カナダの大学について

Maclean'sの大学ランキングについて
(Web site:Rankings2003)

この雑誌はカナダの大学を、Medical/Doctoral, Comprehensive, Primarily Undergraduate3つのcategoryに分けて、大学のランク付けをしています。前者は医学部を持っていて、幅広い分野でPh.D. programを提供している大学を意味し、中者は医学部はないものの、充実したpost-graduate programを持っている大学、後者は学部教育が中心で、限られた範囲のpost-graduate programしか持っていないと見なされた大学を意味します。カテゴリー間の上下関係は簡単には付けられません。Comprehensiveで高い地位にいる大学は、Medical/Doctoralの大学と肩を並べているといってよさそうですが、下位の方になると幾分見劣りするようです。実のところfacultyやprogramレベルの評判は、このランクとは異なることが多く、このランキングは参考にならないことがあります。たとえばMBAのランキングで高く評価されているUniversity of Western OntarioやYork Universityはカテゴリー内のランクではそれぞれ3位、6位となっています。Maclean'sのランクはあくまでUndergraduate programの評価を主眼に置いた総合評価であることを念頭に置いて眺める必要があります。

全般について

Maclean'sのランキングの調査対象になっている"university"の数がカナダ全体で47校と少なく、そのうちfull-timeの学生数が2万人を越えるのが9校です。カナダではuniveristy以外にも、university collegeやcollegeといった学校でpost-secondary educationは受けることが出来ますし、"university"ではなくても、高い評価を得ている(e.g.高い就職率)学校もあるようです。人口規模の違いを勘案しても、500校を越えて規模の大きな大学が少なくない日本と比較して、カナダでは"university" studentそのものが少ないと言えると思います。また学位取得を重要なachievementと考える人が多いのでしょう、名刺を貰うとB.A.とかB.Sc.などわざわざ記されていることが多いです。日本では博士号ぐらいしか名刺には書きませんので、大きな違いに映りました。日本でも、戦前は"学士様"と呼ばれたことがあったようですが。

アメリカには2,000校を越える"university"があると聞きますので、カナダではアメリカほどには"university"が大衆化していないと言えるでしょう。カナダではアメリカのようなSATは導入されておらず、また日本のように大学が独自に実施する筆記試験もなく、高校の最終学年の成績が大学への入学決定の重要な判断材料として用いられています。日本からの留学生にとって、カナダの大学はTOEFLの最低要求点数がアメリカの大学のそれよりも高いことが多いので、入るのは難しいとされているようです。しかしながら、カナダの大学並びに国そのものの知名度が低いことから、同程度に入るのが難しいアメリカの大学と較べると、日本に帰ってからの評価が期待できないことが、カナダで学位を取得しようとする日本人を悩まします。

カナダの大学の学部卒業に必要な単位数は日本の大学とほぼ同じ125単位前後ですが、一科目が週に180分の授業時間で3単位となります。日本では通常、90分の授業時間で2単位ですので、大雑把に言って、カナダでの3年分の時間数しか、日本では4年間かけて勉強していないことになります。4年目が実質的に就職活動に充てられている日本の現状では、3年目までの授業を受けている密度は同じと言えるでしょう。となると、重要なのは4年目の過ごし方です。4年時の就職活動そのものに教育的意義を見いだすことも可能なようですので、安易に批判するわけにはいかないようですが、貴重な時間を無駄に使っている様な気がしてなりません。日本の大学の学部では、4年目は卒論を残すのみというのが通常で、4年生にもなって科目登録を例年通りしているのは卒業が危ういことを示しています。こちらでは4年生の後期まで、ほぼ例年通り取っています。開講されるコースは減るものの、summer sessionに開講されているコースを3年までに取って、4年目のコース負荷を減らすというのは可能でしょう。在学中に授業の合間を縫って、就職活動をして卒業後すぐに働き始める学生もいますし、卒業後に余裕を持って就職活動をする学生も少なからずいますし、卒業後にbackpackを背負って海外に出かける人もいます。

カナダではUniversityと名が付く限り、教育は一定の高い水準を保って実施されているといるということになっています。建前では、British Columbia州の山奥(失礼)の大学 Univeristy of Northern British Columbiaで取ったMATH101の"A"という成績は、シラバスが同じ内容を謳っている限り、University of Torontoで取った、MATH101の"A"という成績と同じ価値がある(科目コードの最初の4文字が科目の分野を表し、数字の百の位が配当学年を表すというのは、大学の科目名コード体系として一般的)ということのようです。従って、途中で大学を移るというのも決して珍しくなく、よい成績さえ納めていれば技術的には難しくないようです(折角、作った友達などは連れていけないので、現実的には簡単ではないでしょうが)。州によって違いがあるとは聞きましたが、BC州では二年制のcollegeを修了してから、universityの3年次に編入するというのもよくあります。しかも、collegeや小規模のUniversityのほうが、先生との距離も近く、基礎的な科目ならよりしっかりと勉強できるからいいと言う人もいます。というのも、近年、規模の大きな大学では、1・2年生向けコースのクラスサイズが大きくなっていることが問題視されています。これは、最近の生徒数の増加に追いついていない、政府からの財政補助に問題があるようです。

カナダの大学は公立と見なされているようですが、大学の運営面での自由度でみると、日本の国公立大学よりも私立大学に近い、或いはそれ以上ではないかと思います。例えば、学費は基本的に大学自身で決めるようで(BCでは州政府の介入があり、しばらく値上げが止められていました)、学部によって学費も違います。教授の給料も個別応談で決めることが可能らしく、有名教授を高いsalary(USに較べれば知れているでしょうが)で招き入れるということもあるようで、MBA programではprivatizationに踏み切ったところもあります。日本に較べれば学生が払っている学費は安く、Macのundergraduateで年間で30万円ほどです。ただ、家庭の経済状態に依らず学費は自分で調達するというのも別段珍しくなく、例えば、政府がstudent loanを提供していますので、これで4年間学費を払って暮らすことも可能なようです。因みに日本では育英会「奨学金」と名前が付いていますが、これは返すことが前提ですので、scholarshipと訳しては間違いで、student loanとしなければなりません。

残念ながら、カナダ人でも永住権保持者でもない留学生は、彼らに較べてかなり割り増しされた学費を払わなければなりません。カナダの大学は政府が資金補助をして運営されていて、その財源は税金だから、留学生が払ってもいない税金で利益を得るのは道理に合わないということのようです。カナダ人も若い人の場合、また永住権保持者も来て間もない場合、税金は払ってきてはいませんが、彼らは卒業後に留学生よりずっと高い確率でカナダに残って税金を払う筈ですので、やはり留学生は政府補助の分はちゃんと払えということのようです。UBCのundergraduateでdegree programはカナダ人・永住権保有者と留学生の学費の差が激しい方で、10courses/yearが通常の負荷なので、通常負荷でC$16,000(130万円)/year程度を払うことになり、日本の私立大学よりも高くなってしまいます。カナダ人と留学生の学費の差は大学によっても、学部によってもまちまちなので、事前によく調べておく必要があります。カナダの大学で勉強しようと思うなら、移民申請をして、landed immigrantの身分を得てから来れば、student visaで来るより学費面で楽になります。例えばUBCのundergraduate programの学費は1/4以下に下がります。UBCは人気があるので、それでも留学生が集まるようです。

大学では成績が重要です。当たり前のことを言っているのかもしれませんが、日本の大学では落ちなきゃOKで、たとえ落ちても、必修でなければほかでカバーできるぐらいには余分に登録してあるから気にしないし、必修でも来年取ればすむこと、ってなぐあいで済ませてきていました。そんな心構えは、たとえ日本でも望ましいものではないとはわっかっていても、バブルまっただ中で学部時代を過ごしたせいなのでしょうか、甘い考え方が染みついていたようです。大学院の審査でも学部の成績が重要な意味を持ちます。上述のように、大学間格差は重要な要因ではないらしいので、成績のGPAがダイレクトにものをいうようです。仕事への応募に際して、成績表をresumeと一緒に送るように求める会社もあると聞きます。成績が重要なのは、最初の仕事だけという話も聞きますが、最初の仕事は次の仕事に大きな影響を与えますので、最初にしっかりとしたキャリアに繋がる仕事を得ることはとても重要でしょう。大学院の入学審査に較べると、企業は大学の名前を気にするようですが、日本ほどではないようです。

日本の大学で論述系の試験を受けた場合、設問は一つぐらいで、何か書いて埋めれば、通してはくれるという印象だったのですが、こちらでは言葉の壁も相俟って誤魔化しが効きません。設問は講義でカバーした内容を大体カバーするように、設問もいくつかあって、それぞれに枝問があり、配点もきっちり決まっているということでした。きっちり勉強しておかないと、どうしようもありません。成績も、A+からC-或いはD-まで細かくgradeが出ますし、UBCでは素点も出ていました。多くの科目で行われるmidterm examは高校のときのように答案用紙を返してくれますし、提出したassignmentも採点して返却されます。final examは大学が保管するということになっているので、返却はしてくれませんが、自分の試験の採点結果を閲覧できるのは当たり前ですし、疑義照会は当然の権利です。そうなると、どんぶり勘定でA,B,Cと採点している訳にはいきません。日本でも実はきっちりと採点していたのかもしれませんが、途中経過が見えなかったので、ええ加減にやっていると言うように思いがちでした。成績が将来を幾分かでも左右するとなると、もう少し真剣になれたのでしょうか。でも、中学校のように定期考査をいちいち気にする生活も有り難くないので、適当なバランスを実現するのは簡単ではないのでしょう。

Plagiarism(剽窃)に関する意識の高さも、言及に値するでしょう。日本の大学でもレポート提出が課せられることはよくありますが、そのとき、何年か前の他人のレポートを写して提出したことが発覚したとしても、せいぜいその科目の単位を落とす程度ではないでしょうか。しかも、日本では単位を落としてもあまり痛くありません。こちらでは、term paperに対しても厳格なルールが適用され、このような悪質なacademic dishonestyに対しては、退学すら十分あり得る処分です。すなわち、plagiarismは極めて罪の重い行為と認識されています。その一方で、密かにessayが売買されいたりするもの事実のようで、教授たちにとっては頭の痛い問題となっています。

カナダの大学を日本の大学で譬えると

USのMBAプログラムを軸に、USの大学を日本の大学と対照して解説を加える、とういことやっていた本を非常に面白く読んだことを記憶しています。これを真似て、カナダの大学と日本の大学の間でやってみました。ただし、もともと単純に置き換えるとことはできない性質のものですので、ご覧の際はご注意下さい。
カナダの大学を日本の大学で譬えると