御頭御社宮司総社

(オントウミシャグチソウシャ)

〜いちごの神社参拝物語「諏訪編」〜

 

御祭神:ミシャグチ神            鎮座地:茅野市宮川高部

 

御頭御社宮司総社は、諏訪大社上社本宮と前宮の中間あたりにある

神長官守矢屋敷の西南最上段の小高い丘の上にあります。

諏訪信仰を語る時に、この神様を無しには語ることができません。

建御名方神が諏訪大明神になる遥か以前からこの地に祀られ、今もって根強い崇 敬を受ける土着の神様です。

「御頭御社宮司総社ご神域」

「神長官守矢史料館のしおり」によりますと、 諏訪盆地には、「古事記」に書かれた出雲の国の国譲り神話とは別に、もうひと つの国譲り神話が言い伝えられています。

そのことは、室町時代初期に編まれた 「諏訪大明神画詞」などに記されています。

それによれば、大和朝廷による日本統一以前の話になりますが、 出雲系の建御名方命がこの盆地へ侵入した時、この地に以前から暮らしていた洩矢神を長とする先住民族は、天竜川河口に陣取って迎え撃ちました。

建御名方命は手に藤の蔓を、洩矢神は手に鉄の鑰(かぎ)を掲げて戦い、結果、洩矢神は負けてしまいました。 そして、出雲から侵入した建御名方命は諏訪大明神となり、ここに現在の諏訪大社の始まりとなりました。

それからの諏訪の地は中央と繋がり、稲作以後の新しい時代を生きて行く事になりますが、しかし、先住民である洩矢の人々は、新しく来た出雲系の人々にしいたげられたりしたわけではありません。

建御名方命の子孫である諏訪氏は大祝(おおほうり)という生神の位に就き、洩矢神の子孫の守矢氏は神長官という筆頭神官の位に就きました。

大祝は、古くは成年前の幼児が即位したといわれ、即位に当っての神降ろしの力や、呪術によって神の声を聞いたり神に願い事をするよいった力は神長官のみが持つとされておりました。

これらのことから、諏訪の信仰と政治の実権は守矢氏が永く持ち続けることとなりました。

こうして、諏訪の地には、大祝と神長官による新しい体制が出来上がり、信仰と 政治の一体化した諏訪祭政体は古代、中世と続きます。

しかし、明治5年に世襲の神官の制が廃止され、神長という職が消えたことにより、延々と保ちつづけた「諏訪祭政体」は、その栄華を「76代」にして無念の幕を降ろすこととなります。

ミシャグチ神とは、樹や笹や石や生神・大祝に降りてくる精霊のことです。

「ミシャグチ」の語源は「シャクジン」すなわち「石神」であると考えられていて、古い村には必ずミシャグチ社が祀られ、石棒を御神体とするところが多いそうです。

ミシャグチ神は多くの呼び名や宛字のある神様です。「諏訪大明神絵詞」によると

「御作神」「御左口神」「御社宮神」「御社宮司」「御射軍神」「佐久神」「石神」「尺神」 「赤口」「裂口」等と表記され、

その呼び方は「ミシャグチ」「ミサグジ」「サングージン」 「シャクジン」「オサモジン」等いろいろな呼び方があります。

 

また、諏訪大社の祭政体はこのミシャグチ神を中心に営まれました。

かつては一年に七十五度の神事が、中世までは前宮と大祝の住む神殿(ごうどの)、 そして冬期に掘られた竪穴である御室(みむろ)や十間廊、八ヶ岳山麓の御射山で行われました。

そのミシャグチ神の祭祀権を持っていたのが神長官であり、重要な役割としてのミシャグチ上げやミシャグチ降ろしの技法を駆使して祭祀をとりしきっていました。

大祝の分身である童児は、

内県(うちあがた)【旧諏訪郡一帯】、外県(とのあ がた)【旧伊那郡一帯】、大県(おおあがた)【信州一円の神氏系の代表】

こららの地域から それぞれ一年毎に選ばれ、選ばれた童児たちは神長屋敷西側の精進屋の中で一定期間の籠りをした後に前宮での神事に参加したのだそうです。

 

※ミシャグチ神は、「ミシャグジ様」「洩矢神」等、多くの呼び名や宛字のある神様のようですが、ここではしおりに添って「ミシャグチ神」とさせていただき ました。                         

「御衣木(ミソギ)神社お社」

★=大祝(おおほうり)=★

神職の名称のひとつ。神がかりをして宣託を受ける者をいいます。(信濃の諏訪大社に「大祝(おおほう り)」「権祝」や阿蘇神社に「一祝」「ニ祝」「国造祝」などがある)

諏訪大社の大祝は、代々神氏諏訪族の8 〜15歳くらいまでの童男の中から選ばれ、神衣を着用する儀式をもってその職についたそうです。生神・現人神 ともいいます。この御衣木(ミソギ)神社の御祭神はその大祝一代目の桓武天皇の皇子有員(ありかず)親王です。諏訪大明神が、この有員親王に神衣を着せて、 「我に体なし、祝(ほうり)をもって体とす」と神勅をくだし、大祝にしたのが始まりなのだそうです。お社は 小さくて足長神社のある桑原山の麓の小高い丘の上に鎮座します。 神長官守矢史料館 神長官守矢屋敷の一角にあります。

史料館には、さまざまな神事祭祀に使われた神具を初め、貴重な古文献 等が展示されています。

場 所:茅野市宮川389-1 入館料:100円           電話0266-73-7567                         参考文献                               神長官守矢史料館しおり                       「お諏訪さま」―祭りと信仰―                   諏訪大社監修 神道辞典                     諏訪大社パンフレット