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砂漠化とその原因

次に,砂漠化とその原因について話を進めていきます。


砂漠とは、この写真のように,降水量が少ないために土壌が乾燥して、植生がほとんどない地域です。それでは,砂漠化とは何でしょうか?このように砂漠になることでしょうか?砂漠化という場合,もともと砂漠であった地域は,その対象にはなりません。そこで、砂漠化の地図を調べてみましょう。


砂漠化は,乾燥地,半乾燥地,乾性半湿潤地で起きていて,色合いの濃い地域が,砂漠化の程度が高いことを示しています。サハラ砂漠の南側のサヘル,中東諸国,中国の西北部などの部分で,砂漠化が進行しています。もちろん,北アメリカやオーストラリア大陸でも見受けられますが,人口増加が著しいアフリカが最も大きな問題になっています。砂漠化とは,人が住んでいた所や植物の生えていた所が,気候変動や人間の活動によって,土地が荒れ,自然の営みが破壊して,不毛の大地に変化することです。


この図は,砂漠化の現状を示したものです。砂漠化の影響を受けている土地面積は約36億haで,全陸地の約4分の1と言われ,日本の面積の95倍に相当します。砂漠化の影響を受けている人口は、世界人口の約6分の1,約10億人です。そのうち、6億人が栄養不足で、開発途上国に集中していると言われています。耕作可能な乾燥地における砂漠化地域の割合を大陸別にみると,アフリカとアジアで66%,3分の2を占めていることが分かります。ここで,耕作可能な乾燥地に注目したいと思います。


耕作可能な乾燥地を,放牧地,降雨依存地,灌漑農地に分けて,砂漠化の影響を受けている割合を示しています。耕作可能な乾燥地の面積は、約51.6億haで、その約70%の約36億haが砂漠化の影響を受けています。これは、先ほど示した地球の全陸地面積の約4分の1に相当します。放牧地,降雨依存地,灌漑農地の中で,面積的に、放牧地の占める面積が大きく,砂漠化の割合も73%と大きいことが分かります。それでは,何が原因で、砂漠化になったのでしょうか?


砂漠化,つまり土地の荒廃の原因について,確認しておきましょう。砂漠化の要因の割合は,自然的な要因が13%,人為的な要因が87%で,人為的要因の占める割合が大きいことが分かります。自然的要因には,地球規模での生じている気候変動,長期の旱魃,降水量の減少と,これに伴う乾燥化があります。一方,人為的要因は,人間の活動が原因で起こる砂漠化で,ヤギやヒツジなどの家畜を過剰に飼育すること,燃料用の薪や住居用の木材を過剰に伐採すること,農業開発のために過度に原野を開墾すること,などがあげられます。これらの人間活動によって,風食,水食による土壌侵食が起こります。また,不適切な水管理,つまり過剰な灌漑によって,圃場が湛水し,ウォータロギングによる過湿害が問題になります。さらに,排水不良と強い蒸発によって土壌面に塩類が集積して,農地を放棄することもあります。これらが,砂漠化の原因になっています。それでは,この中身を紹介します。


まず,砂漠化の原因の中で,自然的要因について紹介します。この図は,アフリカのセネガルで記録された過去100年の,年降水量の変動を示したものです。この100年間の平均降水量は,356mmですが,1920年以降,降水量が減少し,乾燥化の傾向が伺えます。また,1970年代は,年平均値の半分程度の降水量が続き,長期の旱魃がありました。さらに,最近の研究では,地球の温暖化に伴って,乾燥地はますます降水量が少なくなると予測した研究もあり,自然的な要因として,降水量の減少が砂漠化の原因の一つになっています。


砂漠化の人為的要因を,原因別,地域別に,砂漠化の面積をまとめた表を見てみましょう。アフリカで過放牧,アジアが過放牧と樹木の過伐採が多く,オーストラリアで過放牧,北米で不適切な土地,水管理が多いことが分かります。全体的に,過放牧と,不適切な土地・水管理による砂漠化が進行しています。砂漠化の背景に,貧困と急激な人口増加という社会的・経済的な要因が存在します。そこで,人口の問題を考えて見ます。


この図は,先進国と発展途上国の,地域別の人口及び人口増加率の推移を示したものです。棒グラフは人口の推移で,赤い部分が先進地域の人口の推移,黒い部分が発展途上地域の人口の推移です。また,折線グラフは人口の増加率の推移を示したものです。図に示すように,現在,世界の人口は60億で,世界全域の人口増加率は1.4%です。このまま推移すると,2025年には,世界の人口は,80億を超えるであろうと予測されています。この人口増加の割合は発展途上国で高く,その中に多くの乾燥地が含まれています。人口増加に対応するための食糧は,単純に計算しても,10年後には,現在の生産量の1.2倍が必要になり,20年後には世界的な食糧不足が生じると言われています。


世界の人口は,この100年間に4倍も増加しています。そこで、今後,さらに,世界の人口は増加すると仮説を立てます。この人口増加に伴って安定した食糧を確保するためには,農地面積を拡大するか,あるいは,単位面積当たりの収量増加を図る必要があります。農地の面積を拡大するためには,原野の開墾,開拓,水資源の開発,農地の基盤整備などが必要です。一方,単位面積当たりの収量を増加するためには,灌漑排水システムの導入,肥料施用法の改善,多収量や病害虫に強い品種の改良,栽培方法の改善,土壌改良など質的な拡大が必要です。この単位面積当たりの収量を増加させることは土地の生産性を向上させます。これらのことを実現する手段として,水資源開発,農地の基盤整備,農村の総合的な構造改善などの大規模な公共事業があります。近年,農業開発の質的向上が要求され,持続的農業に留意した環境にやさしい開発技術が要求されています。


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