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私の研究関心は,数理的な社会学理論の構築,および社会現象の数理モデルによる分析にあります.
興味ある経験対象は最も広くいえば,社会規範(道徳,宗教,性,家族,組織など)です.
時代と場所によって社会規範は基本的に変わります(同胞の殺人や近親相姦の禁止などは除く).
したがって,社会規範は物理法則のような意味では普遍的なルールではありません.
にもかかわらず,「いまここ」を生きる人々はこのルールにしたがいます.
すくなくともしたがうようにみえます.
これはじつは不思議なことではないでしょうか.
人間は動物とちがって自由意思をもっているといわれます.
自由意思があるとは,選択できる,ということです.
これは先天的な遺伝子(プログラム)や,周りから命令されるがままにはならないぞ,という自覚です
(映画「マトリックス」を思い出してください).
にもかかわらず,人々はルールにしたがっているようにみえます.
彼らは,それではルールにしたがうという選択をしたのでしょうか.
おそらく,選択する場合もあればしない場合もあるのでしょう.この場合わけも大事でしょう.
しかしもっと重要なことは,
人びとが自由であれば,ルールにしたがう人,したがわない人が出てきて当然なのに,
多くの人がルールにしたがっているようにみえる,ということです.
これはひとつの不思議,つまり探求すべき問題なのではないでしょうか.
じつは,この問題は社会秩序問題とかホッブズ問題とかいわれ,社会学の根本問題とよばれています.
ここでのルール,すなわち社会規範はさまざまなものでありえます.
最もハードなものは憲法でしょう.
最もソフトなものは家のしきたりとか性規範とか仲間うちでの暗黙の約束みたいなものでしょうか.
とにかくいろいろな社会規範がさまざまなところにあり,
それに応じてそれを研究する社会学者がいます.
これが社会秩序問題が社会学の根本問題であるといわれるゆえんです.
数ある社会規範のうちでの私の目下の関心は,いわゆる道徳・倫理です.
じつは最初,共感とか社会的動機というものをゲーム理論にとりこもうとしていました.
そして,社会的動機,たとえば平等主義みたいなものが人びとに共有されたらどうなるのだろう,
ということを考えていたら,道徳とか倫理の問題に発展していったというところが本音です.
むとう まさよし
http://www.geocities.jp/sociomath/