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剥製作り
 それは突然の思い付きであった。家で本を読んでいたとき、ふと魚の剥製を作ろうと思い立ったのである。その本の挿絵には、19世紀後半のイギリスと思われる酒場で山高帽にタキシード姿の釣り氏たちが釣り談義でもしている様子が描かれていた。店の壁にはパイクらしい魚の剥製が飾られていた。その挿絵を見ているとき何故か剥製を作りたくなったのだ。剥製など作ったことも無いのに・・・。

 剥製を作るにはまず獲物が必要だが、僕には冷凍庫の中に忘れ去られた不運な魚が居ることを思い出していた。その魚は’95/5/15に竜川で釣り上げたた岩魚である。何匹かの山女と共に家に持ち帰り腹を割ったが、この岩魚だけはその日の内に食べる気がしなかったので、冷凍庫に入れ保存していたのである。シーズンオフにでも食べようと思っていたのだが簡単にガスレンジで焼けるようなサイズでなったためか、面倒で解凍しないままでいた。何時しか2年くらい経ってから冷凍庫から取り出した時には所々白く冷凍焼けし、低温腐敗が進んでいると思われた。食べるためにキープしたのにこれでは供養できない。土に埋めてやるしかないかななどとと思いながら忘れ去られ、9年と3ヶ月の間冷凍庫に眠っていたのである。
 僕は釣り上げた魚は基本的にリリースしている。魚を獲ることではなく魚との駆引きが好きだから、また楽しく釣りが続けられるように・・・。でも食べることも嫌いじゃないし家族からの要請も有り、時々(シーズン中に釣り上げた魚の1割くらい)はキープすることもある。でも、この岩魚の件もあり、持ちかえった魚はその日の内に食べて供養するようにしている。




 剥製の作り方など分からないのだが直ぐに発砲スチロールを探し、凍った魚で模りして削り始めていた。(腸を抜いているので細かく計測しても無駄だと思っていた)イメージで紙やすりで成型したがプラグを作るよりは簡単な作業だ。さて、作り方が分からないのでネットで調べてみたが、ホルマリンやホウ酸の劇薬に漬けるとある。毒につけたものを台所で作業する訳にはいかないので薬品ほ使わないで作ることにした。皮だけにすれば何とかなるのではと思った。腹を割っているのでそこから果物ナイフとはさみ・スプーンなどで中の身と骨を取り除いた。尾鰭の付け根や頭の処理に手間取ったが下顎の骨だけ残し、全て取り除いた。皮だけになった岩魚は、濡れた黒い雨合羽の様で情けなく思えた。その皮を中性洗剤でていねいに洗い、水の入れたビニール袋に浸して冷蔵庫で保管し、その日の作業は終了とした。


かる〜い紙ねんどは作業性が良い

 次の日、紙粘土を買い続きの作業に取り掛かった。各鰭を紙に模りし乾燥時の固定用の型紙を作る。鰭の状態が見えるように片側は透明な物がイイらしいのでVARIVASのラインケースを使って作る。(このときまでは鰭は大きくきれいだった・・・)中に詰める発砲スチロールの芯に皮をかぶせてみる。腹部の皮の合わせが芯が太く開いている。開いている分の胴周りを削り落とし、細い部分は紙粘土を盛ってやる。各鰭の付け根と頭部に紙粘土を詰め、皺を伸ばしながら慎重に被せる。下顎や口の中、以前は肉のあった頬などを紙粘土で作るのはとても楽しい作業である。しかし、時間がかかりすぎて鰭が乾きしおれてきた。なんとか水を付け伸ばして型紙に固定する。(これが後で問題になる)皮の合わせ目は縫わずに紙粘土で埋め合わせてみた。とりあえずこれでしばらく乾燥させる。やがてほのかに異臭を放ち、しばらくの間は困らせる。


 目玉と飾るためのプレートを作る。目玉はアルミシートをベースに樹脂を盛って作ろうとしたがリアルさに欠けたため、紙粘土で眼球を作りそれをベースに作成する。目玉の取り付け部もえぐり、紙粘土で成型し、眼球をはめ込み動かせるようにしたので好きな目線に動かすことが出来る。
 飾るためのプレートは腹開きのため魚を乗せる台とした。使用した板はランディングネットのグリップを抜いた余りのこぶ材で、友人から頂いたものだ。抜いた跡を生かし?渓流の波をイメージしてみた。
黒目は楕円の方がよかった 竹串を剥製に突き刺し固定する様にした


 乾燥させていた剥製は、鰭の型紙を外す。(水を付けて固定したため紙が剥がれなくて苦労する)全体にクリアー塗装する。乾燥によりゼラチン質の頭部の皮はひしゃげてしまったので紙粘土で補正する。クリアー塗装+色補正(頭部のみ)+クリアー塗装で仕上げる。鰭はセルロースセメントで固めてみた。

 何も知らない素人が初めて作ったので出来映えは仕方が無い。薬品を使わなかったせいか分からないが身を剥がす時に色素も剥がれ色彩もあせている。でも見方を変えればプロが作ったビニール製のような物ではなく博物館の標本みたいな別のリアルさがある?作ってみて感じたことは意外に簡単に出来たことだった・・・・今回は紙粘土以外はあるものを利用したので138円で出来上がった。しかし、大切な思いでの魚であれば、出来具合や作るための労力を考えればプロに任せたほうがいいと思う。今回は思い付きで作成してしまったが、これからまた作ろうとは考えていない。今回は冷凍庫へほったらかしの岩魚の供養もか兼ねているのだ。(供養になっているかどうかは分からないが・・・)



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