海外TVドラマ映画鑑賞BEST5
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フェリーニヴィスコンティチャップリンゲイリー・クーパー

花咲く港

1943年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 津路嘉
原作 菊田一夫
音楽 安倍盛
撮影 楠田浩之
花咲く港
★★★☆☆  コメディ(白黒) テレビ放送
出演
小沢栄太郎(野長瀬修三)、上原謙(勝又留吉)、水戸光子(お春)、笠智衆(野羽玉)、東野英治郎(網元林田)、坂本武(村長)、東山千栄子(おかの)、半沢洋介(平湯良二)、村瀬幸子(ゆき)、槇芙佐子(せつ代)、河原侃二(袈裟次)、仲英之助(木村巡査)、大坂志郎(英吉)
内容
人々の尊敬を集めていたある男が九州の小さな島に造船所を造ろうとするが実現かなわず、男は南方に旅立ったまま歳月が過ぎる。それから15年、彼の遺児を装った2人のペテン師が島に現れ、島民に造船所建設をもちかけ、ひともうけを企む。しかし太平洋戦争がぼっ発し…
感想
木下惠介のデビュー作。素朴な島民を騙して一儲けを企む詐欺師二人(小沢栄太郎、上原謙)も島民に負けずお人好しで人がイイ。上原謙(若くてかっこいい!)がちょっと間の抜けた気の弱い青年で可笑しい。坂本武や笠智衆(まだ若い!)など小津作品でお馴染みの豪華キャストでそれぞれの見せ場は少ないが特長のあるキャラを演じていて面白い。特に東野英治郎演じる、島一番の有力者で網元のケチでガメツイ性格には笑えた。しかし馬車の車窓の風景がまるで電車(しかも特急クラス)に乗っているように速いのが笑ってしまった。

陸軍

1944年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 池田忠雄(脚色)
原作 火野葦平
音楽
撮影 武富善男
陸軍
★★★☆☆  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
笠智衆(高木友助・友彦)、信千代(友助の妻)、三津田健(息子・友之丞)、横山準(友之丞の少年時代)、杉村春子(セツ)、山崎敏夫(友彦の少年時代)、田中絹代(わか)、星野和正(息子・伸太郎)、上原謙(仁科大尉)、東野英治郎(桜木常三郎)、長浜藤夫(藤田謙朴)、細川俊夫(林中尉)、佐分利信(機関銃隊長)、佐野周二(金子軍曹)、原保美(竹内喜左衛門)
内容
北九州を舞台に、西南戦争から日清、日露、大東亜戦争にいたる富国強兵政策の時代、忠君愛国に身をていした一家族の3代にわたる年代記。
感想
「男の子は天子様の預かりものじゃけん、返すまではハラハラします」なんてセリフがあるくらい戦時中の軍のプロパガンダとして作られた作品なのはしょうがない国粋主義と軍国主義にそまった内容と思うが、ラストで田中絹代扮する母が出征する息子・友之丞を泣きながら追いかけるシーンはひたすら子供を安じる母親の愛情が溢れていて泣けた。監督はこのシーンで軍から目をつけられたらしいが、やっぱりこういうシーンがあって、東野英治郎が演じた桜木社長のように軍に強力しつつも家族を思う人々が描かれ、命の尊さをうたっているからこそ今日まで残る作品になったのだろう。

大曾根家の朝(あした)

1946年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 久板栄二郎
原作
音楽 浅井挙曄
撮影 楠田浩之
大曾根家の朝(あした)
★★★☆☆  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
杉村春子(大曾根房子)、長尾敏之助(長男・一郎)、徳大寺伸(次男・泰二)、大坂志郎(三男・隆)、三浦光子(娘・悠子)、小沢栄太郎(大曾根一成)、賀原夏子(妻・幸子)、増田順二(実成明)、藤輪欣司(丹波平兵衛)、西村青児(特高主任)、鈴木彰三(古賀)、高松栄子(婆や)、国兼久子(女中)、東野英治郎(八巻一平)
内容
未亡人の母親と子供たちが平和に暮らしていた大曽根家だが戦争で家族はちりじりに。作家の長男は思想犯で検挙され、画家を目指す次男は徴兵される。三男は少年兵に志願、家は我が物顔で家に乗り込んできた軍人の叔父に仕切られ、その叔父に恋人との婚約を解消され、軍事蚕業の資産家へ嫁ぐ事を強要された長女は家出する…
感想
横浜のキリスト教の学校で育った良家の女が、自由な思想の元に子供を育てるが夫に先立たれ、そこへ戦争が起こり、軍人で夫の弟に家を乗っ取られ子供たちを戦地や刑務所に送られる…とい戦後すぐに作られた反戦映画。木下惠介には珍しいほとんど大曽根家室内のみのシーンで、それ以外といえば最後にチョコっと朝日が登る海が出てくるぐらい。演劇のように統べて室内で展開されるためか、より抑圧的な雰囲気があり、軍人の叔父に抑圧される房子やその子供達の心情が伝わる。悪の権化・軍人の叔父を演じた小沢栄太郎の嫌らしいほどの悪党ぶりが面白い。頼り無気な未亡人・房子には、業突く張りでチャカリ者の役が多い杉村春子よりも田中絹代とかがもっとシックリきたのでは…。

わが恋せし乙女

1946年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下恵介
原作
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
わが恋せし乙女
★★★★☆  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
原保美(兄・甚吾)、井川邦子(妹・美子)、東山千栄子(母・おきん)、勝見庸太郎(父・草二郎)、増田順二(野田)、山路義人(喜造)、大塚紀男(次郎)
内容
血のつながりのない妹への報われない愛情を胸に秘め、妹の幸せを願って身を引く兄の切ない恋を描く。美しい牧場で、とある夜明けに発見された赤ん坊。その子は亡き母の遺言から「美子」という名であることがわかり、牧場主草三郎の妻おきぬは、美子を実の息子甚吾とわけへだてなく大切に育てた。その名の通り美しく成長した美子に恋心を抱く甚吾は、美子に告白しようとするが…。
感想
美しい浅間山の牧場が舞台。自由奔放、元気に育った美子が白い下着姿で草原を歌う冒頭シーンには閉口したが(歌もなぜかロシア民謡風)、兄・甚吾の原保美の演技が良い。牧場男にしては細くて二枚目過ぎだが、美子が選んだ学者風の野田よりもイイ男。文学少女が頼れる兄貴よりも文学男にひかれるのは判らんでもないが…。美子に憧れ、甚吾になつく次郎がコミカルだが泣ける演出に一役買っていてイイ味を出している。次郎の好きな美子手作りの菓子パンが饅頭のようで美味しそうだった。

女

1948年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
原作
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之

★★★☆☆  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
水戸光子、小沢栄太郎
内容
強盗をはたらいた町田正が、レビュー・ダンサーである愛人の敏子を箱根に呼び出す。これまで町田にだまされ続け、今度こそ見切りをつけようとしながら、甘言や泣き落としにほだされ、ともに熱海へと流れていく敏子。愛憎うずまく逃避行を通して、男女の微妙な心理を描き出した木下惠介監督の野心的メロドラマ。オール・ロケ、登場人物が二人だけという設定が話題となった。(from:NHKBS)
感想
冒頭と最後のダンス・レビューの下手さには閉口したが、カメラアングルが凝っていてかっこいい画面、音楽も力強くなかなかいい実験的な作品。悪事を働いても悪びれるようすもない悪党の男に愛情はすっかり冷め別れようとする女と、それをどうにかあの手この手でなだめすかしてつなぎ止めようとする猾い男。小田原、箱根、熱海と列車を乗継いでゆく二人の放浪は当時のその土地の様子がうかがえて面白い。特に岬の見える丘のシーンは美しい。乞食の子供が農夫の弁当を盗むシーンが、女の心に突き刺さるが、もう根っからの悪人になってしまった男はそれすらも利用する。女が男に同情して元のさやに戻るのか、それとも女は男の正体を見抜いて別れを決意するか…それだけのテーマなのだが、サスペンス調の演出で緊張感が最後まであり退屈しない。小沢栄太郎の憎々し気な悪役ぶりもイイ。水戸光子の主演女優にしてはヤボったいキャラがどうもイマイチ。いくらチンピラの悪党とはいえ、この女性にあれほど執着するほどの魅力をあまり感じない。

お嬢さん乾杯

1949年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 新藤兼人
原作
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
お嬢さん乾杯
★★★★☆  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
佐野周二(石津圭三)、原節子(池田恭子)、佐田啓二(高松五郎)、坂本武(佐藤専務)、村瀬幸子(バーマダム)、永田靖(恭子の父)、東山千栄子(恭子の母)
内容
自動車修理業で成功し、若くして財を成した圭三のもとに、没落華族の令嬢との縁談が舞い込んだ。熱心にすすめられて見合いをしてみると、彼女は高慢な所のない、賢く美しい女性だった。そんな彼女と結婚が決まり、交際がスタートするが…
感想
女性に不器用だが誠実な男・圭三、美人で同じように誠実だけどこれまた生きるのに不器用なお嬢様の恭子。設定は平凡だが佐野周二と原節子がとても魅力的に演じている。特に原節子の美しさがこの映画の要。弟分の五郎を演じる佐田啓二もちょっとひょうきんでイイ。でも一番よかったのは恭子の祖母。結婚を決めためでたい日に圭三の前で「恭子は最近痩せたようだ」とか「悲しい曲ばかりひいている」仕舞にはあの曲は前の恋人が好きだった曲だとかまで言って圭三をヘコませる。拳闘で思わず興奮してしまう原節子が見れるのも微笑ましい、コミカルな恋愛ドラマ。

破れ太鼓

1949年/日本/松竹
監督 木下恵介
脚本 木下恵介、小林正樹
原作
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
破れ太鼓
★★★★☆  コメディ/ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
阪東妻三郎(津田軍兵)、村瀬幸子(妻邦子)、森雅之(長男太郎)、木下忠司(次男平三)、大泉滉(三男又三郎)、小林トシ子(長女秋子)、桂木洋子(次女春子)、大塚正義(四男四郎)、沢村貞子(叔母泰子)、宇野重吉(野中茂樹)
内容
一代で財を成した頑固者の父親と、彼に振り回される家族の対立をユーモラスに描く。
感想
阪妻の暴君ぶりが可笑しい。苦労して成り上がり大家族を養って来た男で何でも金目当てに考えてしまうし、家族には自分の我がままを押し付ける。朝から晩までが鳴り散らしているし、長女には金目宛に金持の息子との結婚を決めてしまっている。こう書き立てると何処から見てもイヤな男なのだが、阪妻が演じるとユーモラスで威張れば威張るほど滑稽で可笑しく、何か憎めないし、とても寂しがり屋の愛すべきオヤジ。次男がこのオヤジを「朝から夜まで鳴りぱなしの大太鼓〜ドンドンドンドンドドン♪〜」と歌っているがこれが超ヘタくそで爆笑。また若者達の恋愛激も描かれているがセリフが臭い臭い!宇野重吉演じる画家の家族なんかはパリ暮らしを引き上げて藤沢に住んでいるという設定だが妙なフランス気触れで笑える。

少年期

1951年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
原作 波多野勤子
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
少年期
★★★☆☆  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
笠智衆(父)、田村秋子(母)、石浜朗(一郎・長男)、野沢哲男(二郎・次男)、木下武則(三郎・三男)、小林トシ子(とよ・女中)、三國連太郎(下村先生)、紅沢葉子(下村先生の母)、三好栄子(煙草屋のおばさん)
内容
戦時中、敬慕する先生の戦死に大きな衝撃をうける少年・一郎。その後、信州の学校に転校し軍国主義教育に直面した彼は、反戦主義者のらく印を押された学者の父の生き方に反感を抱くが、やがて父を理解する日が訪れる。
感想
東京から疎開先に来た少年とその家族。父親が兵役につけず学問ばかりしている学者ということで少年も土地の少年たちに虐められる。…となんか戦争もので暗いかと思えば、戦時中でも疎開先なのでのんびりとした田舎の庶民生活が描かれている。そこに戦争というものが入り込んで暗い影を落としてはいるものの父親は川で釣をしているし、母親も田舎の人たちとそれなりに溶け込んで暮している。疎外感を持って田舎に入り込めずにいるのが主人公の少年だが、それも終戦を迎えて人々の意識が変わると皆と馴染めるようになるのだ。ストレートに反戦を唱える作品ではないが『軍人』に続き「命の尊さ」を訴えているし、「反省して軍人だったお父さんとは違った人生を歩まなくては」というセリフなどで軍国主義をサラリと避難している。

カルメン故郷に帰る

1951年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
原作
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
カルメン故郷に帰る
★★☆☆☆  コメディ(カラー) テレビ放送
出演
高峰秀子(リリイ・カルメン=おきん)、小林トシ子(マヤ・朱実)、坂本武(おきんの父・青山正一)、磯野秋雄(青山一郎)、望月美惠子(青山ゆき)、小池清(青山直吉)、佐野周二(盲目の作曲家・田口春雄)、井川邦子(春雄の妻・田口光子)、城澤勇夫(田口清)、小沢栄(丸野十造)、三井弘次(岡信平)、笠智衆(校長先生)、佐田啓二(小川先生)、山路義人(村の青年)
内容
東京に出てストリッパーとなった娘おきんが、リリー・カルメンと名乗り、同業の女友達とともにふるさとに錦を飾りに帰ってきた。派手な衣装とふるまいで村中を驚かせたふたりは、やがて村でストリップの公演を行い、大成功をおさめ東京へ戻る。二人の公演は、思わぬ人助けにもなり…。
感想
ストリップ・ダンサーに扮する高峰秀子と小林トシ子(『破れ太鼓』で真面目な長女役)が下着姿で踊る姿にアングリ。以前、この作品を観た時も牧場で踊る二人のシーンしか記憶に残ってなかったが、この作品の一番インパクトになっていて爆笑。趣味の悪い衣装とメイクの高峰秀子だが、頭はちょっと弱くても明るくて皆から好かれるキャラを魅力的に演じているのはさすが。歌も上手い!ダンスは…ポーズは綺麗^^;)。笠智衆演じる校長のこれが「本当の芸術」という田口春雄の陰気くさいオルガンの歌よりずっと高峰秀子の歌がイイ。児童達と踊る佐田啓二の変な踊りや、笠智衆の下手くそな歌など、笑い所は一杯。

カルメン純情す

1952年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
原作
音楽 黛敏郎、木下忠司
撮影 楠田浩之
カルメン純情す
★★★★☆  コメディ(白黒) テレビ放送
出演
高峰秀子(カルメン)、若原雅夫(須藤)、淡島千景(千鳥)、小林トシ子(朱實)、斎藤達雄(須藤の父)、村瀬幸子(須藤の母)、東山千栄子(女中きく)、三好栄子(熊子婦人)、日守新一(野村)、坂本武(ラッキーの親爺)、高松栄子(ラッキーの親爺の女房)、竹田法一(忠僕山下)、増田順二(牛島)、須賀不二男(新島)、北原三枝(細井レイ子)、磯野秋雄(朱實の彼氏)、多々良純(劇場のマネージャー)、望月優子(ポン引の女)
内容
前作で一緒に故郷に帰った朱実が、赤ん坊を抱いてカルメンのもとに飛び込んできた。男に捨てられ、到底育てるめどがたたないため、ふたりは泣く泣くとある家の前に赤ん坊を置き去りに。その家の主はパリ帰りの芸術家で、カルメンはほのかな恋心を抱くが…
感想
今回は東京の浅草・銀座を舞台に、女タラシの芸術家に恋するカルメン。女版寅さんで、前作『カルメン故郷に帰る』よりも笑えて面白い。鬚の生えた女代議士・佐竹熊子や、戦争でおかしくなった忠僕山下、原爆おばさんの須藤家の女中きくなど、強烈なキャラばかり。ストリップショーもドタバタした踊りで大笑い。北原三枝は芸術家・須藤の情婦で子供を産んで金をせびる役。千鳥も男遊びばかりの不良娘。高峰秀子はマスカラ流して泣いたり、鼻を真っ黒にしたりと美人女優がよくやるなぁと感心する程すごい。残念なのはラストが「再軍備反対」のデモとかになって、カルメンは行方は不明、尻切れとんぼのようになっていること。やたら斜に撮ったカメラワークも「前衛」を意識し過ぎている感じ。まぁコメディだからイイか。

日本の悲劇

1953年/日本/松竹
監督 木下恵介
脚本 木下惠介
原作
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
日本の悲劇
★★★☆☆  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
望月優子、桂木洋子、田浦正巳、上原謙、高杉早苗、高橋貞二、佐田啓二
内容
熱海の旅館で働く春子(望月優子)には、英語塾に通う娘・歌子(桂木洋子)と医学生の息子・清一(田浦正巳)がいる。終戦直後、生活のために怪しげな商売に身をおとし、子供たちを預けた義兄夫婦に唯一の財産だった土地を奪われた春子にとって、二人の将来は何よりの生きがいだった。だが子供たちはそんな母を冷たく突き放す…。戦後の混乱のなかで二人の子供を抱え必死に生きてきた戦争未亡人の報われぬ運命を、木下惠介監督がリアリズムを追求して描いた秀作。(from:NHKBS)
感想
冒頭は終戦直後のニュース映像が続き、ドキュメンタリーみたいだが、それが本筋の戦争未亡人の春子と娘、息子の話にリアリティーを持たせている。春子が親戚に子供を預け、旅館の給仕したり必死になって働くが、子供達は親戚の家で肩身の狭い生活を強いられ、たまに会う母親は男にだらしない女にしか写らないので母親を憎く思うだけ。子供を思う母と、その母の生き方に憤りを感じる子供の気持のズレは年々深まってゆく様子が哀しい。春子は旅館の若い板前・佐藤(高橋貞二)や、流しの歌手・達也(佐田啓二)に自分の息子の姿を重ねて彼らを心配するが、息子・清一は大病院の養子になってしまう。娘・歌子は妻子ある英語教師・赤沢(上原謙)と不倫関係にあり、自分が結婚できないのはふしだらな母のせいだと思っている。唯一の財産である子供達に冷たくされる哀しい母を演じる望月優子が素晴しい。

二十四の瞳

1954年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下恵介
原作 壺井栄
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
二十四の瞳
★★★★★  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
高峰秀子(大石久子)、天本英世(大石久子の夫)、八代敏之(久子の子大吉)、木下尚寅(久子の子八津)、夏川静江(久子の母)、笠智衆(分教場の男先生)、浦辺粂子(男先生の奥さん)、明石潮(校長先生)、高橋豊子(小林先生)、小林十九二(松江の父)、草香田鶴子(松江の母)
内容
昭和三年、女学校を出たばかりの久子は、瀬戸内海の島の分教場で新入生12人を教える事になる。洋服に自転車でやってきたハイカラな先生と生徒は唱歌を歌ったり、野原を駆け回ったりと美しい日々を過ごすが、やがて戦争が始まり、軍国主義一色の教え方に不満を抱いた久子は教え子達の卒業と一緒に教壇を去る。その大東亜戦争は夫や教え子達を死に追いり、末の娘を事故で失う。やがて戦争が終わり、久子はまた島に「おなご先生」として戻ってきて、その歓迎会を生き残った教え子達7人が開いてくれた。
感想
美しい瀬戸内海ののんびりとした島の生活と、忍び寄る不幸が対照的に描かれ、悲しさをより一層強める。高峰秀子が初々しい娘から、老年までを演じているのが凄い。学校に赴任した時のセリフはどちらも同じだがその違いがはっきり出ている。また木下惠介作品は歌がよく使われているが、この作品では12人で歌っていたのがラストの同窓会で7人になってしまった事を強調していて効果的、泣けた。音楽の苦手な不器用な男先生を笠智衆がコミカルに演じているのもイイ。

女の園

1954年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
原作 阿部知二「人工庭園」
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
女の園
★★★★☆  文芸/ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
高峰三枝子(五條真弓)、高峰秀子(出石芳江)、岸惠子(滝岡富子)、久我美子(林野明子)、東山千栄子 (校母大友梅野)、毛利菊枝(学長)、田村高廣(下田参吉)、松本克平(芳江の父)、井川邦子(芳江の姉)
内容
1950年代の良妻賢母の育成を方針とする京都の全寮制名門女子大学を舞台に、私生活までも束縛する封建的な教育制度に反対闘争を始めた学生たちの姿を描く。
感想
終戦まもない、封建的な学校に抑圧された生徒達が反対運動を起こす…という女性解放運動の目覚めみたいな話だが、高峰秀子演じる芳江と下田の恋愛を妨害する厳格な父親と学校の封建的なところを中心に描いている。寮を仕切る厳格で冷徹な教師、五條を高峰三枝子が、追詰められ神経衰弱に陥る一途で内気な女学生・芳江を高峰秀子、芳江とは対照的に活発で物おじしないのが岸惠子演じる富子、財閥の娘で不正を嫌うのが久我美子演じる明子と、豪華キャストが火花を散らし、それぞれにドラマがあり面白い。芳江の恋人役・田村高廣のデビュー作らしい。ラストの神経を弱らせてゆく芳江を演じた高峰秀子が上手い。さすが!姫路城が泣ける舞台になっている。

野菊の如き君なりき

1955年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下恵介
原作 伊藤左千夫「野菊の墓」
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
野菊の如き君なりき
★★★★★  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
田中晋二(政夫)、有田紀子(民子)、杉村春子(政夫の母)、田村高廣(兄・栄造)、山本和子(嫂さだ)、小林トシ子(お増)、浦辺粂子(民子の祖母)、高木信夫(民子の父)、本橋和子(民子の母)、雪代敬子(民子の姉)、渡辺鉄弥(常吉)、笠智衆(老人)、松本克平(船頭)、谷よしの(お浜)
内容
何十年ぶりに故郷である信州の美しい川を訪れた老人が、遠く過ぎ去った切なく、美しい恋の思い出を語る。封建的な昔の思想によって引き裂かれた若い男女の恋、そして訪れる悲しい別れを描く。
感想
松田聖子、山口百恵主演の『野菊の墓』を観たが、民子や政夫を演じた無名の役者たちのこちら方がずっとイイ。ローアングルで広く続く田んぼを挟んで手をふりあう民子と政夫が情景豊かに描かれ、二人の恋愛劇よりも美しい山村を哀調に描くことにより、民子の悲しい運命を強調していて文学的。「民さんは野菊のような人だな」「政夫さんはまるでリンドウね」の有名なセリフもとても自然で美しい。そして劇中で歌われる政夫の詩が美しくも悲しく心に刺さる。

喜びも悲しみも幾歳月

1957年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下恵介
原作 木下恵介
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
喜びも悲しみも幾歳月
★★★☆☆  ドラマ(カラー) テレビ放送
出演
佐田啓二(有沢四郎)、高峰秀子(有沢きよ子)、有沢正子(有沢雪野)、中村賀津雄(有沢光太郎)、桂木洋子(藤井たつ子)、岡田和子(きよ子の母)、小林十九二(観音崎燈台手塚台長)、野辺かほる(手塚台長の妻)、三井弘次(金牧次席)、桜むつ子(金牧次席の妻)、明石潮(北海道木村台長)、三木隆(鈴木次席)、井川邦子(鈴木次席の妻)、坂本武(郵便局長)、伊藤弘子(真砂子)、田村高廣(野津)
内容
神奈川県観音埼灯台、長崎県の孤島から佐渡島、静岡県の御前埼灯台など、各地の海を守る灯台守夫婦の半生を戦前・戦中・戦後と描く。
感想
第1部は昭和初期の島々ののんびりとした生活が描かれていて、楽し気に淡々と話は進むが(それでも冒頭の気が狂った女が突然現れたところはホラー映画かと思うぐらい盛上がった)、第2部は戦争が激化したり、終わっても子供が大きくなって問題が起こったりと波乱万丈。この映画を観るまでの灯台守はスローライフな生活が送れそうなので憧れの職業だったが、どこも日本の端にあって不便なうえ、戦時中は爆撃の標的だし、転勤は多くてすごく大変だというのがわかった。しかし…ミュージカル並みによく唄う映画だ。おいら岬の〜灯台守〜りは〜妻と二人で〜沖行く船の〜無事を祈って〜灯をかざす〜灯をかざす〜♪田村高廣が島の女の子に恋をして結婚する、若き灯台守を初々しく演じている。

楢山節考

1958年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
原作 深沢七郎
音楽 杵屋六左衛門(長唄)、野澤松之輔(竹本)
撮影 楠田浩之
楢山節考
★★★☆☆  時代劇/ドラマ(カラー) テレビ放送
出演
田中絹代、高橋貞二、市川団子、望月優子、伊藤雄之助、宮口精二
内容
口減らしのため70歳を過ぎた老人は山に捨てられることになっている寒村。69歳のおりん(田中絹代)は、妻と死に別れた息子・辰平(高橋貞二)に気立てのいい後妻の玉やん(望月優子)がきたことに安心し、楢山参りの準備をはじめる。だが孝行息子の辰平にとってそれは悲しいことだった。うば捨て伝説を題材にした深沢七郎の小説を、木下恵介監督が歌舞伎の舞台的手法で映画化。主演の老婆にふんした田中絹代は前歯を実際に抜いて熱演している。(from:NHKBS)
感想
作風は貧乏百姓の苦しみと悲しみを描いた「笛吹川」に似ている。日本古来の馬鹿げた風習に従わざるえなかった、日々食べるもの精一杯の百姓たちの苦しみが浄瑠璃の語り口を使ってとうとつと語られる。年寄りなのに歯がそろっていると恥ずかしいからと、おりんが前歯を折る。家族も八人に増え、ますます食べるものが乏しくなり、泣く泣く家族もおりんを楢山へ送る事を決意するが、おりんはこれで神に召されると喜ぶ。家族を思って自ら山へ行こうとするおりんとそれをどうにか引き止めようとする辰平家族とは対照的なのが、70になっても山に行こうとしないで近所の食べ物を盗んで食う又やん(宮口精二)とその伜(伊藤雄之助)の強欲さ。竹本の三味線の音が無情感を誘う。

笛吹川

1960年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
原作 深沢七郎「笛吹川」
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
笛吹川
★★★☆☆  時代劇(パートカラー) テレビ放送
出演
高峰秀子(おけい)、田村高廣(定平)、6代目市川染五郎(惣蔵)、岩下志麻(ウメ)、1代目中村萬之助(安蔵)、田中晋二(平吉)、加藤嘉(おじい)、織田政雄(半平)、大源寺竜介(半蔵)、山岡久乃(ミツ)、8代目松本幸四郎 (上杉謙信)、17代目中村勘三郎(武田信玄)
内容
戦国時代、甲斐の国・笛吹川に架かる橋の下に住む貧しい農民の一家。農家を嫌う若者は、褒美と出世のために戦に出ようとするが、息子だけでなく娘まで戦争によって奪われる母親は必死に引きとめようとする…。甲斐の武田家の興亡を背景に、笛吹川の橋のたもとに住む貧しい農民の一家が生きていく姿を5代にわたって描く。
感想
戦国時代の乱世を貧しい農民側から描いた作品。モノクロ映像に部分的に現職1色を加えたような斬新な映像。地道に農業を営む定平とおけい夫婦の子供達までどんどん城主に付いてゆき死んでゆく。子供を呼び戻そうと足を引きずり息子達がいる兵達の行軍へ付いてゆくのだが、彼女まで城主達の勝手な自決に巻き込まれ死んで行く…。武将達のシーンは極力省略し、農民の定平一家を中心に描いた地味な作品だが、「今昔物語」のような無情感が残る文学的な作品。

永遠の人

1961年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
原作
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
永遠の人
★★★★★  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
高峰秀子(さだ子)、佐田啓二(川南隆)、仲代達矢(小清水平兵衛)、田村正和(平兵衛の長男・小清水栄一)、戸塚雅哉(平兵衛の次男・守人)、石浜朗(隆の息子・豊)、乙羽信子(平兵衛の長女で隆の妻・小清水友子)、加藤嘉(さだ子の父・草二郎)
内容
さだ子には隆という恋人がいたが、隆より先に戦地から帰って来た大地主の息子・平兵衛の暴力によって体を奪われ、結婚することになる。子供を3人もうけながらも、さだ子は隆を忘れられずに夫を憎み続けるが…。
感想
平兵衛というわがまま庄屋の息子に操を奪われ、泣く泣く嫁になったさだ子の恨みに生きる半生を描いたもので、美しい阿蘇山が目にしみる美しい映像が印象的。平兵衛はさだ子にとって鬼畜同然の憎い男だが、さだ子を愛しながら愛されない、その為に家族もギクシャクし孤独を感じる悲しい男を仲代達矢が主演の高峰秀子に並ぶ名演。忌わしい行為でできた長男を愛せないさだ子に、栄一は自分が愛されない理由を知り自殺するが、この可哀想な少年を田村正和が好演している。かなりドロドロの愛憎劇だが、セリフや演技は押さえられているので、より強い憎しみを感じる名作。最後に皆が救われるのもイイ。

今年の恋

1962年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
今年の恋
★★★☆☆  ロマンス/ドラマ(白黒) テレビ放送
出演 岡田茉莉子(相川美加子)、吉田輝雄(山田正)、田村正和(山田光)、三木のり平(杉本先生)、東山千栄子(婆やもと子)
内容
銀座の料理屋の看板娘・美加子が弟の親友の兄・正と結ばれるまでを描いた、松竹・大船調のほのぼのとしたホーム・コメディ。正の弟を、木下監督の前作「永遠の人」でデビューした当時18歳の田村正和が演じている。(from:衛星劇場)
感想
軽快な台詞の応酬が面白いホームコメディ。特にばあやの東山千栄子を口悪く罵るまだ子供っぽい田村正和と、それに負けずにいる東山千栄子がいい味を出している。田村正和のカツゼツの悪さは相変わらずだが…。弟の監督に夢中のしっかり者で美人の岡田茉莉子のつんつんしたキャラも可愛いし、彼女に気があるものの相手にされないジレンマで投げやり気味な吉田輝雄、二人の関係も微笑ましい。

二人で歩いた幾春秋

1962年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
原作 河野道工「道路工夫の歌」
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
二人で歩いた幾春秋
★★★★★  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
佐田啓二(野中義男)、高峰秀子(義男の妻・とら江)、山本豊三(義男の息子・利幸)、久我美子(千代)、倍賞千恵子(石川美代子)、野々村潔(望月)、菅井きん(望月の妻)、坂本武 (床屋のおやじ)
内容
昭和21年、戦地から復員してきた義男は、道路作業員として働き、家族と質素な生活をおくっていた。夫婦は生活を切り詰めて仕送りを続けながら、一人息子を大学生に育て上げ、ひたすら息子の幸せを願う。
感想
随所に出てくる「道路工夫の歌」の一遍が貧しくとも慎ましく懸命に生きている人の言葉として感動できる。戦後の日本人の平均がこういう生活を送っていたのだろう。子供を唯一の財産と、夫婦が好きな酒やお茶を断っても子供の学費の足しにしようとする姿に涙。その夫婦を佐田啓二と高峰秀子がとても素朴に演じている。とら江の名前を言い合うシーンに爆笑。貧しくとも心豊かに生きる人々に感動。無学で教養が無いという主人公の読む詩にはとてもシンプルだが情感豊かで素晴しい。

香華 前後篇

1964年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
原作 有吉佐和子「香華」
音楽 木下忠司
撮影 楠田浩之
香華 前後篇
★★★☆☆  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演
岡田茉莉子(朋子の母・郁代)、乙羽信子(朋子)、田中絹代(郁代の母・つな)、三木のり平(八郎)、加藤剛(江崎)、岡田英次(野沢)、内藤武敏(村田)、杉村春子(太郎丸)、菅原文太(杉浦)、田村正和(江崎の息子)
内容
20歳で未亡人となった郁代は、再婚したものの生活苦から幼い娘の朋子を半玉として売る。朋子は13歳になり、花魁(おいらん)となって現れた郁代と再会。17歳で水揚げされた朋子が真面目で一本気なのに対し、虚栄心の強い郁代はその美ぼうで多くの男性遍歴を重ねていく。一方、母・郁代のために士官学校の生徒・江崎との恋にやぶれた朋子。わがまま放題の郁代に痛めつけられながら、戦後の荒廃のなかで料亭を再建させる朋子だったが、やがて郁代は交通事故で帰らぬ人となる。60年以上にも及ぶ母娘二代の波乱に満ちた人生を描く超大作。虚栄心の強い母に痛めつけられながら、黙々と生きていく娘の姿があざやかに描き出される。
感想
自分勝手に生きる母親に、10歳で芸者に売られ、その母親が男に捨てられ同じ遊廓に女郎としてやってくる。朋子にとことん冷たい母親も、彼女が水揚げされたとたんに、小判鮫のように彼女に付きまとう。親不孝はよく聞くが、子不幸な母親を描いた親子のドロドロとした愛憎劇。娘すらその正体が分からない魔性の女を色っぽく乙羽信子が演じている。でも一番上手いと思ったのがその郁代の母・つなを演じた田中絹代。自分勝手な娘に愛想をつかして頭がおかしくなったフリをするシーンはちゃめっけタップリで笑ってしまった。あれだけ自分の人生をめちゃくちゃにし、面倒を見た娘に感謝の気持も持たなかった母親の死を最後は泣いて位牌を本人の希望通りにしてやろうと苦労する。有吉佐和子ならではの、逆境でも負けずに力強く生きる女が描かれている。

あこがれ

1966年/日本/東宝
監督 恩地日出夫
脚本 山田太一
原作 木下惠介
音楽 武満徹
撮影 楠田浩之
あこがれ
★★★☆☆  ドラマ(カラー) テレビ放送
出演
内藤洋子(西沢信子)、林寛子(その少女時代)、田村亮(吉岡一郎)、沢井正延(その少年時代)、新珠三千代(水原園子)、小夜福子(毛利園長)、加東大介(吉岡光太郎)、賀原夏子(妻・静子)、小沢昭一(西沢恒吉)、乙羽信子(すえ)、沢村貞子(伯母・ハル)
内容
中華料理屋で働く信子は、小さい頃父親に養護施設へ預けられ、施設を出てからも父親に酒飲み代をせびられ、勤め先を転々とする生活を送っていた。ある日、一緒に施設で育ち、現在は平塚の瀬戸物店で幸福な生活を送る一郎と偶然再会し、二人は愛を育むが…
感想
施設で育った幼馴染み同士が恋に落ちるが育ての親に反対され…と、ひと昔前によくあったようなメロドラマのストーリーだが、二人の恋愛よりも幼い頃の親への思いや、育ての親と生みの親との関係など、親子の関係を中心に描いているのがよい。ブラジルに移民として旅たつ母に会いに行くシーンには泣けた。田村亮はかっこいいのだが、当時人気アイドルだった内藤洋子は甘くみても普通の女の子。でも媚びない演技はとても自然で良かった。

新・喜びも悲しみも幾歳月

1986年/日本/松竹
監督 木下惠介
脚本 木下惠介
原作 木下惠介
音楽 木下忠司
撮影 岡崎宏三
新・喜びも悲しみも幾歳月
★★★☆☆  ドラマ(カラー) テレビ放送
出演
加藤剛(杉本芳明)、大原麗子(妻・朝子)、篠山葉子(長女・雅子)、岡本早生(長男・英輔)、小西邦夫(次男・健三)、植木等(芳明の父・邦夫)、中井貴一(大門敬二郎)、田中健(長尾猛)、紺野美沙子(猛の妻・由起子)、武内亨(経ケ岬の所長)、三崎千恵子(経ケ岬の所長・妻)
内容
灯台守をしている夫婦のもとに突然、夫の父親が現れる。戸惑いながらも父親を歓迎し、夫婦の息子は保安学校に入り、海上保安庁を目指す。夫婦役を加藤剛と大原麗子が演じ、その父親を植木等が好演している。日本各地の灯台を点々とする灯台守夫婦の苦労と喜びを描く。
感想
第1部は昭和初期の島々ののんびりとした生活が描かれていて、楽し気に淡々と話は進むが(それでも冒頭の気が狂った女が突然現れたところはホラー映画かと思うぐらい盛上がった)、第2部は戦争が激化したり、終わっても子供が大きくなって問題が起こったりと波乱万丈。この映画を観るまでの灯台守はスローライフな生活が送れそうなので憧れの職業だったが、どこも日本の端にあって不便なうえ、戦時中は爆撃の標的だし、転勤は多くてすごく大変だというのがわかった。しかし…ミュージカル並みによく唄う映画だ。おいら岬の〜灯台守〜りは〜妻と二人で〜沖行く船の〜無事を祈って〜灯をかざす〜灯をかざす〜♪田村高廣が島の女の子・真砂子に恋をして結婚する、若き灯台守を初々しく演じている。

霧子の運命

1962年/日本/松竹
監督 川頭義郎
脚本 木下恵介
原作 井上靖「春の雑木林」
音楽 木下忠司
撮影 荒野諒一
霧子の運命
★★★★☆  ドラマ(白黒) テレビ放送
出演 岡田茉莉子(松本霧子)、吉田輝雄(宇佐見)、田村高廣(坂部嘉十)、野々村潔(松本善作)、加藤嘉(祖父)、市原悦子(玉枝)
内容
伊豆に生まれ、暗い少女時代を送った霧子。中学卒業後、各地を転々とし東京に流れつきホステスとなった彼女は、店に通ってくる宇佐見という年下の男に心を惹かれていた。ところが、ある日、その宇佐見が強盗殺人を犯し彼女のアパートに逃げて来る。自分を頼ってきた宇佐見を見た彼女は、故郷の伊豆で心中することを思いつく…。井上靖の原作を木下惠介が脚色した人間ドラマ。(from:衛星劇場)
感想
カルメン故郷に帰る」で助監督を勤めた川頭義郎。脚本は木下恵介。暗い少女時代を過ごし、その後旅館の女中になった女の不幸な半生を描いたドラマ。原作は井上靖。岡田茉莉子演じるヒロインは「秋津温泉」と重なるが、彼女よりもこちらはもっと男に冷めて客観的なところがある。幼い頃から家族からも社会からも愛されず、自分自身も愛せなかった為か、気弱で小金のために殺人を犯してしまうような駄目男を最後まで見放さず愛そうとした姿が痛ましい。村で実直に暮らす幼馴染の善作の妻になるのがささやかな夢だったのに違いないと思うと、美人で誰にでも愛された女なのに不器用にしか生きられなかった彼女に同情してしまう。知名度のある「秋津温泉」よりもこちらの方が好きで心に残る。