服従の心理と没個性化
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■ T.服従の心理(Milgram実験1963年)
偽くじで教師役と学習者役にわけ、被験者が教師役なるようにした。学習者を被験者の目の前で電気椅子に縛りつけ、
電撃電極から逃れられないようにした。それを確認した後、被験者は電撃装置がある部屋に移った。電撃装置には、3
0個のスイッチがあり、被験者(教師役)が問題を出し、学習者が回答を間違えるたびに与える電撃の電圧ボルトを上
げていくというものであった。学習者は誤った答えをする事が多く、すぐに教師役は強い電撃を与えるようになった。
電圧を上げるたびに学習者は、悲痛な叫び声(演技)を上げたが、被験者の半数以上は、命令に従い最高電圧まで上げ
た。

最高電圧までボタンを押した確立65%
@ 服従は、実験者がそこにいあわせることによっても強まる。指示が電話で与えられた場合、服従の確立は65%から21
%に低下した。
A 犠牲者と距離を置くことが出来れば、人々は犠牲者に与える苦しみをさらにかしやすくなる。(被験者は、本人(声
役)を目の前にしてボタンを押していない)
B 有名大学との提携をなくしてその実験を追試したところほとんどの人が中々ボタンを押さなかった。
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■ U.ミルグラム実験とは何か?
上記@について
数値(確立)が出ている通りだが、実験者がそこに居合わせる事によって服従確立が上がる点は、同調(ドイッチ実験)
でも同じ事が確認されている。

上記Aについて
犠牲者との距離と言うよりも部屋が別々であり、お互いの顔を認識できない状態であった。だが、相手の苦しみ
(演技)は、分かる状態であった。そのため、犠牲者との距離を置く事で犠牲者に与える苦しみをさらにかしや
すくなるのではないか(仮説)としている。

上記Bについて
権威の無い実験として大学主催と名前がない物には、あまりボタンを押さなかったことも同時に実験されて証明され
た事から、服従の心理とは、自分の中の正当性(信憑性)も多少影響していることが考えられ、権威に従うように教育
(学校の先生など)を受けている事も影響しているものと思われる。このような、観念的正当化も服従の心理に影響
を与えている。観念的正当化については、権力本能説I.暴力と権力、それに伴う防衛機制B 他人への心の中での
転嫁参照

その他
被験者がもうすでに実験が開始していた場合にはなおさらで、実験続行を拒否すると言うことは、自分がすでに行っ
ていることを間違っていると認めることにもなる。この事は、宣伝文句が不当なものであっても、商品購入後にもま
だ広告の宣伝文句を信じる傾向にある。消費者は、自分は商品を買う際に正しい選択をしたと信じたがっており、し
たがって、自分自身をだましてその商品の優位性を信じ続けると言ったことにも見られる。
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■ V.看守と囚人実験(Zimbardo,1975)(第二のミルグラム実験)
実験の目的は、普通の人々に本物の刑務所のような設定で囚人あるいは看守の役割を遂行させることであった。
参加者は、21名の中産階級の男子大学生であり、囚人役は、地元の警官の協力を得て、模擬逮捕され、目隠しをさ
れて大学の「刑務所」に連れて行かれ、そこで服を脱がされ、シラミをとられ、制服と番号を与えられ、他の「囚人」
とともに監房に入れられた。「看守」は制服を支給され、暴力を使用してはならず、彼らの職務は刑務所の統制を維
持することであると告げられた。2週間実験を行う予定であったが、実際には5日後に実験は中止された。「看守」
達は、急速に口汚く高圧的になり、「囚人」たちのプライドを傷つけ、人間性を奪うように計算された行動を取るよ
うになった。対照的に「囚人」たちは抑うつ状態になり、卑屈になった。彼らのうち3名は、ヒステリックな叫びや
思考の混乱など、極度のトラウマ反応を示したため、最初の4日の間に開放されねばならなかった。

Zimbardoは、「大多数の者は実際に囚人あるいは看守となり、もはや役割演技と自己との間に明確な区別をすること
はできなかった」とした。彼がそれ以前に行っていた没個性化(社会的拘束を断ち切る事)に関する研究を援用し、
普通の人々であっても自分達が比較的著名であると感じることができ、そのような行動が期待されているという状況
に置かれたとしたら、人々は簡単に虐待的で反社会的な行為を遂行するよう誘導されてしまうものである。と結論付
けた。その実験は、個人の主体性と道徳性の脆さを確信するものとして彼は考えている。

この実験は、ミルグラム実験にヒントを得て考えられたものである。
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■ W.看守と囚人実験とはなにか?(人は、相手との距離があると攻撃的になるのか?)
ミルグラム実験にヒントを得て実験を行っただけあり、多くの点で共通の結論を得ている点が多いが、ミルグラム実験
I.Aに見られる犠牲者との距離が近い場合には、暴力的になりにくいとの実験結果であったが、この実験では、そのよ
うな結論はえられていない。被害者を目の前にしても攻撃的であった。ただ、囚人は番号で呼ばれるなど、個人名や刑
務所以外からの評価とは隔離されている状況であった。

人々はそのような行動が期待されているという状況に置かれたとしたら、人々は簡単に虐待的な行動をとると
されており、周囲からの評価が行動を決定するとしている。この点は同調(印象操作)やモデリングでも同じ事が言わ
れている。※モデリングは、リンク先以外にも見たものに賞罰(評価)する実験を行い、模倣反応の確率が変わるとの
結果が出ている。
史実検証
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2008/07/27記載



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