廃鉱 廃坑道 地下 石切場

Deep Fortress −地底要塞に眠る工場−

(週末探険隊&伊豆穴菌隊合同オフ)

この場所はこの地方ならではの坑道【石丁場】である。
江戸の頃、良質な建築石材が採れる採れるとしてこの地には多数の船が集まった。
江戸城建築の石垣等は大半がこの地方で採れたものである。
採掘していた種類としては凝灰岩系(軟石)と、溶岩を基とする安山岩系(堅石)が主とされる。
そして大小数百からなる石丁場が連なるこの半島の一つ、規模的には大きいと言われる場所へ行ってみた。
今回も無くてはならないガイド(穴菌隊)がついてくれた。
石丁場は鉱山の坑道と違い直線的に掘りつつ、鉱脈にぶつかれば左右に掘り続ける工法と違い
その一帯に均一的な資源がある為、崩れぬようある程度のスパンを空けながら
左右上下と切り出す工法、長方形・正方形状の部屋が残るためにどの場所を見ても
形が似ている。その結果坑道の道筋を覚えようが、各部屋の形状が似ている為に非常に迷いやすい。

「この部屋の先は右に行けば出口方向だ」と記憶していれば、それは違う部屋の記憶であり
「あれ?場所が違う」となる、その瞬間に自分の記憶と異なる事による焦り、そして『遭難?』の文字が浮かび
半パニックに陥る。落ち着いて記憶の整理、いざとならば逆にその場所の記憶を頭から消すことも大事となる。

鉱山跡なら、小さい規模で一度、大きい規模で二度〜三度で完全に道筋を覚えられ、
最下部に置いていかれても脱出は簡単であるが、石丁場は一度や二度程度の訪問では脱出に相当な
時間を要すると思われる。ライトの電池切れによる地底遭難の難易度は地下探険上、即トップレベルとなる。
近年代まで採掘をしていた場所なら、主坑道に電灯のケーブルや通信ケーブル、軌道が残り
それを辿れば出口に行けるが、時代が古いものは出口までの頼りが無く地底遭難の確立は大きい。


状況開始
今回はかなり多い人数である。
「週末探険隊」伊豆に拠点を置く「穴菌隊」総員10名ほど。
潜入作戦では好まれる数字ではないが今回は
ウェルカムな場所である。特に問題はない。

山道に入り数分目的の場所に辿り着いた。
この場所一帯には大小数箇所の丁場が残る。
坑口の高さは10m 幅は5mほどであろう。

坑口付近、なにかのケーブルが写真中央より左下の
コンクリートブロック製の枠内に入っている。古い地震計の様な物であろうか?

中の確認はしていない。

坑内はご覧の様な形状。
天井は綺麗に削られ平面になっており
切出した石のズリであろうか?それを土台や作業スペース
にする為、石垣の様に積まれていた。

 


写真提供:週末探険隊・隊長Baro氏

 

坑口入りすぐ右側には
上に向かう場所があるが、この先は行き止まり。
切出し部屋であるのだろう。
奥へ進もう。
石垣の様に組まれた通路である。
この上は更に石を切出すためのスペースになっている。
この先は行き止りなので少し戻ろう。

 

この石丁場には地底湖が存在すると言う。その場所を見ておこう。

 

ブルーフィルターを付け撮影。
澄んだ水が溜まっている。水深は1m程と見られるが見た目よりも深い場所もあるだろう。

 


写真提供:週末探険隊・なかてぃ氏


写真提供:週末探険隊・なかてぃ氏

この石丁場の見所はこの地底湖である。
この坑道と直結はしていないが、すぐ隣に巨大な石丁場があるという。そちらに移動しよう。

 

しかし!

着いた入口はかなり小さい。
上に石垣が見えるが、崩落防止で付いていたものなのか?
それとも閉鎖後坑口を塞ぐ目的で積みあげたのか?
元々はどの位の大きな坑口であったのだろうかはわからない。
形状は谷の様になっているが元は広く、長い年月により
左右からの土砂の流入にで埋れてしまったか?
この石丁場は巨大と言われるが、この坑口を見る限り
拍子抜けしてしまう(笑)しかし侮る無かれ、
かなり奥深い石丁場と言うことだ。

入って10mほどか?すぐ右手には地底湖が広がっていた。
奥に行けば徐々に深くなっていく。

 


写真提供:週末探険隊・隊長Baro氏

 

急激に低くなる坑道
本当に主坑道なのか?
しかしケーブルが主坑道を物語る。
水深はほんの20cmほど。
灰色の濁った水が溜まっている。

しかしこの先は崩落しているように見えるが。

そしてなぜ今回穴菌隊はシャベルを持っているか?

実はこの坑道内で崩落を目の当たりにしたり、
何度か入坑しているが崩落によりその都度
坑内形状が変わっているとの事だ。
万が一を想定し脱出の際に持っている物だと言う。
 

行き止りと思われたその先は微かな穴が開いている。
40cmか50cm程の穴に身を滑り込ませる。
道具を装備した状態で入れないため、反対側で
荷物の受け渡しをしてくれる穴菌隊メンバーがいる。
入ってきた穴。この場所でも何回か塞がる事があったらしい。

脱出の際、私は後続にいた為この場所のトラブルで
ガヤガヤしていることに気が付いていなかったが、
今回も穴に石が転がり塞がりかけたとの事だった。
除去できる大きさであったために事無きを得たという。

「おいおい、ゾッとしたよ。ほんとに」

 


写真提供:週末探険隊・Baro氏

 

しかしこの坑道は不自然に蒸し熱い。

深さや規模によるだろうが今まで探索した鉱山系坑道は
常に10度〜15度位を保った涼しく、時折寒さを感じ、
夏だろうが息が白く見える場所が多かった。

しかし「出口が一箇所しかない」為と思われたが
明らかにそれだけではなさそうなのだ。

この現象もこの地方ならではなのだろう。
温泉や火山活動が多い地帯である。地熱により
非火山地帯の坑道よりも遥かに温度湿度ともに高くなる。

 


写真提供:週末探険隊・隊長Baro氏

 

そして行く手には2mほどの段差になっていた。
切断されたケーブルを頼りに下に下りることになった。
上では穴菌隊メンバーがケーブルを押さえてくれている。
ここでも荷物の受け渡しが行われていた。

写真に写る人物は伊豆地方ではあらゆる面で
有名な人物。ボランティア活動、教育活動等を行い、
そして趣味か仕事なのか?この地方に眠る歴史ある
産業遺産調査の為、穴に入り込むことが多い。

無事に降り立った週末探険隊メンバー達。
この後穴菌隊メンバーが降りてくる。

しかしあの小さな穴からは想像ができなかった
広さである。

すぐ目の前にはオレンジ色のプレハブ小屋、そう「地底廃墟」があったのだ。
当時休憩所と使われていたのか?近くに行くことにしよう。
プレハブ小屋にしては頑丈な造りである。
鉄骨で枠組みされ、スチール板が貼り付けられている。
特に窓は無い状態であり、部屋一面には柔らかい
スチロール素材の板が張られ発砲ウレタンで防水加工
されていた。
室内の映像である。
数箇所に塩ビ製のパイプから直角に棒が出ており何かの
機器が取り付いている。更にそこからステンレス製の
細い棒が水平に設置してある。上下左右に動くような
機構が施されており恐らく地震計と思われる。
すでに機能しているように見えないが
比較的新しい様にも見える。

 


写真提供:週末探険隊・隊長Baro氏

 

引き返し更に奥へ進もう。
近代まで続いていた石丁場であろう。電源等のケーブルや
行先表記であろうか?蛍光スプレーで目立つように
数字が明記されている。そして足元には枕木、そしてレールが残る。
トロッコの様な物が存在するのであろうか?
足元に残る軌道の跡
ケーブルが見えるが、これがトロッコ牽引用のケーブルなのか
軌道と関係がある物なのかは分からない。
通路は軌道を携え更に奥へ進んでいく。
縦横を綺麗にカットされた四角形の形は鉱山系の
坑道とは印象が違うであろう。

坑道を抜けた先は大きな部屋になっており様々な加工機械が立ち並び、さも地下工場とも思える遺構が残っていた。

 

「パズーレバー」と言われる物。勝手に名付けてしまったが
我々はこう呼んでいる。この機器の形状を覚え
「天空の城」とつく名前のアニメを見ると似ている物が
登場する。
これは架空索道や昇降機のケーブルを巻き上げる
装置である。モーターとその動力を伝えるベルトが見えるだろう。
簡単に訳すととエレベータの巻き取り器
とイメージしてもいい。

二本の棒、恐らくはどちらかがブレーキか?
引き具合で速度を加速したり低速させたりするのであろう。

架空索道がある。石材を運んでいたのだろう。
錆にまみれ赤茶けてしまっている。
ケーブルもオイルを失いこの先長くはもたない。

グラインダー等加工する機器がおかれ、いたるところに索道用の
ケーブルが目に付く。バケツや防塵マスクが落ちていた。

小さい加工等もこの坑道内で行っていたのだろう。
まさに地下工場である。

 

人物を並べた写真をご覧頂きたい。

この様に見るとかなり大きな空間であることが分かる。
奥行きもあり、普通の家一件以上の面積がある。


足元には様々な機器類の残骸が残り、安易に
歩くと転倒しかねない。

 

ベルトコンベアーが何基も置かれている。
搬出にはコンベアーや架空索道、平車トロッコ等を
使用していたようだ。

 


写真提供:週末探険隊:なかてぃ氏

見所がある場所はここまでである。まだ先はあるようだが、崩落により行き止りになる場所と採石小部屋が残るのみである。

更にこの坑道内の綺麗な小さい水溜りにて泥で汚れた三脚を洗ったところ、沈殿していた汚泥が原因なのか?

硫化水素が巻き上がったため、「非常に強烈な腐卵臭(硫黄源泉の臭い)がしたのだ。」一目散に逃げたのは恥ずかしながら

ガスに臆病な私だけであった。。。


写真提供:週末探険隊・隊長Baro氏


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