廃鉱 廃坑道 地下

勉 強 会 −マインランド尾去沢見学−(週末探険隊 遠征合同オフ)

たまには何の緊張も無く、今までの鉱山知識を更に高めよう(笑)と
この「マインランド尾去沢」に訪れた。(いやぁ実名を出せるなんてなんとも気持ち良い)
ただの見学を載せるのはなんともありきたりである。
今回のレポは「実戦映像」と「見学映像」を折込んで見ようと思う。
読者様も勉強になるであろう。実際私も大きくレベルアップした(笑)

このレポを見終わったら、今までのレポで登場した鉱山機器の記憶が「グッ」と身近になるであろう。

そしてこの観光坑道。観光坑道にしては満足いく距離である。
距離は1.7Km。今まで観光坑道の訪問は、ほぼ無く実戦ばかりであったが
この距離と展示物には大変満足いく物がある。是非実際行ってみて頂きたい。
観光坑道と言っても当時の状態で安全性を高めてあるだけである。
冷暖房が効いている訳でもない。防寒着の着用をオススメする。

この日の外部気温は暑く、Tシャツ一枚で入り込んだ結果、受付で「寒いですよ」と言われた。
今更取りに戻るのも面倒だ、「・・・なれている・・・」と受付の人には意味不明となるだろう言葉を残し入坑した。(笑)
確かに坑口付近は風が強く寒い。しかし奥に行ってしまうとそんなに寒くない。
これは歩く事による身体的な馴れであったのか?楽しさによる精神的なものか?内部の照明等の熱によるものか?
温度を測ったわけではなかったので正確な温度は分からない。但し激しく寒いわけではない。しかし一応防寒着は着用しよう。
アホと思われるだけである。。。

この観光坑道の映像は全てではなく、ほんの一部しか掲載していない。
是非自らの目で見てきて欲しい。映像のみで臨場感を伝えることは出来ない。


表にはディーゼルタイプの車両があった。
坑道外の輸送に使われていた。
DL(ディーゼル・ロコ)とも言われる。
参考資料【実物写真】
こちらはある廃墟探索で発見したディーゼルロコ。
マインランド尾去沢にあったタイプとは違うが
この様な軽便車両は数多く使われてきた。

 

こちらの展示物はEL(エレクトリック・ロコ)
架線が必要な集電式によるロコ。
車体後部に見えるポールより架線に触れさせて
供給した電力を動力源としている。
排気ガスを排出しないために坑内使用が
主な任務である。
 

参考資料【実物写真】
某所廃鉱山にある車両(6t)。
タイプが違うがこちらも集電式のELである。

参考資料【実物写真】
こちらはポール形状ではなく、一般車両に多い
パンタグラフ形状をしている。ELはこの様な架線が
必要になる為、感電等の事故を考慮し
比較的高さのある坑道で使用される。

 

これは「スラッシャー」と言われるもの。
簡単に言ってしまうとウインチである。
小さい物は、一昔前のクロカン車に取り付いていたのを
見た方も多いのではないか?
これを単体で使うことはせず、写真左上に見える
「スクレーパー」と言われる道具を取り付けて使う。
「スラッシャー」の二本あるワイヤに取り付け、「スクレーパー」
自身を前身・後退をさせ、軌道がない採掘坑道の奥より
削られた鉱石を掻き出す「クワやクマデ」の様なもの。
この様に使用する。
奥より鉱石を手前に引きこむ機器である。

見るからに・・・
「非常に楽で地味な仕事に見える・・・」
こんな事を言うのは不謹慎なのだが。。。
だって坑内で座り業務なのだから。。。

参考資料【実物写真】
とある鉱山跡に残る物。こちらはトロッコに載っており
機動性が高いモデル。

軌道のある主坑道側へ引き寄せる目的である。
その後は「ローダー」で掻き寄せてトロッコ等に
載せていたのだろう。

 

「グランビー鉱車」と言われるもの
鉱石を運ぶ坑内車両である。
斜めに傾くことにより鉱石を降ろししたり
竪坑に落とす事が可能。
参考資料【実物写真】
こちらはとある廃鉱内の「グランビー鉱車」
大きさや形状は多少違うが目的は
全く同じ物である。

 

それでは入坑しよう。
入口付近は物凄い冷気が吹いてくる。
「う〜ん!いい香りである」

 

電灯が点いている事により非常に明るい!
それに足元はコンクリート整備され非常に歩きやすい。
坑口から数十メートルは浮石等、地盤が弱い為
通常はコンクリートで整形されている。
参考資料【実物写真】
こちらはとある廃鉱。
比較的歩きやすい坑道だが当然電灯等は存在しない。
主電源は完全に取外され、電力供給は完全にストップしている。
ライト類は必須になり予備の電池や故障に備え
予備ライトを所持しないと大変危険である。
場合によっては酸欠等も考えられる為
酸素濃度計や酸素ボンベが必要になることもある。
当然「自己責任」が付いて回る。

 

やがて坑内は素掘りになり、所々木製や金属製の支え
(支保工や留支柱と言われる)が存在する。
巨大岩石の真ん中を掘り進んでいる為
断層等にぶつかり、出水が多い場所以外は
コンクリートによる整形の必要はない。
参考資料【実物写真】
こちらはとある廃鉱。坑道の大きさ等規模や、岩盤の種類、
崩落危険が多い場所により、
支えの形や大きさは変る。
当然採鉱していた年代等によりその形状は変ってくる。

 

観光坑道と言えども、昔は実際に採掘を行っていた坑道である。
定期的に点検はしてあるだろうが、既に使用されなくなってから長く、
そして観光には不向きな形状、若しくは斜坑なのであろう。
当然「立入禁止」との文字が書かれ立入ることは出来ない。

 

いたる所に分岐が残る。
金属鉱山は鉱脈を追いぶつかるまでは延々と掘り進む。

その為、坑道の総延長は数百km〜数千kmにも及ぶことが多い。

この鉱山も資料館に4メートル四方で作られた3D坑道模型がある。
縦横無尽に入組む模型の中、この観光坑道の部分は
ほんの10cm程の長さにしかならない。

延長1.7kmが4m四方の模型の中でたった10cmに収まってしまう。

 

 

 

立ち入れない坑道の先にカメラを入れてみよう。この柵一枚を越えると観光坑道とは一変する。
水が溜まり泥濘んでいる。電灯は付いているが点灯はしていない。
何故かこちらのほうが安心する。実際に数多くの廃鉱に行ったが観光坑道は初心者なのである。
よく行く坑道はこのような場所が多い・・・。

 

これは観光用のダミー軌道なのか?この軌道は木製なのだ。

 

延々と続く直線の坑道。
新しめの蛇口とゴムホースは何か気分を害する・・・。

清掃するのだからしょうがないが・・・。

 

これは木製のホッパーでないか!
(ホッパーとはこの上に存在する坑道より立坑を落ちてきた鉱石の
出口。この場所よりトロッコ等に積み込む。「やかんの口」の様なもの)

しかし何かおかしいぞ???

まぁ実際行って見てほしい。。。

参考資料【実物写真】
とある廃鉱のホッパー。年代により、金属製で出来ているタイプから、木製で作られているタイプもある。

 


やがて掘り進んでいた坑道は大鉱脈にぶつかったのだろう。
鉱脈に沿い削り取った後がある。

これは写真や映像では伝えられない。実際に見に行って頂きたい!
奥行きは見えない。壮大なスケールで扇状に削られている。

地球生成時の断層に長い期間をかけて充填されたものが
鉱脈なのである。

 

 

週末探険隊:隊長Baro氏撮影
D300 31mm F4.0 1/60 ISO1600

 

しばらく進むと大きな空間に出た。
ここも大規模な鉱脈があったようだ。
左面は断層に沿う形で上に削られている。

 


この辺りは大鉱脈なのだろう。
長さは数百メートルに渡り採掘された後が残っている。

目の前に見えるこの映像は自然に出来た洞窟ではない。
ここまで人間が掘らなければ存在しない空間である。
鉱脈が出来る前に存在した亀裂はあったであろうが。

 


左の写真は「ダンパー鉱井」と言われる物。
バケットの部分が 左へ 斜めになっているのが分かる。
先ほど紹介した「グランビー鉱車」により運ばれた鉱石が
この場所で立坑へ落とされる。この下には「ホッパー」と一時的に
鉱石を溜める鉱貯倉が待ち受ける。
この下部の坑道で「ホッパー」より更に別の鉱車へ載せかえられる。
参考資料【実物写真】
これはとある廃鉱の「ダンパー鉱井」である。
参考資料のこの写真では鉱車は右へ傾く。
傾いた金網の下は立坑になっている。
傾ける際に乗り上げた跡も見える。

 

この展示品である「ダンパー鉱井」
左手には実際の立坑がある。

そして急に開けた場所に地底廃墟(実際の呼称ではない)が現れた。
当時の風景を見ることが出来る。

当時の風景を作ってみた(笑)

ここは休憩所である。

皆、お弁当を食べる直前なのだが、一番右から二番目の鉱夫。
一人だけ孤立し、寂しい佇まい・・・。
彼の前にはなんと!お弁当が無いのだ!恐らくは・・・

ヘルメットの鉱夫あれ?お前メシは?
孤立した鉱夫:A案「いや、ちょっと検診引っかかってダイエット中なんだ」
孤立した鉱夫:B案「あ、あぁ。ちょっと嫁と喧嘩してな・・・」
孤立した鉱夫:C案「うん、今朝バックに入れたはずなんだが・・・」

と言うA案〜C案のどれかに当てはまりそうな雰囲気なのだ。
やけに隅っこ、右から三番目の鉱夫との距離も空いている。
皆が弁当を並べる中、彼は恥かしかっただろう。。。
「穴があったら入りたい!」と思うだろう。しかし既に穴の中なのだ・・・。

 

ANFOを積んだ「平トロッコ」
この場所は火薬の受け渡し場所。
使用場所、個数、上司の許可証を確認したのち
発行されたのだろう。
参考資料【実物写真】
「平トロッコ」は資材輸送用として様々な鉱山で使用されてきた。

 

輸送には特別に「火薬」や「火」の文字をあしらった
専用車両も使われた。
参考資料【実物写真】
これはとある廃鉱内の火薬輸送箱。
「平トロッコ」に乗せ使用していた。

 

「地底廃墟」
地底と付くが特に地底にあるはずも無く
水平坑道や上部坑道に存在することもある為
「地の底」にあるイメージではない。
地下にある為に地底廃墟と呼んでしまう。

通常は休憩室や機械室等であるが
巨大な坑道の場合は24時間の事務所まで
併設されている所もある。
当然、作業員以外の事務員も坑道内で
働いていた事になる。

この周りには当時の看板が掲げてあり、他にも
巨大な黄鉄鉱が飾ってある。
是非隈なく見て欲しい。
 

参考資料【実物写真】
とある廃鉱内に残る「地底廃墟」休憩や事務所として使われていた。

 

坑内エレベーター
これは下部にある坑道と行き来する為の
竪坑昇降機である。
人員用やトロッコ等鉱車用、勿論兼用も存在する。
深いものは1000mを超える物も
存在すると言う。東京タワーよりも長いということだ。
北海道に多い炭鉱等の竪坑は
200m〜1000mオーバーが多い。
これも採掘する鉱石の種類、堆積の仕方により
深さが変ってくる。
参考資料【実物写真】
とある廃鉱の昇降機である。
この昇降機の深さは凡そ100m前後。

 

「ローダー」と言われる鉱石を集め、そのまま跳ね上げる様に
半回転し、後ろに待つ「グランビー鉱車」に積み込む重機。
動力取得の関係上、空気圧で作動させるものが主。
参考資料【実物写真】
とある廃鉱にある使用されなくなった「ローダー」
参考資料【実物写真】
巨大な「ローダー」も存在する。
恐らく「ローダー」とは言わず他の名称があると思われる。
積み込みの為、通常ペアで動いている
「鉱車(グランビー鉱車)」の大きさにより
ローダーの大きさも変わる。
 

 

  

 


地盤の緩い場所、落石等を防ぐ目的がある。
参考資料【実物写真】
とある廃鉱の坑道で見かけた風景。
古い物はメンテナンスをされていない結果。
意味を成さない事もある。

 

資料館編

      
参考資料【実物写真】とある廃選鉱場にて撮影
資料館には数十点の写真が掲載されている。その一部を「実物写真」と供にご覧頂きたい。
左は資料館の写真である。
「ジャイレトリークラッシャー」と言われる大きな鉱石を粗引きする機械。

 

  
参考資料【実物写真】とある選鉱場跡で撮影
左は資料館の写真である。
こちらは「コーンクラッシャー」と呼ばれる物。粗引きされた鉱石を更に砕く機械である。

 


参考資料【実物写真】とある選鉱場跡で撮影
左は資料館の写真である。
こちらは「ローヘッドスクリーン」と呼ばれる物。簡単に言うと、「篩い」である。
滑り落ちてきた鉱石をこの機械が起こす振動で篩いにかけ、大小の鉱石を選別する。

 


参考資料【実物写真】とある選鉱場跡で撮影
左の写真は資料館の写真である。
こちらは「ボールミル」と呼ばれる物。この機械に鉱石と鋼球を入れ更に細かく砕く機械。

 


参考資料【実物写真】とある選鉱場で撮影
「浮選機」と呼ばれる機械。鉱物の表面の性質を利用し、気泡剤、調整剤、活性剤などを加え空気を送り込み
発生させた泡に有用鉱石を付着させ、金、銀、銅など鉱石を個別に回収する装置。

 


参考資料【実物写真】とある選鉱場跡で撮影
「精鉱シックナー」と呼ばれる装置。
「浮選機」で泡と供に溶け込んだ鉱石の滓を、更に精錬し微量の鉱石を取り出す為の装置。

 

左の写真は資料館の写真。
シックナーと呼ばれる物でこの種類は最終工程が
目的である。
「浮選機」等で薬品を混ぜられた滓や
鉱山から出水する鉱水をこの機械で
濾過し更に中和剤を投入し攪拌してから無毒化の後
河川に流す。残ったガラや滓は「堆積ダム」と
言われる場所へ捨てられる。

テレビなどで鉱水が河川に流れ込む公害事件があるが、
このシックナーが台風等で溢れたり、破損したりし
河川に流れ込む事により起こる。
現在は水位警告装置の進化やオーバーフロー等の強化、
オートメーション化され、技術の発展と供に事故は
起こる事は無い。
 


参考写真【実物写真】
当時の写真(上)の現在の様子。

参考写真【実物写真】とある選鉱場跡にて撮影

 

過去の選鉱場の写真。
現在は煙突や土台しか残っておらず
遺跡の様な風格を残すのみとなっている。

最後に

今回の「勉強会」は非常に有意義であった。
このレポ内の説明文は私の独学知識で書いており、その説明や写真に誤りがあると思われます。
是非、この 「尾去沢鉱山」の見学に行ってみると良いと思う。
入場料金はかかるが、それ以上に価値ある物が発見できそして勉強になった。
古くから幕府、そして近代日本経済を支えた産業遺産。この地を訪れることで当時を思い浮かべるのも良いだろう。

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