向上技術など,総合的に考えることが重要です。


今後は,乾燥地の総合的経済的持続的開発が有効と考えられます。塩水から水を作る淡水化の方法としては,電気透析法,逆浸透法,蒸発法などがあります。アラブ首長国連邦では,化石燃料である重油を燃やして海水を蒸発させて淡水を作っていますが,将来,化石燃料の埋蔵量が減少して,使用制限されると予測されます。汚水排水処理場や,脱塩装置には電力が必要です。風力発電,波力発電,海洋温度差発電,太陽光発電などの自然エネルギーを利用した発電システムが実用化されています。気温と地温との温度差を利用した地気熱交換式の節水灌漑,散水灌漑,太陽エネルギを利用した太陽熱蒸留,風力発電・太陽光発電による地下水の利用,地下ダムによる塩水侵入防止と水利用,水収支を考慮した余剰水の地下水涵養,海から海水を引いた養魚場の建設,パッドファン式冷房による施設栽培,地下タンクによる蒸発防止など,いろいろな技術があります。これらは,単独ではなく複合的に採用し,経済性と持続性を議論,熟知し,総合的な開発が必要です。


基本的に、住民参加型の技術支援が大切です。乾燥地の農業開発は、住民参加のボトムアップ型の開発で、身の回りの小さなことから改良することが重要です。砂漠化防止を実践するためには,住民の砂漠化の現状把握、植林の必要性の認識、女性や子供の意見の反映など、議論が必要です。すべての事が、経済優先に進められています。自然と人間の関わりを相互に理解し、グローバルな立場から砂漠化問題の議論を深めることが重要です。
 最後に,この資料を読まれた方の中から,ひとりでも多くの人が乾燥地の持続的農業技術の発展について理解を深めることができたら幸いです。ここまで、目を通していただきありがとうございました。


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