大学への受験術 東大理三合格者の受験勉強指南
東大理三受験
東京大学理科三類は、文系、理系を超えた最難関の学部である。文系をも超えるというのは分かりにくいかもしれないが、理三合格者には社会の対策を全くやっていなくても東大文一に受かるくらいの得点を英、数、国の3科目で叩き出せるほどの実力者もいるのである。合格してまだ間がなかった頃は本当に良く受かったものだとつくづく思ったものだ。私は有名校出身ではないが、有名校と普通の公立高校との差はやはり歴然である。私が理三に受かってから感じたことの一つに、集中力の違いがある。とにかく、有名校出身の連中は何でも短い時間で覚えてしまうのである。ともすると「一週間後に覚えていればいいや」と思ってしまうような内容でも、「今確実に覚えてしまおう」と考えているのかとにかく何でもすぐに覚えてしまう。根本的な違いがあるとすればこのあたりであろう。東大理三受験では、全てとは言わないがこのような受験生がライバルであると思って良い。特に有名校に通っていない受験生は、「受験術」を知らずに受験までの限られた期間で東大理三のような超難関学部の受験対策をすることはほとんど無理であるが、ただ、いくら「受験術」を知っていても今確実に覚えてしまおうという意気込みがないと宝の持ち腐れである。突き詰めると大切なのはやはり「意気込み」である。このことを忘れないでほしい。

「覚える」ということに関連して、数学の「解法暗記」について私なりに考えてみた。「解法暗記」について広く一般に知られるようになったのは和田 秀樹氏によるところが大きいと思うが、これについては随分と誤解もあり、「解法暗記」反対派とも言える人達との間で意見も錯綜しているようだが、よくよく解きほぐしてみると和田氏と「解法暗記」反対派の言っていることは実は同じである。強調している点が違うのである。和田氏は「定石」を学んだ後で「試行」力をつける、すなわち自分で考える訓練をするように言っているし、「解法暗記」反対派も、例題を学んで(読んで)典型的な解法を理解し(このあたりは何故か控えめである。「解法暗記」反対派は自分で考えずに読んで理解するということに「後ろめたさ」でもあるのだろうか)、その後に「思考」力をつけるために自分で考えるように言っているのである。和田氏はより明確に方法論を述べているわけなのだが、「定石」を身につけることと「試行力」をつけることがセットであると述べているにもかかわらず前者だけをクローズアップしている人達が非常に多い。教育者であるならば、全体の意を酌んだ上で批判をすべきであろう。受験生に対して「解法暗記」反対派はどれほどの悪影響を及ぼしているかに思いを巡らせるべきである。彼らの発言のため、受験生は「お手本」として学び取るべき「定石」までも自分の力で解こうとしているのである。受験生によって無論個人差はあるが、東大理三前期の数学で合格点が取れるレベルに達するための参考書は、突き詰めると『青チャート』と『新数学演習』である(もっとも最近では『新数学演習』も不要となるほど東大入試も易化してきたが)。このうち『青チャート』は「定石」を学ぶためのものであり、所謂「解法暗記」用に使うべきものだが、「解法暗記」反対派の勢力が根強いためか、学校の教師や塾の講師は数学の問題は自分の頭で考えるものと根っから信じていて、『青チャート』の例題レベルの問題でさえ初めから自力で考えて解くように指導していることが驚くほど多い。地方の公立高校では救いようがないくらい数学の学習といえばこのように進められているようだ。『受験術』が必要な所以である。

いつも言っていることだが、東大受験生は基礎力がついてきたら目標得点を設定して学習を進めていくべきである。私は東大理三前期日程で合格したが、東大二次での目標得点を英語95/120、数学80/120、国語45/80、理科80/120の計300/440としていた(自己採点した結果は英語100/120、数学85/120、国語55/80、理科90/120の計330/440だった)。理三ボーダーは当時は280前後と言われていたが、自己採点で280位取れていると思っていて落ちている知人も数人いた。近年ではセンター試験で大きく崩れなければ概ね290点あたりがボーダーとなるようだが、理三受験生はやはり目標得点を300点として学習を進めるほうが良いだろう。ボーダーぎりぎりで学習に見切りをつけるべきではない。私の目標得点は理三受験生としては理科の目標点が低めである。これには理由があり、理科と国語にはあまり時間を割かず言わば手抜きで乗り切ろうと思っていたためである(通常は理科で手を抜くべきではない)。東大受験生なら英語と数学は手を抜くわけにはいかないので、どうせ学習するなら英数で得点を稼いでやろうと考えたのである。実際に私が理科で使用した参考書は旺文社(http://www.obunsha.co.jp/)の『精選化学問題演習』、数研出版(http://www.suken.co.jp/)の『チャート式 生物』(吉田 邦久 著)、代々木ライブラリー(http://www.yozemi.ac.jp/)の『生物重要テーマ53』、旺文社の『生物標準問題精講』だけである(私は物理を履修していたが、手抜き勉強のために生物に変更した。一時期は更に化学を地学に変更しようと考えていたほどである。生物は3ヶ月もあれば理三でも目処がつく。地学は更に時間がかからない)。但し、参考書数を絞ったこともあり、内容はほぼ暗記してしまった。また、過去問や模試の問題は重視した。国語も手抜きである。現代文はZ会(http://www.zkai.co.jp/home/index.asp)から出ている堀木先生の著書と過去問(センター、東大二次)、古文は代ゼミの土屋先生のシリーズ(『公式222』、『単語222』)と過去問、漢文は学研(http://www.gakken.co.jp/)の『早覚え速答法』と過去問である。本当に手抜きである。反面、英語と数学には力を注いだ。英語は『英文解釈教室』(研究社 http://www.kenkyusha.co.jp/)まで手を出したし、『基本英文700選』(駿台文庫 http://www.sundai.ac.jp/yobi/)も覚えてしまった。言っておくが、私は『700選』の英文を130まで覚えてしまうまでは文法もロクに分かっていなかった。それまでほぼ全くの丸暗記である。ただ、130あたりまで完全に覚えると、英文の骨格が見えるようになってくる。例文が頭に染み付いた後で文法書を読むと内容がどんどん頭に入ってくるのである。『700選』のおかげで英作文の基礎がついたし、悪口を言う人は多いが、私にとっては英語の底力をつけるのに最適なものであった。この基礎が専門に進んでから英語で文章を書くのにどれほど役に立っているか計り知れない。万人に薦めるわけではないが、批判が多いのでそれだけのものであることを知っておくのも良いだろう(受験時に全部覚えていた友人も数人いるが、覚えて役に立たなかったというのは聞いたことがない)。数学は定番どおり数研出版の『青チャート』を使用していたが、途中で旺文社の『鉄則』の「鉄則ゼミ」の問題を覚えた。『鉄則』は例題が弱いが、「鉄則ゼミ」は入試問題の解法を体系的にまとめていて、おそらくアプローチの基礎が身についたと思う。その後に東京出版(http://www.tokyo-s.jp/index.shtml)の『新数学演習』で演習した。これは演習用に使用。これまでの「試行」をしたが、自分でしっかりと考えてやったせいか、やり終えたときには他のものに手をつける必要がなくなっていた(解法暗記用に使っても同じ効果は得られないだろう。このレベルの問題はあくまでも「演習用」に用いたほうが良い)。演習はここでOKと判断し、あとはひたすら色々な問題集の問題と解答をひたすら読んでいった。おそらく有名なものにはほとんど手をつけたと思う。『新数学演習』まできっちりやったおかげが、その後の「乱読」では特に覚えようとしなくても随分と頭に残ったようである。暗記と演習をしっかりやっておくと、必ず得点源となる教科である。私の場合は、「解法暗記」、「試行」力養成の後の「乱読」が効いている。ここは参考にしてもらいたい。
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