図面の書き方 -機械図面-

基本的な製図法は学校で教えてくれますが、実用的な各種図面の書き方や図面訂正の方法、あるいは部品リストの書き方は教えてくれません。それは多分、ほとんどの教師は実践的な設計業務の経験が無いからかもしれません。ここでは基本的な図面やリストの書き方を研究してみます。


製図
図面を手書きする場合は、線種や線の太さ、寸法線の書き方など、製図の基礎を習うだけでもかなり大変でしたが、CADが普及した現在では、ほとんどのCADには線種指定、寸法線や寸法補助線の自動表示機能が備わっていますので、比較的容易に製図作業ができるはずです。


線の種類/寸法数値


以下は図面に使う線の太さや文字の大きさの目安です。
 特記なき単位:mm
太線の幅 0.5  外形線
中線の幅 0.3  寸法数値、矢印
細線の幅 0.2  寸法線、寸法補助線、引き出し線、ハッチング、中心線
破線    線1.2 隙間0.6    破線端部が実線に交わっている場合は、端部を線で閉じる。
1点鎖線  線5 隙間1 短線1  
2点鎖線  線7 隙間1 短線1 
寸法矢印長さ 3
矢印角度 10°
寸法数値寸法 高3.0 幅2.5
寸法公差  高1.7 幅 1.5
寸法補助線図形間隔 1
寸法補助線頭出し 1

【注】上記数値は厳格なものではありません。例えば手書き図面では、ほとんど開き角をつけない太線の矢印を用いたり、鎖線の線分長も、図形の大きさに応じて適度に伸縮させる設計者も多いようです。
なお、2点鎖線は製図規格にはないのですが、機構の運動の想像線を示す場合などに使います。

CADの設定で、線の太さを設定することはできますが、このページの画面もそうなのですが、必ずしもCAD画面に表示される線の太さは、設定通りには表示されるとは限りません。これは、印字の際も同じで、プリンターや、プリンタドライバによっても、意図する太さに出力できない場合があるようです。pdf変換にも同じ悩みがあります。



図面に表示する線



外形線: 部材の外形を示す太い実線です。後部に隠れて見えない外形線は破線(かくれ線)で表示します。
 上例のように、平面と平面がR面で接続される場合、稜線は、端部を省略して表示します。
 微小な、板金の曲げ内R、角隅部のR、糸面取り等は、単純な角部として製図します。

寸法線: 寸法や角度を示すための矢印が付いた細い実線です。
 寸法数値は寸法線の中央に表示しますが、狭い場合は矢印と数値は外側に表示します。
 矢印が記入できない場合は、上例のように黒丸で代用します。
 寸法の基準が図面に示されている場合は片側寸法で表示します(後述:基準寸法の項参照)
 寸法線と寸法補助線は直角を基本としますが、寸法補助線を斜め平行線で引き出して表示することもできます(上例)

寸法補助線: 寸法線と図形間を結ぶ補助の細い実線です。図形との間隔は0.5〜1mm程度開けます。

引き出し線: 寸法線で表示することが適当でない寸法情報や、表面仕上げ指示などは細い実線の引き出し線で表示します。

中心線: 円や軸、および対称形である図形の中心を示すための細い一点鎖線です。
 なお、多数の同じ加工形状が並んでいる場合は、上例の5-φ3のように途中の図形は中心線以外は省略できます。

破断線: 図形の一部を省略して破断した状態を細い曲線で示します。寸法線は破断しません。

【注】中心線や寸法補助線はあくまで補助となる線です。寸法値と重なることが避けられないような場合は、下図のように数値を優先させます。




図面の尺度
図面の縮尺は次のような尺度で作成します。( )の中の尺度はJISの規定にはありませんが、使用される場合があります。
現尺  1/1
縮尺  1/2、(1/3)、(1/4)、1/5、1/10、1/20、1/50
倍尺  2/1、(3/1)、(4/1)、5/1、10/1、20/1、50/1


図面のサイズ
A0〜A5が図面の用紙サイズです。建築図面はA2以上の用紙サイズが使われるようですが、小型機器の部品図の場合はA4、A3、が主に使われます。従来は、組図などにA2、A1が使われましたが、郵送に替わってメールによるpdf、ないしDXFデータ送信へと替わってきたため、やはりA3/A4が主流となってきました。

上下左右余白は10mm程度とします。

図面枠の例は冒頭の例(A4)を参考にしてください。図枠はA2以上は横型を使い、A4とA3は、縦と横、両方で使う方法がありますが、図面ファイルを綴じる場合、A4は縦型を使い、A3は横型で、用紙中央を内側に折り、右を半分を折り返すと、どのぺーじも見易くなるので採用されているケースも多いのですが、欠点としては、軸は横向きのため、A4縦は効率の悪い図面となってしまいます。



第三角法による投影図の書き方
 右側面図は、右側面図付近から、正面図位置にある物体を見たままの形で書き下します。
 平面図も平面図位置から見た物体の形状を手前に書き下します。
 この三面図を基本として同様に、正面図の下方に下面図、左側に左側面図を作図することができます。
 後ろにあって見えない線はかくれ線で表します。




部品の形状が最もよく表れている面を正面図とします。単純な軸などは、軸を横向きに置いた正面図の1面図だけで足りるはずです。
また、平板な板部材も板厚を材質欄に記載しますから、正面図1枚で済ますことができます。
正面図だけでは、形状と寸法が表現できない場合は、次に重要と考えられる1面を加える、というように必要十分な図で図面を構成します。

なお、建築図面は「第1角法」という投影法が用いられます。1角法では、見た形を遠方の図面に描きます。



寸法の記入
部品各部の寸法を記入する上で最大の注意点は、「同一箇所の寸法は1箇所でしか表示してはならない」という原則です。複数箇所で表示する場合は、1箇所を除外して他は( )で参考寸法として示し、かつ寸法の許容差は記入しないことになっています。

部品各部の寸法は寸法線で指定しますが、例えば 45 と指定した寸法は 45.000mm ちょうどに仕上がったものしか良品にならないか、と言うとそうではなく、一定の加工誤差の範囲が認められています。この寸法の差は「一般数法許容差」といって、後述する表題欄に指定することになっています。例えば、粗級(14級)で45mmの場合は±0.3mmですから、44.7〜45.3mmまでは可ということになります。

一般寸法許容差でない寸法は、上側に大きい寸法の限界値、下側に小さい寸法の限界値を表記します。



このような限界寸法は、相手部材と組み合わせる必要がある場合に用いられます。「緩く入れる」「ぴったり入れる」「きつく嵌め合わせる」などの目的のために、穴側と軸側には、それぞれ必要な寸法の限界値を入れます。詳しくは「はめ合い寸法」の項を参照してください。


設計寸法は、その部品の機能上重要な寸法を記入します。「加工者が見易い寸法の入れ方」とか「測定器で計り易い寸法」ではなく、あくまで機能上求められる寸法を記入することが大切です。相手部材の穴位置と「組」で指示されるような穴位置は、同じく「組」で、同じ寸法表記法が採られるべきです。
ただし、指示する寸法が多過ぎて、図面が見難くなる場合、あるいは、寸法の重要性に特に差がないような場合は、後述「基準からの寸法」のような表記方法も使われます。
長さ、直径、半径、寸法許容差、角度の表示のしかたは下記例を参考にしてください。

【注1】 多数の部品を介して重要な装置寸法が決定されるような設計の場合、個々の部品の寸法許容差を相当厳しくしても、最悪の場合、必要な部品間隔が確保できないようなことがあります。こうした場合は、全ての部品に加工不可能な公差を振るのではなく、最低1箇所で誤差を吸収できる長穴を使い、後工程で加工誤差を吸収して位置決め固定するような方法が必要です。



複数加工形状の表示
同じ加工形状が図面中に複数箇所ある場合は 3-φ3 、5-M3 , 4-C3 、2-R2 のように表示します。ただし、異なった投影面の加工個数を合計することはできません。

【注意】電子部品を図中に表記する場合は、電子部品の型番自体が”-”を含むことが多いため、混乱を防ぐため 「電子部品型番 ×個数」のように表示した方が安全です。



直径の表示
直径の表示例




半径の表示
半径の表示例
半径寸法が大きくて図面に表現し難い時は下図右端のように折り曲げて表示することができます(矢印の方向は変えません)。




寸法線や寸法補助線の配置
寸法の基準は、基本的には部品の左上側とします。そして軸は横向きとします。
ただし、全て左基準からの寸法を記入すれば良い訳ではありません。理由がある場合は、任意の2点間の寸法や、ピッチ寸法を記入することになります。下図のφ6の軸部の長さは、軸右端を基準にしての寸法となっているのは、この部分の長さが重要であるためです。






引き出し線による表示
部品形状に直接寸法を表示することが適切でない場合は、上図の「6-φ3H10」のように、引き出し線で表示します。

下の引き出し例は、軸の一部を細く加工した溝の寸法を指示する表示です。


E溝の引き出し線による表示(呼び寸法5のEリング)



長穴(長丸穴)は、穴のセンター位置を位置の基準にして、幅寸法×長さ で表示します。




引き出し線表示できる他の例
  穴の深さ:  2-M3 深8   φ4 深6  など
  加工指示や加工注意: 「この面塗装禁止」 「バリ禁止」 「φ4m5リーマ加工」   など



基準からの寸法
基準となる位置からの寸法を多数表示する場合は下記のようにします。.なお下図のクロス細線は平面を表します。




はめ合い寸法
互いに嵌合(かんごう)させて使う部品寸法は「はめ合い寸法」と呼ばれています。
寸法は「はめ合い記号」で寸法許容差を表します。穴寸法は P7、G6、H8のように大文字で精度の等級を表し、軸寸法は小文字で p6、g9、h8 のように表記します。例えば、 
穴寸法   φ8H8  は、φ8の許容差の、上が +0.022、下が 0
軸寸法   φ8h8  は、φ8の許容差の、上が 0、下が -0.022
となります。無論、穴と軸は丸形状に限定されません。
はめ合い記号が表示されている寸法は嵌合相手があることを意味しますので加工者も注意する必要があります。

ぴったりと位置決め固定するような関係の場合、穴はH8、軸はh8 公差を使います。
保守交換するような部品の場合はカジリを防止するため、穴はH8、軸はf8にします。
通常市販のモーター軸などはh公差で仕上げられているようです。

それから、些細なことのようですが例えば、M3ネジで位置決めする穴に φ3 を使うことはできません。粗級/中級での寸法許容差は±0.1ですから、2.9mmに仕上がると、穴にネジが入らないという事態が発生するからです(安価な転造ねじは寸法がかなりマイナスしているため実際は入ってしまいますが)。このため、少なくともマイナスしない穴寸法として φ3H10  ( 0〜+0.04 ) を使う必要があるのです。

詳しくは、下記寸法許容差表を見てください。単位はμです。
寸法許容差



【解説】φ10h8 の 10 の部分や、18±0.02 の18 の部分は「呼び寸法」といわれています。この呼び寸法に対して「上の寸法許容差」と「下の寸法許容差」を設けているのがJISの寸法表記方法です。
一般寸法許容差のように、呼び寸法に対して上下の許容差が等しい場合は問題があまり無いのですが、 呼び寸法 20 の 0〜-0.115 のような、上下非対称の許容差が振られた時、時折問題が生じる場合があります。例えば、φ12h6 公差軸に圧入して使う穴寸法として φ12P6 を使うと、この穴の寸法許容範囲は、φ11.985 〜 φ11.974 となるのですが、呼び寸法が”12”のため、精通していない加工者はφ12のキリで加工してしまうことが少なからず発生してしまうのです。無論出来上がりの穴寸法はφ12.04 のようになってしまい、圧入どころではありません。この問題は、海外で加工されることが多くなった近年、特に注意しなければならないようです。海外向け図面には、はめ合い寸法に加え、具体的な(限界寸法)を表示するなどの配慮をすべきかも知れません。ただし、その意味の問い合わせが来ることは避けられないかも知れませんが。

もう一つの懸念は、国民性に根ざしていると言われています。加工者が日本人の場合、往々にして、例えば、呼び寸法が20で許容差が 0 〜 -0.115  のような場合は、 20.000 を目指すため、寸法をオーバーする不良品がでやすいとも言われています(あくまで通説ですが)。一方、米国などでは、この「呼び寸法」は好まれず、

のように限界寸法のみが表示される場合が多いようです。これは、寸法に重みを持たせない方法で、寸法が範囲内にさえ入っていれば良いという考えで、加工者はこの中央値を狙う場合が多いと言われています。
恐らく日本で、このような寸法入れをした場合、「いったいどっち寄りの寸法が欲しいんだ?」と絡まれてしまうかもしれません?! そうでないとしても、μ単位の公差が入ると価格が上がってしまう、という笑えない話もあるようです。



参考寸法
下図のように寸法を入れることはできません。数学的に見れば一見 A+B+C=D で良さそうに思えますが、寸法許容差の範囲から見ると、矛盾が生じるからです。



寸法許容差には関係しないが、参考のために、表示したほうが好ましい寸法は、( ) で参考寸法表示にします。
下図の上の例は、AもBもCも重要な寸法で、全体寸法が参考寸法の場合の表示法
下図の下の例は、AとC、および全体寸法Dが重要な場合の表示法です。
なお、下図上のDの寸法は素材寸法に関係するため意味がありますが、下図下のBの( )寸法は意味がありませんので、むしろ表示しない方が好ましいとも思われます。
この原則は、3面図に共通し、1箇所に寸法を表示した場合、他の図では参考寸法とします。





部分的な形状表示
斜面の表示

断面の表示

【注】トレーシングペーパー時代は、断面は赤鉛筆で裏から着色していましたが、CADでは八ッチングが使われています。ただし、上記のように断面といことが明らかな場合は八ッチングも省略することができます。


円柱と円柱の交線の表示は、直線または円弧を使うことができます。


楕円の表示
 円を斜めから投影した図形は正確な楕円比で表示しなくても構いません。
 比が1に近ければ円を用いることができます。



表面粗さ


表面の仕上げ粗さを指示する表示です。幾つかの表記方法がありますが、図はRa記号です。
Ra値は、面の平均高さを基準とした(断面曲線の絶対値の面積/測定長さ)のμ値です。

Ra値と旧来からよく使われている三角記号との対比は、
 Ra値   三角記号   
 0.2    ▽▽▽▽      鏡面研磨
 0.8    ▽▽▽       研削、摺動面、ハメアイ面
 1.6    ▽▽▽       研削、摺動面、ハメアイ面
 6.3    ▽▽        切削、接触面
 25     ▽         粗い切削

なお、研磨は G で表される場合もあります。

圧延鋼板や引き抜き材のように、表面を切削(研削、研磨)しないで使う場合は下記の波記号を使います。





溶接


すみ肉溶接は、図のように、溶接する側を指示します。
I型溶接はつき合わせ溶接です、
スポット溶接は板金同士の点溶接です。



溶接の脚長(すみ肉溶接の脚の高さ)、溶接箇所の数、溶接ピッチ寸法を指定する方法です。



◆加工精度の指定
一般の寸法許容差と異なる加工精度を図面指定する場合は以下のようにします。
値の範囲は±ではなく、値の範囲内の空間に加工形状が収まるべきことを意味しています。

真直度

平面度

真円度

平行度

直角度


位置精度、同軸度

位置精度は基準位置に対する穴位置などの位置精度、同軸度は、基準軸に対する軸の位置精度




座標テーブル
 機枠側板のように多数の穴がある部品図の場合は、座標テーブルを作成します。


 寸法基準とXY方向の指示


【注】寸法基準(0,0)は必ずしも部品の外形に合わせる必要はありません。マイナス座標であっても可です。そもそも、部品の外縁を基準として設計するケースは少なく、外縁を基準に図面を書くと、後に何らかの事情で外縁の寸法を変更すると(良くあることですが、)全面的に他の寸法も書換えなければならないとしたら、それは混乱の元となってしまいます。
ただ、寸法基準が空中にあったり、部品の内部にあると、オフセット機能が無い簡易検査/測定器で測定する際に不便があることは確かです。


 座標テーブルの例




ネジの表示
 ネジの山頂は太い実線、谷は細い実線 (小ネジの場合は簡略表示で可)


【注】小ネジを図面に書く場合、ネジの下穴を実寸法で書くと、ネジであることが分かり難くなってしまうため、M3に対してはφ2、M4に対してはφ3 のような値を使います。

【注】製図上では、ドリル先端角は120°とされていますが、加工性能上は118°が好ましいとされているようです。なお、他に 60°、90°(サラ穴用)、140°のドリルも市販されています。
なお、エンドミル(下写真)は、ドリルに似ていますが、穴あけ以外にも、平面切削、溝加工、立体加工ができるカッターで、ミーリングマシーン(フライス盤)やマシニングセンターなどに使われます。
 エンドミル


ギヤの表示
 ギヤや歯付きプーリーの歯先円は太い実線、歯底円は細い実線(断面は太い実線)、ピッチ円は一点鎖線で表示します。
 歯車仕様(モジュール数、圧力角、捻角、歯数、ピッチ円直径、外径) は表に記載します。





バネの表示
通常の引っ張りバネや圧縮バネの場合は、原寸または正確な尺度表示の図面ではなく、バネ形状が分かるテンプレート図面を使うことができます。
自由長と巻きの外径は図で指示しますが、その他のバネ仕様は表に記載し、尺度欄は取り消し線を入れておきます。







ハッチング、破断線
 切断した状態はハッチングで書きます。45°間隔0.7mm程度ですが、2種の断面が隣接する場合は、角度を変えます。
 長い物体を切断して表す場合は破断線を使います。軸の破断面は立体的に見えるように、S字状に切断する方法もありますが、
 下図のような方法でも構いません。
 なお、中空軸は、下図のように半断面で表示できますが、中実軸は断面表示してはいけません。


組立などに表示するための軸受けは下図のように、クロス線で表示するか、ボールを簡略表示します。





メントリ




フーセン(バルーン)


複数の部材から構成される部品はフーセン(バルーン)を飛ばして、注記欄に、各材質等を記載します。



◆ローレット加工

ローレット加工は周面に凹凸パターンを付けて、回転操作の滑りを防止するための加工です。
山部を押し出す転造加工法と、谷部を削り取る切削ローレット加工法があります。
ヒラ目、アヤ目ローレットなど、表面の繰り返しパターンは一部分を表示します。
ピッチP表記とモジュールm表記法がありますが、その対応は

 P(ピッチ)   m(モジュール)
 0.3       0.1
 0.4       0.13
 0.5       0.16
 0.6       0.2
 0.8       0.25
 1.0       0.3



部分拡大図
一部の形状をより詳細に表示するためには、部分的に拡大尺度を使い表示します。
拡大する元図の部分を細線で囲み、[A部] のように引き出し線で指示し、部分拡大図には [A部拡大図 (尺度:2/1)] のように表示します。



表題欄


材質: 素材記号を記入します。素材が複数の場合は材質欄には「注記」と記入し、図面下部に注記欄を設け、箇条書きで
      注1) 材質@:、、、  材質A:、、、 」のように表示し、図中にも@、Aのように引き出し線で指示します
  材質が板材の場合は、 t=1.0 のように板厚を記入します。
  材質の記号に関しては、機械材料を参照してください。また、各種素材の板厚は素材表を参照してください。


熱処理: 焼入れ記号は HQ。 焼入れ+割れ防止のため焼き戻し処理は HQT. 
  硬度欄に HRC 60 のように硬度を記入します。HRCはロックウェル硬度。(硬度例 HRC45:バネ鋼、 HRC63:水晶 HRC64:工具鋼 )

  なお、ゴム硬度はゴム硬度計で測りますが、目安としては、
   95〜90°:爪がほとんど立たない硬さ、  80°〜70°:爪が立つ程度の硬さ
   60°〜50°:爪で容易に変形するが、指先で押してもほぼ変形しない硬さ、 40°〜30°:指先で容易に変形する硬さ


表面処理: メッキ、または塗装など表面処理をする場合、処理記号や塗装色を記入します。
 表面処理と塗装色の表記法に関しては 装置設計のノウハウ を参考にしてください。


仕上げ: 切削する場合、表面仕上げの精度を記入します。 ▽▽ など。切削しないで、素材表面のままの場合は 〜 記号を記入します。

解説】切削仕上げ精度は「切削加工部分の表面仕上げ精度」を指定するものであり、素材の表面精度を指定するものではありません。素材として、成形品や研磨材、またはセンターレス加工軸が使える場合は、無論その表面を使います。図面指示が▽▽だったので、仕入れた研磨材を挽いてしまったという悲劇の都市伝説も確かに存在しているようです。

これは、設計図には、材質は指定するものの、研磨材かセンタレスかを含め、手配材の商品番号の指示まではしないのが常識、という狭間で起きる悲喜劇なのです。(無論、工場併設のメーカーは別ですが)

鋳物などの粗い表面をそのまま使う場合は、その表面部分を〜指示しますが、成形品や研磨材の場合は特に〜を指示することは普通ありません。素材をそのまま使うという図記号が無いことが一因かもしれませんが、、


一般寸法許容差: 特記しない寸法の寸法許容差を指定するために、適用外の欄には斜線を引きます。
精級/中級/粗級 という区分名称を使う場合もあります。また、挽物と板金あるいはハーネス用などで別な許容差表を設ける場合もあります。


尺度: 図面の尺度を記入します。尺度が異なる部分図を書いた場合はカッコの中に(2/1)のように記入します。


略称: いわゆる部品名称ですが、異なった製品で部品を流用すると、名称が不都合な場合もあります。部品を特定するのは、あくまで図番であって、略称はあくまで参考です。


図番: 図面番号です。 新しく図面を起こした時は右枠の訂正番号欄には 01 を記入します。
 図面に訂正があったら、訂番を01→02のように進め、訂正内容を訂正記事欄に記入します。



注記欄
素材が複数で構成される場合、素材購入先、などの情報は材質欄に記入できないため、材質欄には「注記」と記入し、図面の下部左側に、箇条書きで注記を入れます。全般に関する注意なども注記とします。

    注1)本部材は以下の材質で構成される。
       @ SPCC t=1.6
       A SPCC t=1.2
    注2)本部材は外観部品につき、キズ、バリ不可

ただし、注記欄には多くを記載すべきではありません。加工者にとって材質は必須内容ですから、注記欄に記載されていても見逃される「恐れは無いのですが、見過ごされると不都合のある加工内容は、図中に枠付き引き出し線で表示するなどの工夫をした方がよいでしょう。



対で加工する部品の図面
曲げ方向のみが逆で、左右対称形状の部品や、複数個使用するが、一部の穴位置のみが異なる部品などの場合で、かつ、製造する際は必ず対で製造される部品は、個別の図番を振るのではなく、図面1枚中に全て記し、A部材、B部材のように区分し、全体を1組とすることができます。
ただし、あまり複雑な構成になる場合は避けたほうが無難です。またリストの個数は「2組」のように組数を記入するか、
  010150A   個数1
  010150B   個数1
のように、A,Bそれぞれの個数を記載します。




図面訂正記事欄



図面に訂正があった場合、訂正番号、日付、訂正内容、担当者 を手短に記入します。
図面訂正に関しては後述の図面訂正を参考にしてください。






板金素材同士を切断して、これを溶接で組上げるような部品は、同一作業現場(工場)で製造されるため、単体の部品同様、1枚の図面に表記される「単部品」として扱われます。しかし、カシメや、接着作業により、異種複数の単部品を結合し、保守作業においても再分解されることが無い部品は、「結合部品」と呼ばれ、結合の方法を示す図面には固有の図番が与えられます。単部品も結合部品も、保守の上では同じく「部品」として扱われる必要があるためです。

機械系結合部品には、ボスと板部材をカシメたカム、板部材にフィルムを接着した部品などがあります。
基板やハーネスは電気系結合部品です。

【注】なお、ネジや締結リング、ピンなど、保守のための分解を前提とした組立単位は結合部品とは呼びません。
組立て方を示した図面は「組立図」と呼ばれ、保守とは関係無いため、図面1枚ごとに固有図番を振る必要はなく、製品図番(ユニット図番)のサフィックス図番 (-i または i/N )として扱います。

なお、複数のハーネスを結束する方法を示す図面は、通常組立図に分類しますが、メーカーにより異なった考えが取られるようです。ハーネスを保守交換する例は少ないと考えられているのですが、実際はコネクターの不良が発生した場合は、保守現場では、結束済みハーネス全体での交換、または半田付け修理用の線付きコネクタが必要となるのですが、このような保守部品を用意しているメーカーは稀で、保守者泣かせとなっているようです。無論腕の立つ保守者はメーカーが用意しないパーツも不要となった製品から外して置くなどの対策は取ることで対処しているようです。


機械系結合図面





電気系結合図面
基板のマウント図やハーネス図です。
ハーネス図は線数が多い場合は、色と長さが分かる表を添えます。



ハーネスは、上図のように、配線で繋がった単位を図面にします。



基板のマウント図面は、上図のように主なパーツと、特に実装寸法を指定する必要のある放熱板や、外部に露出させるLEDなどの取り付け寸法を指示します。基板上に半田付けマウントする電子部品は、シルク記号に対応する部品リストを別途添えます。

なお、細かなことですが、コネクターのピン番は、MIL規格以外のコネクタでは、たとえ互換コネクタであってもメーカーによって配置順が異なっていたり、無表示であったりする場合が多いため各図面上、およびシルク図には、下図のように1番ピンを示す必要があります。



図面に表示できない細部
下図は、中グリと段落としのある軸をやや誇張して描いた図ですが、旋盤を使って軸を加工した場合、隅部は多少ともR形状にならざるを得ないのです。これは、バイトの先端は数学的な直角、あるいは鋭角ではあり得ないからです。鋭利なバイト程、先端の寿命が短くなるため、加工者はなるべく大きな先端Rの刃物を使いたいのです。角部も図面では単純な角として描いても、実際の加工者は幾らかのC面取りを必ずするのが慣わしなのです。それは、角が鋭利に立っていると、部品同士の僅かな接触でも、角が変形し、相手軸受けに入らない、などクレームが間違いなく来るからです。これは旋盤加工に限らず、多くの加工機にも言えることです。
これら細部は図の上には表示はできませんが 、「特記なき角隅部はR0.3、またはC0.3」のように記入するのが無難とされています。
ちなみに、隅部のRが不都合な場合は、隅部をえぐるように積極的に肉を除去します。




国や地域、業種やメーカーによって違いがあるのですが、スタンダードとされている加工常識(異論のある表現ですが)に関しては、図面にクドクド書き込み過ぎず、「簡潔にして必要十分な」が良い図面なのかも知れません。

【余談】以前、ドイツからの輸入品のカバーを開けると、作業者の指紋が至る所に付いているのを見た潔癖な作業者は、裏の裏まで拭き取ってから出荷していましたが、無論、図面に「指紋付着無きこと」などと表記することは、日本でもドイツでも無いでしょう。また、書くべきでもありません。(医療機器なら話は別ですが)
繰り返し海外から指摘される「日本人の生産効率の低さ」は、実は我々日本人の必要以上の美意識から来ているのですが、ま、これも筋金入りのDNAと、互いに諦めてもらうしか無いかも知れません。



正確に表示できない図形位置
例えば、変更後の穴位置が旧位置に隣接していて、新しい穴図形と重なってしまうような場合、図形位置は元のままで、穴位置の寸法数値のみ書換えて、その数値に下線(アンダーライン)を入れて実寸法でないことを掲示します。ただし、この方法は紙を用いる図面であって、CADの場合は図形位置を変更します。




図面訂正
図面を訂正したら、図面の訂正箇所に三角記号を振り、三角の中に訂正番号を記入します。



表題欄の訂番を上げます。下は02から03に上げた例です。




図訂通知欄に履歴を記載します。




なお、紙ベースの時代の図面訂正は、下の例のように、1回出図した図面上の表示内容は、消しゴムで消去してしまうことはせず、細かく取り消し線を記入していました。また、新たな訂正がどの箇所か判り難かったため、コピー図に赤鉛筆で訂正箇所を示す作業もしていました。
追記による図面訂正を重ね、図面が見難くなると、新たな図面を起こし「書換訂正」としました。
しかし、CADの場合は旧図面を印字枠外に移動して保存できるため、更新図面には幾つも前の訂正図形は、残さずに、1〜2回前までの△記号を残すだけでも構いません。
参考として旧図形を残すにしても、図形全体を細かな取り消線で残すのではなく、図形が無くなったことがことが判る程度の取り消し線を残すだけで構いません。







◆図訂通知票
部品表(部品リスト)の版数訂正も同時に実施します。また、訂正した部品リストのみをリストアップした「図面訂正通知票(図訂通知)」を発行します。そして、図訂通知票の番号も1→2→3のように上げて行きます。この、図訂通知票の番号は装置の履歴になる大切な管理番号です。また、装置を製造した時、製造台帳および、装置自体にこの版数番号を表示して管理することが望まれます。
下の表は図訂通知票の例です。





設計図面と加工図面、そして検査工程図
設計図面は設計者が作る図面ですが、これを元に加工者が作る図面が加工図面です。
最初から、工作機械が限定さている場合、または設計者の意図として、加工方法を指定する場合は
  φ3 キリ
のように図面中に加工方法を簡単に記載する場合もありますが、通常は、設計図には加工機を指定したり加工方法を指定しません。実際、殆んどの部品において、それが穴であれば、穴位置と穴寸法が正確であれば、ドリル、タレパン、レーザー、ワイヤの何れで加工されようが構わない場合が多いのです。

設計者の意図を汲み、自社の工場設備を考慮して、加工方法を指示するのは加工図面の作成者です。
加工図には、具体的な材質の商品型番、材料取り、使用する加工機器、工程毎の刃物指定、送り速度、焼入れ手順、メッキ作業指定 等を詳細に記載します。
これは、製造ロット毎に品質が変わらないためにも、加工担当者が交代しても同じ品質を保つ上でも極めて重要なことなです。

また、設計図や、加工図とは別に 検査項目と検査判定法を記した検査工程図(検査票)も別図面になります。

もの作りの真のレベルは、設計図+加工図+検査工程図 で決まってくるのですが、後ろの2つを省いている限り、値段で勝負してくる相手には勝てなくて当然かもしれません。漫画や小説の中では、1枚の設計図を手に入れた悪者が高性能ロボットや秘密兵器をいとも簡単に作り上げてしまいますが、実際はそれ程甘くはありません。確かに設計図は重要ですが、製造に必要な情報の一部分しか書き込むこはできないのです。



部品リスト

部品リストは以下のように構成にします。

親番  図番  版数     略称      型番/定格/材質   メーカー  個数   備考 
       101001 08 ○○装置
101001 101031 01 部品A組
101001 101051 01 制御基板 1
101001 101052 02 出力ハーネス組 1
101031 101101 01 軸A 2
101031 101102 01 板A 1
101001 101103 01 部品B 1
101001 ベアリング 608ZZ NTN 2
101052 コネクタ JS6502-2 ACT 2

製品の区分は上3桁の番号で表し、下3桁でこの製品専用の図番を与えます。

図番の下3桁は、
 001〜030 :製品またはユニットの図番
         製品やユニットの組立図面は-に続けて拡張図番を振る。
        例) 101001-ASY01   本体組立図1
           101001-MAN05  マニュアル図面5
 031〜050 :機械系結合図面 (カシメ、圧入、接着の部品図)
 051〜100 :電気系結合図面 (基板、ハーネスの部品図)
 101〜999 :機械系部品図面 (単部品の部品図)
とします。

101031(部品A組) は部分組図の図面番号です。
また、「軸A」と「板A」の親図番は101031(部品A組) です。このように、図面の親子が関係付けられます。

101001(○○装置) は全ての部品の親であり、総組立図の図番になります。

図番が無い部品は購入部品(標準部品)です。(本来は標準品も、社内で共通した図番を登録して、承認図を管理するのが好ましいのですが、図番が重複したりしないよう管理する必要があります。)

上の例では、親番は左端に記載していますが、個数と備考に挟まれた位置でも構いません。また、最も上位の親番(例では101001)を親に持つ場合は記載を省略しても構いません。



部品の親子関係
部品図にも、部分組図にも、製品にも、全て、図番が与えられます。
製品に属する部品は、以下のように、ファイル・ディレクトリのような構造となります。
以下の例図で、[ ]が無い部品は単部品で、[ ]の中の部品は複数の部品から構成されている組部品です。
製品以外の部品は、親図番を一つ持っていることがわかります。
また、[ ]で示される組部品は必ず、複数の子図番を持っています。

[製品]
  ├ 部品1
  ├ 部品2
  ├ [部品3] ---┬-部品3-1
  │         ├ [部品3-2]--┬-部品3-2-1
  │         │        └ 部品3-2-2
  │          └ 部品3-3
  ├ 部品4
  ├ 部品5
  ├  [部品6]----┬-部品6-1
  │         └ 部品6-2
  ├  [部品7]----┬-部品7-1
  │          ├ 標準部品7-2
  │          └ 標準部品7-3
  └ 標準部品8


回路基板上の個々のパーツは、子部品として扱うと、紛らわしくなるため、別表の基板専用のリストで管理します。回路基板の子部品は従って、PCBの板図面と、半田付けされていない交換を前提としたEPROMおよびソフトのような構成内容だけとなります。
例)
  製品
   │   
   ├ [基板 + パーツリスト]-┬-PCB板      (ガラスエポキシ板の加工図面)
                   └-ROM図番     (ROMの型番/ソフト名バージョン)

リスト上では、同じ図番が異なった親を持つ場合は、それぞれ別行に記載されます。

製品組立図のような大規模な図面は複数枚図面になりますが、図番は 102001-1/5, 102001-2/5 、、、 のように同一図番の枝番で表します。



◆部品リストの形式
製品に含まれる全部品と、この親子関係を記載したリストは「総合部品リスト」と呼ばれます。

これに対し、子部品のみを記載し、孫部品以下を含まない方式は「分類部品リスト」といいます。
分類部品リストの場合は、上で[ ]で示した図面ごとに別のリストがあることになります。
下は、上例の製品の分類部品リストと、部品3の分類部品リストの例です。

製品の分類部品リスト
  [製品] 
    部品1
    部品2 
    [部品3]
    部品4 
    部品5 
    [部品6] 
    [部品7]
    標準部品8 


部品3の分類部品リスト
  [部品3] 
    部品3-1 
    [部品3-2] 
    部品3-3

親子関係で構成する部品リストは一見複雑ですが、異なった製品間で部品やユニットを共通化するためには欠かせない方式です。
詳しくは部品リストとデータベースを参照してください。


図面の折りかた
下図は、A3,A2の図面をA4の寸法に折りたたむ方法です。
このように折ると、折りたたんだ状態で、表題欄の図面番号を見ることができます。



A1も基本的にはA2の畳み方延長です。左下コーナーの2穴は同じで、水平の折り目が追加されます。縦の折り目もアコーデオンのように折っていきます。このような大型の図面は穴に掛かる負担が大きいため、穴を補強するパッチが必要です。






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